テクニカル分析とは、過去の値動きや出来高から、これからの株価の動きや売買のタイミングを判断する手法です。

企業の業績を見るのではなく、チャートに現れた「市場参加者の行動の跡」だけを材料にします。

この記事では、指標の一覧だけでなく「どれとどれを組み合わせてはいけないのか」まで解説します。

この記事でわかること

・ファンダメンタルズ分析との違い
・トレンド系とオシレーター系の使い分け
・主要な指標の一覧
・組み合わせてはいけない指標
・だましが起きる理由

テクニカル分析とは

テクニカル分析(Technical Analysis)は、株価チャートから売買のタイミングを判断する分析手法です。

材料にするもの
・株価(四本値
出来高
・信用残高などの需給データ

使わないもの … 売上・利益・PER・業界動向

「企業の中身を見ないで判断するなんて」と思うかもしれません。しかし株価は業績だけでなく、需給と人の心理でも動きます。テクニカル分析はその部分を扱います。

ファンダメンタルズ分析との違い

項目 テクニカル分析 ファンダメンタルズ分析
見るもの チャート・出来高 業績・財務・業界
答えること いつ買うか 何を買うか
向く期間 数分〜数か月 数か月〜数年
必要な時間 短い(チャートを見るだけ) 長い(決算資料を読む)
弱いところ 材料が出ると無力 安いまま何年も放置されうる

この2つは対立するものではありません。「何を買うか」はファンダメンタルズで決め、「いつ買うか」はテクニカルで決める、という併用が最も一般的です。

なぜチャートに意味があるのか

テクニカル分析には、明確な前提があります。ダウ理論で整理された考え方です。

① 価格はすべてを織り込む
業績も金利も思惑も、最終的には価格という1つの数字に集約される
② 価格はトレンドを形成する
いったん方向が決まると、しばらくその方向へ動き続ける
③ 歴史は繰り返す
相場で動いているのは人間なので、同じ場面では同じ反応が起きやすい

③がとくに重要です。多くの人が同じ水準を意識するから、その水準が実際に効くという自己実現的な性質があります。

逆にいえば、誰も見ていない指標は効きません。広く使われている指標ほど機能しやすいのは、このためです。

指標は大きく3種類ある

分類 わかること 得意な相場
トレンド系 相場の方向 トレンド相場
オシレーター系 買われすぎ・売られすぎの度合い レンジ相場
出来高系 売買のエネルギー どちらでも

得意な相場が違うという点が決定的に重要です。レンジ相場でトレンド系を使えばだましだらけになり、トレンド相場でオシレーター系を使えば「売られすぎ」のまま下げ続けます。

トレンド系の主な指標

指標 特徴
単純移動平均線(SMA) 最も基本。すべての出発点
指数平滑移動平均線(EMA) 直近の値を重視。反応が速い
多重移動平均線 帯の収束と拡散でトレンドの強さを見る
MACD 移動平均線より早くサインが出る
ボリンジャーバンド 値動きの幅を可視化。逆張り専用ではない
一目均衡表 時間の概念を持つ。雲が支持帯・抵抗帯になる
DMI・ADX トレンドの強さを測る。方向は測らない
パラボリック 転換点でドテンする前提の指標

迷ったら単純移動平均線から始めてください。MACDもボリンジャーバンドも、元をたどれば移動平均線の応用です。

移動平均線と株価の位置関係から売買を判断するグランビルの法則、2本の移動平均線の交差を見るゴールデンクロスデッドクロスも、すべて移動平均線が土台です。

オシレーター系の主な指標

指標 特徴
RSI 値動きに占める上昇分の割合。最も使われる
ストキャスティクス 値幅の中での終値の位置。反応が最も速い
RCI 価格ではなく順位で計算。時間の要素が入る
サイコロジカルライン 値幅を無視して上昇日数だけを数える
移動平均乖離率 移動平均線からどれだけ離れたか
騰落レシオ 個別株ではなく市場全体の過熱を見る
標準偏差 方向ではなく値動きの大きさを測る

オシレーター系に共通する弱点は、強いトレンドが出ると「買われすぎ」のまま上がり続けることです。トレンドの有無を確認せずに逆張りすると、大きく損をします。

出来高系の指標

指標 特徴
出来高 売買が成立した株数。価格より先に動くことがある
価格帯別出来高 どの値段で多く売買されたか。しこりの位置がわかる
VWAP 売買代金の加重平均。機関投資家の建値の目安

出来高は最も軽視されている一方で、最も裏切らない情報です。どんなに形が整っていても、出来高が伴わない動きは続きません。

チャートの形で見る方法

指標を使わず、チャートの形そのものから判断する方法もあります。

見るもの 内容
ローソク足 1本の形から買いと売りの勝敗を読む
ローソク足の組み合わせ 複数本の並びから転換を読む
酒田五法 三山・三川など5つの型に体系化された古典
価格の隙間。埋まるかどうかが焦点
カップウィズハンドル 上昇の初動で現れるとされる形
アイランドリバーサル 両側に窓ができて孤立した形。転換のサイン

最初に覚えるべき3つ

指標は数十種類ありますが、すべてを覚える必要はありません。むしろ多すぎると判断できなくなります。

この3つで十分に戦える
① 移動平均線 いまトレンドがあるのか、どちら向きか
② 出来高 その動きに資金の裏付けがあるか
③ ローソク足 その日に何が起きたか

この3つは互いに別のことを見ているので、重ねても情報が増えます。指標を増やすなら、まずこの3つを使いこなしてからです。

組み合わせてはいけない指標

初心者が最もやりがちな失敗が、同じ系統の指標を並べることです。

悪い例 RSI + ストキャスティクス + RCI
すべてオシレーター系。3つとも同じことを言うだけで、根拠が増えたように錯覚する
良い例 移動平均線(方向)+ RSI(過熱)+ 出来高(エネルギー)
見ているものが違うので、重ねる意味がある

3つの指標が同じサインを出しても、それが同じ計算式から来ているなら、根拠は1つです。指標の数ではなく、見ている角度の数を増やしてください。

だましが起きる理由

テクニカル分析には必ず「だまし」があります。原因は指標の欠陥ではなく、構造的なものです。

原因 内容
すべて過去のデータ 指標は過去の価格から作られる。未来の情報は入っていない
材料には勝てない 決算や不祥事が出れば、チャートの形は無効になる
見られているから狙われる 多くの人が意識する水準は、あえて突かれることがある
相場の性質が変わる レンジからトレンドへ移ると、使う指標も変えなければならない
流動性が足りない 出来高が細い銘柄では、わずかな売買で形ができてしまう

だましをゼロにはできません。だからこそ、外れたときに小さく撤退する損切りのルールが、指標の精度より重要になります。

メリットとデメリット

メリット デメリット
売買のタイミングを判断できる だましが必ずある
どの銘柄にも同じ手順で使える 突発的な材料には無力
判断が数値になるのでルール化しやすい 指標が増えるほど判断できなくなる
感情ではなく手順で動ける 出来高が細い銘柄では機能しにくい
短時間で確認できる 企業の中身がわからないまま売買することになる

使うときの手順

① 週足で大きな方向を見る いま上か下か横ばいか
② 相場の種類を判定する トレンドかレンジかで使う指標が変わる
③ 日足で入る場所を探す 移動平均線と出来高を重ねる
④ 損切り位置を先に決める 入る前に決める。入ってからでは遅い
⑤ 外れたら手順を疑わず、まず撤退する 検証は後でする

②を飛ばすのが最も多い失敗です。レンジ相場でトレンド系を使えば負け、トレンド相場でオシレーター系を使えば負けます。

※ 本記事は分析手法の解説であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

テクニカル分析に関するよくある質問

テクニカル分析は本当に当たるのですか?
100%当たる手法ではありません。ただし多くの参加者が同じ水準や同じ指標を見ているため、その水準で実際に売買が集まりやすいという性質があります。当てるための道具ではなく、根拠を持って行動し、外れたときに撤退するための道具だと考えてください。
どの指標から覚えればいいですか?
単純移動平均線です。MACDもボリンジャーバンドも移動平均線の応用なので、これを理解すると他の指標の中身も見えてきます。そのうえで出来高とローソク足を加えれば、当面はこの3つで足ります。
指標はいくつ使うのが適切ですか?
2つから3つで十分です。ただし系統を分けてください。オシレーター系を3つ並べても、同じことを3回言っているだけで根拠は増えません。方向を見るもの、過熱を見るもの、エネルギーを見るものを1つずつ組み合わせるのが基本です。
ファンダメンタルズ分析とどちらが優れていますか?
優劣ではなく役割が違います。ファンダメンタルズ分析は「何を買うか」に答え、テクニカル分析は「いつ買うか」に答えます。長期投資でも、買うタイミングを決めるためにチャートを確認する人は多くいます。
どの時間軸で見るべきですか?
まず週足で大きな方向を確認し、日足で売買の場所を探す2段階が基本です。いきなり分足から入ると、大きな流れに逆らった売買になりやすくなります。時間軸を1つしか見ないことが、最も多い失敗のひとつです。
だましを減らす方法はありますか?
ゼロにはできませんが、出来高を確認するだけでかなり減ります。形が整っていても出来高が伴わない動きは、それを支える資金が無いため続きません。また、サインが出た足の終値を待ってから動くと、ザラ場中の一時的な抜けに振り回されなくなります。
出来高が少ない銘柄でも使えますか?
機能しにくくなります。売買が細い銘柄では、わずかな注文で株価が動き、チャートの形が簡単にできてしまいます。テクニカル分析は多数の参加者の行動が集まることを前提にしているため、参加者が少ない銘柄では前提が崩れます。
決算発表の前後でも使えますか?
使わないほうが無難です。決算は内容そのもので株価が動くため、チャートの形は簡単に無効になります。発表をまたいで持ち越すかどうかは、テクニカルではなくリスク管理の判断です。

まとめ

テクニカル分析は「未来を当てる道具」ではなく「根拠を持って行動し、外れたら撤退するための道具」です。指標を増やすより、系統を分けて重ねてください。

この記事のまとめ

・過去の値動きと出来高から売買タイミングを判断する
・ファンダメンタルズは「何を」、テクニカルは「いつ」
・トレンド系・オシレーター系・出来高系の3種類
・トレンド系はトレンド相場、オシレーター系はレンジ相場
・まずは移動平均線・出来高・ローソク足の3つ
・同じ系統の指標を重ねても根拠は増えない
・だましは構造的に必ずある
・損切りルールが指標の精度より重要

あわせて読みたい:単純移動平均線とはMACDとはRSIとはローソク足とはダウ理論とはファンダメンタルズ分析とは

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