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DMIとは

DMI(読み方:でぃーえむあい)

 

DMIとは、トレンドの方向性やその大きさ、トレンドの強さを測る指標のことです。
「Directional Movement Index」の略で、日本語では「方向性指数」といいます。

DMIは、「RSI」や「パラボリック」を開発したアメリカのJ.W.ワイルダー氏が、市場の状況を見極めるために考案したオシレーター系のテクニカル指標となります。

一般的にオシレーター系指標は逆張り系指標として使われますが、DMIについては順張り指標として使います。

RSIなどの逆張り系指標は、トレンドが一方に傾くとうまく機能しないという欠点があります。
その欠点を補うために順張り指標としてDMIが開発されました。
たとえば、RSIなどの逆張り系指標では、強いトレンドが発生している場合でも「買われ過ぎ(売りサイン)」が出てしまいますが、DMIを合わせて使うことで市場(トレンド)の状況を見極めることができるので、逆張り系指標のいわゆる「ダマシ」を回避することができます。

DMIは以下の4つの指数で構成されています。

・+DI:上昇トレンド(上昇力)を表します
・-DI:下降トレンド(下降力)を表します
・ADX:トレンドの強さを表します
・ADXR:トレンドの向きを表します

ただ、一般的には「+DI」「-DI」「ADX」の3つで使うことが多く、取引ツールによっても3つの指数のみで構成されていることもあります。

 

DMIメモ

・DMIとはレンドの方向性やその大きさ、トレンドの強さを測る指標のことです。
・「Directional Movement Index」の略で、日本語では「方向性指数」と言う
・DMIはオシレーター系のテクニカル指標であるものの、基本的には順張り指標として使う
・DMIは「+DI」「-DI」「ADX」「ADXR」の4つの指数で構成されたテクニカル指標である

 

DMIの設定値と計算式

DMIの設定値(使用日数)は「14」を利用する場合が多いです。
ただ、ADXとADXRを併用して使う場合は「ADX:14」「ADXR:28」といったように異なる数値で設定することもあります。

また、「14」が必ずしも最適な設定値とは限りません。
あまり効果が出ない場合は、自分の投資スタイルに合った設定値を探すことも大切です。

それでは、DMIの計算式を確認していきましょう。

DMIは「+DI」「-DI」「ADX」「ADXR」の4つの指数を使った指標なので、それぞれの値を求めていきます。

・「+DI」「-DI」の計算式
・「ADX」「ADXR」の計算式

それぞれを確認していきましょう。

「+DI」「-DI」の計算式

「+DI」と「-DI」の計算式は次の通りです。

「+DI」=(n日間の+DMの合計)÷(n日間のTRの合計)×100
「-DI」=(n日間の-DMの合計)÷(n日間のTRの合計)×100
「n」=DMIの設定値(±DIの設定値)

上記の計算式を見るとわかるように「+DI」と「-DI」を求める時は「+DM(上昇幅)」「-DM(下降幅)」「TR(実質的な変動幅)」を算出する必要があります。

「+DM」と「-DM」の計算式

「+DM」=当日高値-前日高値
「-DM」=前日安値ー当日安値

但し、以下の条件に該当する場合は「0」となります。

・+DM<0の場合は「+DM=0」
・-DM<0の場合は「-DM=0」
・+DM>-DMの場合は「-DM=0」
・-DM>+DMの場合は「+DM=0」
・+DM=-DMの場合は「±DM=0」

「TR」の計算式

「TR」=以下3つの中の最大値

・当日高値 – 当日安値
・当日高値 – 前日終値
・前日終値 – 当日安値

それでは、実際に数字を使って計算していきます。
たとえば、DMIの設定期間(設定値)を「3日」としている場合は、当日含めた「過去4日分のデータ」を使って計算していきます。

日付 高値 安値 終値
8/26 940 925 926
8/25 951 939 940
8/24 942 930 941
8/21 953 932 945

まずは上記の株価推移を基に「±DM」を計算していきます。

・「+DM」=当日高値-前日高値
・「-DM」=前日安値ー当日安値

日付 +DM -DM
8/26 0(-11) 14
8/25 9 0(-9)
8/24 0(-11) 2
3日間の合計 9 16

「±DM<0」のところは「0」となりますので上記のように算出できます。
この数字を「±DI」の計算式に当てはめると、次のようになります。

「+DI」=(9)÷(3日間のTRの合計)×100
「-DI」=(16)÷(3日間のTRの合計)×100

次に「TR」を算出していきます。

・TR1)当日高値 – 当日安値
・TR2)当日高値 – 前日終値
・TR3)前日終値 – 当日安値

日付 TR1 TR2 TR3 最大値
8/26 15 0 15 15
8/25 12 10 2 12
8/24 12 -3 15 15
合計 42

それぞれの計算式で値を求めて日々の最大値を算出します。
そして設定期間の最大値を合計して「±DI」の計算式に当てはめていきます。

「+DI」=(9)÷(42)×100
「-DI」=(16)÷(42)×100
「+DI」=21.43
「-DI」=38.10

これで「+DI」と「-DI」の数値を算出することができます。

次に「ADX」と「ADXR」の計算式を確認していきましょう。

「ADX」「ADXR」の計算式

「ADX」と「ADXR」の計算式は次の通りです。

「ADX」=DXのn日間の平均
「ADXR」=ADXのn日間の平均
「n」=DMIの設定値(ADX/ADXRの設定値)

上記の計算式を見るとわかるように「ADX」と「ADXR」を求める時は、まず「DX」を算出する必要があります。

DXの計算式
「DX」=(「+DI」-「-DI」)÷(「+DI」+「-DI」)×100
※(「+DI」-「-DI」)の値は「絶対値」を使いますので、「-」や「+」といった記号は無いものとして考えます。
例:「+3」でも「-3」でも、同じく「3」として計算します。

それでは、実際に数字を使って計算していきます。
(記事内ではわかりやすく「小数第二位」までしか表示していません。そのため、記事内の数字を使って計算していくと最終的な値とズレが生じる場合もあります。)

設定期間(ADX/ADXRの設定値)は「3日」と仮定して、次のように「+DI」と「-DI」が推移していた場合。

日付 +DI -DI
8/26 21.43 38.10
8/25 24.00 4.00
8/24 4.92 32.79
8/21 5.17 39.66
8/20 0.00 77.19

上記を基に「DX」の計算をしていきます。
はじめに「+DI」から「-DI」引いて絶対値を求めて、次に「+DI」と「-DI」を足した数字を算出していきます。

8/26の数字を実際に当てはめると次のようになります。

「DX」=(「21.43」-「38.10」)÷(「21.43」+「38.10」)×100

わかりやすく、砕いて計算すると次のようになります。

・DX1:(「+DI」-「-DI」)
・DX2:(「+DI」+「-DI」)

日付 DX1 DX2
8/26 16.67 59.52
8/25 20.00 28.00
8/24 27.87 37.70
8/21 34.48 44.83
8/20 77.19 77.19

DX1は絶対値を求めるのでマイナスは無いものとして算出していきます。

上記の数字を「DX」の計算式に当てはめると、次のようになります。

「DX」=(16.67)÷(59.52)×100
「DX」=28.00

8/26のDXは28.00であることが分かります。
残りも同じように計算すると、以下のように「DX」を算出することができます。

日付 DX
8/26 28.00
8/25 71.43
8/24 73.91
8/21 76.92
8/20 100.00

これで「ADX」の値を求めることができます。

「ADX」の値は設定期間の「DX」の平均値となりますから、3日間のDXを使って平均値を求めます。

「ADX」=(28.00+71.43+73.91)÷3
「ADX」=57.78

8/26の「ADX」が57.78であることがわかります。
残りも同じように計算すると、以下のようにADXを算出できます。

日付 ADX
8/26 57.78
8/25 74.09
8/24 83.61

次に「ADXR」についてですが、これは設定期間の「ADX」の平均値となりますから、3日間の「ADX」を使って平均値を求めます。

「ADXR」=(57.78+74.09+83.61)÷3
「ADXR」=71.83

これで8/26の「ADXR」の数値を算出することができました。

DMIの計算は複雑なところもありますが、取引ツールを使えば期間を設定するだけで自動的に表示してくれます。
そのため、計算式を特に覚える必要は無いでしょう。
ただ、何を基にした指標なのかという点は、他の指標と区別するために覚えておくと良いかもしれません。

 

DMIの見方

実際にDMIをチャート上に表示して確認していきましょう。

楽天証券の「iSPEED」のチャートを参考にして説明していきます。

 

 

・位置関係
DMIを設定すると基本的に株価チャートの下に表示されます。

・DMIの線について
DMIは「+DI」「-DI」「ADX」「ADXR」の4本線、または「+DI」「-DI」「ADX」の3本線で形成されています。楽天証券の「iSPEED」では3本線で形成されています。
「+DI」と「-DI」はトレンドの方向やその大きさを表しており、「ADX」はトレンドの強さを表しています。

・DMIを見るときのポイント
「ADX」は単純にトレンドの強さを表すものなので、上昇トレンドでも下降トレンドでも、トレンドがあるときは上昇します。
つまり、「ADXが上向きになった=上昇トレンド」「ADXが下向きになった=下降トレンド」ではありません。
方向に関係なくトレンドに勢いが出てくると上昇するので、この点は覚えておくようにしましょう。

 

DMIの使い方

DMIは、当日の高値(安値)と前日の高値(安値)を比較し、その変化からトレンドの状況を判断します。
上昇トレンドの場合は当日高値が前日高値を更新することが多く、下降トレンドの場合は当日安値が前日安値を更新することが多いというところに注目した分析方法です。

DMIは、以下の4つ(または3つ)の指数を使って売買の判断をしていきます。

・上昇トレンド(株価の上昇力)を示す「+DI」
・下降トレンド(株価の下降力)を示す「-DI」
・トレンドの強弱を示す「ADX」
・ADXの向きを示す「ADXR」

「+DI」と「-DI」の組み合わせで使ったり、「±DI」と「ADX」の組み合わせなどで使います。
色々と使い方はありますので、組み合わせ別で説明していきます。

「+DI」と「-DI」の組み合わせ

「+DI」と「-DI」は、株価がどちらの方向に動いているのか、また、どれくらいの大きさで動いているのかを測る指数となります。

つまり、単純に「+DI」が上昇して「-DI」が下落している場合は買い優勢、「+DI」が下落して「-DI」が上昇している場合は売り優勢という見方ができます。

具体的には次のように売買サインやトレンドを読むことができます。

・「+DI」が「-DI」を下から上に抜いたとき(ゴールデンクロス)は「買いサイン」
・「+DI」が「-DI」を上から下に抜いたとき(デッドクロス)は「売りサイン」
・「+DI」が「-DI」より上にあるときは「上昇トレンド」
・「+DI」が「-DI」より下にあるときは「下降トレンド」

「+DI」と「-DI」のクロスは売買サインという見方ができ、「+DI」と「-DI」の位置関係でトレンドの方向性を判断することができます。
「+DI」と「-DI」の位置関係については、その幅からトレンドの強さを見ることもできます。
たとえば、「+DI:60」「-DI:40」の時よりも「+DI:80」「-DI:20」の時のほうが強い上昇トレンドであることがわかります。

チャートを例に出して確認してみましょう。

 

 

上記チャートでもゴールデンクロス後に株価は上昇し、上昇すればするほど「+DI」と「-DI」の幅が大きくなっているのがわかると思います。
このように「+DI」と「-DI」を組み合わせることで、売買サインやトレンドの強弱を測ることができます。

「±DI」と「ADX」の組み合わせ

「ADX」はトレンドの強弱を測る指数となっており、反転するとトレンド発生(またはトレンド終了)という見方ができます。

具体的には、下向き(または横ばい)から上向きに変化すると「トレンド発生」、上向きから下向きに変化すると「トレンド終了」の可能性があるという見方ができます。
また、上昇中はトレンド継続、下降中はトレンドがない状態を表しています。

「±DI」と使う場合は、次のように売買サインとしても活用することができます。

・「±DI」のゴールデンクロス後に「ADX」が「-DI」を下から上に抜いたときは「買いサイン」
・「±DI」のデッドクロス後に「ADX」が「+DI」を下から上に抜いたときは「売りサイン」
・「+DI」が「-DI」より上にあるときに「ADX」が上向きになると「買いサイン」
・「+DI」が「-DI」より下にあるときに「ADX」が上向きになると「売りサイン」

「±DI」のみでは「ダマシ」も多いですが、「ADX」を組み合わせて使うことで信頼度を高めることができます。

チャートを例に出して確認してみましょう。

 

 

青矢印のところで、一度「+DI」が「-DI」を上抜いていますが、そのときは結局押し戻されています。
ですが、そのあとの「±DI」のゴールデンクロス後に、「ADX」が「-DI」を下から上に抜けた場面では株価は大きく上昇しているのがわかります。

このように「±DI」と「ADX」を組み合わせることで、より信頼度を高めることができます。

次に「ADX」と「ADXR」の組み合わせを確認していきましょう。

「ADX」と「ADXR」の組み合わせ

「ADXR」は、「ADX」の平均からその向きを表す指数となります。
「ADX」と組み合わせて使うことで信頼性の高い分析を行うことができます。

具体的な使い方としては、「ADX」と「ADXR」のクロスでトレンドの強弱を判断します。

・「ADX」が「ADXR」を下から上に抜いたとき(ゴールデンクロス)は「強いトレンド」
・「ADX」が「ADXR」を上から下に抜いたとき(デッドグロス)は「弱いトレンド」

強いトレンドの場合はトレンドに合わせて順張りしていきます。
上昇トレンドなら「新規買い」、下降トレンドなら「新規売り(空売り)」となります。

弱いトレンドの場合はトレンドが終了した可能性もあるので、一般的には「手仕舞い(決済)」のタイミングとなります。
また、トレンド転換の可能性もあるので、直前のトレンドが上昇トレンドだった場合は「新規売り」、下降トレンドだった場合は「新規買い」といったように逆張り手法にも活用することができます。

このようにDMIは色々な使い方ができます。
但し、他のテクニカル指標と同じで、確実な分析をできるわけではありません。
指標では買いサインが出ている場合でも、それが「ダマシ」である可能性などもあります。
ですから他のテクニカル指標とあわせて使ったり、その他の要因も考慮して投資判断を行うようにしましょう。

 

DMIメモ

・DMIは「当日高値(安値)」と「前日高値(安値)」比較してその変化からトレンドを分析する
・「+DI」と「-DI」の組み合わせで売買サインやトレンドの方向性を分析することができる
・「ADX」の動きからトレンド発生やトレンド終了を分析することができ、さらにトレンドの強弱も見ることができる
・「±DI」と「ADX」を組み合わせて使うことでより信頼性の高い分析も可能となる
・但し、他のテクニカル指標と同じように確実な分析ができるわけではないので注意も必要である

 

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