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多重移動平均線とは

多重移動平均線(読み方:たじゅういどうへいきんせん)

 

多重移動平均線とは、設定期間の異なる「単純移動平均線」を複数表示したトレンド系のテクニカル指標です。

通常の単純移動平均線は「短期・中期・長期」の3本線で形成されていますが、多重移動平均線はさらに移動平均線の本数を増やして表示することができます。
たとえば、楽天証券の「iSPEED」では最大15本の移動平均線を表示することができます。

単純移動平均線は、期間が短い移動平均線ほど相場に早く反応し、長い移動平均線ほど遅く反応するという特徴がありますが、多重移動平均線を使うことでその間の細かい動きも見ることができます。

たとえば、通常の単純移動平均線では「短期(5)・中期(25)・長期(75)」といったように間隔を空けて期間を設定するので、大まかな動きを見ることはできますが「短期から中期の間」または「中期から長期の間」の細かい動きまでは見ることができません。

ですが、多重移動平均線はより多くの移動平均線を表示できるので、単純移動平均線では見れない細かい動きも見ることができます。

 

多重移動平均線メモ

・多重移動平均線とは設定期間の異なる「単純移動平均線」を複数表示したテクニカル指標のこと
・単純移動平均線よりも移動平均線の本数を増やして表示することができる
・より多くの移動平均線を表示することで、単純移動平均線では見れない細かい動きも見ることができる

 

多重移動平均線の設定期間と計算式

多重移動平均線の設定期間は、基本的に単純移動平均線をベースにしていきます。
設定項目は取引ツールによって異なりますが、楽天証券の「iSPEED」の場合は「最短期間」「最長期間」「本数」の3つの項目を設定できます。

初期設定の数値は次の通りです。

・最短期間:5
・最長期間:75
・本数:15本

上記の設定を行った場合、最短期間は5日移動平均線、最長期間は75日移動平均線となり、2つの設定期間の差を分割して残り13本の移動平均線が表示されます。

設定期間は初期設定の数値をそのまま使うことが多いですが、投資スタイルによって時間軸は異なりますから、自分に合わない場合は期間を変更してみるのも良いでしょう。

なお、楽天証券の「マーケットスピード2」の場合は、「期間」「スパン」「本数(最大14本)」の3つの項目を設定できます。期間は最短期間、スパンは次の移動平均線との間隔のことでです。
初期設定では「期間:2」「スパン:2」となっており、最短期間は2日移動平均線となり、4日、6日といったように2日スパンで移動平均線が表示されます。

多重移動平均線の計算式

多重移動平均線の計算式については単純移動平均線と同じです。
それぞれの算出期間の終値から平均値を求めてチャートに表示されます。

n日移動平均=当日含めた過去n日分の終値の合計÷n
n=算出期間

たとえば、5日移動平均線の値を求める場合は、当日含めた過去5日分の終値を合計して5で割って算出します。

・100円
・110円
・105円
・95円
・100円

上記が過去5日分の終値と仮定した場合は、次のように計算をしていきます。

(100+110+105+95+100)÷ 5 = 102

5日移動平均線の値は「102」であることが分かります。

 

多重移動平均線の見方

実際に多重移動平均線を表示して確認していきましょう。

楽天証券の「iSPEED」では、以下のように表示されています。

 

 

・位置関係
多重移動平均線を設定すると上記のように株価チャート上に表示されます。

・多重移動平均線の線について
多重移動平均線の線は、一定期間の終値の平均価格を表したものです。
設定期間と表示本数から期間を分割し、それぞれの期間の平均価格を算出してチャート上に表示します。
楽天証券の「iSPEED」では最大15本、「マーケットスピード2」では最大14本の移動平均線を表示できます。

・多重移動平均線を見るときのポイント
多重移動平均線はトレンドの向きやその勢いを見ることができます。
たとえば、多重移動平均線が上向きに推移している場合は上昇トレンドという見方ができます。上向きの線が多いほど買いが強いという判断ができます。
また、複数ある移動平均線が拡散すると強いトレンド、収束していくとトレンドが弱まっているという見方ができます。
他にも、ローソク足との位置関係から上値抵抗線や下値支持線としても使うことができます。

 

多重移動平均線の使い方

多重移動平均線は、相場の向きや勢いを把握するときに使ったり、トレンドの転換点を分析するときに使われます。
基本的には順張り投資で活用されます。

基本的な使い方としては、次のような分析方法があります。

・多重移動平均線の向きから分析
・多重移動平均線の拡散と収束から分析
・多重移動平均線のクロスから分析

1つずつ確認していきましょう。

多重移動平均線の向きから分析

多重移動平均線の向きからトレンドの方向を見ることができます。

たとえば、以下のチャートのように多重移動平均線が上向きに推移している場合。

 

 

上向きの線が多いほど買いが優勢という見方ができるので、上記のように推移している場合は「上昇トレンド」であると判断することができます。

反対に下向きに推移している多重移動平均線が多い場合は売りが優勢という見方ができるので「下降トレンド」、横向きに推移している場合は「トレンドなし」という判断ができます。

多重移動平均線の拡散と収束から分析

多重移動平均線の拡散と収束からトレンドの勢いを見ることもできます。

拡散とは、簡単に言うと多重移動平均線の間隔が拡大していくことです。
多重移動平均線の間隔が拡大して、その乖離が大きくなるほど強いトレンドを表しており、「勢いがある状態」と判断することができます。

収束とは、拡散とは反対で、移動平均線の間隔が縮小していくことです。
多重移動平均線の間隔が縮小するということは、買い(売り)が弱くなってきているということを表しており、「勢いがない状態」と判断することができます。

但し、収束した後はトレンド転換となる可能性も高いので注目ポイントでもあります。

 

 

上記チャートを見てもわかるように下がり始めはそれほど拡散が見られません。
ですが下落が続いて勢いが増すと、それにあわせて多重移動平均線も拡散していくのがわかります。
そして下降トレンドが終了して売りが弱くなってくると収束に向かっていき、収束後は上昇トレンドに転じています。

このように多重移動平均線の拡散と収束からトレンドの勢いを見ることができ、売買の目安にすることができます。

多重移動平均線のクロスから分析

単純移動平均線では、ゴールデンクロスとデッドクロスをトレンド転換サイン(売買サイン)として使いますが、多重移動平均線でも同じように使うことができます。

ゴールデンクロスは、短期の移動平均線が長期の移動平均線の下から上に抜けて交差することをいい、上昇トレンドへの転換点と言われています。つまり、「買い」の判断材料にすることができます。

デッドクロスは、短期の移動平均線が長期の移動平均線の上から下に抜けて交差することをいい、下降トレンドへの転換点と言われています。つまり、「売り」の判断材料にすることができます。

また、多重移動平均線は上値抵抗線や下値支持線としても使うことができます。
ローソク足が多重移動平均線を上抜けした場合は「買い」、ローソク足が多重移動平均線を下抜けした場合は「売り」の判断材料になります。

 

 

上記チャートでもローソク足が多重移動平均線を上抜けして、ゴールデンクロス後に上昇トレンドに転じているのが分かります。このように多重移動平均線ではトレンドの向きや勢いを見たり、クロスから売買ポイントを探ることができます。

但し、多重移動平均線も確実なテクニカル指標ではありません。
ゴールデンクロスやデッドクロスをしてもトレンド転換しないこともありますし、多重移動平均線が拡散しているからといっていつまでもトレンドが続くわけではありません。
ですから他のテクニカル指標と組み合わせて使ったり、その他の要因も考慮して投資判断はするようにしましょう。

 

多重移動平均線メモ

・多重移動平均線の向きを見ることでトレンドの方向を見ることができる
・多重移動平均線が拡散すると「勢いがある状態」、収束すると「勢いがない状態」と判断することができる
・但し、収束した後はトレンド転換となる可能性も高いので注目ポイント
・単純移動平均線と同じようにゴールデンクロスやデッドクロスも有効
・また、ローソク足が多重移動平均線を上抜けした場合は「買い」、下抜けした場合は「売り」の判断材料にもなる

 

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