サイコロジカルラインとは、一定期間のうち何日上昇したかを%で示した指標です。一般には12日間で計算します。

他のオシレーターと決定的に違うのは、値上がり幅をまったく見ないことです。1円上がっても500円上がっても「上昇した1日」として同じに扱います。

この単純さが長所にも短所にもなります。数値が飛び飛びにしかならないという珍しい性質もあります。

この記事でわかること

・サイコロジカルラインの計算方法
・75%と25%の意味
・値幅を無視することの影響
・数値が飛び飛びになる理由
・組み合わせるべき指標

サイコロジカルラインとは

サイコロジカルライン(Psychological Line)は、投資家心理を数値化しようとした指標です。名前のサイコロジカルは「心理的な」という意味です。

過去12日間で上昇した日数 ÷ 12 × 100
・12日すべて上昇 → 100%
・12日すべて下落 → 0%
・6日上昇・6日下落 → 50%

背景にあるのは「上がり続ければ買いたくなり、下がり続ければ売りたくなる」という人間心理です。

計算してみる

上昇した日数 サイコロジカルライン 状態
12日 100% 全勝。極めて稀
9日 75% 買われすぎの目安
6日 50% 中立
3日 25% 売られすぎの目安
0日 0% 全敗。極めて稀

75%は「12日のうち9日上がった」という意味です。数え方が単純なので、電卓がなくても暗算できます。

値幅をまったく見ない

これがこの指標の最大の特徴であり、同時に最大の弱点です。

2つのケースは同じ数値になる
ケースA 毎日1円ずつ9日上昇、3日は10円下落
 → 実際は値下がりしているのに 75%

ケースB 毎日50円ずつ9日上昇、3日は1円下落
 → 大きく値上がりして 75%

どちらも「12日中9日上昇」なので、サイコロジカルラインは同じ75%です。

値幅を見るRSIなら、この2つはまったく違う数値になります。サイコロジカルラインは「勝率」だけを見ており、「勝ち幅」を見ていません。

数値が飛び飛びになる

意外と知られていない性質です。12日で計算する以上、取りうる値は13通りしかありません。

サイコロジカルラインが階段状に飛び飛びの値を取っているサブチャート
下段のサイコロジカルラインは滑らかな曲線にならず、階段状になる
上昇日数 数値 上昇日数 数値
2日 約16.7% 7日 約58.3%
3日 25% 8日 約66.7%
4日 約33.3% 9日 75%

つまり25%と約33.3%の間の数値は存在しません。1日変わるごとに約8.3%ずつ跳びます。

実務上の意味
「あと少しで25%を割りそう」という見方ができません。1日で一気に跳ぶか、まったく動かないかのどちらかです。
グラフが滑らかな曲線ではなく階段状になるのはこのためです。

基本の見方

数値 解釈 考え方
75%以上 買われすぎ 上げ続けて楽観が広がっている
50%前後 中立 上げ下げが拮抗している
25%以下 売られすぎ 下げ続けて悲観が広がっている

目安として83.3%(10日上昇)や16.7%(2日上昇)を極端な水準とする見方もあります。

ただし数値が飛び飛びなので、「75%に到達した瞬間」を細かく捉えることはできません。

期間を変えるとどうなるか

12日以外に設定することもできます。ただし刻みの粗さも同時に変わります。

期間 取りうる値 1日あたりの刻み 性質
10日 11通り 10% 粗い。動きが荒くなる
12日 13通り 約8.3% 標準
26日 27通り 約3.8% 滑らか。ただし反応が遅い

期間を長くすれば数値は細かくなりますが、「短期的な心理の偏りを測る」という本来の目的からは離れていきます。

細かい数値が欲しいなら、そもそも値幅を見る指標を使うほうが合理的です。この指標は粗いままで使うものと考えてください。

他のオシレーターとの違い

指標 見ているもの 値幅を見るか
サイコロジカルライン 上昇した日数 見ない
RCI 日付と価格の順位 見ない
RSI 値動きに占める上昇分 見る
ストキャスティクス 値幅の中の終値の位置 見る

RCIも値幅を見ませんが、RCIは「順序」を見るのに対し、サイコロジカルラインは「回数」を数えるだけです。より単純な指標といえます。

使いどころ

単純さゆえに、次のような場面では役に立ちます。

場面 わかること
上昇が何日続いているか知りたい 連続性が数値で一目でわかる
値幅に惑わされたくない 1日の急騰に影響されない
他の指標と食い違ったとき 「幅は出ているが日数は少ない」などの分解ができる

たとえばRSIが高いのにサイコロジカルラインが低い場合、「上がった日数は少ないが、上がった日の幅が大きかった」と読めます。1日の急騰で押し上げられた状態です。

弱点と注意点

弱点 内容
① 値幅を無視する 下落しているのに75%になることがある
② 数値が粗い 13段階しかなく、細かい判断ができない
③ 期間が短い 12日は約2週間半。長期の傾向は読めない
④ トレンドに弱い 強い上昇では75%以上が続き、逆張りが機能しない
⑤ 見ている人が少ない 意識される水準になりにくい

①は致命的に見えますが、「値幅を捨てた」ことが他の指標にはない情報を生んでいるともいえます。単独ではなく、組み合わせて使う前提の指標です。

組み合わせる指標

日数 → サイコロジカルライン
値幅 → 移動平均乖離率・RSI
トレンドの有無 → DMI

この3つを揃えると、「何日続いているか」「どれだけ動いたか」「トレンドはあるか」が分解できます。サイコロジカルラインは、このうち1つ目だけを担当する部品と考えてください。

使うときの手順

① 単独で判断しない 値幅の情報を必ず別に取る
② 75%・25%は注意信号として扱う 売買サインにはしない
③ 他の指標との食い違いを見る そこに情報がある
④ トレンド相場では使わない 張り付いて機能しない
⑤ 反転を確認してから動く 到達だけでは判断しない

③がこの指標のいちばん賢い使い方です。他の指標と一致しているときより、食い違っているときのほうが得られる情報が多くなります。

※ 本記事は指標の解説であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

サイコロジカルラインに関するよくある質問

なぜ12日で計算するのですか?
約2週間半の営業日数にあたり、短期的な心理の偏りを見るのに適した長さとされているためです。設定を変えることもできますが、日数を変えると取りうる数値の刻みも変わります。
75%を超えたら売りですか?
機械的に売るのは危険です。強い上昇トレンドでは75%以上が長く続きます。また値幅を見ていないため、実際には大きく上がっていない可能性もあります。注意信号として扱ってください。
数値が階段状になるのはなぜですか?
12日間の上昇日数で計算するため、取りうる値が13通りしかないからです。1日変わるごとに約8.3%ずつ跳ぶため、滑らかな曲線にはなりません。
RSIとどう使い分けますか?
RSIは値幅を見る指標、サイコロジカルラインは日数を数える指標です。両者が食い違ったとき、たとえばRSIが高いのにサイコロジカルラインが低ければ「少ない日数で大きく上げた」と読めます。この分解に価値があります。
株価が下がっているのに75%になることはありますか?
あります。小幅な上昇が9日、大幅な下落が3日という場合、日数では75%になりますが実際の株価は下がっています。値幅を無視する指標である以上、これは避けられません。
前日比が変わらない日はどう扱いますか?
計算方法によって扱いが異なり、上昇に含めない場合が一般的です。ツールによって処理が違うことがあるため、細かい数値の一致にこだわらず、水準の目安として使うのが現実的です。
サイコロジカルラインだけで売買できますか?
できません。値幅の情報を持たず、数値も粗いため、単独では判断材料が不足します。移動平均乖離率やRSIなど値幅を見る指標と組み合わせて使ってください。
初心者にも使いやすいですか?
計算方法が単純でイメージしやすいという点では取り組みやすい指標です。ただし単独では機能しないため、まずは移動平均線やRSIなど基本的な指標を理解してから、補助として加えるのが順序としておすすめです。

まとめ

サイコロジカルラインは「勝率だけを数える指標」です。勝ち幅を捨てた代わりに、他の指標にはない角度を持っています。

この記事のまとめ

・12日間で上昇した日数の割合を示す
・75%は12日中9日上昇、25%は3日上昇
・値上がり幅をまったく考慮しない
・下落していても75%になることがある
・取りうる値は13通りだけで階段状になる
・強いトレンドでは張り付いて機能しない
・値幅を見る指標と組み合わせて使う
・他の指標との食い違いにこそ情報がある

あわせて読みたい:RSIとはRCIとは移動平均乖離率とはストキャスティクスとはDMIとはテクニカル分析とは

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