窓開け・窓埋めとは?325回を実測してわかった埋まる確率

窓とは、ローソク足とローソク足の間にできた価格の隙間のことです。前日の値動きの範囲と、当日の値動きの範囲がまったく重ならないときに現れます。「空(くう)」「ギャップ」とも呼ばれます。

窓については「開いたら必ず埋まる」とよく言われます。ただ、それがどのくらいの確率で、どのくらいの日数で起きるのかを数字で示した解説はあまり見かけません。

そこでこの記事では、日経平均株価の直近5年(2021年8月30日〜2026年8月28日/1,223営業日)を実際に集計し、その間に発生した325回の窓がその後どうなったかを検証しました。そのうえで、三空踏み上げなどのチャートパターンや、窓に見えて窓ではない「見せかけの窓」まで解説します。

この記事でわかること

・窓・窓開け・窓埋めの正確な意味
実測:窓325回のうち何%が埋まり、何日かかったか
・上に開けた窓と下に開けた窓で埋まりやすさが違うこと
・窓が支持線・抵抗線に変わる仕組み
・三空踏み上げ/三空叩き込みの見方
・窓埋めを狙う逆張りが危険になる条件
・配当落ちや株式分割でできる「見せかけの窓」

窓とは?ローソク足の間にできた隙間

通常の相場では、前日のローソク足と当日のローソク足は一部が重なるように並びます。前日の終値の近くで当日が始まるからです。

ところが株価が一気に動くと、前日の値幅と当日の値幅がまったく重ならないことがあります。このとき、チャート上に空白ができます。これが窓です。

ローソク足とローソク足の間に隙間ができた窓開けの例

用語 読み方 意味
まど ローソク足とローソク足の間の価格の隙間
窓開け まどあけ その隙間ができること
窓埋め まどうめ 株価が戻って隙間が消えること
空(くう) くう 窓の古い言い方。酒田五法で使われる
ギャップ 窓の英語表現

重要なのは「終値と始値の差」ではなく「値幅どうしが重なっていないこと」です。前日の終値より高く始まっても、前日の高値を超えていなければ窓は開いていません。この判定を間違えると、窓埋めの水準も間違えます。

窓開けと窓埋めの違い

窓開けは隙間ができた状態、窓埋めはその隙間が消えた状態です。上に開けた窓なら株価が下がって、下に開けた窓なら株価が上がって埋まります。

上に窓を開けた後、数日で株価が戻って窓を埋めた場面

状態 上に開けた窓 下に開けた窓
別名 ギャップアップ ギャップダウン
窓の位置 前日の高値と当日の安値の間 当日の高値と前日の安値の間
埋まる条件 株価が前日の高値まで下がる 株価が前日の安値まで上がる
埋まらなかった場合 窓埋め拒否(強い上昇) 窓埋め拒否(強い下落)

完全に隙間が消えたときは「窓埋め完了」、埋めずに元の方向へ進んでしまうことは「窓埋め拒否」と表現されます。

なぜ窓が開くのか

窓は「取引がなかった時間帯に、注文が一方向へ偏ったこと」の記録です。日本株の日足であれば、前日の大引けから当日の寄り付きまでの時間に材料が出たときに起こります。

きっかけ 具体例 出やすい時間
個別企業の材料 決算、業績予想の修正、提携、新製品 大引け後の15時以降
海外市場の変動 米国株の急落・急騰、為替の急変 日本時間の深夜〜早朝
制度・政策 金融政策、関税、規制の発表 不定
需給イベント 指数の入れ替え、大口の売買 寄り付き
連休・週末明け 休みの間に積み上がった材料 休み明けの寄り付き

つまり窓の大きさは「板が受け止めきれなかった注文の偏りの大きさ」です。窓が大きいほど、それだけ買い(または売り)が一方向に集中したことを表します。

実際の場面は寄り付きの板寄せで決まります。寄り付き前の板に注文がどう並ぶかは、気配の記事で解説しています。

【実測】日経平均の窓325回はその後どうなったか

ここからがこの記事の中心です。日経平均株価の日足を使い、直近5年間(2021年8月30日〜2026年8月28日・1,223営業日)に発生した窓をすべて抽出しました。

判定は厳密に行い、前日の高値を当日の安値が上回った場合を上窓、前日の安値を当日の高値が下回った場合を下窓としています。埋まったかどうかは、その後の日足が窓の起点(前日の高値または安値)に到達したかで判定しました。

項目 実測値
対象期間 2021年8月30日〜2026年8月28日(1,223営業日)
窓の発生回数 325回(上窓184回・下窓141回)
発生頻度 およそ3.8営業日に1回
埋まった窓 293回(90.2%)
2026年8月時点で未達 32回(9.8%)

まず「窓は高い確率で埋まる」というのは、少なくとも指数については事実でした。9割が埋まっています。

ただし投資判断で重要なのは確率より時間です。埋まるまでにかかった営業日数を分けると、次のようになりました。

埋まるまでの日数 回数 全体に占める割合
翌営業日まで 84回 25.8%
2〜5営業日 101回 31.1%
6〜20営業日 62回 19.1%
21〜60営業日 28回 8.6%
61〜250営業日 14回 4.3%
250営業日超 4回 1.2%
未達のまま 32回 9.8%

約57%が5営業日以内に埋まっています。一方で、5%強は3か月以上かかるか、そもそも埋まっていません。「埋まる」と「すぐ埋まる」はまったく別の話だ、というのがこの表の意味です。

上に開けた窓と下に開けた窓は性質が違う

同じ集計を方向別に分けると、はっきりした差が出ました。ここが今回1番重要な発見です。

方向 発生回数 埋まった割合 日数の中央値
上に開けた窓 184回 83.2% 3営業日
下に開けた窓 141回 99.3% 4営業日

下に開けた窓は141回のうち140回が埋まりました。ほぼ全部です。一方で上に開けた窓は31回が埋まっていません。

この差は「窓の性質」ではなく「この5年間の日経平均が上昇基調だったこと」から来ています。相場が上がり続ければ、下向きの窓は勝手に埋まり、上向きの窓は置き去りにされます。

つまり実務的な意味はこうなります。

方向別の窓の読み方

・窓が埋まりやすいかどうかは、その相場が上昇基調か下降基調かで決まる
・上昇局面では下窓が埋まりやすく、下降局面では上窓が埋まりやすい
・「窓は必ず埋まる」ではなく「大きな流れの方向に埋まりやすい」が正確

大きさ別に分けると、もうひとつ傾向が見えます。

窓の大きさ 回数 埋まった割合 日数の中央値
0.3%未満 140回 88.6% 2営業日
0.3〜0.6% 76回 89.5% 3営業日
0.6〜1.0% 74回 90.5% 6営業日
1.0%以上 35回 97.1% 10営業日

大きな窓ほど埋まる割合は高いのに、埋まるまでの日数は5倍に伸びています。「大きく窓を開けたから、すぐ戻るはず」という発想は、この数字に反しています。

窓が支持線・抵抗線に変わる仕組み

窓が開いた価格帯には、取引が成立していません。売買した人がいない価格帯なので、そこに戻ってくると特有の動きが起きます。

上に窓を開けた場合
窓の価格帯は下値支持線になりやすい
下がってきても買いが入りやすく、下げ渋る
ここを割ると失望売りが出やすい
下に窓を開けた場合
窓の価格帯は上値抵抗線になりやすい
戻ってきても売りが出て、伸び悩む
ここを超えると買い戻しが入りやすい

理由は単純です。上に窓を開けた直後に買った人は、株価が窓の水準まで下がると含み損になります。「そこまで下がったら買い増したい」「せめて建値で逃げたい」という注文がその価格帯に集まるため、価格が止まりやすくなります。

窓は、開いた瞬間は隙間ですが、時間が経つと価格の節目に変わります。チャート上で意識される水準を探すとき、窓の起点は有力な候補になります。

三空踏み上げ・三空叩き込みとは

窓に関する有名なチャートパターンに、酒田五法の「三空(さんくう)」があります。3回連続で同じ方向に窓を開けた状態のことです。

三空踏み上げは、3回連続で上に窓を開けたパターンです。

3回連続で上に窓を開けた三空踏み上げの場面

買いの勢いが極めて強く見えますが、酒田五法ではこれを買われすぎのサインと読みます。3日連続で寄り付きから買いが集中するのは、買いたい人が短期間に出尽くした状態に近いためです。

三空叩き込みは反対に、3回連続で下に窓を開けたパターンです。

3回連続で下に窓を開けた三空叩き込みの場面

こちらは売り尽くしと読み、下落から上昇への転換サインとして注目されます。

パターン 読み方
三空踏み上げ 上に3回連続の窓 買われすぎ。下落への転換に注意
三空叩き込み 下に3回連続の窓 売られすぎ。上昇への転換に注意

三空は「勢いが強い」ではなく「勢いが続かない」と読む点が、直感と逆になります。ただし発生頻度が低く、指数ではまず出ません。個別株の急騰・急落局面で探すパターンです。

なお、上に窓を開けたローソク足が孤立して残る形はアイランドリバーサルと呼ばれ、これも転換のサインとして知られています。

窓埋めを狙う逆張りが危険になる条件

「窓を開けたら高い確率で埋まる」を根拠に、上に窓を開けたら売り、下に窓を開けたら買う、という手法があります。窓埋めトレードと呼ばれるものです。

先ほどの実測どおり、確率だけを見れば分の悪い賭けではありません。問題は、埋まらなかった10%に当たったときの損失が大きいことです。

窓を埋めないまま上昇を続け、窓の価格帯が支持線になった場面

上のチャートでは、窓を開けたあと株価はそのまま上昇し、窓は埋まっていません。上に開けた窓に逆張りで売り向かっていれば、損失は膨らみ続けたことになります。

窓埋めを狙わないほうがよい条件 理由
決算や増配など継続的な材料で開いた窓 企業の評価そのものが変わっている
大きな窓(指数なら1%以上) 埋まるが、日数の中央値が10営業日に伸びる
大きな流れに逆らう方向の窓埋め 上昇基調で上窓の埋めを待つのは分が悪い
出来高を伴った窓 新しい買い手(売り手)が実際に入っている
信用取引で建てる場合 待っている間に追証が発生しうる

窓埋めを待つ手法は、「いつ埋まるか」を当てる手法ではなく、「埋まらなかったときにどこで諦めるか」を先に決める手法だと考えたほうが安全です。損切りの価格を決めずに窓埋めを待つのは、確率のよい賭けを損失無限大の賭けに変える行為になります。

窓に見えて窓ではない「見せかけの窓」

これは見落とされがちですが、実務では重要です。チャート上の隙間には、需給とは無関係にできるものがあります。

原因 何が起きているか 判定
配当落ち 権利落ち日に配当分だけ理論上下がる 需給の窓ではない
株式分割 1株が2株になれば株価は半分になる 需給の窓ではない
株式併合 株数が減り株価が跳ね上がる 需給の窓ではない
指数の銘柄入れ替え 指数の計算対象が変わる 部分的に調整される

多くのチャートツールは分割や併合を遡って調整するため、隙間は表示されません。ただし調整されていないチャートや、企業サイトに掲載された古い株価表では、分割の日に巨大な「窓」が残っていることがあります。

これを需給の窓と勘違いすると、「埋まるはずだ」と考えて成立しない予測を立ててしまいます。大きすぎる窓を見つけたら、まずその日に権利落ちや分割がなかったかを確認するのが手順です。

窓埋め完了後の動きをどう見るか

窓埋めが完了した地点は、それ自体が節目になります。埋めて終わりではなく、その後に何が起きるかを見ます。

窓埋め後の動き 読み方
窓の起点で止まって反発した その水準が支持線として機能。上昇再開の可能性
窓の起点を割り込んで下げ続けた 窓の材料が否定された。下落トレンド入りを警戒
埋めた直後に出来高が急増した その水準で新しい売買が起きている。方向が決まりやすい
埋めたあと出来高が細った 関心が薄れている。もみ合いが長引きやすい

窓を見るときは、開いた瞬間だけでなく「埋めるまで」と「埋めたあと」の3つの局面で見る、と整理しておくと判断がぶれにくくなります。

窓に関するよくある質問

窓は本当に必ず埋まりますか?
「必ず」ではありません。日経平均の直近5年で発生した325回の窓のうち、埋まったのは293回(90.2%)で、32回は2026年8月時点でも埋まっていません。また埋まった窓でも、5営業日以内に埋まったのは全体の約57%で、3か月以上かかったものが5%強あります。確率が高いことと、自分が待てる期間内に埋まることは別の話です。
前日の終値より高く始まれば窓開けですか?
違います。窓の判定は終値ではなく値幅どうしが重なっているかで行います。前日の高値を当日の安値が上回って初めて上に窓が開いた状態です。前日の終値より高く始まっても、前日の高値の範囲内で動いていれば窓は開いていません。窓埋めの目標水準も、前日の終値ではなく前日の高値(下窓なら安値)になります。
上に開けた窓と下に開けた窓で、埋まりやすさは違いますか?
実測では明確に違いました。下に開けた窓は141回中140回(99.3%)が埋まったのに対し、上に開けた窓は184回中153回(83.2%)でした。ただしこれは窓そのものの性質というより、対象期間の日経平均が上昇基調だったことの反映です。下降局面ではこの関係が逆になると考えられます。「相場の大きな方向に沿った側の窓が埋まりやすい」と理解するのが正確です。
大きな窓と小さな窓では、どちらが埋まりやすいですか?
埋まる割合は大きな窓のほうが高く、指数で1.0%以上の窓は97.1%が埋まりました。ただし埋まるまでの日数の中央値は、0.3%未満の窓が2営業日なのに対し、1.0%以上の窓は10営業日でした。大きな窓は「いずれ埋まるが、時間がかかる」という性質です。短期で埋めを狙う場合ほど不利になります。
窓を開けた銘柄に飛び乗ってもよいですか?
寄り付きの成行注文は、窓の高値圏で約定しやすいという構造的な不利があります。買う場合でも、窓を開けた当日の値動きが落ち着いてから、窓の起点を割ったら撤退する、といった価格を先に決めておくのが基本です。判断材料はギャップアップの記事で詳しく整理しています。
分割の日にできた大きな隙間も窓ですか?
需給でできた窓ではありません。株式分割や株式併合、配当落ちによる価格の跳びは、1株あたりの価値の計算が変わったことによるもので、買いや売りが偏った結果ではありません。多くのチャートツールは遡って調整するため表示されませんが、未調整のデータでは残ります。埋まることを前提にした判断はできません。
三空踏み上げが出たら売ればよいですか?
酒田五法では買われすぎのサインとされますが、それだけを根拠に売ると、上昇が続いた場合の損失が青天井になります。三空は「そろそろ勢いが続かない可能性がある」という警戒の合図として使い、保有株の一部を利益確定する、新規の買いを見送る、といった使い方のほうが実務的です。空売りで向かう場合は撤退価格を必ず決めてください。
個別株でも同じ確率が当てはまりますか?
今回の集計は日経平均株価という指数を対象にしたものです。指数は多くの銘柄の平均なので、極端な動きが打ち消し合い、窓が埋まりやすくなります。個別株は決算や不祥事など銘柄固有の材料で窓が開くため、企業価値の評価そのものが変わり、埋まらないまま新しい価格帯に移ることが指数よりずっと多くなります。個別株にこの90%という数字をそのまま当てはめないでください。

まとめ

窓の3行まとめ

・窓とは値幅どうしが重ならずにできた隙間で、注文の偏りの記録
・日経平均の直近5年では325回中90.2%が埋まった。ただし埋まる日数はばらつく
・埋まりやすさを決めるのは窓の向きではなく相場全体の方向

窓は、チャートの中で最も目につきやすい形のひとつです。だからこそ「埋まる」という言葉だけが独り歩きしています。

実際の数字を見ると、9割は埋まる一方で、埋まる日数は2営業日から250営業日超まで大きく散らばっていました。この「散らばり」こそが、窓埋めを待つ判断の難しさそのものです。

次に窓を見つけたら、埋まるかどうかを考える前に、その窓が相場全体の方向と同じ向きか、逆の向きかを確認してみてください。それだけで、待つべき窓と諦めるべき窓の見分けがつきやすくなります。

※ 本記事の集計は日経平均株価の日足終値・高値・安値をもとに2026年8月28日時点で行ったもので、将来の値動きを保証するものではありません。テクニカル分析の解説を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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