価格帯別出来高とは、どの株価でどれだけの売買があったかを、横向きの棒グラフで示したものです。チャートの右側や左側に表示されます。

この指標が教えてくれるのは「株価がどこで止まりやすいか」です。

理由は単純で、たくさん売買された価格帯には、その値段で買ってしまった人が大勢いるからです。その人たちの行動が、株価の壁になります。

この記事でわかること

・価格帯別出来高の見方(横棒が何を意味するか)
・なぜ出来高の多い価格帯が壁になるのか
・「しこり」と「やれやれ売り」
・出来高の少ない価格帯で株価が速く動く理由
・壁を抜けたあと、抵抗線が支持線に変わる
・使ってはいけない3つの場面
・単純な出来高・移動平均線との使い分け
・実際の売買での使い方

価格帯別出来高とは

価格帯別出来高(読み方:かかくたいべつできだか)は、一定期間のあいだに、どの株価水準で何株の売買が成立したかを集計したものです。

項目 内容
表示形式 チャートの横に並ぶ横向きの棒グラフ
縦軸 株価(チャートと同じ目盛り)
横軸(棒の長さ) その価格帯で成立した出来高
分かること 株価が止まりやすい水準
別名 ボリュームプロファイル/出来高プロファイル
通常の出来高との違い 通常は日付ごと、こちらは株価ごとに集計する

通常の出来高が「いつ盛り上がったか」を示すのに対し、価格帯別出来高は「いくらで盛り上がったか」を示します。この違いが決定的です。

横棒の形をイメージで見る

実際の表示に近い形を、図で示します。

1,500円
少ない
1,400円
空白地帯
1,300円
厚い壁
1,200円
多い
1,100円
やや少ない
1,000円
多い

この図の会社では、1,300円が最も多く売買された価格帯です。株価がいま1,100円だとすると、1,300円まで上がったところで強い抵抗にあう可能性が高い、という読み方をします。

なぜ出来高の多い価格帯が壁になるのか

ここが最も重要な部分です。理屈ではなく、人間の行動で説明できます。

上から戻ってきたとき
1,300円で買って含み損を抱えていた人が、株価が戻ってきて「やっと元に戻った、売ろう」と考える
売りが大量に出て、上値が重くなる
下から上がってきたとき
1,300円で売った人が「もう一度この値段なら買い戻したい」と考える
→ 買いも出るが、売り待ちの厚みのほうが勝ちやすい

この「やっと戻った、売ろう」という売りを、やれやれ売りといいます。そして、その原因になっている含み損の塊を「しこり」と呼びます。

しこりができる流れ

① ある価格帯で大量に売買が成立する(好材料、決算、話題化など)
② その後、株価が下落する
その価格帯で買った人が全員、含み損を抱える
④ 多くの人は損切りできず保有し続ける
⑤ 株価が戻ってくると、「損しないうちに売りたい」という注文が一斉に出る

→ この⑤が、価格帯別出来高の棒の長さとして事前に見えている

出来高の少ない価格帯は速く動く

壁の逆も、同じくらい重要です。

棒が短い価格帯は、そこで売買した人が少ない=待ち構えている注文が少ないことを意味します。

棒の長さ その価格帯の状態 株価の動き方
長い 売り待ち・買い待ちが厚い 止まりやすい。もみ合いになる
短い 注文が薄い(空白地帯) 一気に通過する。値動きが速い

これが実戦で最も使える読み方です。壁を抜けた先が空白地帯になっていれば、そこから次の壁までは短時間で走る可能性が高いと考えられます。

薄い板で価格が飛ぶ仕組みそのものは気配とは板とはで解説しています。

壁を抜けると、抵抗線が支持線に変わる

テクニカル分析でいう「役割転換」です。価格帯別出来高を使うと、この現象が視覚的に理解できます。

抜ける前(上値抵抗線)
株価が下にある。その価格帯の保有者は含み損→ 戻ったら売りたい
抜けたあと(下値支持線)
株価が上にある。その価格帯の保有者は含み益→ 戻ってきたら買い増したい

同じ価格帯なのに、株価がどちら側にあるかで意味が正反対になります。

だから「厚い壁を出来高を伴って上抜けた」という事実は、強い買いシグナルとして扱われます。売りたかった人の売りを全部こなしたうえで、なお上に行ったということだからです。

実際の売買での使い方

場面 価格帯別出来高の使い方
買う前 上に厚い壁がないか確認する。すぐ上に壁があるなら、利益幅が取りにくい
利益確定の目安 次の厚い価格帯の手前に置く。壁で止まる可能性が高いため
損切りの目安 下の厚い価格帯を割ったところ。支持が崩れた合図になる
ブレイクを狙う 厚い壁の上が空白地帯になっている銘柄を探す
だましを避ける 壁を抜けたとき、通常の出来高も増えているかを確認する

最後の行は必ず守ってください。出来高を伴わない上抜けは、いわゆる「だまし」になりやすく、すぐ戻されます。出来高とはで株価と出来高の組み合わせを解説しています。

期間の設定で見え方が変わる

価格帯別出来高は、「いつからいつまでを集計するか」で形が変わります。

集計期間 向いている使い方 注意
数日〜数週間 短期売買。直近のもみ合い水準を見る サンプルが少なく、形が不安定
数カ月〜1年 最も一般的。中期の壁が見える
数年 長期の大きな節目を確認する 古い保有者は既に売っている可能性

長すぎる期間には注意が必要です。5年前に大量に売買された価格帯があっても、その人たちがまだ保有しているとは限りません。しこりは時間とともに解消していきます。

使ってはいけない3つの場面

場面 なぜ使えないか
株式分割の直後 株価水準そのものが変わる。分割前の価格帯は意味を持たない
大型増資・売出しの直後 新しい株主が大量に入り、保有者の構成が入れ替わる
出来高が極端に少ない銘柄 サンプルが不足し、棒の長短が偶然で決まってしまう

また、業績が大きく変わった場合も注意が必要です。好決算で企業の実力そのものが変われば、過去のしこりを突破する力が生まれます。テクニカルだけで判断せず、決算短信の内容も確認してください。

単純な出来高との違い

指標 集計の軸 分かること
出来高 日付ごと いつ注目が集まったか。勢いの強さ
価格帯別出来高 株価ごと どこで止まるか。壁の位置
気配 いまこの瞬間 直近数ティックの注文の厚み

板が「今日の壁」を見せるのに対し、価格帯別出来高は「数カ月分の壁」を見せます。時間軸がまったく違うため、どちらかで代用することはできません。

移動平均線との使い分け

どちらも「支持線・抵抗線」を探す道具ですが、成り立ちが違います。

観点 移動平均線 価格帯別出来高
根拠 株価の平均値 実際に売買された株数
線の動き 毎日動く その価格に固定される
得意なこと トレンドの方向を見る 止まる水準を見る
組み合わせ 移動平均線で方向を確認し、価格帯別出来高で目標と損切りの位置を決める

価格帯別出来高の強みは「動かないこと」です。移動平均線は日々位置が変わりますが、しこりの価格帯はそこに居座り続けます。

どこで見られるか

場所 探し方
証券会社のチャートツール 「テクニカル指標」や「サブチャート」の設定に価格帯別出来高の項目がある
スマホアプリ チャート画面の設定アイコンから追加する形が一般的
チャート専門サービス ボリュームプロファイルという名称で提供されていることが多い

証券会社のツールは画面構成がたびたび変わります。特定の手順を覚えるより、「テクニカル指標の一覧から探す」「英語表記ならVolume Profile」と理解しておくほうが長く使えます。

価格帯別出来高に関するよくある質問

価格帯別出来高と普通の出来高は何が違いますか?
集計する軸が違います。通常の出来高は日付ごとに何株売買されたかを縦棒で示しますが、価格帯別出来高は株価ごとに何株売買されたかを横棒で示します。通常の出来高が「いつ注目が集まったか」を教えるのに対し、価格帯別出来高は「いくらで止まりやすいか」を教えてくれます。
なぜ出来高の多い価格帯で株価が止まるのですか?
その価格帯で買った人が大勢いるためです。株価が下落したあと元の水準に戻ってくると、含み損を抱えていた人が「やっと元に戻った」と考えて一斉に売却します。これをやれやれ売りといい、その原因となる含み損の塊をしこりと呼びます。価格帯別出来高は、この売り圧力の大きさを事前に可視化したものです。
棒が短い価格帯はどう読めばよいですか?
そこで売買した人が少なく、待ち構えている注文が薄い価格帯です。株価がその帯に入ると、止める力が弱いため一気に通過しやすくなります。厚い壁を上抜けた先が空白地帯になっている銘柄は、次の壁まで短時間で走る可能性が高いと考えられます。実戦で最も使える読み方のひとつです。
壁を抜けたらどうなりますか?
それまで上値抵抗線だった価格帯が、下値支持線に変わります。役割転換と呼ばれる現象です。株価がその帯より上にある状態では、その価格帯で買った人は含み益になっており、戻ってきたら買い増したいと考えるためです。ただし上抜けの際に通常の出来高も増えているかを必ず確認してください。出来高を伴わない上抜けはだましになりやすくなります。
集計期間はどれくらいが適切ですか?
一般的には数カ月から1年程度が使いやすい設定です。数日程度ではサンプルが少なく形が不安定になり、数年に広げると古い保有者がすでに売却している可能性が高まります。しこりは時間とともに解消していくため、あまりに古い価格帯の壁は効きにくくなる点に注意してください。
使えない場面はありますか?
3つあります。株式分割の直後は株価水準そのものが変わるため過去の価格帯が意味を持ちません。大型増資や売出しの直後は株主構成が入れ替わります。出来高が極端に少ない銘柄では、棒の長短が偶然で決まってしまい信頼できません。また業績が大きく変わった場合も、過去のしこりを突破する力が生まれることがあります。
板や気配とはどう違いますか?
時間軸が違います。板や気配はいまこの瞬間に出ている注文の厚みを示すもので、直近数ティックの範囲しか見えません。価格帯別出来高は数カ月分の売買を集計したもので、より広い範囲の壁を示します。板が今日の壁なら、価格帯別出来高は数カ月分の壁です。どちらかで代用することはできません。
移動平均線とどちらを使うべきですか?
両方を役割分担させるのが有効です。移動平均線は株価の平均値から計算されるため毎日位置が動き、トレンドの方向を見るのに向いています。価格帯別出来高は実際に売買された株数にもとづき、その価格に固定されるため、利益確定や損切りの目安を決めるのに向いています。移動平均線で方向を確認し、価格帯別出来高で目標水準を決めるという使い方が実用的です。

まとめ

価格帯別出来高は「どこに人がいて、どこが無人か」を教えてくれる指標です。

この記事のまとめ

・どの株価で何株売買されたかを横棒で示した指標
・通常の出来高は「日付ごと」、価格帯別出来高は「株価ごと」
・棒が長い価格帯=しこりが厚い=止まりやすい
・戻ってきたときの「やれやれ売り」が壁の正体
・🔵 棒が短い空白地帯では株価が速く動く
・厚い壁を出来高を伴って抜けると、抵抗線が支持線に変わる
・利益確定は次の壁の手前、損切りは下の壁を割ったところ
・集計期間は数カ月〜1年が使いやすい
・株式分割・大型増資の直後、出来高の少ない銘柄では使えない
・移動平均線で方向、価格帯別出来高で水準を決める

※ 本記事は2026年8月時点の情報にもとづく解説であり、特定の銘柄や投資判断を推奨するものではありません。テクニカル指標は将来の株価を保証するものではありません。

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