パラボリックとは、株価の上下に点を打ち続け、その点に株価が触れたら売買を転換するテクニカル指標です。正式にはパラボリックSAR(Stop And Reverse)といいます。

最大の特徴は「ドテン」——つまり買いと売りを常にどちらか持ち続ける設計になっていることです。休むという選択肢がありません。

この割り切りが、強いトレンドでは絶大な効果を発揮し、横ばい相場では最悪の結果を招きます。使いどころを間違えなければ強力な指標です。

この記事でわかること

・点の位置が示す意味と、転換のサイン
・AF(加速因数)という設定値の役割
・初期値0.02・最大0.2の意味
・横ばい相場で機能しない理由
・組み合わせるべき指標
・損切りラインとしての使い方

パラボリックとは

パラボリック(読み方:ぱらぼりっく)は、J・W・ワイルダーが考案したテクニカル指標です。DMIやRSIと同じ開発者によるものです。

「パラボリック」は放物線を意味します。チャート上に打たれる点の並びが、放物線を描くように見えることが名前の由来です。

パラボリックSARがチャートに描く点の並び

点の位置が示すもの
株価の下に点がある … 上昇トレンド(買いのポジション)
株価の上に点がある … 下降トレンド(売りのポジション)

株価が点に触れた瞬間に、上下が入れ替わる

見方は極めて単純です。点が下にあるうちは買い、上にあるうちは売り。それだけです。

SAR(ストップ・アンド・リバース)の意味

正式名称の「Stop And Reverse」が、この指標の思想を表しています。

言葉 意味
Stop いま持っているポジションを決済する
And Reverse 同時に反対のポジションを建てる

つまり「売って終わり」ではなく「売って、さらに空売りに転じる」設計です。これをドテンといいます。

常にどちらかのポジションを持ち続けるため、相場から離れるタイミングがありません。これが後述する弱点に直結します。

計算式とAF(加速因数)

パラボリックの点は、次の式で計算されます。

SARの計算式
今日のSAR = 前日のSAR + AF ×(EP − 前日のSAR)
 AF(Acceleration Factor)… 加速因数
 EP(Extreme Point)… トレンド期間中の最高値または最安値

難しく見えますが、やっていることは単純です。「点を、その時点での最高値(または最安値)に少しずつ近づけていく」だけです。

その「近づけるスピード」を決めるのがAFです。

AFの初期値0.02・最大0.2の意味

AFには重要な性質があります。トレンドが続くほど大きくなっていくのです。

設定値 一般的な値 役割
AF初期値 0.02 トレンド開始時の加速スピード
AF増分 0.02 高値(安値)を更新するたびに加算される
AF最大値 0.2 これ以上は加速しない上限
AFが増えていく仕組み
上昇トレンド開始 AF=0.02
 ↓ 高値を更新
AF=0.04 → 0.06 → 0.08 …
 ↓ 更新が続くと
AF=0.2で頭打ち(最大10回の更新で到達)

AFが大きくなるほど、点は株価に速く近づきます。

これは「トレンドが長く続いたポジションほど、早めに手仕舞う」という設計思想です。上昇が長引くほど転換のリスクが高まる、という考え方が組み込まれています。

設定値を変えるとどうなるか

設定 点の動き 結果
AFを大きくする
(0.03など)
株価に速く近づく 転換が早い。だましが増える
AFを小さくする
(0.01など)
株価からゆっくり近づく 転換が遅い。利益を戻しやすい

どちらにも一長一短があります。だましを減らそうとAFを小さくすると、今度は転換の遅れで利益を失います。

「最適な設定値」は存在しません。初期値の0.02/0.2は多くのツールの標準値であり、まずはここから始めるのが妥当です。

横ばい相場で機能しない理由

パラボリック最大の弱点です。ここを理解せずに使うと、確実に損失を積み上げます。

パラボリックによるトレンド転換のサイン

横ばい相場で起きること
株価が少し上がる → 点が下に来る → 買い
 ↓ すぐ下がる
点に触れる → 売ってドテン(空売り)
 ↓ また上がる
点に触れる → 買い戻してドテン(買い)
 ↓
これを繰り返して手数料と損失だけが積み上がる

「常にポジションを持つ」という設計が、そのまま裏目に出ます。

だからパラボリックは、トレンドが出ていることを別の指標で確認してから使うべきです。

組み合わせるべき指標

パラボリックはトレンドの「転換点」は教えてくれますが、「いまトレンドがあるかどうか」は教えてくれません。

指標 補える点
DMI(ADX) トレンドの強さを数値で判定できる。最も相性がよい
移動平均線 大きな方向感を確認できる
ボリンジャーバンド バンドが収縮していれば横ばい=使うべきでない局面
出来高 転換のサインに出来高が伴うかで信頼度が変わる

ADXとの組み合わせが定番です。どちらも同じワイルダーが考案した指標で、思想に一貫性があります。

ADXが上昇していればトレンドが出ている=パラボリックが機能する局面、ADXが低いまま横ばいならパラボリックは使わない。この判断が入るだけで結果は大きく変わります。

損切りラインとしての使い方

ドテンを実行しない使い方もあります。むしろ個人投資家にはこちらが現実的です。

使い方 内容
トレイリングストップ 点の位置を損切りラインとして使う
利益確定の目安 点に触れたら決済し、空売りはしない
保有継続の判断 点が下にある限り持ち続ける

パラボリックの点は上昇中に切り上がり続けます。これは利益を伸ばしながら、損切りラインも自動的に上げていくということです。

逆指値注文の価格を、点の位置に合わせて更新していけば実現できます。ドテンをせず、決済だけに使う。これがリスクを抑えた現実的な使い方です。

パラボリックが向く場面・向かない場面

場面 パラボリックの働き
強い上昇・下降トレンド 最も力を発揮する。トレンドに乗り続けられる
トレンドの終盤 AFが最大に近づき、素早く転換する
横ばい・もみ合い だましの連続。使うべきでない
窓を開けて急変する銘柄 点を飛び越えるため、想定より不利な価格になる
出来高の少ない銘柄 値が飛びやすく、サインの信頼度が下がる

4行目は実務上の注意です。決算や材料で窓を開けて始まった場合、点に触れるどころか一気に飛び越えます。その場合、逆指値注文は想定より不利な価格で約定します。

パラボリックに関するよくある質問

パラボリックの見方を教えてください。
株価の下に点があれば上昇トレンド(買い)、上にあれば下降トレンド(売り)です。株価が点に触れると点の位置が上下反転し、トレンド転換のサインとなります。見方そのものは非常に単純です。
SARとは何の略ですか?
Stop And Reverse(ストップ・アンド・リバース)の略です。いま持っているポジションを決済し、同時に反対のポジションを建てるという意味で、これを「ドテン」といいます。常にどちらかのポジションを持ち続ける設計になっています。
AF(加速因数)とは何ですか?
点を株価に近づけるスピードを決める値です。一般的な設定は初期値0.02、増分0.02、最大0.2です。高値(安値)を更新するたびにAFが加算され、点が速く株価に近づきます。トレンドが長く続いたポジションほど早めに手仕舞う、という思想が組み込まれています。
設定値は変えたほうがいいですか?
まずは標準の0.02/0.2で使うことを勧めます。AFを大きくすると転換が早くなりだましが増え、小さくすると転換が遅れて利益を戻しやすくなります。どちらにも一長一短があり、最適な設定値は存在しません。
パラボリックが機能しないのはどんなときですか?
横ばい相場です。株価が少し動くたびに点に触れて転換するため、買いと売りを短期間で繰り返すことになり、手数料と損失だけが積み上がります。常にポジションを持ち続ける設計が、そのまま裏目に出る局面です。
どの指標と組み合わせるべきですか?
DMIのADXが定番です。パラボリックはトレンドの転換点は示しますが、いまトレンドがあるかどうかは判定できません。ADXが上昇していればパラボリックが機能する局面、低いままなら使うべきでない局面と判断できます。どちらも同じワイルダーが考案した指標です。
ドテンは必ずしないといけませんか?
必要ありません。点の位置を損切りラインとして使い、触れたら決済するだけにとどめる使い方のほうが個人投資家には現実的です。点は上昇中に切り上がり続けるため、利益を伸ばしながら損切りラインも自動的に上げていくトレイリングストップとして機能します。
パラボリックだけで売買していいですか?
勧められません。横ばい相場では損失が積み上がるうえ、窓を開けて始まる銘柄では点を飛び越えて想定より不利な価格で約定します。トレンドの有無を別の指標で確認し、出来高が十分にある銘柄に絞って使ってください。

まとめ

パラボリックは「トレンドがあるときだけ強い、割り切った指標」です。使う局面を選べるかどうかが、結果のすべてを決めます。

この記事のまとめ

・株価の下に点なら買い、上に点なら売り。触れたら転換
・正式名称はパラボリックSAR(Stop And Reverse)
・決済と同時に反対のポジションを建てる「ドテン」が基本設計
・AFは初期値0.02・増分0.02・最大0.2が標準
・高値を更新するほどAFが増え、点が速く株価に近づく
・横ばい相場ではだましが連続し、損失だけが積み上がる
・ADXでトレンドの有無を確認してから使うのが鉄則
・ドテンをせず、損切りラインとして使う方法が現実的
・窓を開けて始まる銘柄では点を飛び越える

※ 本記事は2026年8月時点の情報にもとづく解説であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。テクニカル指標は将来の値動きを保証するものではありません。

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