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重要事象とは

重要事象(読み方:じゅうようじしょう)

 

重要事象とは、簡単にいうと決算短信などに記載されている企業の継続性に関する情報のことを指します。

企業の継続性に何らかの不透明さがある場合、企業はその内容を決算短信に記載しなければならない決まりとなっています。(会社計算規則98条)

 

継続企業の前提に関する重要事象等
・会社が将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況その他会社の経営に重要な影響を及ぼす事象(以下「重要事象等」という。)が存在する場合は必ず記載してください。該当がない場合は、表題を含めて記載は不要です。
・重要事象等が存在する場合は、以下の事項について具体的に記載してください。
・重要事象等が存在する旨及びその内容
・当該重要事象等についての分析・検討内容並びに当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策

出典:JPX【決算短信・四半期決算短信作成要領等】

わかりやすくいうと、他の会社に比べて倒産のリスクが高い場合に決算短信などに重要事象等が記載されるということです。

また、このような銘柄は重要事象銘柄と呼ばれることもあります。

重要事象は「継続企業の前提に関する重要事象等」として決算短信などに記載されますが、同じようなものとして「継続企業の前提に関する注記」があります。

「継続企業の前提に関する」という部分までは同じで、そのあとの「重要事象等」か「注記」かの差ではありますが、実際は似て非なるものです。

重要事象と注記の違い

倒産リスクの深刻度は、「継続企業の前提に関する注記」のほうが「継続企業の前提に関する重要事項等」よりも倒産リスクが高いということなります。

ゴーイングコンサーン・疑義注記・GC注記

「継続企業の前提に関する注記」ゴーイングコンサーン(Going Concern)といわれ、疑義注記またはCG注記と略されることもあります。

例えるなら重要事象が会社の経営にイエローカードが1枚出された状態だとすると、注記は2枚累積されているような状態です。

倒産リスクの度合い:重要事象 < 注記

RIZAPグループ(2928)の通期198億円の赤字決算発表は話題になりましたが、重要事象等や注記が記載されているからといって直ぐにその企業が倒産や上場廃止となるわけではありません。

短信などに重要事象等または注記が記載されている企業の多くが倒産・経営破綻しているという事実は確かにありますが、2018年の東芝(6502)のように、業績が回復すれば重要事象等や注記が解消されるケースもあります。

 

重要事象メモ

・重要事象とは決算短信などに記載される「継続企業の前提に関する重要事象等」のこと
・重要事象等より倒産リスクの度合いが高いのが「継続企業の前提に関する注記」(疑義注記またはGC注記:ゴーイングコンサーン)
・重要事象や注記と記載されても業績回復で解消されるケースもある

 

重要事象の基準や解消条件

経営者は継続企業の前提に関する重要な疑義を認識した場合、その内容や経営計画を策定して監査人に説明しなければなりません。(その後、監査人が監査意見を表明)

重要事象に関しては企業側が発表するもので、決められた基準・条件があるわけではありません。

継続企業の前提が崩れそうなときに企業側から重要事象等または注記として発表されるもので、以下のような項目があります。

▼財務指標関係
✔ 売上高の著しい減少
✔ 継続的な営業損失の発生又は営業キャッシュ・フローのマイナス
✔ 重要な営業損失、経常損失又は当期純損失の計上
✔ 重要なマイナスの営業キャッシュ・フローの計上
✔ 債務超過
▼財務活動関係
✔ 営業債務の返済の困難性
✔ 借入金の返済条項の不履行又は履行の困難性
✔ 社債等の償還の困難性
✔ 新たな資金調達の困難性
✔ 債務免除の要請
✔ 売却を予定している重要な資産の処分の困難性
✔ 配当優先株式に対する配当の遅延又は中止
▼財営業活動関係
✔ 主要な仕入先からの与信又は取引継続の拒絶
✔ 重要な市場又は得意先の喪失
✔ 事業活動に不可欠な重要な権利の失効
✔ 事業活動に不可欠な人材の流出
✔ 事業活動に不可欠な重要な資産のき損、喪失又は処分
✔ 法令に基づく重要な事業の制約
▼その他
✔ 巨額な損害賠償金の負担の可能性
✔ ブランド・イメージの著しい悪化

事例として挙げられる項目は上記のようになっていますが、経営者・企業側が状況は解消したと判断したときに解消されます。
基本的には重要事象または注記の解消は決算発表時に行われ、そのタイミングで取引する投資家の方もいます。

 

重要事象メモ

・重要事象の基準や解消は特定条件があるわけではなく企業側が発表
・概ねの重要事象基準としては売上高の著しい減少等、財務関連の問題が主な原因となることが多い
・重要事象または注記の解消は決算発表と同時に行われる

 

重要事象となっている銘柄(2020年6月1日時点)

以下は重要事象(または注記)が付された銘柄の一例として、いくつかピックアップしたものです。

発表日 銘柄 コード
2020年4月30日 田谷 4679
2020年4月30日 グローバルダイニング 7625
2020年5月14日 アーキテクツ・スタジオ・ジャパン 6085
2020年5月15日 海帆 3133
2020年5月15日 THEグローバル社 3271
2020年5月26日 ウィルソン・ラーニングワールドワイド 9610
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