米国株の確定申告のやり方【2026 年版】必要な人・不要な人、e-Tax の入力手順、外国税額控除・損益通算・繰越控除の書き方

米国株の確定申告は、特定口座(源泉徴収あり)で売買と配当を受け取っているだけなら原則不要です。申告が必要になるのは、一般口座や特定口座(源泉徴収なし)で利益が出た人と、配当の米国課税 10% を取り戻す外国税額控除、複数口座の損益通算、損失の繰越控除を使いたい人です。この記事では「自分は申告が必要か」を最初に判定し、用意する書類、国税庁の確定申告書等作成コーナー(e-Tax)での入力順、配当の課税方式の選び方、期限と還付申告の期間を、実際の画面の流れに沿って説明します。

この用語の要点
  • 申告不要=特定口座(源泉徴収あり)だけで完結し、控除を使わない人。申告必要=一般口座・源泉徴収なし口座で利益が出た人(給与所得者は他の所得と合わせて 20 万円超)。申告したほうが得=外国税額控除・損益通算・繰越控除を使う人
  • 用意する書類は 2 つ:証券会社が 1 月に交付する「特定口座年間取引報告書」(外国所得税の額が載っている)と、作成コーナーで自動生成される「外国税額控除に関する明細書」。マイナポータル連携なら報告書の入力は自動
  • 期限は 2027 年 2 月 16 日〜3 月 15 日(2026 年分)。還付だけの申告は 2027 年 1 月 1 日から 5 年間できる。繰越控除は損失が出た年から 3 年間、取引が無い年も毎年申告が条件

自分は確定申告が必要か:3 つの区分で判定する

区分該当する人申告
不要特定口座(源泉徴収あり)だけで売買・配当を受け取り、控除を使わないしなくてよい(源泉徴収で完結)
必要一般口座、特定口座(源泉徴収なし)で売却益が出た。給与所得者は他の所得と合わせて年 20 万円超、給与が無い人は基礎控除を超える所得しなければならない
したほうが得配当の米国課税 10% を取り戻したい(外国税額控除)、別の証券会社の損失と通算したい、損失を翌年以降に繰り越したい任意。申告すると税金が戻る・減る

日本の証券会社で米国株を買っている人の大半は特定口座(源泉徴収あり)です。この口座では売却益の 20.315% と配当の 20.315%(米国で 10% 引かれた後の額に)が証券会社で天引きされ、申告しなくても課税関係は終わっています。「申告不要」はサボりではなく制度上の選択肢です。

ただし、天引きで終わらせると配当にかかった米国の 10% は戻ってきません。年間配当が 10 万円なら約 1 万円です。これを取り戻すのが外国税額控除で、特定口座(源泉徴収あり)の人でも申告が必要です。ほかに、A 証券で利益・B 証券で損失という年は申告で通算すると税金が戻り、年間で損失が残った年は申告しておけば翌年以降 3 年間の利益と相殺できます。

給与所得者の「20 万円ルール」は所得税だけの話です。一般口座で 20 万円以下の利益でも住民税の申告は別途必要になるので、金額が小さくても一般口座を使っている人は確定申告をまとめて済ませたほうが手間が少なくなります。NISA 口座の売却益・配当は非課税で、申告の対象外です(米国で引かれた 10% は外国税額控除の対象になりません)。

用意する書類:年間取引報告書と外国税額控除に関する明細書

書類入手先使う場面
特定口座年間取引報告書証券会社(1 月中旬〜下旬に電子交付)譲渡損益・配当・外国所得税の額を入力する
外国税額控除に関する明細書(居住者用)作成コーナーで自動作成外国税額控除を受けるとき
取引明細・約定履歴証券会社のサイト一般口座の人が円換算で損益を計算する
給与の源泉徴収票勤務先給与所得を入力する
マイナンバーカード—e-Tax の本人確認、マイナポータル連携

中心になるのは特定口座年間取引報告書です。米国株の譲渡損益(円換算済み)、配当の額、日本で源泉徴収された所得税・住民税に加えて、「外国所得税の額」の欄に米国で引かれた 10% の金額が載っています。この欄の数字がそのまま外国税額控除の計算に使われるので、報告書があれば配当の明細を 1 件ずつ集計する必要はありません。

SBI 証券・楽天証券・マネックス証券・松井証券など主要ネット証券はマイナポータル連携に対応しており、作成コーナーで連携すると年間取引報告書の内容が自動で取り込まれます。連携しない場合は報告書の PDF を見ながら手入力します。金額欄は「譲渡の対価の額」「取得費及び譲渡に要した費用の額」「差引金額」「配当等の額」「外国所得税の額」の 5 つを転記すれば足ります。

一般口座の人は自分で損益を計算します。取得価額は「買ったときのドル価格 × 買った日の為替レート」、売却価額は「売ったときのドル価格 × 売った日の為替レート」で円に直し、その差が譲渡損益です。為替レートは取引した証券会社が公表する約定日の仲値(TTM)を使うのが一般的です。取引回数が多いと大きな手間になるので、来年以降は特定口座に切り替えることを勧めます。

e-Tax(確定申告書等作成コーナー)の入力手順

  1. 作成開始:国税庁「確定申告書等作成コーナー」で「作成開始」→ 提出方法は「マイナンバーカード方式(スマホ)」か「ID・パスワード方式」→「所得税」を選ぶ。
  2. 給与所得:源泉徴収票の内容を入力する(給与が無い人は飛ばす)。
  3. 株式等の譲渡所得・配当所得:「収入金額・所得金額の入力」→「株式等の譲渡所得等」で「特定口座年間取引報告書の内容を入力する」を選び、マイナポータル連携か手入力で報告書を取り込む。配当がある場合は同じ画面で「配当等」の入力に進む。
  4. 配当の課税方式を選ぶ:「申告分離課税」か「総合課税」を選ぶ(次の節で説明)。迷ったら申告分離課税。
  5. 外国税額控除:「税額控除等の入力」→「外国税額控除」→ 国名「アメリカ」、所得の種類「配当」、納付日は「年間取引報告書のとおり」、外国所得税の額は報告書の欄の数字をそのまま入力。国外所得(調整国外所得金額)の欄には米国株の配当の額(源泉徴収前)を入れる。
  6. 損失の繰越:今年損失が残った人は「株式等に係る譲渡損失の繰越控除」で損失額を確認する。前年から繰り越した損失がある人は前年の申告書の金額を入力する。
  7. 住民税の項目:所得税と同じ課税方式が自動で適用される(2023 年分の申告から所得税と住民税で異なる方式は選べない)。
  8. 送信・保存:内容を確認して e-Tax で送信。受信通知と申告書の PDF を保存する。繰越控除の翌年以降の申告で前年の申告書の数字が必要になる。

入力で詰まりやすいのは外国税額控除の画面です。控除額は自分で計算せず、外国所得税の額と国外所得を入れれば作成コーナーが限度額まで自動計算します。限度額は「その年の所得税額 × 国外所得 ÷ 所得総額」で、所得税から引き切れない分は復興特別所得税、さらに住民税(所得税の限度額の 30% が上限)から順に控除されます。それでも引き切れない分は 3 年間繰り越せるので、翌年以降の申告でも同じ画面に前年の数字を入れます。

配当の課税方式:申告分離課税と総合課税のどちらを選ぶか

方式税率向いている人
申告分離課税20.315%(所得税 15.315% + 住民税 5%)ほとんどの人。譲渡損失との通算ができる
総合課税所得税 5〜45%(累進)+ 住民税 10%課税所得が 195 万円以下で、配当以外の所得が少ない人

日本株の配当なら総合課税を選ぶと配当控除で税率が下がりますが、米国株の配当は配当控除の対象外です。総合課税が有利になるのは、所得税の税率が 5% になる課税所得 195 万円以下の人(所得税 5.105% + 住民税 10% = 約 15.1% で、申告分離の 20.315% より低い)に限られます。課税所得が 330 万円以下でも所得税 10% + 住民税 10% で分離課税とほぼ同じになり、それ以上では総合課税のほうが高くなります。

さらに 2023 年分(令和 5 年分)の申告から、所得税で総合課税を選ぶと住民税も総合課税になるため、住民税だけ分離課税(5%)にする以前の節税は使えません。総合課税にすると配当が住民税の所得に加わり、国民健康保険料や配偶者控除の判定にも影響します。給与所得者や年金受給者で課税所得が 195 万円を超える人は申告分離課税を選ぶのが無難です。

申告分離課税を選ぶと、配当と同じ年の譲渡損失を通算できます。特定口座(源泉徴収あり)の中では証券会社が自動で通算していますが、別の証券会社の損失や前年から繰り越した損失と通算するには申告が必要です。この通算は米国株と日本株、ETF・投資信託の間でもできます(上場株式等のグループ内)。ただし為替差益(雑所得)や FX の損益とは通算できません。

米国株の確定申告に関するよくある質問

特定口座(源泉徴収あり)なら米国株の確定申告はしなくていいですか?
はい。売却益と配当は証券会社で源泉徴収されて課税が終わっているので申告は不要です。ただし配当の米国課税 10% を取り戻す外国税額控除、他の口座との損益通算、損失の繰越控除を使うときは申告が必要です。制度の全体像は米国株の税金の全体像を参照してください。
確定申告の期限を過ぎましたが、外国税額控除の還付は受けられますか?
受けられます。納める税金が無く還付だけを受ける申告(還付申告)は、その年の翌年 1 月 1 日から 5 年間できます。2026 年分なら 2031 年 12 月 31 日までです。ただし損失の繰越控除は期限内に毎年申告することが条件なので、こちらは遅れないでください。
米国株の配当は総合課税と申告分離課税のどちらが得ですか?
ほとんどの人は申告分離課税(20.315%)です。米国株の配当は配当控除が使えないため、総合課税が有利なのは課税所得 195 万円以下の人に限られます。総合課税を選ぶと住民税も総合課税になり、国民健康保険料などにも影響します。
ドルのまま持っている配当や、円に戻したときの為替差益も申告が必要ですか?
配当はドルで受け取っていても受け取った時点で課税され、特定口座なら円換算して源泉徴収されています。ドルを円に戻したときの為替差益は雑所得で、給与所得者は他の雑所得と合わせて 20 万円以下なら所得税の申告は不要です(住民税は申告が必要)。外貨のまま次の株を買った場合の扱いは証券会社の年間取引報告書の計算に従います。詳しくは円貨決済と外貨決済を参照してください。

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執筆:(Pacific Stock 編集長・専業投資家歴20年)
申告の要否・課税方式・外国税額控除・繰越控除の扱いは、国税庁「確定申告書等作成コーナー」「外国税額控除を受けられる方へ」「上場株式等の配当等に係る課税方式」「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」、所得税法・租税特別措置法・地方税法(2026 年 9 月時点)にもとづきます。期限は 2026 年分の所得税の確定申告(2027 年 2 月 16 日〜3 月 15 日)のものです。個別の税務判断は税務署または税理士に確認してください。 本記事は情報提供を目的とし、特定の銘柄・証券会社の売買や口座開設を推奨するものではありません。当サイトは証券会社の口座開設等によりアフィリエイト報酬を得る場合がありますが、比較の順位や数値には影響しません。最終更新 2026-09-25。

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