配当落ち日とは、その日に株式を買っても配当を受け取る権利が得られない日のことです。権利落ち日とも呼ばれます。
この日、株価は理論上、配当の分だけ下がります。そして課税口座では、配当を取ることでかえって不利になる場合があります。
この記事では、その仕組みと日付の数え方を整理します。
この記事でわかること
・配当落ち日に株価が下がる理由
・理論どおりに下がらない理由
・税金を考えると権利を取らない選択もある
・配当金が入金されるまでの期間
目次
配当落ち日とは
配当を受け取るには、権利確定日の時点で株主名簿に記載されている必要があります。ただし株式の受け渡しには日数がかかるため、実際の売買はそれより前に済ませなければなりません。
| 日付 | 意味 |
|---|---|
| 権利付最終売買日 | この日までに買えば配当がもらえる |
| 権利落ち日(配当落ち日) | 翌営業日。この日に買っても配当はもらえない |
| 権利確定日 | 株主名簿が確定する日(多くは月末) |
配当落ち日の朝には、すでに権利が抜けています。「今日買えば間に合う」と思っていると、1日ずれて権利を逃します。
3つの日付の関係
2019年7月16日の決済期間短縮(T+2化)以降、権利付最終売買日は権利確定日の2営業日前になりました。
買っていればOK
株価が下がる
確定する
数えるのは営業日です。権利確定日が月曜なら、権利付最終売買日は前週の木曜になります。連休が絡むとさらにずれるため、証券会社が公表するカレンダーで確認するのが確実です。
なぜ株価が下がるのか
配当落ち日の下落は、業績の悪化とは無関係です。会社から現金が出ていく分、企業価値が減るためです。
| タイミング | 株式に含まれるもの |
|---|---|
| 権利付最終売買日まで | 企業の価値 + 配当を受け取る権利 |
| 権利落ち日以降 | 企業の価値のみ(権利が抜けた) |
配当の権利という「おまけ」が外れた分だけ、株式の価値が下がるということです。これを配当落ちと呼びます。
理論上の下落幅
| 株価 | 1株配当 | 配当利回り | 理論上の下落率 |
|---|---|---|---|
| 1,000円 | 10円 | 1% | 約1% |
| 1,000円 | 40円 | 4% | 約4% |
高配当銘柄ほど、配当落ちの下落幅は大きくなります。配当利回り4%の銘柄なら、1日で4%下がる計算です。これは通常の値動きとしては小さくありません。
実際には理論どおりにならない
配当落ち日の値動きは、配当分の下落と通常の売買による値動きが混ざります。
| パターン | 起きていること |
|---|---|
| 配当分より小さく下げた | 買いが入っている(配当落ち埋め) |
| 配当分ちょうど下げた | 理論どおり。需給が中立 |
| 配当分より大きく下げた | 権利取り目的の買いが売られている |
下げた分をその日のうちに取り戻すことを「配当落ちを埋める」といいます。ただし必ず埋まるものではなく、地合いによっては下げたままになります。
権利を取らないほうが有利な場合がある
ここがこの記事で最も重要な部分です。課税口座では、配当を受け取ると税金が引かれます。
| 配当100円の場合 | |
|---|---|
| 受け取る配当(税引後) | 79.685円(20.315%が源泉徴収) |
| 理論上の株価の下落 | 100円 |
| 差引 | 理論上は20.315円分だけ不利 |
これは「株価が理論どおりに配当分きっちり下がる」場合の計算です。実際には配当落ちを埋めることも、それ以上に下げることもあります。また含み益がある株を売れば譲渡益に課税されるため、単純に「売って買い直す」ことが有利とは限りません。
NISA口座なら配当も非課税なので、この不利は生じません。配当を狙うなら、まずNISA口座で保有できないかを検討するのが合理的です。
権利取りの売買で起きること
| 時期 | 起きやすいこと |
|---|---|
| 権利付最終売買日の数日前 | 権利取り目的の買いが入りやすい |
| 権利付最終売買日 | 出来高が膨らむ。逆日歩の最高料率が4倍になる日 |
| 権利落ち日 | 配当分の下落+権利取り勢の売り |
3月末・9月末は権利確定日が集中します。この時期は個別銘柄だけでなく、指数全体も配当落ちの影響を受けます。
空売りする場合の注意
「配当落ちで下がるなら空売りすればよい」という発想には落とし穴があります。
| 発生するコスト | 内容 |
|---|---|
| 配当落調整金 | 売り建てている側が支払う(配当分とほぼ相殺される) |
| 逆日歩 | 権利付最終売買日は最高料率が4倍。金額は事前に分からない |
| 貸株料 | 建てている期間に応じて発生 |
配当落ちによる下落分は、配当落調整金の支払いでほぼ相殺されます。「配当落ちを狙った空売り」で利益を得ることは、制度上できない仕組みになっています。
配当金はいつ入金されるか
| 段階 | 時期の目安 |
|---|---|
| 権利確定日 | 3月末など |
| 株主総会での承認 | 6月下旬(3月期決算の場合) |
| 入金 | 総会後。権利確定日から2〜3か月後になることが多い |
権利を取ってもすぐには入金されません。受取方法を株式数比例配分方式にしていれば、証券口座に自動的に振り込まれます。
配当落ち日に関する注意点
権利付最終売買日の大引けまでに約定している必要があります。配当落ち日の朝に買っても間に合いません。
権利付最終売買日に保有していれば、翌日に売却しても配当は受け取れます。権利確定日まで持ち続ける必要はありません。
株主優待には長期保有条件が付いていることがあります。権利落ち後すぐ売ると、継続保有の判定から外れる場合があります。
権利を取った時点では予想配当であることがあります。業績の悪化で減配・無配になれば、受け取る金額も変わります。
※ 本記事は用語と仕組みの解説であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。税務の取扱いは個別事情により異なります。投資判断はご自身の責任でお願いします。
配当落ち日に関するよくある質問
まとめ
配当落ち日の下落は、業績とは無関係の機械的な調整です。そのうえで、課税口座では権利を取ることが必ずしも有利とは限らない——この視点を持っておくと、判断の幅が広がります。
この記事のまとめ
・権利付最終売買日は権利確定日の2営業日前
・理論上の下落幅は1株当たり配当金と同じ
・実際には配当落ち埋めが起きることもある
・課税口座では税金の分だけ権利取りが不利になりうる
・NISA口座なら配当が非課税なのでこの不利は生じない
・配当落ち狙いの空売りは調整金の支払いで相殺される










