NISAとは、投資で得た利益に税金がかからなくなる制度です。通常は20.315%が引かれるところが、NISA口座なら0円になります。

2024年から制度が大きく変わりました。非課税で持てる期間が無期限になり、年間の投資枠は最大360万円、生涯で1,800万円まで拡大しています。「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」という区分は、すでにありません。

そして最も重要な変更がこれです。売却すると、その分の枠が翌年に復活します。旧制度では一度使った枠は戻りませんでした。ここが使い方を根本から変えています。

この記事でわかること

・つみたて投資枠と成長投資枠の違い
・年360万円・生涯1,800万円をどう使うか
・売却すると枠が復活する仕組み(簿価ベース)
・旧NISAで持っている資産はどうなるか
・ジュニアNISAの現在
・NISAのデメリット(損益通算できない)
・配当を非課税にするための必須設定
・成長投資枠で買えないもの

※ 本記事は2026年8月時点の制度内容にもとづきます。税制は改正されることがあるため、最新の内容は金融庁および国税庁の情報をご確認ください。

NISAとは?まず結論から

NISA(読み方:ニーサ/少額投資非課税制度)

NISA口座で買った株式や投資信託の売却益と配当・分配金にかかる税金が0円になる制度です。イギリスのISA(Individual Savings Account)を参考に、日本版として2014年に始まりました。

課税口座
利益 10万円
↓ 20.315%を課税
手取り 79,685円
NISA口座
利益 10万円
↓ 非課税
手取り 100,000円

差は20,315円です。利益が大きくなるほど、この差も大きくなります。

利用できる人

・日本国内に住んでいる18歳以上の人(その年の1月1日時点)
すべての金融機関を通じて1人1口座だけ
・口座開設料・維持費はかからない(主要ネット証券の場合)

新NISAの2つの枠

2024年からのNISAには枠が2つあり、両方を同時に使えます。

項目 つみたて投資枠 成長投資枠
年間の投資枠 120万円 240万円
買えるもの 金融庁の基準を満たす投資信託ETF 上場株式・投資信託・ETF・REITなど
買い方 積立のみ(毎月・毎週など) 一括でも積立でも可
非課税で持てる期間 無期限 無期限
生涯の上限 2つ合わせて1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
併用 できる(合計で年360万円まで)

個別株を買えるのは成長投資枠だけです。つみたて投資枠は金融庁が定めた基準(信託報酬が一定以下、毎月分配型でない、など)を満たす投資信託とETFに限られます。

※ 旧制度では「一般NISA」と「つみたてNISA」はどちらか一方しか選べませんでした。併用できるようになったのが大きな変更点です。

年360万円・生涯1,800万円の使い方

数字が2つあるので混乱しやすい部分です。分けて考えてください。

1

年間の枠は毎年リセットされる
つみたて120万+成長240万=360万円

使い切れなかった分を翌年に繰り越すことはできません。その年の枠はその年で消えます。

2

生涯の枠は1,800万円
最短5年で埋まる

年360万円を5年続けると1,800万円に到達します。ただし成長投資枠だけで埋められるのは1,200万円までで、残り600万円はつみたて投資枠を使う必要があります。

3

1,800万円は「買った金額」で数える
簿価残高方式

値上がりして評価額が2,500万円になっても、枠を圧迫するのは買ったときの金額です。含み益は枠を消費しません。

つみたて投資枠だけで1,800万円を埋めることもできる

「成長投資枠1,200万円」は上限であって、割り当てではありません。
投資信託の積立だけで1,800万円すべてを使うことも可能です。
逆に、成長投資枠で個別株だけを買う場合、生涯で1,200万円が上限になります。

売却すると枠が復活する

旧NISAとの最大の違いがここです。

旧NISA(〜2023年)
100万円ぶん買う
↓ 売却する
使った枠は戻らない

売ると枠を失うので、
売りにくい制度だった

新NISA(2024年〜)
100万円ぶん買う
↓ 売却する
翌年に100万円ぶん復活

ライフイベントで使って、
また積み直せる

復活のルールで押さえる3点

① 復活するのは翌年です。売ったその年のうちには使えません
② 復活する金額は買ったときの価格(簿価)です。100万円で買って150万円で売っても、戻るのは100万円ぶん
③ 年間の枠(360万円)は復活しません。戻るのは生涯枠1,800万円のほうだけです

つまり「今年360万円使い切った → 売却 → 今年もう一度360万円」はできません。

この仕組みによって、住宅購入や教育費でいったん取り崩し、あとから積み直すという使い方ができるようになりました。旧NISAでは枠を失うため、売却の判断そのものが重くなっていました。

旧NISAで持っている資産はどうなるか

2023年までに一般NISA・つみたてNISAで買った資産がある人向けの説明です。結論から言うと、そのまま持っていて問題ありません。

項目 どうなるか
非課税で持てる期間 買った時点のルールのまま。一般NISAは5年、つみたてNISAは20年
新NISAの枠との関係 別枠。1,800万円の生涯枠を消費しない
ロールオーバー 新NISAへの移管はできない
期間が終わったら 課税口座へ払い出される。その時点の価格が新しい取得価額になる
途中で売る 非課税期間内ならいつでも売れる。利益は非課税
追加で買う できない(2023年で新規買付は終了)
🔴 ロールオーバーはもうできません

旧制度では、5年の非課税期間が終わるときに翌年の枠へ移す「ロールオーバー」ができました。
新NISAへのロールオーバーは制度上できません。

非課税期間が終わると、その時点の時価で課税口座へ移されます。移された後に値上がりした分は課税対象になります。
逆に、値下がりした状態で払い出されると取得価額が下がるため、その後の値上がりで税負担が増えることがあります。

非課税期間の終わりが近い資産については、「期間内に売る」か「課税口座で持ち続ける」かを判断する必要があります。売って現金化し、翌年の新NISA枠で買い直すという選択肢もあります。

ジュニアNISAは終了した

18歳未満を対象にしたジュニアNISAは、2023年末で新規の買付が終了しました。

すでに持っている場合

・非課税で保有し続けられる(18歳になるまで)
2024年以降は、18歳未満でも払い出しができるようになりました
 (かつては18歳まで払い出せず、途中で出すと課税される制限がありました)
・ただし一部だけの払い出しはできず、全額払い出して口座を閉じる形になります
・払い出し時に課税されることはありません

なお、新NISAは18歳以上が対象です。未成年名義でNISAを使う制度は現在ありません。子ども名義で投資する場合は課税される未成年口座を使うことになります。

NISAのデメリット

非課税というメリットの裏側に、明確な制約があります。ここを知らずに使うと損をします。

1

損益通算ができない
最も大きなデメリット

課税口座なら、A株の損失とB株の利益を相殺して税金を減らせます。NISA口座の損失は「なかったもの」として扱われるため、他の口座の利益と相殺できません。

2

繰越控除も使えない

課税口座では、その年に相殺しきれなかった損失を3年間繰り越せます。NISAではこれもできません。

3

課税口座から移せない

すでに持っている株や投資信託をNISA口座へ移すことはできません。いったん売って、NISA口座で買い直すことになります。売却時に利益が出ていれば課税されます。

4

1人1口座しか作れない

金融機関の変更は年単位で可能ですが、その年に1度でも買い付けていると翌年まで変更できません。

5

信用取引・IPOの一部が使えない

NISA口座で信用取引はできません。IPOはNISA口座で受け取れる証券会社もありますが、対応は会社により異なります。

損益通算できないということは、値下がりする可能性が高いものほどNISAに向かないということです。短期売買を繰り返す用途より、長く持つ前提の資産に向いています。

※ 本記事は制度の説明であり、特定の商品や投資手法を勧めるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

配当を非課税にする設定(見落とし注意)

これは実務上いちばん多い取りこぼしです。

🔴 受取方法が「株式数比例配分方式」でないと配当は課税されます

NISA口座で株を買っても、配当金の受取方法の設定が違うと20.315%が源泉徴収されます。
非課税になるのは株式数比例配分方式(証券口座で受け取る方式)だけです。

受取方法 どこで受け取るか NISAで非課税
株式数比例配分方式 証券口座に入金される
配当金領収証方式 郵便局などで現金化する ×
登録配当金受領口座方式 指定した銀行口座にまとめて振込 ×
個別銘柄指定方式 銘柄ごとに指定した銀行口座 ×

証券会社の設定画面から今すぐ確認してください。設定は全証券会社で共通になるため、1社で変更すれば他社にも反映されます。高配当株をNISAで持つ意味が、この設定ひとつで消えます。

※ 投資信託の分配金は、この設定にかかわらずNISA口座内で非課税になります。設定が影響するのは上場株式・ETF・REITの配当(分配金)です。

成長投資枠で買えないもの

成長投資枠は「上場株式なら何でも買える」わけではありません。長期の資産形成に向かないとされる商品が除外されています。

除外されるもの 理由
整理銘柄・監理銘柄 上場廃止が決まっている、またはそのおそれがある
信託期間20年未満の投資信託 長期保有を前提にできない
毎月分配型の投資信託 元本を取り崩す分配が含まれることがあり、複利効果が働きにくい
高レバレッジ型の投資信託 デリバティブを使って値動きを増幅させており、長期保有に向かない

※ 対象商品の判定は投資信託協会が公表するリストにもとづきます。証券会社の商品ページに「NISA成長投資枠対象」の表示があるかで確認できます。

また、国内外の上場株式は原則として対象ですが、証券会社によって取扱いのある市場が異なります。米国株をNISAで買いたい場合は、その証券会社が米国株のNISA取引に対応しているかを確認してください。

金融機関の選び方と変更

NISA口座は1人1口座なので、どこに開くかの判断が必要になります。

見るポイント なぜ重要か
取扱商品 銀行では個別株を買えない。成長投資枠で株を買うなら証券会社
投資信託の本数 つみたて投資枠の選択肢の広さが変わる
クレカ積立 積立額に応じてポイントが付く。年単位で見ると差が出る
単元未満株の対応 1株から成長投資枠を使えるか
手数料 主要ネット証券は国内株の売買手数料が0円
金融機関を変更する場合

年単位でのみ変更できます
・その年に1度でも買い付けていると、その年は変更できません(翌年から)
・変更しても、前の金融機関で買った資産はそのまま非課税で持ち続けられます(移管はされません)
・手続きには「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」が必要です

証券会社ごとの違いは証券会社の比較記事で整理しています。口座の区分そのものについては口座の種類もあわせてご覧ください。

NISAに関するよくある質問

一般NISAとつみたてNISAはどちらを選べばいいですか?
この2つは2023年末で新規買付が終了しており、現在は選ぶ対象ではありません。2024年からは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が1つのNISAの中にあり、両方を同時に使えます。
旧NISAの資産を新NISAにロールオーバーできますか?
できません。制度上、新NISAへの移管は認められていません。非課税期間が終わると、その時点の時価で課税口座へ払い出されます。期間内に売却して、翌年の新NISA枠で買い直すという選択肢はあります。
売却したら枠はいつ復活しますか?
翌年です。復活するのは生涯の1,800万円の枠で、金額は買ったときの価格(簿価)です。その年の年間枠360万円は復活しません。
NISAで損をしたらどうなりますか?
損失は税務上「なかったもの」として扱われます。他の口座の利益と相殺する損益通算も、翌年以降への繰越控除もできません。非課税である代わりの制約です。
今持っている株をNISA口座に移せますか?
移せません。課税口座からNISA口座への移管はできないため、いったん売却してNISA口座で買い直すことになります。売却時に利益が出ていれば、その分は課税されます。
NISA口座で配当は必ず非課税になりますか?
なりません。配当金の受取方法が「株式数比例配分方式」になっている必要があります。他の3方式のままだと、NISA口座で保有していても20.315%が源泉徴収されます。証券会社の設定画面で確認してください。
ジュニアNISAで持っている資産はどうすればいいですか?
18歳になるまで非課税で保有できます。2024年以降は18歳未満でも払い出せるようになり、払い出し時に課税されることもありません。ただし一部だけの払い出しはできず、全額払い出して口座を閉じる形になります。
年の途中でNISA口座を開いたら枠はどうなりますか?
その年の枠は満額使えます。1月に開設しても12月に開設しても、つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円は変わりません。ただし積立の場合、残りの月数で割ることになるため、実際に投じられる金額は少なくなります。

まとめ

NISAは、投資の利益にかかる20.315%の税金が0円になる制度です。2024年から非課税期間が無期限になり、売却すれば枠が復活するようになりました。使い切る前提の制度ではなくなっています。

この記事のまとめ

・つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=年360万円まで併用できる
・生涯の上限は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
・非課税で持てる期間は無期限。口座開設期間も恒久化された
・売却すると翌年に枠が復活する(買ったときの価格で計算)
・旧NISAの資産は別枠。新NISAへのロールオーバーはできない
・ジュニアNISAは終了。2024年以降は18歳未満でも払い出せる
・損益通算・繰越控除ができないのが最大のデメリット
・配当の非課税には「株式数比例配分方式」の設定が必須

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