W-8BEN とは?米国株の配当にかかる源泉徴収を 30% から 10% にする書類。日本の証券会社での提出方法・有効期限・出し忘れたときの対処

W-8BEN とは、米国の税務当局(IRS)に「自分は米国の非居住者で、日米租税条約の適用を受ける」と申告する書類です。これを出していないと、米国株の配当には米国で 30% の源泉徴収がかかります。提出すれば日米租税条約の軽減税率 10% に下がります。日本の証券会社で米国株口座(外国株式取引口座)を開くときに、ほぼ必ずオンラインで提出するので、多くの人は意識せずに済ませています。ただし有効期限があり、期限が切れると 30% に戻るため、書類の意味と更新のタイミングは知っておく必要があります。この記事では W-8BEN の中身、提出方法、有効期限、出し忘れたときの対処、ETF・ADR での扱いをまとめます。

この用語の要点
  • W-8BEN を出すと米国の配当源泉徴収が 30% → 10%。売却益には米国の税金はかからない
  • 日本のネット証券では口座開設時にオンラインで提出。有効期限は提出した年の末から 3 年で、証券会社が更新を案内する
  • 10% 引かれた後に日本でも 20.315% 課税される。米国分は確定申告の外国税額控除で一部を取り戻せる(NISA 口座は対象外)

W-8BEN の中身:非居住者であることと、租税条約の適用を申告する

米国では、外国人(非居住者)が受け取る配当に原則 30% の源泉徴収をかけます。ただし米国と租税条約を結んでいる国の居住者は、条約で決まった軽減税率が適用されます。日米租税条約では配当が 10%(一定の親子会社間は 5% か 0%)、利子や使用料は原則 0% です。

この軽減税率を受けるために、受取人が「自分は日本の居住者である」と申告する書類が W-8BEN(Certificate of Foreign Status of Beneficial Owner)です。個人用が W-8BEN、法人用が W-8BEN-E です。

項目記入する内容
Part I氏名・国籍・住所・生年月日・外国の納税者番号(日本ではマイナンバー)
Part II租税条約の相手国(Japan)と、適用を求める条項・税率
Part III署名と日付。内容が正しいことの宣誓

証券会社の画面では、氏名・住所・マイナンバーの確認と同意のチェックだけで完了することがほとんどです。紙の様式を自分で書く必要はありません。

日本の証券会社での提出方法と有効期限

SBI 証券・楽天証券・マネックス証券・松井証券などのネット証券では、米国株の取引口座(外国株式取引口座)を開設する手続きの中で W-8BEN の提出が組み込まれています。口座開設が完了した時点で提出済みになり、提出日から軽減税率が適用されます。

項目内容
提出のタイミング外国株式取引口座の開設時(オンライン)
有効期限提出した年の 12 月 31 日から 3 年後の 12 月 31 日まで(例:2026 年提出なら 2029 年末)
更新の方法期限前に証券会社からメールや画面で案内。オンラインで再提出
住所・氏名が変わったとき30 日以内に再提出が原則。証券会社の住所変更手続きで同時に更新される

有効期限が切れると、更新するまで配当の源泉徴収が 30% に戻ります。日本で受け取る配当の手取りが急に減ったら、W-8BEN の期限切れを疑ってください。証券会社の「外国株式」の設定画面に有効期限が表示されていることが多いので、年に 1 回は確認しておくと安心です。

10% 引かれた後の日本の税金と、外国税額控除

W-8BEN を出しても、米国で 10% は引かれます。その残りに日本で 20.315% が課税されるので、配当の手取りは約 71.7% です。

配当 100 ドルの場合W-8BEN ありW-8BEN なし(期限切れ)
米国の源泉徴収10 ドル30 ドル
日本の課税(20.315%)約 18.3 ドル約 14.2 ドル
手取り約 71.7 ドル約 55.8 ドル

日本と米国で二重に課税された分は、確定申告で外国税額控除を使うと、所得税・住民税から一定の限度額まで差し引けます。特定口座(源泉徴収あり)でも自動では控除されないため、取り戻すには自分で確定申告が必要です。手続きは 外国税額控除の解説 にまとめています。

NISA 口座では日本の 20.315% が非課税になる代わりに、米国の 10% は引かれたままで外国税額控除の対象になりません。W-8BEN を出していないと NISA でも 30% 引かれるので、NISA で米国株を持つ人こそ W-8BEN の有効期限に気をつけてください。

ETF・ADR・債券での扱いと、よくある勘違い

米国 ETF(VOO・VTI・VYM など)の分配金も、米国企業の配当と同じく 10% の源泉徴収です。ただし ETF が米国以外の株を組み入れている場合、その国でも先に税金が引かれるため、三重課税に近い状態になることがあります(VT や新興国 ETF)。

ADR(米国以外の企業を米国株として買う仕組み)の配当は、発行国の税率が適用されます。英国 ADR は 0%、フランス ADR は 25〜30% など国によって違い、W-8BEN では下がりません。詳しくは ADR の解説 をご覧ください。

米国債や社債の利子は日米租税条約で 0% なので、W-8BEN を出していれば米国での源泉徴収はありません。

よくある勘違いを 3 つ挙げます。

  • 「W-8BEN を出せば米国の税金はゼロになる」:ゼロではなく 10% です。ゼロになるのは利子です
  • 「売却益にも 10% かかる」:米国株の売却益は米国では非課税で、日本でだけ 20.315% です
  • 「一度出せば永久に有効」:3 年で切れます。証券会社の案内を無視しないでください

米国株の口座を初めて開く人は、米国株の始め方で口座開設の手順を、証券会社ごとの手数料や NISA の扱いは 証券会社 9 社の比較 で確認してください。

W-8BENに関するよくある質問

W-8BEN を提出したか分かりません。どこで確認できますか?
証券会社のマイページの「外国株式」や「口座情報」に、W-8BEN の提出状況と有効期限が表示されます。ネット証券で米国株を買えている状態なら、開設時に提出済みです。
複数の証券会社で米国株を持っている場合、W-8BEN はそれぞれ必要ですか?
はい。W-8BEN は証券会社ごとに提出します。有効期限もそれぞれ別に管理されます。
期限切れで 30% 引かれた配当は取り戻せますか?
証券会社を通じて還付を請求できる場合がありますが、手続きが煩雑で対応していない会社もあります。日本の確定申告で外国税額控除を使えば、引かれた分の一部は控除できます。まずは W-8BEN を再提出して以後の配当を 10% に戻すのが先です。
W-9 という書類との違いは何ですか?
W-9 は米国の居住者・市民が提出する書類です。日本に住む日本人は W-8BEN です。米国籍を持つ人や米国のグリーンカード保有者は税務上の米国人にあたるため、証券会社の案内に従って別の手続きが必要になります。

関連する用語

  • 外国税額控除
    外国税額控除とは、米国株の配当に米国で課された 10% の税金を、日本の所得税・住民税から差し引
  • ADR(米国預託証券)
    ADR(米国預託証券)とは、米国以外の企業の株式を米国の取引所でドル建てで売買できるようにした証
  • NISA
    NISAとは、投資で得た利益に税金がかからなくなる制度です。
  • 特定口座
    特定口座とは、証券会社が1年間の売買損益を計算し、年間取引報告書を作成してくれる口座のことです。
  • 円貨決済と外貨決済
    円貨決済とは、米国株を円のまま注文し、証券会社が約定時に自動で両替する決済方法です。外貨決済は先
  • 権利落ち日(Ex-Dividend Date)と四半期配当

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執筆:(Pacific Stock 編集長・専業投資家歴20年)
様式と有効期限は IRS の Form W-8BEN の説明書(Instructions for Form W-8BEN)、税率は日米租税条約第 10 条・第 11 条、日本の課税は所得税法・租税特別措置法(2026 年 9 月時点)、証券会社の手続きは各社公式サイトの案内にもとづきます。 本記事は情報提供を目的とし、特定の銘柄・証券会社の売買や口座開設を推奨するものではありません。当サイトは証券会社の口座開設等によりアフィリエイト報酬を得る場合がありますが、比較の順位や数値には影響しません。最終更新 2026-09-17。

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