必要なのは、米国株を扱う証券口座と、数千円〜の資金だけです。ただし日本株と違う点が 6 つあり、そこを知らずに始めると「注文したのに約定しない」「配当が思ったより少ない」でつまずきます。このページは、口座開設から最初の 1 株を買うまでの 5 ステップと、その 6 つの違いを先に押さえます。
米国株と日本株の 6 つの違い
やることは日本株と同じ「口座を作り、入金し、注文する」ですが、ルールが 6 か所で違います。先に知っておくと、あとの 5 ステップがすべて腑に落ちます。
| 項目 | 米国株 | 日本株 |
|---|---|---|
| 売買単位 | 1 株から。株価が 50 ドルなら 50 ドル(約 7,500 円)で買える | 原則 100 株単位(単元未満株のサービスは別) |
| 取引時間 | 日本時間の夜〜早朝。夏時間は 23:30〜翌 6:00、冬時間は 22:30〜翌 5:00 | 9:00〜15:30(昼休みあり) |
| 値幅制限 | なし(ストップ高・ストップ安がない)。市場全体の急落時に取引を止めるサーキットブレーカーはある | 銘柄ごとに値幅制限あり |
| 銘柄の指定 | ティッカー(アルファベット 1〜5 文字。例:AAPL、NVDA) | 4 桁の証券コード |
| 配当 | 年 4 回(四半期ごと)が主流。ドルで支払われ、米国で 10% 源泉徴収される | 年 1〜2 回が主流 |
| 決算 | 四半期ごとに、EPS(1 株利益)と市場予想(コンセンサス)の差で株価が動く。発表は日本時間の早朝か深夜 | 四半期決算だが、会社予想との比較が中心 |
サーキットブレーカーは S&P500 が前日比 7%・13%・20% 下落したときに市場全体の取引を一時停止する仕組みです(サーキットブレーカーとは)。
米国株の始め方|5 ステップとかかる時間
実際に待つのは審査だけです。早ければ申し込んだ翌営業日には最初の注文を出せます。
- 米国株を扱う証券会社を選ぶ30 分〜|手数料はほぼ横並び。差がつくのは為替コスト・NISA・時間外取引
主要ネット証券は売買手数料が約定代金の 0.495%(上限 22 ドル)で横並びです。選ぶ基準は「為替コスト」「NISA での手数料」「時間外取引への対応」「アプリの使いやすさ」の 4 つ。下の比較表で決めます。
- 口座の種類を決める(特定口座・源泉徴収あり)5 分|申し込み画面の途中で選ぶ。あとから変えると手間
迷ったら特定口座(源泉徴収あり)です。米国株の譲渡益も配当も、証券会社が日本の税金を計算して天引きします。NISA を使うなら、この段階で NISA 口座も同時に申し込みます。
- 外国株式取引口座を開く即日〜翌営業日|総合口座とは別の申請が必要な会社がある
証券会社によっては、総合口座を作ったあとに「外国株式取引口座」を追加で申し込みます。申し込みは画面上のボタン 1 つで、追加書類は不要なことがほとんどです。ここを忘れると、米国株の注文画面に進めません。
- 入金して、決済方法(円貨・外貨)を決める即時〜翌営業日|円のまま買うか、先にドルに替えるか
円貨決済は円のまま注文でき、約定時に証券会社が自動で両替します。外貨決済は先に円をドルに替えておき、ドルで注文します。最初は円貨決済で問題ありませんが、為替コストは会社によって円貨決済のほうが高いことがあります(コストの全体像)。
- ティッカーで注文する10 分|取引時間は日本時間の夜。日中の注文は「予約」になる
銘柄はティッカー(例:AAPL)で検索し、株数・注文方法(成行・指値)・決済方法を指定します。日本の日中に出した注文は、その夜の取引開始(夏時間 23:30/冬時間 22:30)に市場へ届きます。指値は「1 ドル単位ではなく 0.01 ドル単位」で指定します。
ステップ 1:証券会社の選び方(主要 4 社の比較)
売買手数料は 4 社とも約定代金の 0.495%(上限 22 ドル)で同じです。差が出るのは為替コスト(1 ドルあたり何銭か)、NISA での手数料、時間外取引の 3 つです。
| 証券会社 | 売買手数料 | 為替コスト(1 ドルあたり) | NISA | 時間外取引 |
|---|---|---|---|---|
| 松井証券 | 0.495%(上限 22 ドル) | 0 銭 | 売買手数料 無料 | プレに対応(17 時〜)。12/6 取引分から 23 時間 |
| SBI証券 | 0.495%(上限 22 ドル) | 0 銭円貨決済は 25 銭 | 売買手数料 無料 | 未対応(年内に対応予定) |
| 楽天証券 | 0.495%(上限 22 ドル) | 0 銭 | 売買手数料 無料 | アフターに対応(2026/6/22〜) |
| マネックス証券 | 0.495%(上限 22 ドル) | 買付 0 銭/売却 25 銭 | 買付 無料(実質)/売却 0.495% | プレ・アフターに対応 |
各社公表の料率(2026-09-05 確認)。時間外取引の対応は 2026 年 9 月時点で、SBI 証券は年内対応予定と発表しています。円貨決済の為替コストは会社によって上の数字と異なります。9 社の詳しい比較は米国株におすすめの証券会社 9 社を比較、条件を入れて比べるならコスト&配当手取りシミュレーターで 8 社を一度に計算できます。
証券会社は何社開いても無料です。最初の 1 社を決めたら、あとから 2 社目を足しても問題ありません。当サイトは証券会社の口座開設によりアフィリエイト報酬を得る場合がありますが、比較の順位や数値には影響しません。
ステップ 2:口座の種類と NISA
特定口座(源泉徴収あり)を選ぶ
米国株の譲渡益(売却益)は日本で 20.315% 課税されます。特定口座(源泉徴収あり)なら、証券会社が円換算で損益を計算して天引きするので、確定申告は不要です。一般口座は自分で円換算して申告することになるため、最初に選ぶ理由はありません。
NISA で米国株を買う
NISA では、米国の個別株と ETF は成長投資枠(年 240 万円)で買えます。つみたて投資枠(年 120 万円)は投資信託が対象で、米国の個別株は買えません。NISA 口座で受け取った配当と売却益は日本では非課税ですが、米国で源泉徴収される 10% は NISA でも引かれ、外国税額控除で取り戻すこともできません。それでも特定口座(配当の手取り 約 71.7%)より NISA(約 90%)のほうが手取りは多くなります。
| 口座 | 売却益 | 配当(米国 10% 源泉後) | 確定申告 |
|---|---|---|---|
| 特定口座(源泉徴収あり) | 20.315% を天引き | さらに 20.315% を天引き(手取り 約 71.7%) | 不要。外国税額控除を使うなら申告 |
| NISA(成長投資枠) | 非課税 | 日本では非課税(手取り 90%) | 不要。外国税額控除は使えない |
| 一般口座 | 自分で計算して申告 | 自分で申告 | 必要 |
いくらから始められるか
米国株は 1 株単位なので、必要な資金は「株価 × 1 株 + 手数料」です。株価が 30 ドルの銘柄なら、1 ドル 150 円として約 4,500 円に手数料(0.495%=約 22 円)と為替コストが乗る程度です。日本株の「100 株で数十万円」と比べて、最初の 1 歩がずっと小さくできます。
取引時間・約定の見方・配当の入り方を実際に体験するのが目的。金額が小さければ、為替や値動きで多少損をしても授業料で済みます。
S&P500 やナスダック 100 に連動する ETF は 1 口数十〜数百ドル。個別株を選ぶ前に「市場そのもの」を持つ選択肢です。
多くの証券会社に米国株・ETF の定期買付サービスがあります。ドルコスト平均法は高値づかみを避ける方法ではなく、買うタイミングを決めなくて済む方法です。
株価が同じでも 1 ドル 150 円が 140 円になれば円ベースで約 7% の損です。円安・円高は米国株の損益の一部だと最初から織り込んでおきます。
日本時間の取引時間(夏時間・冬時間)
ニューヨーク市場は現地 9:30〜16:00 です。米国は 3 月第 2 日曜〜11 月第 1 日曜が夏時間(サマータイム)で、日本時間は 1 時間ずれます。2026 年は 3 月 8 日〜11 月 1 日が夏時間です。
| 期間 | 通常取引(日本時間) | プレマーケット | アフターマーケット |
|---|---|---|---|
| 夏時間(3 月第 2 日曜〜11 月第 1 日曜) | 23:30〜翌 6:00 | 17:00〜23:30 | 6:00〜10:00 |
| 冬時間(11 月第 1 日曜〜3 月第 2 日曜) | 22:30〜翌 5:00 | 16:00〜22:30 | 5:00〜9:00 |
プレ・アフターは証券会社が対応していれば取引できる時間帯(現地 4:00〜9:30、16:00〜20:00)。対応の有無と時間帯は会社ごとに異なります(上の 4 社比較)。
決算発表の多くは「引け後」(日本時間の早朝 5〜6 時台)か「寄り前」(日本時間の 20〜21 時台)に出ます。発表直後に大きく動くのは時間外取引の時間帯なので、翌日の通常取引で対応するか、時間外取引に対応した証券会社を使うかを先に決めておきます。銘柄ごとの日程は米国株の決算カレンダー(日本時間)で確認できます。
コストの全体像
米国株のコストは 3 種類です。合計しても往復で 1〜2% 程度ですが、少額・短期の売買ほど効きます。
| コスト | 目安 | どこで差がつくか |
|---|---|---|
| 売買手数料 | 約定代金の 0.495%(上限 22 ドル)。約 4,444 ドル以上の注文は上限に張り付く | NISA なら無料の会社が多い。手数料 0 円の会社もある |
| 為替コスト | 1 ドルあたり 0〜25 銭。1 ドル 150 円なら 25 銭=約 0.17% | 買付時 0 銭でも売却・出金時にかかる会社がある。円貨決済と外貨決済で違う |
| 現地の諸費用 | 売却時に SEC 手数料など(約定代金の 0.003% 未満) | ほぼ差がない。手数料 0 円の会社でもかかる |
年に何回売買するか、配当をいくら受け取るかで最適な会社は変わります。コスト&配当手取りシミュレーターに「投資額・年間の売買回数・配当利回り・NISA の有無」を入れると、8 社の年間コストと配当の手取りが並びます。
税金と外国税額控除
配当:米国 10% + 日本 20.315%
米国株の配当は、まず米国で 10% が源泉徴収され、残りに日本で 20.315% がかかります。100 ドルの配当なら手取りは約 71.7 ドルです。この二重課税を調整するのが外国税額控除で、確定申告をすると米国で払った 10% の全部または一部が所得税・住民税から差し引かれます。控除できる額は日本での所得税額に上限があり、所得が少ない年は全額戻らないこともあります。
売却益:日本で 20.315%、米国では非課税
売却益は日本でのみ課税されます。特定口座(源泉徴収あり)なら円換算の損益計算まで証券会社がやってくれます。損失が出た年は、日本株の損益と通算でき、確定申告すれば翌年以降 3 年間繰り越せます。
為替差益
円貨決済で売買した株式の損益は、円換算した売却額と取得額の差として株式の譲渡損益に含まれます。一方、外貨決済でドルのまま長く保有し、そのドルを円に戻したときの為替差益は、雑所得として課税対象になる場合があります。金額が大きくなる人は、税務署か税理士に確認してください。
税金の扱いは制度改正で変わります。本ページは 2026 年 9 月時点の制度にもとづき、一次資料(国税庁・各証券会社の案内)を確認して書いています。個別の申告については税務署・税理士にご相談ください。
最初の 1 銘柄の決め方
「何を買うか」より先に「いつ買うか」を決めると失敗が減ります。米国株は決算発表の直後に 1 日で 10% 動くことが珍しくありません。決算の翌日に買えば、少なくとも「知らずに決算をまたぐ」ことは避けられます。
- 決算日を確認する:決算カレンダーで、候補銘柄の次回発表日が 1 週間以内でないかを見ます。
- 前回の決算を読む:売上高と EPS が市場予想を上回ったか。銘柄別ページに前回実績と予想を載せています。
- 1 株だけ買う:約定通知・配当の入金・円換算の損益がどう表示されるかを見ます。ここまでで、米国株の「操作」は全部わかります。
- 個別株かETFかを決める:個別株を選ぶ時間がないなら、S&P500 連動の ETF を定期買付にする選択肢があります。
本ページは特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。銘柄選びの考え方はバリュー投資・グロース投資の用語解説も参考にしてください。
初心者がつまずく 7 つのポイント
米国市場は日本時間の夜に開きます。日中の注文は「その夜の寄り付き」まで待ちの状態です。
米国株の呼値は 0.01 ドル。「150 ドル」ではなく「149.85 ドル」のように指定できます。
売却代金がドルで残るのか円に戻るのかは、注文時の決済方法で決まります。会社によって為替コストも違います。
米国 10% が先に引かれ、さらに日本で 20.315%。手取りは約 7 割です。外国税額控除を知らないと取り戻せません。
配当を受け取るには権利落ち日の前営業日までに約定している必要があります。米国は 2024 年 5 月から T+1 決済です。
時間外取引で 10% 動いたあと、翌日の通常取引はその値段から始まります。日程は決算カレンダーで先に見ておきます。
3 月と 11 月に取引開始が 1 時間ずれます。「いつもの時間に開かない」はこれが原因です。
次に使うツール・読む用語
米国株の始め方に関するよくある質問
米国株はいくらから買えますか?
日本時間の何時に取引できますか?
米国株の配当にはどんな税金がかかりますか?
NISA で米国株は買えますか?
円貨決済と外貨決済はどちらがいいですか?
決算発表はいつ・どこで確認できますか?
英語ができなくても大丈夫ですか?
執筆:佐々木優也(Pacific Stock 編集長・専業投資家歴20年)
手数料・為替コストは各社の公表資料(2026-09-05 確認)、税制は国税庁の案内、取引時間はニューヨーク証券取引所の公表日程にもとづきます。本ページは情報提供を目的とし、特定の銘柄・証券会社の売買や口座開設を推奨するものではありません。証券会社の口座開設等によりアフィリエイト報酬を得る場合がありますが、比較の順位や数値には影響しません。最終更新 2026-09-11。
