米国債 ETF とは?AGG・BND・TLT の違い(対象・残存期間・デュレーション・利回り)と金利が動いたときの値動き【2026 年版】

米国債 ETF は、米国の国債や投資適格の社債をまとめて保有できる ETF で、株の ETF と同じように証券口座で売買でき、毎月分配金が出ます。日本で買われている代表が AGG・BND(米国の投資適格債券全体)と TLT(残存 20 年超の米国債)です。債券 ETF の値動きを決めるのは「デュレーション」で、TLT は金利が 1% 上がると価格が約 16% 下がります。この記事では 3 本の違い、金利と価格の関係、2022 年に何が起きたか、分配金の税金、株との組み合わせ方を説明します。

この用語の要点
  • AGG・BND=米国の投資適格債券市場全体(国債約 4〜5 割・政府機関の住宅ローン担保証券・社債)、デュレーション約 6 年、経費率 0.03%。TLT=残存 20 年超の米国債だけ、デュレーション約 16 年、経費率 0.15%
  • 金利が 1% 動くと価格はデュレーション分(%)逆方向に動く。TLT は 2022 年に約 31% 下落(金利急上昇)。「安全資産」でも値動きは株並みになりうる
  • 分配金は毎月。米国の源泉徴収は国債の利子分について免除されることが多く、日本で 20.315%。NISA 成長投資枠の対象(AGG・BND・TLT とも主要ネット証券で可)

AGG・BND・TLT の比較表

AGGBNDTLT
運用会社ブラックロックバンガードブラックロック
対象米国の投資適格債券全体米国の投資適格債券全体残存 20 年超の米国債
中身国債・政府機関 MBS・社債など約 1 万銘柄同左、約 1 万銘柄超米国債約 40 銘柄
デュレーション約 6 年約 6 年約 16 年
経費率0.03%0.03%0.15%
分配毎月毎月毎月
金利 1% 上昇時の価格約 −6%約 −6%約 −16%

AGG と BND は指数がほぼ同じ(ブルームバーグ米国総合債券指数とその派生)で、中身も値動きもほとんど変わりません。どちらか 1 本で米国の債券市場全体を持てるので、両方買う意味はあまりありません。

TLT はまったく別物です。残存期間が 20 年を超える米国債だけを持つため、信用リスクはほぼゼロでも金利リスクは債券 ETF の中で最大級です。金利が下がる局面では大きく値上がりし、上がる局面では大きく下がります。「米国債=安全」というイメージで TLT を買うと、値動きの大きさに驚くことになります。

デュレーション:金利が動いたときの値動きの目安

債券の価格は金利と逆に動きます。金利が上がると、すでに発行された低い利率の債券は魅力が落ちて価格が下がります。どれだけ下がるかの目安がデュレーション(年)で、「金利 1% の変動 × デュレーション ≒ 価格の変動率(%)」です。デュレーション 6 年の AGG は金利 1% 上昇で約 6% の下落、16 年の TLT は約 16% の下落になります。

実際に起きたのが 2022 年です。FRB がゼロ金利から 1 年で 4% 以上利上げし、10 年債利回りは 1.5% 台から 4% 台へ上がりました。この年、AGG・BND は約 13%、TLT は約 31% 下落しました(分配金込み)。同じ年の S&P500 は約 18% の下落なので、TLT は株より大きく下げたことになります。

逆に金利が下がる局面では、TLT は株の下落を打ち消す働きをします。2008 年や 2020 年 3 月のように景気後退で金利が急低下した局面では、TLT は 2 桁の上昇でした。TLT は「金利が下がる」と考える人が買う商品で、利回り目当てで持ち続けるものではありません。金利の見通しは10 年債利回りとFF レートの記事を参照してください。

分配金の税金と為替

債券 ETF の分配金は毎月出ます。利回りは AGG・BND で 4% 前後、TLT で 4% 台(2026 年時点の目安)で、株の高配当 ETF と同じ水準です。税金は株の ETF と少し違います。米国債や社債の利子に相当する分配金は「利子関連配当」として米国の源泉徴収(10%)が免除されることが多く、その場合は日本の 20.315% だけがかかります。免除の割合は ETF ごとに毎年決まるので、証券会社の分配金明細で米国源泉税の欄を確認してください。

もう 1 つ忘れやすいのが為替です。米国債 ETF はドル建てなので、円高になると円ベースの価値が下がります。デュレーション 6 年の AGG でも、1 年で 10% の円高が来れば値動きは株並みになります。為替の影響を避けたい人は、東証上場の為替ヘッジありの米国債 ETF(為替ヘッジあり・なし)という選択肢がありますが、ヘッジコストとして日米金利差(年 3% 前後)が引かれます。

NISA の成長投資枠では AGG・BND・TLT とも買えます(主要ネット証券の取扱いを確認)。NISA では日本の税金がかからないので、分配金の手取りは 90〜100% になります。

株との組み合わせ方:何のために持つかを決める

目的向く ETF理由
株の値動きを和らげたいAGG・BNDデュレーション 6 年、株との相関が低い
景気後退・利下げに備えるTLT金利低下で大きく値上がり。平時は値動きが重い
毎月の分配金が欲しいAGG・BND毎月分配、値動きは債券の中では穏やか
為替の影響を避けたい東証上場の為替ヘッジあり ETFヘッジコスト(日米金利差)は引かれる

伝統的な「株 60%・債券 40%」の債券部分に使うなら AGG か BND です。TLT は債券の中では例外的に値動きが大きいため、資産全体の安定化には向かず、金利低下に賭ける道具として少額で使うのが現実的です。買う前にコスト&配当手取りシミュレーターで為替コストと分配金の手取りを確認しておくと、利回りの数字と実際の手取りの差がわかります。

米国債 ETFに関するよくある質問

AGG と BND はどちらを選べばよいですか?
ほぼ同じ指数を追う ETF で、中身も値動きもほとんど変わりません。経費率も同じ 0.03% です。取引量の多さや証券会社の取扱いで選んで問題ありません。両方持つ意味は薄いです。
TLT は安全資産ですか?
信用リスク(米国政府が返済しないリスク)はほぼありませんが、金利リスクは大きく、金利 1% の上昇で約 16% 下落します。2022 年は約 31% 下げました。値動きの大きさでは株に近い商品です。
分配金に米国の税金はかかりますか?
国債や社債の利子に相当する部分は「利子関連配当」として米国の源泉徴収が免除されることが多く、その場合は日本の 20.315% だけです。免除の割合は毎年変わるので、証券会社の分配金明細で確認してください。
円高になったらどうなりますか?
ドル建てなので円ベースの価値は下がります。10% の円高なら分配金も価格も円換算で 10% 目減りします。為替の影響を避けたい場合は東証上場の為替ヘッジあり ETF を使いますが、日米金利差分のヘッジコストがかかります。

関連する用語

あわせて使うツール・記事

執筆:(Pacific Stock 編集長・専業投資家歴20年)
各 ETF の対象・デュレーション・経費率・分配頻度はブラックロックとバンガードの公式ファクトシート(2026 年 9 月時点)、2022 年の騰落率は各社の年次リターン(分配金込み)、税制は日米租税条約と所得税法・租税特別措置法にもとづきます。デュレーションによる価格変動は近似値です。 本記事は情報提供を目的とし、特定の銘柄・証券会社の売買や口座開設を推奨するものではありません。当サイトは証券会社の口座開設等によりアフィリエイト報酬を得る場合がありますが、比較の順位や数値には影響しません。最終更新 2026-09-25。

スポンサーリンク
おすすめの記事