FF レート(政策金利)とは?FRB が決める米国の金利の仕組み・誘導目標レンジの読み方・利上げ・利下げが米国株と円相場に効く経路

FF レート(Federal Funds Rate、フェデラルファンド金利)とは、米国の銀行が FRB に預ける準備預金を銀行同士で翌日物で貸し借りするときの金利で、FRB が年 8 回の FOMC で「誘導目標レンジ」を決めることから、米国の政策金利と呼ばれます。「4.25〜4.50%」のように 0.25% 幅のレンジで示され、0.25% の変更を「1 回分」と数えます。この金利が世界のドル資金の基準となり、米国株の割引率、ドル円相場、住宅ローン金利、新興国の資金流出入まで動かします。この記事では、FF レートの仕組みと誘導の方法、利上げ・利下げが株と為替に効く経路、2022 年以降の推移、市場がどう織り込むか(FedWatch)の見方をまとめます。

この用語の要点
  • FF レートは銀行間の翌日物金利。FRB は FOMC で0.25% 幅の誘導目標レンジを決め、準備預金への付利(IORB)で実際の金利をレンジ内に誘導する
  • 利上げ→ドル高・株の割引率上昇・ハイテク株安、利下げ→その逆。ただし市場は「決定」より「先の見通し(ドットチャート・声明文)」で動く
  • 市場の織り込みは CME FedWatch(FF 金利先物から計算した確率)で見る。「利下げが 8 割織り込まれている」なら決定当日はほぼ動かない

FF レートの仕組み:誘導目標レンジと IORB

米国の銀行は FRB に準備預金を置いており、余った銀行が足りない銀行に翌日物で貸します。その金利が FF レートです。FRB は FF レートそのものを命令で決めるのではなく、「誘導目標レンジ」を示し、次の 2 つの金利でレンジ内に収めます。

道具内容役割
誘導目標レンジ例:4.25〜4.50%FOMC が決める目標。声明文で発表
IORB(準備預金への付利)レンジの上限付近銀行はこれより低い金利では貸さないので、上限の役割
翌日物リバースレポ金利レンジの下限付近MMF などが FRB に資金を預ける金利。下限の役割
実効 FF レート(EFFR)実際に取引された加重平均毎日公表。通常はレンジのやや上限寄り

ニュースで「FRB が 0.25% 利下げして 4.00〜4.25% に」とあれば、この誘導目標レンジの話です。レンジの上限を指して「4.25%」と言うことも、中央値を指して「4.125%」と言うこともあり、報道によって表記が違います。

FOMC は年 8 回(約 6 週間ごと)に開かれ、決定は日本時間の木曜午前 3 時(夏時間)または 4 時(冬時間)に発表されます。日程と議事要旨の読み方は FOMC の解説 をご覧ください。

利上げ・利下げが米国株と円相場に効く経路

経路利上げのとき利下げのとき
株の割引率上昇 → 理論株価が下がる。ハイテク・成長株に逆風低下 → 理論株価が上がる
企業の借入コスト上昇 → 小型株・不動産・赤字企業に逆風低下 → 小型株が買われやすい
銀行の利ざや拡大しやすい(銀行株にプラス)縮小しやすい
ドル円日米金利差の拡大 → 円安金利差の縮小 → 円高
住宅ローン・消費抑制 → 景気減速刺激 → 景気拡大
新興国ドル資金の流出ドル資金の流入

利下げは株にプラス、と単純には言えません。景気が悪化して仕方なく利下げする局面(2001 年・2007 年)では、利下げ開始後に株が大きく下がりました。景気が堅調なまま予防的に利下げする局面(1995 年・2019 年・2024 年)では株が上がりました。「なぜ利下げするのか」が重要で、過去の実測は 利下げの解説 にまとめています。

日本の投資家にとっては、ドル円への影響が資産の円換算額に直結します。利下げ局面は円高になりやすく、米国株が上がっても円ベースでは伸びが鈍ることがあります。

2022 年以降の推移と、10 年債利回りとの違い

時期誘導目標レンジ出来事
2020 年 3 月〜2022 年 3 月0.00〜0.25%コロナ禍のゼロ金利
2022 年 3 月〜2023 年 7 月0.25% → 5.25〜5.50%11 回で 5.25% の急速な利上げ。0.75% 幅を 4 回連続
2023 年 7 月〜2024 年 9 月5.25〜5.50% で据え置き約 14 か月の高止まり
2024 年 9 月〜12 月5.50% → 4.25〜4.50%0.50% で利下げ開始、計 1.00%
2025 年〜2026 年段階的な利下げインフレの鈍化と労働市場の軟化を見ながら調整

FF レートは翌日物の短期金利で、FRB が直接動かせます。一方、株価により直接効く 10 年債利回り は市場が決める長期金利で、FRB が利下げしても上がることがあります。「政策金利は FRB、長期金利は市場」と分けて理解すると、「利下げしたのにハイテク株が下がった」ような場面の説明がつきます。

FRB は政策金利のほかに、保有する国債の量を減らす量的引き締め(QT)も行っており、こちらは長期金利に効きます。QT と QE の仕組みは QT の解説 をご覧ください。

市場の織り込みの見方:FedWatch と「サプライズ」

FOMC の決定そのもので株が大きく動くことは、実はまれです。市場は FF 金利先物の価格から「次回の会合で利下げされる確率」を計算しており、決定が織り込みどおりなら反応は小さく、織り込みと違えば大きく動きます。

見るもの内容どこで見るか
CME FedWatch次回以降の各会合での利上げ・据え置き・利下げの確率CME グループのサイト(無料)
ドットチャートFOMC 参加者が予想する年末の政策金利の分布。3・6・9・12 月に公表FRB のサイト、FOMC 後の報道
声明文の変化前回との文言の差(「さらなる利上げが適切」→「追加の調整」など)FRB のサイト。報道が差分を解説
議長の記者会見決定の 30 分後。質疑応答での発言で相場が動く日本時間の木曜 3:30/4:30 から

「利下げしたのに株が下がった」のは、利下げ幅や今後の見通し(ドットチャート)が市場の期待より弱かった場合です。逆に据え置きでも「次回は利下げ」を示唆すれば株は上がります。FOMC の日は決定の数字ではなく、事前の織り込みとの差を見るのが基本です。当サイトのトップページの「今日の株式」欄には次回の FOMC の日程を日本時間で表示しています。FRB の仕組みそのものは FRB の解説、タカ派・ハト派の読み方は タカ派・ハト派の解説 をご覧ください。

FF レートに関するよくある質問

FF レートと日本の政策金利の違いは何ですか?
仕組みは似ています。日本は日銀が「無担保コール翌日物金利」の誘導目標を決めます。水準は 2026 年時点で日本が 1% 前後、米国が 4% 前後と大きく違い、この差がドル円相場の主な決定要因です。
FOMC の結果は日本時間の何時に分かりますか?
夏時間は木曜の午前 3 時、冬時間は午前 4 時に声明文が出て、30 分後に議長の記者会見が始まります。米国株はその時間に取引中なので、日本の朝には結果と株価の反応が出そろっています。
利下げが始まったら米国株は買いですか?
景気が堅調なまま予防的に利下げする場合は上昇しやすく、景気悪化で利下げする場合は下落することが多いです。利下げの「理由」を雇用統計や企業決算で確認してから判断してください。
FF レートは個人の預金金利にも影響しますか?
米国では直結します。米国の MMF や高利回り預金の金利は FF レートにほぼ連動します。日本の投資家がドル建て MMF を証券会社で持っている場合、その利回りも FF レートに連動して動きます。

関連する用語

  • FOMC
    FOMCとは、アメリカの金融政策を決める会合のことで、正式名称は連邦公開市場委員会(Federa
  • FRB
    FRB(連邦準備制度理事会)とは、米国の中央銀行にあたる組織の中枢を担う機関です。
  • 利上げ
    利上げとは、中央銀行が政策金利を引き上げることです。
  • 利下げ
    利下げとは、中央銀行が政策金利を引き下げることです。
  • タカ派
    タカ派とは金融引き締めに積極的な立場、ハト派とは金融緩和に積極的な立場のことです。
  • QT(量的引き締め)
    QT(量的引き締め)とは、中央銀行が保有する国債などの資産を減らして、市場に出回るお金の量を絞る
  • QE(量的緩和)
    QE(量的緩和)とは、中央銀行が国債などを大量に買い入れて、市場にお金を大量に供給する政策のこと
  • 円安
    円安とは、1ドル150円が160円になるように、外国のお金に対して円の価値が下がることです。
  • 米国 10 年債利回り(長期金利)

あわせて使うツール・記事

執筆:(Pacific Stock 編集長・専業投資家歴20年)
誘導の仕組みと IORB・リバースレポは FRB の公表資料(Policy Tools)、2020〜24 年の誘導目標の推移は FOMC の各回の声明文、市場の織り込みは CME グループの FedWatch の仕組みにもとづきます。2025〜26 年の水準は 2026 年 9 月時点の状況を前提にした記述です。 本記事は情報提供を目的とし、特定の銘柄・証券会社の売買や口座開設を推奨するものではありません。当サイトは証券会社の口座開設等によりアフィリエイト報酬を得る場合がありますが、比較の順位や数値には影響しません。最終更新 2026-09-18。

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