為替ヘッジあり・なしの違い|米国株ETF・投資信託でどちらを選ぶか、ヘッジコスト(日米金利差)の計算と損益の実例【2026年版】

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「為替ヘッジあり」のETFや投資信託は、為替予約でドル円の動きを打ち消し、米国株の値動きだけを円で受け取れるようにした商品です。円高になっても目減りしません。そのかわり日米の短期金利差(2026年時点で年3%前後)がヘッジコストとして毎年引かれ、円安になったときの上乗せもありません。仕組みとコストの計算、円高・円安の年の損益、どちらを選ぶかの目安を順に書きます。

この用語の要点
  • ヘッジありは米国株の値動きだけ。円高でも減らず、円安でも増えず、年3%前後のコストが毎年かかる。ヘッジなしは株とドル円の両方の値動きを受け、コストはかからない
  • ヘッジコストは、ほぼ「米国の短期金利−日本の短期金利」。米国の利下げと日本の利上げで縮む。2026年はFFレート3%台・日銀1%前後で、差は3%弱
  • 長期の積立はヘッジなしが主流。コストが複利で積み重なるうえ、円安の年の利益も手放すことになるため。ヘッジありが合うのは数年以内に円で使うお金と、円高が続くと見ている人

為替ヘッジの仕組みとコスト

ドル建ての資産は、円高になると円に直した価値が下がります。ヘッジありの商品は、持っているドル資産と同じ額のドルを先に売る為替予約を結び、ドル円がどちらへ動いても円での価値が変わらないようにしています。予約の値段は「直物レート+日米の金利差分」で決まります。米国の金利が日本より高いあいだは、ドルを売る側がこの金利差分をかぶります。これがヘッジコストです。

時期米国の短期金利日本の短期金利ヘッジコストの目安(年)
2016〜2019年0.5〜2.5%−0.1%1〜3%
2020〜2021年0〜0.25%−0.1%0.5%前後
2023〜2024年5%台0〜0.25%5%超
2026年3%台1%前後3%弱

コストは金利差でほぼ決まります。米国が高金利で日本が低金利のときほど、ヘッジは高くつきます。2023〜2024年は年5%を超えていて、S&P500が20%上がっても、ヘッジありの商品は15%ほどしか上がりませんでした。2026年は米国の利下げと日本の利上げで差が縮み、3%弱まで下がっています。金利の見通しはFFレートの記事で書いています。

円高・円安それぞれの局面での損益の実例

S&P500が1年で10%上がった年を例に、ドル円の動き別に円での損益を比べてみます(ヘッジコストは年3%として計算)。

ドル円ヘッジなしヘッジあり
10%の円高(150円 → 135円)約−1%(1.10 × 0.90)約+7%(10%−3%)
変わらず+10%+7%
10%の円安(150円 → 165円)約+21%(1.10 × 1.10)+7%

ヘッジありは、ドル円がどちらへ動いても「株の上昇−コスト」で決まります。円高の年は勝ち、円安の年は負けます。円安が続いた2022〜2024年の3年間は、ヘッジなしが大きく勝ちました。円高が続いた2008〜2011年は、ヘッジありのほうが有利でした。

どちらが得かは、この先のドル円しだいで前もってはわかりません。はっきりしているのは、ヘッジありには毎年コストがかかり、それが複利で積み重なることです。年3%なら10年で約26%、20年で約45%の差になります。長期の積立でヘッジなしが選ばれるのはこのためです。

東証上場ETF・投資信託でどちらを選ぶか

東証には、S&P500やナスダック100に連動するETFが「為替ヘッジあり」「なし」の両方で上場しています(東証上場の米国株ETF)。投資信託もeMAXIS Slimなどの主なシリーズはヘッジなしが基本で、ヘッジありは別の商品になっています。VOOやQQQといった米国ETFを直接買う場合は、ヘッジありを選ぶことはできません。

状況向く方理由
10年以上の積立ヘッジなしコストが複利で積み重なる。円安局面の利益を取れる
数年以内に円で使う資金ヘッジあり使う時期の円高で目減りするのを避ける
円高が続くと見ているヘッジあり見立てが当たれば株の上昇をそのまま取れる
すでに円資産が多いヘッジなしドル資産を持つこと自体が分散になる

日本で暮らしていれば、給与も預金も年金も円です。米国株をヘッジなしで持つのは、資産の一部をドルに移すことでもあり、円安やインフレへの備えになります。そう考えるならヘッジはいりません。反対に、米国株の値動きだけを取って為替は別に考えたいなら、ヘッジありが合います。

よくある誤解:ヘッジは「為替リスクをゼロにする」わけではない

まず多いのが「ヘッジありなら為替の影響は完全に消える」という思い込みです。ヘッジは月1回ほど保有額に合わせて調整するだけなので、株価が大きく動いた月はズレが出ます。コストも金利差で毎年変わり、買ったときの「3%」がずっと続くとは限りません。

次に「ヘッジあり=安全」という見方。消えるのは為替の動きだけで、株そのものの値動きはそのままです。S&P500が20%下がれば、ヘッジありも20%以上下がります。もう1つは「ヘッジコストは手数料として書いてある」という誤解です。コストは基準価額の中で引かれていて、目論見書の信託報酬には入っていません。同じ指数のヘッジありとなしの騰落率を比べれば、その差がおおよそコストと為替の影響です。

為替差益の税金は米国株の税金の全体像、ドルのまま持つときの決済は円貨決済と外貨決済で書いています。

為替のコストで口座を選ぶなら

米国株の売買手数料は主なネット証券でほぼ同じ(約定代金の0.495%、上限22ドル)で、差がつくのは円とドルを替えるときの為替コストです。1ドル150円のとき、1ドルあたり25銭の会社で100万円分を買うと、片道で約1,700円かかります。0銭の会社ならこれがかかりません。

松井証券為替は円貨決済でも外貨決済でも0銭(恒久的に0銭と公表)松井証券の公式サイト
楽天証券為替は円貨・外貨とも0銭楽天証券の公式サイト
SBI証券外貨決済(リアルタイム為替)は0銭。円貨決済は25銭SBI証券の公式サイト
Woodstock(ウッドストック)為替手数料は0円(スプレッドの上乗せなしと公表)。NISAは不可Woodstockの公式サイト

10社の手数料・為替・NISA・時間外取引を並べた証券会社の比較もあります。内容は2026-09-24時点の各社公式ページによります。口座開設でアフィリエイト報酬を得る場合があります。

為替ヘッジあり・なしに関するよくある質問

為替ヘッジありとなしはどちらが得ですか?
この先のドル円しだいで、前もってはわかりません。はっきりしているのはヘッジありに年3%前後(2026年時点)のコストがかかることです。10年以上の積立ではコストが複利で積み重なるので、ヘッジなしが主流です。
ヘッジコストはどこに書いてありますか?
目論見書の信託報酬には含まれず、基準価額の中で引かれます。同じ指数のヘッジあり・なしの騰落率の差から逆算するのが手っ取り早いです。水準はおおむね日米の短期金利差で決まります。
米国ETF(VOOなど)を直接買う場合にヘッジはできますか?
ヘッジあり版はありません。為替の影響を避けたいなら、東証上場の為替ヘッジありETFか、ヘッジありの投資信託を選びます。FXでドルを売って自分でヘッジする手もありますが、証拠金が要り、金利差分のコストもかかります。
米国が利下げするとヘッジコストは下がりますか?
下がります。コストは米国の短期金利と日本の短期金利の差なので、米国の利下げと日本の利上げの両方で縮みます。2023〜2024年は5%を超えていましたが、2026年は3%弱まで下がっています。

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執筆:(Pacific Stock編集長・専業投資家歴20年)
ヘッジコストは日米の政策金利の差から見た目安で、2026年9月時点のものです。実際のコストは商品ごとに違います。この記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄や証券会社の売買・口座開設を勧めるものではありません。当サイトは証券会社の口座開設などでアフィリエイト報酬を得る場合がありますが、比較の順位や数値には影響しません。最終更新2026-10-07。

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