アーニングスサプライズ(EPS サプライズ)とは?計算方法・「予想超えなのに株価が下がる」理由・ウィスパーナンバーと 7 割が上回るからくり

アーニングスサプライズ(earnings surprise)とは、決算で発表された実績の EPS(1 株利益)や売上高が、事前のアナリスト予想(コンセンサス)からどれだけ離れていたかを%で表したものです。実績が予想を上回れば「ポジティブサプライズ」、下回れば「ネガティブサプライズ」と呼びます。米国では S&P500 企業の 7〜8 割が毎四半期「予想を上回る」決算を出すため、「予想超え」だけでは株価は上がらず、上回り幅の大きさと次の四半期の見通し(ガイダンス)が問われます。この記事では、計算方法、7 割が予想超えになるからくり、予想超えなのに株価が下がる理由、ウィスパーナンバー、確認できる場所をまとめます。

この用語の要点
  • 計算は(実績 EPS − 予想 EPS)÷ |予想 EPS|。実績 1.10 ドル・予想 1.00 ドルなら +10% のポジティブサプライズ
  • 米国ではS&P500 の 7〜8 割が予想超え。会社が控えめなガイダンスを出し、アナリストが予想を下げてから決算を迎える慣行があるため
  • 株価を動かすのは「サプライズの幅」と「ガイダンス」。予想超えの幅が過去より縮んだり、見通しが弱ければ予想超えでも売られる

アーニングスサプライズの計算方法と、比べる数字の種類

計算式は単純です。

サプライズ(%)=(実績 − 予想)÷ |予想| × 100

予想 EPS実績 EPSサプライズ
上回った1.00 ドル1.10 ドル+10.0%
わずかに上回った2.50 ドル2.52 ドル+0.8%
下回った0.80 ドル0.70 ドル−12.5%
赤字予想より小さい赤字−0.20 ドル−0.10 ドル+50.0%(分母は絶対値)

米国では EPS のサプライズを「非GAAP(調整後)EPS」で計算するのが一般的です。アナリスト予想は株式報酬や買収関連費用を除いた調整後ベースで出されることが多く、GAAP の EPS と比べると意味がずれるためです。会社のプレスリリースに GAAP と非GAAP の両方が載っている場合、報道で「予想を上回った」と言われているのは通常、非GAAP のほうです。

売上高にも同じ計算を使い、「売上サプライズ」と呼びます。EPS が予想超えでも売上が予想割れなら「利益はコスト削減で作った」と受け取られ、評価は下がります。

7〜8 割が「予想超え」になるからくり

米国では毎四半期、S&P500 企業の 70〜80% が EPS でアナリスト予想を上回ります。これは企業が特別に好調だからではなく、次のような慣行によります。

  • 控えめなガイダンス:会社は達成できる見込みより少し低めの見通しを出します。アナリストはそれを基準に予想を作るので、予想は最初から低めに置かれます
  • 決算前の下方修正:四半期の途中で会社が投資家向け説明会などで弱めの発言をすると、アナリストは決算前に予想を下げます。決算直前の予想は「超えやすい水準」になっています
  • 非GAAP の裁量:何を「一時的な費用」として除くかは会社の判断で、調整後 EPS は GAAP より高く出やすい構造です

このため、「予想を上回った」こと自体には情報がほとんどなく、市場は「どれだけ上回ったか」を過去の平均と比べています。ある会社がいつも +5% 前後で上回っているのに今回 +1% なら、数字の上では予想超えでも「勢いが鈍った」と受け取られて売られます。

FactSet などの集計では、S&P500 全体の平均サプライズは +5〜8% 程度で推移しています。この平均を上回れば強い決算、下回れば弱い決算という見方が、機関投資家の間では標準です。

予想超えなのに株価が下がる 3 つの理由

理由何が起きているか典型的な例
1. ガイダンスが弱い今期は超えたが、次の四半期や通期の見通しが予想を下回る売上見通しの中心値がコンセンサスに 1〜2% 届かず 10% 下落
2. 上回り幅が縮んだいつも +10% 超えていた会社が +3% にとどまるエヌビディアのような高成長株で「減速」と読まれる
3. 織り込み済み決算前に株価が急騰し、良い数字がすでに反映されていた好決算を発表した瞬間に利益確定の売りが出る

逆に、予想を下回っても株価が上がることもあります。「予想以上に悪いと恐れられていた」「一時要因で来期は回復するとガイダンスで示した」「自社株買いの増額を同時に発表した」といった場合です。

サプライズの数字は「決算の第一報」であり、株価の方向を決めるのはガイダンスと決算説明会の中身です。詳しくは ガイダンスの解説 をご覧ください。

ウィスパーナンバーと、日本の投資家が確認できる場所

ウィスパーナンバー(whisper number)は、公式なコンセンサス予想とは別に、市場参加者が「本当はこのくらいを期待している」と噂している非公式な予想です。人気株では公式予想より高い水準がささやかれ、公式予想は超えたのにウィスパーに届かず売られることがあります。個人投資家が正確に知ることは難しいので、「株価が決算前に大きく上がっていたら、期待はコンセンサスより上にある」と考えておけば十分です。

サプライズを確認できる場所は次のとおりです。

場所分かること
会社のプレスリリース(8-K)実績の EPS・売上高。予想は書かれていない
Investing.com・Yahoo Finance(米国版)などの決算カレンダー予想と実績、サプライズ%。無料で見られる
証券会社の銘柄情報(マネックス・SBI など)アナリスト予想と過去の実績の一覧
当サイトの銘柄別ページ市場予想を入力した銘柄は「実績 vs 予想」を自動で表示(乖離%と上回った/下回った)

当サイトの決算カレンダーと銘柄別ページでは、発表翌朝に SEC 提出のプレスリリースから実績を抽出し、事前に記入した市場予想と並べて表示しています。決算の日程を日本時間で把握し、発表当日の朝に「予想と比べてどうだったか」「ガイダンスはどうか」の 2 点を確認する習慣が、米国株の決算を読む基本です。

アーニングスサプライズに関するよくある質問

サプライズが大きいほど株価は上がりますか?
傾向としてはそうですが、必ずではありません。市場が見ているのは「上回り幅が過去の平均と比べてどうか」と「ガイダンス」です。大きなサプライズでも見通しが弱ければ下がります。
コンセンサス予想は誰が作っているのですか?
証券会社や独立系の調査会社のアナリストが各自の予想を出し、それを Bloomberg・FactSet・LSEG などが集計した平均値がコンセンサスです。予想を出しているアナリストの人数が少ない小型株ほど、コンセンサスの信頼性は下がります。
日本株にもアーニングスサプライズはありますか?
あります。ただし日本では会社自身の業績予想と実績の差(上方修正・下方修正)で語られることが多く、アナリスト予想との比較は米国ほど中心ではありません。米国株では会社予想(ガイダンス)とアナリスト予想を分けて考える必要があります。
GAAP と非GAAP のどちらのサプライズを見ればいいですか?
報道や無料サイトのサプライズは非GAAP(調整後)が基本です。ただし非GAAP は会社の裁量で数字が良くなりやすいので、GAAP の EPS も必ず見て、両者の差が大きい会社は何を除いているかをプレスリリースで確認してください。

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執筆:(Pacific Stock 編集長・専業投資家歴20年)
S&P500 企業の予想超え比率と平均サプライズは FactSet の Earnings Insight(2024〜26 年の各四半期)、計算方法は一般的な定義、実績の出所は各社の 8-K プレスリリースにもとづきます。 本記事は情報提供を目的とし、特定の銘柄・証券会社の売買や口座開設を推奨するものではありません。当サイトは証券会社の口座開設等によりアフィリエイト報酬を得る場合がありますが、比較の順位や数値には影響しません。最終更新 2026-09-17。

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