
米国株の信用取引は、預けた保証金の約2倍まで米国株を売買できる取引です。日本のネット証券ではSBI証券・楽天証券・マネックス証券・松井証券・moomoo証券・DMM株の6社が扱っています。どこも手数料は約定代金の0.33%(上限16.5ドル)前後で大差はありませんが、買方金利は年2.0〜6.3%と3倍の開きがあり、空売りができるのはSBI証券・楽天証券・moomoo証券の3社だけです。6社の条件を2026年10月12日に各社の公式ページで確かめ、コストと追証の計算例をまとめました。
- 保証金率は50%(SBI証券は51%)。最低保証金は30万円相当か2,500米ドル〜2,900米ドル
- 空売りできるのはSBI証券・楽天証券・moomoo証券。マネックス証券・松井証券・DMM株は買いだけ
- 維持率が30%を下回ると追証。保証金いっぱいに買うと20%の下落で追証になる

米国株の信用取引とは(日本株の信用取引との違い)
信用取引は、証券会社に保証金を預けてお金や株を借り、手元の資金より大きな金額を売買する取引です。お金を借りて買うのが「買建(信用買い)」で、株を借りて先に売るのが「売建(空売り)」です。日本株の信用取引と仕組みは同じですが、米国株では条件がかなり違います。
一番の違いはレバレッジです。SBI証券の解説によると、日本株は30万円の保証金で約100万円の取引ができるのに対し、米国株は30万円相当の米ドルで約60万円相当までです。米国株は為替が動くうえ、値幅制限(ストップ高・ストップ安)がないので、大型株でも決算発表で大きく動くことがあります。SBI証券の資料では、追証の基準になる維持率が日本株の20%に対して米国株は30%となっています。
| 項目 | 米国株の信用取引 | 日本株の信用取引 |
|---|---|---|
| 信用の種類 | 一般信用のみ(多くは無期限) | 制度信用・一般信用 |
| 保証金率(新規建て) | 50%(SBI証券は51%) | 30%(SBI証券は31%) |
| 取引できる額 | 保証金の約2倍 | 保証金の約3倍 |
| 追証の基準 | 維持率30% | 維持率20% |
| 取引通貨 | 米ドル | 日本円 |
取引は米ドル建てなので、損益も米ドルで出ます。円に戻すときの為替レートしだいで、株で得た利益が目減りすることもあります。信用取引ができる時間帯は会社ごとに違います。くわしくは米国株の取引時間と夏時間にまとめています。
証券会社6社の比較表(手数料・金利・空売り・保証金)
2026年10月12日に各社の公式ページで確かめた条件です。手数料は税込で、1回の取引ごとにかかります。
| 証券会社 | 空売り | 取引手数料 | 買方金利(年) | 貸株料(年) |
|---|---|---|---|---|
| SBI証券 | ○ | 0.33%(上限16.5ドル) | 4.5% | 2% |
| 楽天証券 | ○ | 0.33%(上限16.5ドル) | 4.5% | 2.0% |
| moomoo証券 | ○ | 0.12%+税(上限20米ドル+税) | 4.5% | 1.5%〜 |
| DMM株 | × | 0.33%(上限16.5ドル)※ | 4.0%※ | - |
| 松井証券 | × | 0.33%(上限16.5ドル) | 6.3% | - |
| マネックス証券 | × | 0.33%(上限16.5ドル) | 6.3% | - |
※DMM株はゲストコースの値です。メンバーコースは手数料0.165%(上限8.25ドル)・金利2.9%、プレミアムコースは金利2.0%になります。
| 証券会社 | 保証金率 | 最低保証金 | 返済期限 |
|---|---|---|---|
| SBI証券 | 51% | 30万円相当の米ドル額 | 買いは無期限・売りは6ヶ月 |
| 楽天証券 | 50% | 30万円相当額(315,000円を米ドル換算) | 無期限 |
| moomoo証券 | 50% | 2500米ドル | 無期限 |
| DMM株 | 50% | 30万円相当額(2,500ドル) | 無期限 |
| 松井証券 | 50% | 2,500米ドル | 無期限 |
| マネックス証券 | 50% | 2,900米ドル | 無期限 |
手数料は6社とも約定代金に比例し、上限があります。0.33%の会社では1回の約定が5,000ドルを超えると手数料は16.5ドルで頭打ちです。楽天証券は5,000米ドル超を16.5米ドルとしています。差が出るのは金利のほうで、長く持つほど効いてきます。
表の保証金率は通常時の値で、楽天証券では、新しく建てる建玉に通常より多くの保証金を求める「増担保規制」がかかることがあり、その場合は必要な保証金が増えます。
空売りができる証券会社と注意点
米国株を空売りできるのはSBI証券・楽天証券・moomoo証券の3社です。マネックス証券は「信用買い」サービスのみ、松井証券は無期限信用買建のみ、DMM株は売建の取扱いなしと案内しています。
空売りでは株を借りるので、金利の代わりに貸株料がかかります。SBI証券は年2%、楽天証券は年2.0%、moomoo証券は年1.5%からで、moomoo証券の率は銘柄しだいです。返済期限にも違いがあり、SBI証券の売り建玉は原則6ヶ月で、それまでに買い戻す必要があります。楽天証券とmoomoo証券は売りも原則無期限です。
SBI証券は銘柄ごとに売建の上限株数を決めていて、株が足りなくなると注文を受け付けません。moomoo証券は夜間取引で空売りができません。
空売りの損失には上限がありません。楽天証券も「株価の上昇に上限はないため、売建の損失は無限に広がっていく可能性があります」と注意しています。下落を見込んで売ったのに決算で急騰した、という場面がいちばん危険です。売ったら逆指値(ストップ注文)で損失の上限を決めておくのが基本です。
1万ドルを30日持ったときのコスト(金利・貸株料・手数料)
同じ1万ドルの買建玉を30日持ち、売って返済したときのコストを計算しました。手数料は買いと売りの2回分です。金利は各社の年率で日割りし、日数は30日としています。SBI証券と楽天証券は365日、moomoo証券は360日で割ると公表しています。松井証券・マネックス証券・DMM株は365日で割った場合の値です。売るときに別にかかるSEC Fee(米国の取引所手数料)は入れていません。
| 証券会社 | 手数料(往復) | 金利(30日) | 合計 |
|---|---|---|---|
| moomoo証券 | 26.40ドル | 37.50ドル | 63.90ドル |
| DMM株(ゲスト) | 33ドル | 32.87ドル | 65.87ドル |
| SBI証券 | 33ドル | 36.98ドル | 69.98ドル |
| 楽天証券 | 33ドル | 36.98ドル | 69.98ドル |
| 松井証券 | 33ドル | 51.78ドル | 84.78ドル |
| マネックス証券 | 33ドル | 51.78ドル | 84.78ドル |
式は「1万ドル×年率×30日÷365日」です。SBI証券なら1万ドル×4.5%×30÷365で36.98ドルです(小数第3位を切り捨て。以下の表も同じ)。moomoo証券の手数料は1万ドル×0.12%の12ドルに消費税10%を足した13.20ドルで、往復26.40ドルです。0.33%の会社は1回の手数料が上限の16.5ドルに収まるので、往復33ドルになります。
数日で決済するなら、コストの中心は手数料なので6社の差は小さくなります。数か月持つなら、効いてくるのは金利の差です。1万ドルを1年持つと、年4.5%なら450ドル、6.3%なら630ドルで、180ドルの差です。DMM株のメンバーコース(年2.9%)なら30日の金利は23.83ドルです。
空売りの貸株料も同じ式で求めます。1万ドルを30日売り建てると、SBI証券と楽天証券(年2%)は16.43ドル、moomoo証券(年1.5%で360日割り)は12.50ドルです。松井証券は同じ国内受渡日のうちに返済した取引の買方金利が無料、moomoo証券は同じ日のうちに決済した取引に金利・貸株料とも発生しません。
何%下がると追証になるか(維持率30%の計算例)
追証(追加保証金)は、保証金の評価が下がって維持率が30%を下回ったときに求められる追加の入金です。ここでは維持率を「保証金÷建てたときの金額(約定金額)」として簡単に計算します。含み損は保証金から引かれます。分母の扱いは会社によって違うことがあるので、正確な水準は各社の画面で確かめます。保証金5,000ドルで買ったとき、株価が何%下がると追証になるかを計算しました。手数料・金利は入れていません。
| 買った金額 | 追証になる下落率(維持率30%) | ロスカットの下落率(維持率10%) |
|---|---|---|
| 1万ドル(保証金の2倍) | 20% | 40% |
| 8,000ドル(1.6倍) | 32.5% | 52.5% |
| 5,000ドル(1倍) | 70% | 90% |
保証金いっぱいの1万ドルを買うと、20%の下落で追証です。2,000ドルの含み損で保証金が3,000ドルに減り、維持率が30%になるためです。値幅制限のない米国株では、上限まで建てると決算発表の一晩で追証になることもありえます。買う額を8,000ドルに抑えるだけで、追証までの余裕は32.5%に広がります。
空売りでは逆で、株価が上がるほど維持率は低下。保証金5,000ドルで1万ドルを売り建てると、20%の上昇で追証になる計算です。なおSBI証券は保証金率が51%なので、5,000ドルで建てられるのは9,803ドルまでです。
維持率が一定の水準を割ったときに証券会社が建玉を強制的に決済する仕組みを、ロスカットと呼びます。楽天証券は維持率10%を下回ると全建玉を決済し、moomoo証券も維持率10%を下回ると強制決済の対象になると定めています。楽天証券は通常の取引時間中に判定し、時間外取引では判定しません。
追証の期限と解消の仕方(会社別)
追証が出たら、期限までに入金するか、建玉を決済して解消します。確かめられたマネックス証券・楽天証券・松井証券・moomoo証券では、期限を過ぎると証券会社が建玉を決済します。期限と回復させる水準は会社ごとに違い、次の表のとおりです。
| 証券会社 | 追証の解消期限 | 求められる額 |
|---|---|---|
| 楽天証券 | 発生日の翌々営業日15:00 | 維持率30%に戻るまで |
| 松井証券 | 維持率20%以上30%未満は翌々国内営業日15:00、20%未満は翌国内営業日15:00 | 維持率30%に戻るまで |
| moomoo証券 | 約定日翌々営業日(T+2)12時 | - |
| マネックス証券 | 請求期日の前国内営業日20時までに資金を振り替える | 維持率40%に戻るまで |
マネックス証券は、30%を割ると40%まで戻す額を請求します。保証金5,000ドルで1万ドルを買い、25%下がったとします。保証金は2,500ドルで維持率は25%です。30%に戻すなら500ドルで済みますが、40%までなら1,500ドルの入金が必要です。
楽天証券と松井証券は、一度出た追証は株価が戻っても消えないとしています。夜中に追証が出ても日中に気づけるよう、アプリの通知を有効にしておくと安心です。SBI証券とDMM株の期限は公式ページで細かい時限まで確かめられなかったので、表から外しました。
口座の開き方とNISA・税金の扱い
信用取引には、ふつうの外国株式取引口座とは別に「米国株式信用取引口座」が必要です。申し込むと審査があり、SBI証券は最短翌日から取引できると案内しています。マネックス証券は国内株の信用取引口座も開いていることと、米国株の現物取引の経験を条件にしています。moomoo証券の基準は、投資経験と一定の金融資産です。
保証金には米ドルのほか米国株も使えます。米国株の掛目は楽天証券・松井証券・moomoo証券・DMM株が70%、マネックス証券は70%以下です。楽天証券は日本円も95%で評価します。DMM株は日本株も担保にでき、日中は日本株の信用取引、夜は米国株の信用取引に同じ株を使い分けられます。
NISA口座では信用取引はできません。NISA口座で持っている株は担保にも使えず、松井証券とDMM株は掛目0%としています。松井証券は信用取引の損益も特定口座で扱い、源泉徴収ありも選べます。ほかの会社は口座を開くときに確かめます。口座の違いは特定口座と米国株で説明しています。
米国株の信用取引に関するよくある質問
米国株の信用取引は何倍までできますか?
米国株の空売りはどの証券会社でできますか?
米国株の信用取引の金利がいちばん低いのはどこですか?
米国株の信用取引に返済期限はありますか?
NISA口座で米国株の信用取引はできますか?
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執筆:佐々木優也(Pacific Stock編集長・専業投資家歴20年)
手数料・金利・保証金・返済期限・追証の条件は、2026年10月12日に確認したSBI証券・楽天証券・マネックス証券・松井証券・moomoo証券・DMM.com証券の公式ページによります。金利や保証金率は各社の判断で変わることがあります。この記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄や証券会社の売買・口座開設を勧めるものではありません。当サイトは証券会社の口座開設などでアフィリエイト報酬を得る場合がありますが、比較の順位や数値には影響しません。最終更新2026-10-12。

