米国REITとは?J-REITとの違い、配当の税金(配当控除なし)、FFO・AFFOの読み方と主要REIT【米国株】

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米国REIT(リート、Real Estate Investment Trust)は、不動産を保有して賃料収入を得て、課税所得の90%以上を配当として株主に配ることで法人税を実質的に免れる上場会社です。物流施設・データセンター・通信塔・高齢者住宅・カジノなど、日本のJ-REITにはない分野の会社が多いのが特徴です。ただし日本の証券会社で買える米国REITは一部だけで、SBI証券の一覧では主要10社中4社です。また、減価償却費が大きいので純利益は小さく見えます。主要REIT 9社の決算書類を見ると、7社で1株配当が1株利益(EPS)を上回っていました。日本株の感覚で配当性向を見ると判断を誤るので、代わりに使うFFO・AFFOの読み方も実例で載せています。

この用語の要点
  • 配当の税金は普通の米国株と同じ(米国10% → 日本20.315%)。外国法人の配当なので日本の配当控除は対象外。米国の10%は確定申告の外国税額控除で取り戻せる(NISAでは取り戻せない)
  • REITは純利益ではなくFFO・AFFOで見る。リアルティ・インカムの2025年は1株利益1.17ドルに対し配当3.217ドル(EPS比275%)だが、AFFO 4.28ドルに対しては75%
  • 分野で値動きが大きく違う。データセンター・通信塔はAI・通信需要、商業施設は消費、高齢者住宅は人口動態。日本で買えるのは一部で、SBI証券の一覧では主要10社中4社。VNQは無く、XLRE・IYRはある

J-REITとの違いと、主な分野

米国REITJ-REIT
法的な形会社(または信託)がREITとしての課税を選ぶ投資法人
配当の条件課税所得の90%以上を配当配当可能利益の90%超を分配
運用社内の経営陣が運用する会社が多い(内部運用)外部の資産運用会社が運用
分野物流・データセンター・通信塔・医療・倉庫・カジノ・森林など幅広いオフィス・住宅・商業・物流・ホテルが中心
配当の回数四半期ごとが中心(毎月の会社もある)年2回が中心
成長の仕方増資・借入で物件を買い増し、1株あたりの利益を伸ばす同じ

米国REITはGICS(業種分類)で「不動産」セクターに入り、S&P500にも30社前後が採用されています。代表的な分野は物流施設(プロロジス)/データセンター(エクイニクス、デジタル・リアルティ)/通信塔(アメリカン・タワー、クラウン・キャッスル)/高齢者住宅・医療(ウェルタワー)/トランクルーム(パブリック・ストレージ)/商業施設(リアルティ・インカム、サイモン)です。物件ではなく住宅ローン担保証券に投資する「モーゲージREIT」(AGNC・アナリーなど)もあります。配当利回りは高いものの、金利と信用の変化で大きく動きます。同じREITでも、物件を持つREITとはまったく違うものと考えたほうがいいでしょう。業種分類はGICS 11セクターの記事に書いています。

配当の税金(米国10%+日本20.315%、配当控除は対象外)

段階税率根拠・注意
米国での源泉徴収10%日米租税条約第10条。REITの配当は、個人で持分10%以下なら10%の税率が適用される
日本での源泉徴収20.315%米国の税を引いた後の金額にかかる(特定口座なら自動)
配当控除対象外外国法人から受ける配当は配当控除の対象にならない(国税庁No.1250)
外国税額控除確定申告で米国の10%を取り戻せる総合課税か申告分離課税で申告した場合
NISA日本の20.315%は非課税米国の10%は残り、外国税額控除も使えない

100ドルの配当なら米国で10ドル、残り90ドルに日本で約18.28ドルがかかります。手取りは約71.7ドルで、普通の米国株の配当と同じ計算です。配当控除が使えないのは米国REITに限らず外国株の配当すべて(J-REITも投資法人なので対象外)で、米国REITだけが不利なわけではありません。外国税額控除の手順は外国税額控除、全体像は米国株の税金の記事にまとめています。

米国では、REITの配当の一部が年明けに「資本の払い戻し(Return of Capital)」などに分類し直されることがあります。日本の証券会社での源泉徴収や報告書での扱いは、各社の説明で確かめてください。

REITの配当が利益を上回る理由(主要9社の実例)

REITは建物を持つので減価償却費が大きく、会計上の純利益は実際に入ってくる現金より小さくなります。主要REITの2025年度の数字を、SECに出された10-Kから拾いました。

REIT(分野)1株利益(EPS)1株配当配当 ÷ EPS減価償却費 ÷ 純利益
プロロジス(物流)3.564.04113%0.79倍
アメリカン・タワー(通信塔)5.406.80126%0.81倍
ウェルタワー(高齢者住宅)1.392.82203%2.23倍
エクイニクス(データセンター)13.7618.76136%1.52倍
リアルティ・インカム(商業)1.173.22275%2.38倍
パブリック・ストレージ(トランクルーム)9.0112.00133%0.73倍
クラウン・キャッスル(通信塔)1.014.75470%1.55倍
サイモン(ショッピングモール)14.178.5560%0.31倍
VICI(カジノ施設)2.611.7768%—

時価総額の大きい米国REIT 10社の2025年12月期の10-Kから、希薄化後EPS・1株配当(宣言額と支払額の大きい方)・普通株主に帰属する純利益・減価償却費を取りました。単位はドルです。1株配当の項目が無いデジタル・リアルティは外したので9社です。売却益・減損・非継続事業などの一時的な損益でEPSが大きく動く年があるので、1年だけでは判断できません。VICIは物件の多くをリース債権として計上しており、減価償却費の項目がありません。

9社中7社で配当がEPSを上回っています。日本株の感覚で「配当性向100%超=無理な配当」と見ると、ほとんどのREITを誤って危険と判断してしまいます。逆に配当 ÷ EPSが低いサイモンやVICIは、減価償却が小さいか一時的な利益が乗っているかのどちらかで、配当の余裕を示すとは限りません。

FFO・AFFOの読み方(リアルティ・インカムの2025年)

そこでREITは、純利益の代わりにFFO(Funds From Operations)を使います。FFOは米国のREIT業界団体Nareitの定義で、純利益に不動産の減価償却費と減損を足し戻し、不動産の売却益を引いたものです。そこから会社ごとに、定期的な修繕費(資本的支出)や賃料の平準化などを調整したのがAFFO(Adjusted FFO)で、配当の原資により近い数字です。

リアルティ・インカム2025年金額(百万ドル)1株
普通株主に帰属する純利益1,058.61.17ドル
+減価償却費+2,524.2
+不動産の減損+434.5
−不動産の売却益−177.6
±その他の調整+20.6
FFO3,860.34.25ドル
Normalized FFO(合併費用などを除く)3,884.54.27ドル
AFFO3,885.94.28ドル
支払った配当(毎月払い)3.217ドル(AFFOの75.2%)

数字は同社が2026年2月24日に出した2025年10〜12月期・通期の決算プレスリリース(SEC 8-K添付)から取りました。FFO・AFFOは非GAAPの指標で、SECの財務データには項目がありません。決算プレスリリースや補足資料の表で見ます。同社は2026年のAFFOを1株4.38〜4.42ドルと見込んでいます。非GAAP指標の注意点はGAAPと非GAAPの記事に書いています。

私が個別のREITで見ているのは3つです。まず配当 ÷ AFFO。80%前後までなら余裕があります。次に1株あたりAFFOが毎年伸びているか。増資で物件を買っても、1株あたりが伸びなければ株主の得になりません。最後に金利です。借入が多いので、米国10年債利回りが上がる局面では株価が下がりやすくなります。まとめて持つならVNQ(バンガード)・XLRE(S&P500の不動産セクター)・IYRなどのREIT ETFがあります。東証上場の米国REIT ETFもあります(東証上場の米国株ETF)。高配当ETFとの比較は高配当ETFの記事にあります。

日本の証券会社で買える米国REITは一部だけ

米国で規模の大きいREITでも、日本の証券会社では取り扱っていない銘柄が多くあります。ここで取り上げた主要REIT 10社とREIT ETF 5本が、SBI証券の取扱銘柄一覧に載っているかを確かめました。

銘柄分野SBI証券の一覧
プロロジス(PLD)物流施設○
アメリカン・タワー(AMT)通信塔○
エクイニクス(EQIX)データセンター○
ウェルタワー(WELL)高齢者住宅・医療○
リアルティ・インカム(O)商業施設(ネットリース)×
サイモン・プロパティー(SPG)ショッピングモール×
パブリック・ストレージ(PSA)トランクルーム×
デジタル・リアルティ(DLR)データセンター×
VICIプロパティーズ(VICI)カジノ×
クラウン・キャッスル(CCI)通信塔×
バンガード米国REIT(VNQ)REIT ETF×
S&P500不動産セクター(XLRE)REIT ETF○
iシェアーズ米国不動産(IYR)REIT ETF○
SPDRダウREIT(RWR)REIT ETF○
シュワブ米国REIT(SCHH)REIT ETF×

見たのはSBI証券の「米国株式取扱銘柄一覧」(ページ表記2026年8月19日)と「海外ETF取扱一覧」(2026年9月29日取得)です。ウェルタワーは旧ティッカーHCNで載っていました。主要REIT 10社のうち一覧にあるのは4社だけで、リアルティ・インカムやデジタル・リアルティなど6社は表の×のとおり載っていません。REIT ETFではVNQが無く、XLRE・IYR・RWRはあります。取り扱わない理由は一覧には書かれていません。他社では取扱が違うこともあり、一覧も随時更新されます。買う前に各社の銘柄検索で確かめてください。

FFO・AFFOの例に使ったリアルティ・インカムも、SBI証券の一覧にはありません。あくまで読み方の例として見て、実際に買う候補は取扱のある銘柄から選びます。日本の口座で分散して持つなら、取扱のあるREIT ETF(XLRE・IYRなど)か東証上場の米国REIT ETF、米国REITの投資信託が候補です。

米国株・米国ETFの配当をNISAで受け取るなら

NISA口座で受け取る配当・分配金は日本の税金(20.315%)がかからず、米国で引かれる10%だけになります。売却益も非課税です。ただしNISAでは外国税額控除が使えず、米国の10%は戻りません。NISAで米国株・海外ETFを買うときの売買手数料は、下の4社とも無料です。

SBI証券NISAの米国株・海外ETFの売買手数料が無料。外貨決済の為替は0銭SBI証券の公式サイト
松井証券NISAの売買手数料が無料。為替は円貨決済でも0銭松井証券の公式サイト
楽天証券NISAの売買手数料が無料。為替は円貨・外貨とも0銭楽天証券の公式サイト
DMM株NISAの売買手数料が無料。日本株と同じアプリで米国株も買える。為替は片道25銭DMM株の公式サイト

10社の手数料・為替・NISA・時間外取引を並べた証券会社の比較もあります。内容は2026-09-24時点の各社公式ページによります。口座開設でアフィリエイト報酬を得る場合があります。

米国REITに関するよくある質問

米国REITの配当にかかる税金は?
普通の米国株と同じで、米国で10%が源泉徴収され、残りに日本で20.315%がかかります。外国法人の配当なので配当控除は使えませんが、米国の10%は確定申告の外国税額控除で取り戻せます。NISAでは日本の税金はかかりませんが、米国の10%は残ります。
REITの配当性向が100%を超えているのは危険ですか?
純利益(EPS)で計算すると100%を超えるのが普通です。REITは減価償却費が大きく純利益が小さく見えるためで、配当の余裕はAFFOに対する配当の比率で判断します。
FFOとAFFOの違いは何ですか?
FFOは純利益に不動産の減価償却費を足し戻し、売却益を引いた業界共通の指標です。AFFOはFFOから定期的な修繕費などをさらに調整した会社ごとの指標で、配当の原資により近い数字です。
個別のREITとREIT ETFはどちらがよいですか?
分野を選びたい人は個別REIT、分野の偏りを避けたい人はREIT ETFが向いています。ただし日本の証券会社ではVNQなど取り扱いの無いETF・REITがあるので、XLRE・IYRなどの取扱銘柄か、東証上場のREIT ETF・投資信託から選びます。金利上昇局面ではREIT全体が下がりやすい点は共通です。

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執筆:(Pacific Stock編集長・専業投資家歴20年)
税率は日米租税条約第10条と国税庁タックスアンサーNo.1250、日本での取扱の有無はSBI証券の一覧(2026年9月29日確認)によります。この記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄や証券会社の売買・口座開設を勧めるものではありません。当サイトは証券会社の口座開設などでアフィリエイト報酬を得る場合がありますが、比較の順位や数値には影響しません。最終更新2026-10-07。

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