SQとは、先物取引やオプション取引を最終的に清算するために使う数値のことです。Special Quotation の略で、日本語では特別清算指数といいます。
読み方は「えすきゅー」。SQ算出日は毎月の第2金曜日と決まっており、この日は株価が普段と違う動きをします。
そしてSQ値は、その日の日経平均株価としては一度も表示されない数字です。この仕組みを知らないと、ニュースの数字が理解できません。
この記事でわかること
・メジャーSQとマイナーSQの違い
・SQ算出日と取引最終日のずれ
・🔴 SQ値が日経平均と一致しない理由
・幻のSQとは何か
・SQ前後に株価が動く仕組み
・現物株しか持っていない人への影響
・年間のSQカレンダーと、注意すべき月
目次
SQとは
先物やオプションには期限があります。期限が来たときに、何を基準に清算するかを決めるのがSQです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Special Quotation(特別清算指数) |
| 読み方 | えすきゅー |
| 役割 | 先物・オプションの最終決済に使う価格 |
| 算出日 | 各限月の第2金曜日 |
| 対象 | 日経平均、TOPIX、東証グロース市場250指数などの指数 |
| 取引所 | 大阪取引所(先物・オプション) |
なぜ特別な数値が必要なのかというと、先物は現物を受け渡さないからです。
日経平均先物を持っていても、225銘柄を実際に受け取るわけではありません。差額を現金でやり取りして終わりです。その差額を計算するための基準価格が必要になります。
メジャーSQとマイナーSQ
SQは毎月ありますが、3ヶ月に一度だけ特別に規模が大きくなります。
先物とオプションの両方が期限を迎える。値動きが大きくなりやすい
主にオプションが対象。影響は比較的小さい
| 項目 | メジャーSQ | マイナーSQ |
|---|---|---|
| 該当する月 | 3・6・9・12月 | 1・2・4・5・7・8・10・11月 |
| 期限を迎えるもの | 先物 + オプション | オプション中心 |
| 出来高 | 大きく膨らむ | やや増える程度 |
| 株価への影響 | 大きい。前後の週から意識される | 限定的 |
| ニュースになるか | なる | ほとんどならない |
「今週はメジャーSQだから荒れる」という言い方は、ここから来ています。
3・6・9・12月は四半期の区切りと重なるため、機関投資家のポートフォリオ調整も同じ時期に入ります。要因が重なることで値動きが大きくなりやすくなります。
SQ値はどうやって決まるか
ここが最も誤解されやすい部分です。SQ値は「終値」でも「その日の日経平均」でもありません。
ポイントは「各銘柄の始値をそろえて計算する」という点です。
| 数字 | 計算の中身 |
|---|---|
| 通常の日経平均 | そのときに取引されている全銘柄の価格から算出 |
| SQ値 | 各銘柄の「その日の始値」だけを使って算出 |
この違いが、次の章の現象を生みます。
SQ値が日経平均と一致しない理由
朝の寄り付きでは、すべての銘柄が同時に始値をつけるわけではありません。
| 銘柄 | 始値がつく時刻 | SQ値に使われる価格 |
|---|---|---|
| 大型で流動性が高い銘柄 | 9時ちょうど | 9時の始値 |
| 注文が偏った銘柄 | 9時15分など遅れる | その時刻の始値 |
| 結果 | — | 時刻がバラバラの価格を寄せ集めた数値になる |
つまりSQ値は、実際には存在しなかった瞬間の指数です。
9時ちょうどの日経平均でもなければ、9時15分の日経平均でもありません。各銘柄が最初に約定した価格を、時刻を無視して合成した数字です。
始値が決まる仕組みそのものは寄り付きとは、注文が偏ったときに始値が遅れる仕組みは気配とはで解説しています。
幻のSQとは
SQ値が、その日のザラ場で一度もつかないことがあります。これを幻のSQと呼びます。
| 状況 | 内容 |
|---|---|
| SQ値 | 仮に40,000円と算出された |
| その日の日経平均 | 高値39,900円 〜 安値39,500円 |
| 結果 | 40,000円は一度も表示されない=幻のSQ |
なぜ起きるのかというと、SQ値の計算に使う始値と、実際の値動きがずれるからです。
寄り付き直後に相場が急落すれば、始値ベースで計算したSQ値だけが高いところに取り残されます。その後の日経平均は一度もその水準に届きません。
| 幻のSQの向き | 言われていること |
|---|---|
| SQ値が高値より上 | 上値の目標として意識されることがある |
| SQ値が安値より下 | 下値の目安として意識されることがある |
| 注意 | 根拠のある法則ではなく、市場参加者の意識の問題 |
幻のSQ値を「いずれ埋める」といった言い方をされることがありますが、そうなる仕組みがあるわけではありません。アノマリーとして扱ってください。
SQ前に株価が動く理由
SQは期限そのものなので、その前に手仕舞いや乗り換えが集中します。
| 起きること | 株価への影響 |
|---|---|
| 先物のロールオーバー | 期近を決済して期先へ乗り換える売買が増える |
| 裁定取引の解消 | 現物株のまとまった売買が発生する |
| オプションの権利行使 | 特定の価格帯に株価を寄せようとする力が働くことがある |
| ヘッジの調整 | 先物と現物の持ち高を組み替える売買が出る |
| SQ当日の寄り付き | 出来高が集中する。値が飛びやすい |
とくに影響が大きいのが2行目の裁定取引の解消です。
先物と現物の価格差を利用する取引では、先物を買って現物を売る、あるいはその逆の持ち高を同時に抱えています。先物が期限を迎えると、その反対側にある現物株もまとめて売買されます。
ヘッジの考え方は別記事で扱っています。
SQ当日の値動きの特徴
| 時間帯 | 起きやすいこと |
|---|---|
| 寄り付き前 | 大量の注文が入り、気配が大きく動く |
| 9時前後 | 出来高が普段の数倍。始値が飛ぶことがある |
| SQ算出後 | 材料が消化され、動きが落ち着くことが多い |
| 大引け | 通常どおり。2024年11月5日から15時30分まで |
SQ当日の朝は、成行注文を出すべきでない場面のひとつです。
普段より板が乱れているため、想定していない価格で約定することがあります。指値で対応するか、その時間帯を避けてください。
現物株しか持っていない人への影響
先物もオプションもやっていない場合でも、無関係ではありません。
| 保有している銘柄 | 影響の大きさ |
|---|---|
| 日経平均の構成銘柄(225銘柄) | 大きい。裁定取引の対象になる |
| 値がさ株(株価が高い銘柄) | とくに大きい。指数への影響度が高いため |
| TOPIXの構成銘柄 | 中程度 |
| 指数に入っていない小型株 | ほとんど影響しない |
値がさ株の影響が大きいのは、日経平均の計算方法によります。
日経平均は株価の平均をベースにしているため、株価が高い銘柄ほど指数を動かす力が強くなります。指数を動かしたい売買は、そうした銘柄に集中します。仕組みは日経平均株価とはで解説しています。
限月と取引最終日の関係
| 用語 | いつか |
|---|---|
| SQ算出日 | 第2金曜日 |
| 取引最終日 | SQ算出日の前営業日(通常は木曜日) |
| 祝日が重なった場合 | それぞれ繰り上がる |
SQ算出日には、その限月の取引はもうできません。
前日の木曜日が最後です。金曜日は「清算だけが行われる日」だと理解してください。限月の考え方は限月とはにまとめてあります。
指数ごとのSQ
SQは日経平均だけのものではありません。
| 指数 | 対象 |
|---|---|
| 日経平均株価 | 日経225先物、日経225mini、日経225オプションなど |
| TOPIX | TOPIX先物、ミニTOPIX先物など |
| 東証グロース市場250指数 | 2023年11月6日に「東証マザーズ指数」から名称変更 |
古い記事では「東証マザーズ指数先物」と書かれていることがあります。
マザーズという市場区分は2022年4月4日に廃止され、指数の名称も2023年11月6日に変更されています。いまは東証グロース市場250指数先物が正しい名称です。市場区分の再編は新市場区分とはで扱っています。
年間のSQカレンダー
| 月 | 種類 | 重なりやすい他の要因 |
|---|---|---|
| 3月 | メジャー | 期末の需給、配当の権利取り、お化粧買い |
| 6月 | メジャー | 株主総会、指数の定期入替 |
| 9月 | メジャー | 中間期末、中間配当の権利取り |
| 12月 | メジャー | 年末の需給、税金対策の売り |
| その他8ヶ月 | マイナー | 決算発表の集中と重なる月がある |
メジャーSQの4回は、すべて四半期末の月です。
そのためSQ単独ではなく、複数の要因が重なった結果として値が動きます。「SQのせいで下がった」という説明は、多くの場合それだけが理由ではありません。
SQを取引に使うときの注意
覚えておくこと
・取引最終日はその前営業日(通常は木曜)
・SQ当日の寄り付きに成行注文を出さない
・日経平均の構成銘柄、とくに値がさ株を持っているときは注意
・指数に入っていない小型株は、ほとんど影響を受けない
・「幻のSQを埋める」は根拠のある法則ではない
・SQ週の値動きは、SQ以外の要因も重なっている
・SQを理由に長期の投資判断を変えない
最後の項目が重要です。SQは需給のイベントであって、企業の価値とは何の関係もありません。
一時的に株価が振れても、その会社の業績が変わったわけではありません。短期の値動きに合わせて保有方針を変える必要はありません。
SQに関するよくある質問
まとめ
SQは「実際には一度も表示されなかった瞬間の指数」という、少し変わった数字です。
この記事のまとめ
・算出日は各限月の第2金曜日。取引最終日はその前営業日
・🔴 メジャーSQは3・6・9・12月(先物とオプションが重なる)
・SQ値は各構成銘柄の「その日の始値」だけで計算する
・🔴 だからその日の日経平均としては一度も表示されない
・ザラ場でつかないケースを幻のSQという
・「幻のSQを埋める」に仕組み上の根拠はない
・SQ前は裁定取引の解消で現物株がまとめて売買される
・🔴 SQ当日の寄り付きに成行注文を出さない
・影響が大きいのは日経平均の構成銘柄、とくに値がさ株
・指数に入っていない小型株はほとんど影響を受けない
・🔵 東証マザーズ指数先物は「東証グロース市場250指数先物」に名称変更済み(2023年11月6日)
・SQは需給のイベント。企業価値とは無関係
※ 本記事は2026年8月時点の情報にもとづく解説であり、特定の銘柄や投資判断を推奨するものではありません。制度の詳細は日本取引所グループおよび大阪取引所の公表資料をご確認ください。
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