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配当落調整金とは

配当落調整金(読み方:はいとうおちちょうせいきん)

 

配当落調整金とは、信用取引で権利付最終売買日をまたいだ場合に配当金相当額として処理される調整金のことです。
「配当調整金」や「信用取引配当金」などと言うこともあります。

配当落調整金は、信用取引において実質配当金にあたるものですが、これは配当落ちによる株価下落分を調整する目的で、売り方と買い方の間で調整するお金です。本来の配当金とは違うものです。

そのため、配当落調整金は配当所得ではなく、株式等の譲渡所得という扱いになります。

信用取引で権利付最終売買日をまたいだ場合、売り建てしている人(売り方)は配当落調整金を支払い、買い建てしている人(買い方)は配当落調整金を受け取ることができます。

 

配当落調整金の金額について

配当落調整金の金額については、制度信用取引と一般信用取引で異なるところもあります。

制度信用取引の配当落調整金

制度信用取引の場合、配当落調整金は買建・売建ともに以下の方法で計算します。

「配当金-所得税源泉徴収相当額」
または
「配当金×84.685%」

所得税源泉徴収は「15.315%」となっているので「配当金×15.315%」で算出したものが「所得税源泉徴収相当額」となります。

たとえば、配当金10万円だった場合は、次のように計算します。

はじめに所得税源泉徴収相当額を計算します。

100,000円×15.315%=15,315円(所得税源泉徴収相当額)

そして配当金から所得税源泉徴収相当額を引いて配当落調整金を計算します。

100,000円-15,315円=84,685円(配当落調整金)

配当落調整金は84,685円となりますので、売り建てしている場合は84,685円を支払い、買い建てしている場合は84,685円受け取ることができます。

一般信用取引の配当落調整金

一般信用取引の場合、買建は制度信用取引と同じで以下の方法で計算します。

「配当金-所得税源泉徴収相当額」
または
「配当金×84.685%」

ですから一般信用取引で買い建てしている場合は84,685円の配当落調整金を受け取ることができます。

ですが、売建の場合は制度信用取引と金額が異なります。

配当金=配当落調整金

つまり、配当金10万円だった場合は配当落調整金として10万円支払う必要があります。

制度信用取引と一般信用取引を比較すると

制度信用 一般信用
買建 84,685円受取 84,685円受取
売建 84,685円支払 100,000円支払

金額だけ見ると制度信用取引の売建のほうが負担は小さいように思えますが、制度信用取引の場合は「逆日歩」が発生するおそれがあるので必ずしも負担が小さいとは限りません。この点は注意したいポイントです。

 

配当落調整金メモ

・配当落調整金は配当落ちによる株価下落分を調整するお金のこと
・売り方は配当落調整金を支払い、買い方は配当落調整金を受け取ることができる
・売り方の場合、一般信用取引と制度信用取引では金額が異なる

 

配当落調整金の支払い時期はいつなのか

配当落調整金の支払い時期は銘柄によって異なりますが、配当金と同じように権利確定日から「2~3ヶ月程度」で支払われるのが一般的です。

売り建てして権利付最終売買日をまたいだ場合は、権利落ち日から配当落調整金の支払いが行われるまでの間、配当落調整金として「予想配当金額相当額」を拘束されることになります。

ここでポイントになるのが、拘束される金額は予想配当をもとにしている点です。

実際の配当が予想配当よりも少ない場合は、拘束されている「予想配当金額相当額」で足りるので問題ありません。

ですが、実際の配当が予想配当よりも多い場合(増配があった場合)、不足分の配当落調整金を追加で支払わなければなりません。

つなぎ売りなどで両建てしている場合は相殺されるので問題ないですが、売り建てのみ行う場合は注意も必要です。

 

配当落調整金メモ

・配当落調整金は権利確定日から「2~3ヶ月程度」で支払われるのが一般的
・売り方の場合は配当落調整金の支払いが行われるまでの間「予想配当金額相当額」を拘束される
・「予想配当金額相当額」と実際に支払う配当落調整金は金額が異なることもある。

 

配当落調整金の税金について

配当落調整金は「株式等の譲渡所得」として扱われるので、株式等の譲渡損益とあわせて計算し、利益に対して「20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)」が課税されます。

配当落調整金の確定申告について

配当落調整金は「株式等の譲渡所得」となりますので、特定口座(源泉徴収あり)を選択している場合、原則、確定申告は不要です。

但し、特定口座(源泉徴収なし)や一般口座を選択している場合は確定申告が必要となります。

また、複数の口座を利用されている場合や配当金との損益通算を行う場合などは確定申告が必要になるケースもあります。

配当落調整金の損益通算について

配当落調整金は「株式等の譲渡所得」になりますので、特定口座であれば自動的に株式の売却損益と損益通算が行われます。

配当金との損益通算を行う場合は「特定口座(源泉徴収あり)」で「配当受入あり」の設定をして、かつ配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」を選択していれば口座内で自動的に損益通算が行われます。
そのため、原則、確定申告は不要です。

それ以外の場合で配当金との損益通算を行う場合は確定申告が必要になります。

貸株サービスの配当金相当額

貸株サービスとは、自身が保有する現物株式を証券会社に貸し出して、貸株金利を受け取れるサービスです。貸株中は配当金を受け取る権利がなくなるため、代わりに「配当金相当額」を受け取ることができます。

配当落調整金も「配当金相当額」として処理される調整金のことを言うので、どちらも「配当金の代わりになるもの」として認識して2つを混同する人もいます。

ですが、「貸株サービスの配当金相当額」と「信用取引の配当落調整金」は異なるものです。

大きな違いが出るのは税務上の扱いです。

配当落調整金は「株式等の譲渡所得」となるので、

・給与所得等とは分離して課税される
・配当金や株式の売却損益と通算ができる
・税率は一定(21.315%)

となります。

しかし貸株サービスの配当金相当額は「雑所得」となるので、

・給与所得等と合算した合計額に課税される
・配当金や株式の売却損益と通算はできない
・税率は累進課税(所得が大きければ最大50%超)

となります。

このように税金面で大きな違いがあるので、同じ「配当金相当額」であっても、混同しないように気をつけましょう。

 

配当落調整金メモ

・配当落調整金は「株式等の譲渡所得」として課税される
・特定口座(源泉徴収あり)を選択している場合、原則、確定申告は不要
・配当金との損益通算を行う場合は一定の条件を満たすことで自動的に損益通算も可能
・「貸株サービスの配当金相当額」と「信用取引の配当落調整金」は税務上の扱いが大きく異なるので注意

 

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