内需関連株とは、売上の大部分を国内市場で稼いでいる企業の株式のことです。小売、食品、鉄道、電力、通信、不動産などが代表例です。
ただし、ここで注意すべき点があります。「内需株は景気に強い」と説明されることがありますが、これは半分しか正しくありません。
内需のなかにも、景気の波を強烈に受ける業種があります。この記事ではその線引きを整理します。
この記事でわかること
・内需株が買われる局面と売られる局面
・内需なのに景気敏感な業種の見分け方
・ディフェンシブ銘柄との違い
・自分で内需株を判別する方法
内需関連株とは
内需関連株は、業績が日本国内の需要(内需)に依存している企業を指します。反対に、海外での売上が大きい企業は外需関連株と呼ばれます。
| 内需関連株 | 外需関連株 | |
|---|---|---|
| 売上の源泉 | 日本国内 | 海外 |
| 為替の影響 | 円高が追い風(輸入コストが下がる) | 円安が追い風 |
| 影響を受ける要因 | 国内景気・人口・政策・国内金利 | 世界景気・為替・関税 |
| 値動きの特徴 | 相対的に緩やか | 大きく振れやすい |
日本の株式市場は「外需株が上がる日は内需株が売られる」という綱引きの構図になりやすい特徴があります。同じ日経平均のなかでも、資金が行ったり来たりするためです。
内需と外需を分ける基準
明確な公式の定義はありませんが、実務では海外売上高比率で判断します。
| 海外売上高比率 | 分類の目安 |
|---|---|
| おおむね20%未満 | 内需関連株 |
| 20〜50%程度 | どちらとも言えない(両方の性格を持つ) |
| 50%以上 | 外需関連株 |
※ 公式な区分ではなく、市場で一般的に用いられる目安です
重要なのは「業種名で決まるわけではない」という点です。同じ小売業でも、海外展開を積極的に進めている企業は外需の性格を強く持ちます。個別企業ごとに確認する必要があります。
内需関連株の主な業種
| 分野 | 業種 | 内需である理由 |
|---|---|---|
| 生活インフラ | 電力・ガス・鉄道・通信 | 設備が国内にあり、顧客も国内 |
| 生活必需 | 食品・日用品・医薬品・小売 | 国内の消費に直結 |
| 金融 | 地方銀行・保険・証券 | 国内の預金・保険契約が基盤 |
| 不動産・建設 | 不動産・建設・住宅 | 土地と建物は国内にしかない |
| サービス | 外食・人材・介護・教育 | 対面サービスは国内で完結 |
内需関連株が買われる局面
内需株に資金が向かうのは、主に次の4つの場面です。
| 局面 | なぜ買われるか |
|---|---|
| 円高が進んだとき | 輸出企業の利益が減る一方、輸入コストが下がって内需企業は恩恵を受ける |
| 世界景気に不安が出たとき | 海外の減速の影響を受けにくい避難先として選ばれる |
| 国内で賃上げが進むとき | 家計の購買力が上がり、小売・外食の売上が伸びる |
| 国内向けの政策が出たとき | 補助金・減税・公共投資などが直接業績につながる |
2026年8月時点のドル円は155〜163円台で推移しており、円安が定着した局面です。この環境では外需株が優位になりやすく、内需株は相対的に出遅れやすい状況が続いています。
※ 為替水準は2026年8月時点の市場データによる
内需のなかにも景気敏感な業種がある
ここがこの記事で最も重要な部分です。「内需株=景気に左右されない安全な株」という理解は誤りです。
食品・医薬品・日用品
→ 不況でも需要が消えない
百貨店・外食・人材・レジャー
→ 不況で真っ先に削られる
不動産や建設は完全な内需産業ですが、金利上昇と景気後退の両方から直撃を受ける、最も景気に敏感な業種のひとつです。
| 業種 | 景気後退時に起きること |
|---|---|
| 不動産 | 住宅購入が先送りされる。金利上昇で借入コストも増える |
| 外食・レジャー | 支出の優先順位が低く、真っ先に削られる |
| 人材 | 企業が採用を止めると売上が急減する |
| 電力・鉄道・食品 | 需要そのものは大きく減らない |
ディフェンシブ銘柄との違い
混同されやすい2つの言葉ですが、分類の軸がまったく違います。
| 内需関連株 | ディフェンシブ銘柄 | |
|---|---|---|
| 分類の軸 | 売上がどこで発生するか | 景気に左右されるかどうか |
| 代表例 | 小売・不動産・建設・地銀 | 食品・医薬品・電力・通信 |
| 重なる部分 | 食品・電力・鉄道・通信は両方に該当する | |
| 重ならない部分 | 不動産・外食は内需だがディフェンシブではない | |
ここを間違えると危ない
国内景気の悪化と金利上昇の両方を受けることがある。
守りを固める目的なら、内需かどうかではなくディフェンシブかどうかで選ぶ。
インバウンド関連という例外
内需・外需の分類には、はっきりした例外があります。インバウンド関連(訪日外国人向け)です。
| 項目 | インバウンド関連の特徴 |
|---|---|
| 売上の計上 | 国内(=統計上は内需企業) |
| 需要の出どころ | 海外 |
| 為替の影響 | 円安が追い風(他の内需株と逆) |
| 該当する業種 | 百貨店・ドラッグストア・ホテル・空港関連・鉄道の一部 |
円安になると内需株は売られる——この定石が通用しない一群があるということです。旅行や小売のニュースを見るときは、その企業の売上に訪日客がどれだけ含まれるかを意識すると、値動きの理由がつかめます。
人口減少という構造的な逆風
内需関連株には、避けて通れない長期の課題があります。国内市場そのものが縮小していくという点です。
| 影響 | 受けやすい業種 | むしろ追い風になる分野 |
|---|---|---|
| 人口減少 | 住宅・教育・地方の小売 | 医療・介護・シニア向けサービス |
| 人手不足 | 外食・物流・建設(人件費増) | 省人化・自動化・人材サービス |
| 都市への集中 | 地方銀行・地方の鉄道 | 都心部の不動産・都市部の鉄道 |
「内需だから安定」ではなく、「縮む市場でシェアを取れるか」で見る必要があります。同じ内需でも、値上げが通る企業と通らない企業では10年後の姿がまったく違ってきます。
日経平均内需株50指数で全体を見る
内需株全体の動きを把握したい場合は、日本経済新聞社が算出する日経平均内需株50指数が使えます。日経平均株価の構成銘柄のうち、国内売上比率の高い50銘柄で構成される指数です。
| 指数 | 構成 | 2026年8月18日の水準 |
|---|---|---|
| 日経平均内需株50 | 国内売上比率の高い50銘柄 | 37,654.18 |
| 日経平均外需株50 | 海外売上比率の高い50銘柄 | 58,345.00 |
※ 出典:日本経済新聞社「日経平均プロフィル」(2026年8月18日時点)
この2つの差の推移を見ると、市場がいまどちらに資金を振り向けているかが一目でわかります。どちらも等ウエイト(各銘柄を均等の比率で組み入れる方式)で算出されています。
自分で内需株かどうかを調べる方法
銘柄リストは時間が経てば古くなります。重要なのは、自分で判別できるようになることです。
| 手順 | やること |
|---|---|
| ① | 企業のIRページで有価証券報告書または決算短信を開く |
| ② | セグメント情報(事業の種類別・地域別)を探す |
| ③ | 地域別の売上高から、日本以外の合計が全体の何%かを計算する |
| ④ | 20%未満なら内需、50%以上なら外需と判断する |
さらに一歩進めるなら、売上ではなく営業利益の地域別内訳を見てください。売上は国内が多くても、利益の大半を海外で稼いでいる企業があります。株価はより利益に反応します。
内需関連株の注意点
不動産・建設・外食・人材は完全な内需ですが、景気後退時の下落率は外需株より大きくなることさえあります。守りを固めたいならディフェンシブ性で選んでください。
訪日客の需要に依存している企業は、円高になると来訪者の購買力が落ちて業績が悪化します。教科書どおりの動きにならない点に注意が必要です。
食品や小売は売上こそ国内ですが、仕入れは海外に依存しています。円安局面ではコスト増が利益を圧迫します。売上が内需でも、コストは外需の影響を受けます。
海外展開を進めれば内需株は外需株に変わります。数年前の分類をそのまま信じないでください。決算ごとにセグメント情報を確認するのが確実です。
※ 本記事は用語と仕組みの解説であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
内需関連株に関するよくある質問
まとめ
内需関連株を考えるときに大切なのは、「内需かどうか」と「景気に強いかどうか」を分けて考えることです。この2つを混同しなければ、局面に応じた選び方ができるようになります。
この記事のまとめ
・円高・世界景気の不安・賃上げ・国内政策で買われやすい
・不動産・建設・外食・人材は内需でも景気敏感
・ディフェンシブ銘柄とは分類の軸がそもそも違う
・インバウンド関連は「内需なのに円安が追い風」という例外
・原材料は輸入のため、円安ではコスト増の影響を受ける
・判別は有価証券報告書のセグメント情報(地域別)で行う
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