
NYSE(New York Stock Exchange、ニューヨーク証券取引所)とナスダック(Nasdaq)は、米国株のほぼすべてが上場する 2 大取引所です。NYSE は 1792 年創設で上場企業の時価総額の合計が世界最大、伝統的な製造業・金融・消費財の大企業が多く上場しています。ナスダックは 1971 年に世界初の電子取引所として始まり、アップル・マイクロソフト・エヌビディア・アマゾンなどテック企業の本拠地になりました。投資家にとっては、取引時間・決済・手数料・税金に違いはなく、どちらの上場かで売買の仕方が変わることはありません。違いが出るのは、上場企業の傾向、指数(ダウ平均・ナスダック 100)との関係、上場基準です。この記事では 2 つの取引所の違い、ティッカーでの見分け方、指数との関係、投資家が知っておくべき点をまとめます。
- NYSE=1792 年創設、時価総額世界最大、伝統的な大企業。ナスダック=1971 年創設の電子取引所、テック中心。時価総額上位 10 社の大半はナスダック上場
- 投資家にとって取引時間・決済(T+1)・手数料・税金は同じ。日本の証券会社でも区別なく買える
- ティッカーはNYSE が 1〜3 文字(GE・KO・JPM)、ナスダックが 4 文字(AAPL・MSFT・NVDA)が伝統。ただし現在は例外が多い
2 つの取引所の基本比較
| NYSE(ニューヨーク証券取引所) | ナスダック | |
|---|---|---|
| 創設 | 1792 年 | 1971 年 |
| 運営会社 | インターコンチネンタル取引所(ICE) | ナスダック社(NDAQ、自身もナスダック上場) |
| 上場企業数 | 約 2,300 社 | 約 3,300 社 |
| 上場企業の時価総額合計 | 約 30 兆ドル(世界 1 位) | 約 25〜30 兆ドル(世界 2 位) |
| 取引の仕組み | 電子取引+立会場(DMM が値付けを補助) | 完全電子取引(マーケットメーカー制) |
| 代表的な上場企業 | バークシャー・JP モルガン・J&J・P&G・エクソン・ウォルマート・ビザ | アップル・マイクロソフト・エヌビディア・アマゾン・アルファベット・メタ・テスラ |
| 代表的な指数 | NYSE 総合指数(ダウ平均は両取引所の銘柄を含む) | ナスダック総合指数・ナスダック 100 |
時価総額上位 10 社のうち、バークシャーとイーライリリー・JP モルガンを除くほぼ全社がナスダック上場で、2020 年代は「規模の NYSE、成長のナスダック」という構図が崩れ、時価総額でも両者は拮抗しています。ナスダックは 2020 年以降、新規上場(IPO)の件数で NYSE を上回る年が続いています。
上場基準と、なぜテック企業はナスダックに集まるのか
両取引所とも、上場には株主数・浮動株数・株価・利益または時価総額の基準があります。
| 項目(目安) | NYSE | ナスダック(グローバル・セレクト) |
|---|---|---|
| 株主数 | 400 人以上(100 株以上保有) | 450 人以上 |
| 浮動株 | 110 万株以上 | 125 万株以上 |
| 株価 | 4 ドル以上 | 4 ドル以上 |
| 利益または時価総額 | 直近 3 年の税引前利益 1,000 万ドル以上、など複数の基準 | 直近 3 年の税引前利益 1,100 万ドル以上、など複数の基準 |
| 年間の上場維持費(大企業) | 最大 50 万ドル程度 | 最大 18 万ドル程度 |
基準の厳しさは大きく変わりませんが、ナスダックには利益が無くても時価総額や売上で上場できる区分(グローバル・マーケット、キャピタル・マーケット)があり、創業期に赤字のテック企業やバイオ企業が上場しやすい構造です。1980 年のアップル、1986 年のマイクロソフト、1997 年のアマゾンがナスダックを選んだことで「テックはナスダック」のブランドが定着し、その後の企業も同業が集まる市場を選ぶようになりました。上場維持費が安いことも理由の 1 つです。
逆に、伝統的な大企業は「NYSE 上場」を信用の証として選び、歴史のある会社ほど NYSE に残っています。上場廃止の基準は両取引所で似ており、株価 1 ドル割れなどのルールは 米国株の上場廃止基準の解説 にまとめています。
取引の仕組みの違いと、ティッカーでの見分け方
NYSE は、電子取引が主体になった現在も立会場(トレーディングフロア)を残し、DMM(Designated Market Maker)と呼ばれる指定の値付け業者が、寄り付き・引けや急変時の値付けを補助します。ナスダックは最初から完全電子取引で、複数のマーケットメーカーが競争して売り買いの気配を出します。
投資家にとって実務上の違いはほぼありませんが、次の点は知っておくと役立ちます。
- 寄り付き・引けの値決め:NYSE は DMM が需給を見て一本値を決めるため、決算翌日などの大きなギャップでも比較的秩序立って寄る。ナスダックはオークション方式で同様の仕組みがある
- 取引時間・時間外取引:両取引所とも 9:30〜16:00、プレ・アフターマーケットの時間帯も同じ(取引時間の解説)
- 休場日・決済:同じ(T+1)
| ティッカーの文字数 | 伝統的な区分 | 例 | 例外 |
|---|---|---|---|
| 1〜3 文字 | NYSE | F(フォード)・GE・KO・JPM・V | ナスダックにも 3 文字以下が増えた(AMD は NYSE → ナスダック移籍) |
| 4 文字 | ナスダック | AAPL・MSFT・NVDA・AMZN・TSLA | NYSE にも 4 文字がある(LULU など) |
| 5 文字目が Y | ADR(店頭) | NTDOY(任天堂) | — |
「3 文字以下なら NYSE、4 文字ならナスダック」は目安として今も有効ですが、2007 年に文字数の制限が撤廃されて以降、移籍や例外が増えています。ティッカーの仕組みは ティッカーシンボルの解説 をご覧ください。
指数との関係と、日本の投資家が知っておくこと
| 指数 | 対象 | 取引所との関係 |
|---|---|---|
| ダウ平均 | 30 社 | 両取引所の銘柄を含む(NYSE が多いが、アップル・マイクロソフト・エヌビディアなどナスダック銘柄も) |
| S&P500 | 約 500 社 | 両取引所。取引所は問わない |
| ナスダック総合 | ナスダック上場の約 3,000 社 | ナスダック上場銘柄だけ |
| ナスダック 100 | ナスダック上場の非金融大型 100 社 | ナスダック上場銘柄だけ。NYSE のバークシャー・JP モルガンは入らない |
| NYSE 総合指数 | NYSE 上場の全銘柄 | NYSE だけ。日本ではあまり使われない |
ナスダック 100(QQQ)に「上場している取引所」という条件があるため、NYSE 上場の大型株はどれだけ大きくても入りません。逆に、企業が NYSE からナスダックに移籍すれば、ナスダック 100 に採用される可能性が生まれます(2020 年代にはこの理由でナスダックへ移籍する会社が複数ありました)。
日本の投資家にとっての結論は、「どちらの上場かで売買の仕方は変わらない。変わるのは、その株がナスダック 100 に入るかどうかと、テック寄りか伝統産業寄りかという傾向」です。日本の証券会社の銘柄情報には「市場:NYSE/NASDAQ」と表示されているので、確認したいときはそこを見てください。当サイトのテーマ株一覧では全銘柄に上場市場を表示しています。指数の詳しい仕組みは ナスダック 100 の解説 と ダウ平均の解説 をご覧ください。
NYSE とナスダックの違いに関するよくある質問
NYSE とナスダックで手数料や税金は違いますか?
「ナスダック」は取引所の名前ですか、指数の名前ですか?
米国には他に取引所はありますか?
日本企業はどちらに上場していますか?
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執筆:佐々木優也(Pacific Stock 編集長・専業投資家歴20年)
上場企業数・時価総額は両取引所と世界取引所連盟(WFE)の統計(2026 年時点の概数)、上場基準と維持費は NYSE Listed Company Manual および Nasdaq Listing Rules、ティッカーの制限撤廃は SEC の 2007 年の規則変更にもとづきます。 本記事は情報提供を目的とし、特定の銘柄・証券会社の売買や口座開設を推奨するものではありません。当サイトは証券会社の口座開設等によりアフィリエイト報酬を得る場合がありますが、比較の順位や数値には影響しません。最終更新 2026-09-18。

