信用期日とは、信用取引で建てたポジションを決済しなければならない期限のことです。制度信用取引では、新規に建てた日から6ヶ月後が返済期限になります。
この期限があるために、期日が近づくと本人の意思とは関係なく決済が発生します。これが株価を動かします。
この記事では、期日の数え方から、期日前に株価が動く仕組みまでを解説します。
この記事でわかること
・制度信用と一般信用でどう違うか
・期日までに取れる3つの選択肢
・放置したときに何が起きるか
・買い残が多い銘柄と売り残が多い銘柄で真逆になる理由
信用期日とは
信用期日(読み方:しんようきじつ)とは、信用取引の返済期限のことです。単に「期日」「6ヶ月期日」とも呼ばれます。
借りたものはいつか返さなければなりません。
→ 現物取引と違い「永遠に持ち続ける」ことができない
ここが現物取引との決定的な違いです。株価が戻るまで待つ、という戦略が使えません。期限が来れば、含み損を抱えたままでも決済されます。
信用取引そのものの仕組みは信用取引とはで解説しています。
期日はいつ来るのか(数え方)
制度信用取引の期日は、新規建ての約定日から6ヶ月後の応当日です。
| 新規建ての日 | 6ヶ月後の応当日 | 実際の期日 |
|---|---|---|
| 4月10日(平日) | 10月10日 | 10月10日が営業日ならその日 |
| 4月10日 | 10月10日が土日祝 | 直前の営業日へ繰り上がる |
| 8月31日 | 2月31日は存在しない | 2月の末日が基準になる |
※ 繰り上げ・繰り下げの扱いは証券会社によって細部が異なります。取引画面に表示される「返済期限」を必ずご確認ください。
期日は建てた「日ごと」に付きます。3回に分けて買い建てたなら、期日も3つあります。まとめて処理されるわけではありません。
制度信用と一般信用の違い
| 項目 | 制度信用取引 | 一般信用取引 |
|---|---|---|
| 期日 | 6ヶ月で固定 | 証券会社が決める(無期限もある) |
| ルールを決める人 | 証券取引所 | 証券会社と投資家の合意 |
| 対象銘柄 | 取引所が選定した銘柄のみ | 証券会社の裁量で幅広い |
| 逆日歩 | 発生する | 発生しない |
| 金利・貸株料 | 低め | 高めのことが多い |
| 信用残への反映 | 公表される | 証券会社ごとで全体像は見えにくい |
最後の行が重要です。私たちが見ている「信用残」は制度信用の数字が中心なので、期日を読むときも制度信用が前提になります。
一般信用の「無期限」も、実際には証券会社の判断で期限が設定される場合がある点には注意してください。
期日までにできる3つのこと
買い建てなら売る、売り建てなら買い戻す。損益が確定します
代金を全額支払って現物株として引き取ります。期限のない保有に切り替わります
同じ銘柄の現物株を渡して決済します。株価の変動に関係なく処理できます
②は「期日から逃れる唯一の正攻法」です。ただし全額の資金が必要になります。詳しくは現引きとは、現渡しとはをご覧ください。
期日までに決済しなかったらどうなるか
・原則として成行注文で反対売買される
・価格を選べないため、その日の不利な水準で約定することがある
・手数料は通常どおり発生する
・多くの証券会社では、期日当日の一定の時刻までに自分で返済する必要がある
最後の点が実務上1番重要です。「期日の日は1日中取引できる」と思っていると間に合いません。証券会社によっては前場までに手仕舞う必要があります。
期日が近い建玉があるなら、数日前には決済の判断を済ませておくのが安全です。
なぜ期日前に株価が動くのか
ここが投資家として知っておくべき部分です。
半年前に大量の買い建てが入った銘柄がある
↓
その人たちは6ヶ月後までに必ず売らなければならない
↓
期日が近づくと、意思とは無関係の売り注文が出てくる
とくに含み損を抱えたまま塩漬けになっている建玉ほど、期日ぎりぎりまで我慢して投げ売りになります。これを「しこり玉の解消」と呼ぶこともあります。
逆に言えば、期日を通過した後は売り圧力が消えるということでもあります。
買い残が多い銘柄の期日前後
| 時期 | 起きやすいこと |
|---|---|
| 期日の1〜2ヶ月前 | 戻り局面で少しずつ返済売りが出る。上値が重くなる |
| 期日の直前 | 投げ売りが集中し、下げが加速することがある |
| 期日の通過後 | 売り圧力が抜けて軽くなることがある |
「期日通過で需給が好転する」という見方があるのはこのためです。ただし期日はきっかけにすぎず、業績が悪ければ下げ続けます。需給だけで株価は決まりません。
売り残が多い銘柄の期日前後
売り建て(空売り)にも同じ6ヶ月の期日があります。こちらは買い戻しが必要になるため、動きは真逆になります。
将来の売り予備軍
→ 上値が重い
→ 期日前に下げやすい
株価が上がると「やれやれ売り」も出る
将来の買い予備軍
→ 下値で支えになる
→ 急騰時に踏み上げが起きる
株価が上がると損失が膨らむため買い戻しを急ぐ
売り建てが積み上がった銘柄が急騰すると、買い戻しがさらなる上昇を呼ぶという連鎖が起きます。これが踏み上げです。
期日を読むための指標
| 指標 | わかること |
|---|---|
| 信用買残・売残 | どれだけの建玉が残っているか。毎週公表される |
| 信用倍率 | 買残 ÷ 売残。高いほど将来の売り圧力が大きい |
| 貸借倍率 | 日本証券金融のデータで、毎日更新される |
| 回転日数 | 建玉が何日で入れ替わっているか。長いほど塩漬けが多い |
期日の売り圧力を読むうえで有効なのは回転日数です。日数が長いほど「動かないまま抱えている建玉」が多いということなので、期日での投げが出やすくなります。
半年前のチャートで急騰した日を探し、その日の出来高と信用残の増加を見比べると、いつの建玉が残っているかを推測できます。
期日を延ばす方法はあるか
| 方法 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 現引き・現渡し | 現物にして期限をなくす | 全額の資金または現物株が必要 |
| 返済して建て直す | いったん決済し、あらためて新規建てする | 損益が確定し、手数料も二重にかかる |
| 一般信用(無期限)へ | 期限のない区分で建て直す | 金利・貸株料が高いことが多い |
「期日そのものを延長する」という手続きは存在しません。いったん決済するか、現物にするかのどちらかです。
なお、建て直しはその時点の値段で新たに建てることになるため、含み損はそのまま実現します。「先送り」にはなりません。
期日にまつわる注意点
見落としやすいポイント
※ 本記事は取引制度の解説であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。制度の詳細はご利用の証券会社の規定をご確認ください。
信用期日に関するよくある質問
まとめ
信用期日は「意思に関係なく決済が発生する日」です。自分の建玉だけでなく、他の投資家の期日も株価に影響します。
この記事のまとめ
・休業日なら直前の営業日に繰り上がるのが一般的
・期日は建てた日ごとに個別につく
・放置すると成行で強制決済される
・期日当日は取引時間の一部しか返済できない場合がある
・買い残が多い銘柄は期日前に売り圧力が出やすい
・売り残が多い銘柄は急騰時に踏み上げが起きやすい
・期日の延長はできない。現引きが唯一の正攻法
