単元未満株で株主優待がもらえるのはたった23銘柄のみ

単元未満株(1〜99株)で株主優待はもらえるのか。結論から書くと、ほぼもらえません。

東証に上場する3,713社を1社ずつ確認したところ、100株未満で対象になる優待は23社・28件しかありませんでした。しかもその内訳を見ると、6割は「もらえる」ものではなく「安く買える」割引でした。

実際にモノや金券がもらえるものは、28件のうち3件だけです。

この記事では、その23社をすべて確認した結果を分類したうえで、「1株以上」と書いてあっても実際には受け取れない可能性があるケースまで説明します。そのうえで、単元未満株を優待とどう組み合わせるのが現実的なのかを整理します。

この記事でわかること

東証3,713社のうち、100株未満で優待の対象になるのは23社・28件だけ
・その内訳(割引17件/招待5件/抽選3件/モノ・金券3件
モノ・金券がもらえる3件の具体的な中身と投資額
「1株以上」でも実際には受け取れない可能性があるケース
・100株未満で現実的に使えるのは50株の東天紅と75株のきんえいの2社
なぜ単元未満株では優待がもらえないのかという制度上の理由
配当は単元未満株でも受け取れること
・優待が目的なら単元未満株を「積み上げる道具」として使う考え方
100株買うのに必要な金額は中央値17万4,900円という実測値
・10万円以下で買える優待銘柄は1,097社中323社(29.4%)あること
・単元未満株のコスト(スプレッド・約定タイミング)

※ この記事は公表データの集計であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。優待の内容は2026年9月1日時点で確認したもので、変更・廃止されることがあります。株価は2026年9月4日時点。実際に申し込む前は必ず各社のIR情報で最新の条件を確認してください。

結論|単元未満株でもらえる優待は、ほぼ存在しない

株主優待は原則として「1単元(100株)以上を持つ株主」が対象です。1株や10株といった単元未満株では、優待の権利が発生しない設計になっている会社がほとんどです。

「単元未満株でもらえる優待ランキング」といった情報を見かけることがありますが、実際に全社を確認すると、そのような一覧を作れるだけの銘柄数がありません。

東証3,713社を1社ずつ確認した

実際に数えた結果が次のとおりです。

項目 社数
東証に上場している会社 3,713社
そのうち株主優待を実施している会社 1,653社
100株以上が条件の会社 1,097社(株価が取得できた分)
100株未満が条件に含まれる会社 23社(28件)

優待を出している1,653社のうち、100株未満で対象になるのは23社。割合にすると1.4%です。

23社の内訳|6割は「もらえる」ではなく「安く買える」

ここが重要な部分です。23社・28件の中身を分類すると、実際にモノや金券がもらえるものはごくわずかでした。

種類 件数 中身
割引・優待価格販売 17件 自社商品を安く買える権利。お金を払う必要がある
招待・非売品 5件 カレンダー、美術館の招待券、工場見学など
抽選 3件 当たれば受け取れる。50名・1,000名などの枠
モノ・金券がもらえる 3件 クオカード、ポイント、住宅購入時の特典

17件、つまり全体の約6割が「割引・優待価格販売」でした。これは商品を安く買える権利であって、受け取るものではありません。その会社の商品を買う予定がなければ、価値はゼロになります。

抽選の3件も同じです。いちご(2337)の毎月のプレゼントは抽選50名、八十二長野銀行(8359)の500円電子ギフトは抽選1,000名という枠があります。1株持っていれば必ずもらえるものではありません。

モノ・金券がもらえるのは3件だけ

28件のうち、実際に受け取れるものは次の3件です。

銘柄(コード) 株価 内容
ODKソリューションズ(3839) 641円 議決権を行使した株主に500円相当のクオカード
マネックスグループ(8698) 734円 50マネックスポイント
綿半ホールディングス(3199) 1,327円 同社ブランドで家を建てた場合の家具プレゼント

綿半ホールディングスは、同社の住宅ブランドで家を建てることが前提です。家を建てる予定がある人以外には関係がありません。

マネックスグループの50ポイントは、1ポイント1円相当として50円分です。株価734円に対して50円なので、割合としては小さくありません。ただし金額そのものが小さいものです。

ODKソリューションズには落とし穴がある

この3件のなかで数字だけ見れば最も条件がよいのが、ODKソリューションズ(3839)です。株価641円に対して500円相当のクオカードという内容になっています。

ただし、ここには見落としやすい条件があります。この優待は「議決権を行使した株主」が対象です。

ここに注意

会社法では、議決権は原則として1単元(100株)ごとに1個与えられます。
つまり単元未満株の株主には、議決権がありません。

議決権がなければ議決権を行使できず、
「議決権を行使した株主」という条件を満たせない可能性があります。

申し込む前に、必ず同社のIR情報で条件を確認してください。

データ上は「1株以上」と記載されていても、別の条件で実質的に単元未満株が排除されていることがあります。これは他の銘柄でも起こりうる話です。

100株未満で現実的に使えるのは2社

1株ではなく、50株・75株という中間の単位で優待を設定している会社もあります。この2社は、内容としても実質的です。

銘柄(コード) 必要株数 投資額 内容
東天紅(8181) 50株 49,500円 食事割引券2枚(年間4枚)
きんえい(9636) 75株 313,875円 株主招待カード(毎月1回)

ここで注意したいのが、きんえいです。75株で優待の対象になりますが、株価が4,185円なので投資額は31万3,875円になります。

「単元未満株なら少額で始められる」というイメージとは逆の結果です。必要な株数が少なくても、株価が高ければ投資額は大きくなります。単元未満株かどうかと、金額が小さいかどうかは別の話です(単元未満株とは?1株から買えるしくみ)。

なぜ単元未満株では優待がもらえないのか

制度の側から見ると、理由ははっきりしています。

株主優待は法律で定められた制度ではなく、会社が自主的に行っているものです。だから会社が条件を自由に決められます。そして多くの会社が「1単元(100株)以上」を条件にしています。

理由 内容
送付コスト 1株の株主にも送ると、送料と事務費が優待の価値を上回る
目的との不一致 優待の狙いは長期で一定量を持つ株主を増やすこと。1株では効果が薄い
議決権との関係 単元未満株には議決権がなく、株主総会の案内も原則届かない
売買単位の統一 2018年10月に売買単位が100株へ統一され、100株が基準として定着した

つまり「単元未満株では優待がもらえない」のは例外ではなく、そもそもの設計です単元株数とは?100株に統一された経緯)。

「1株以上」と書いてあっても鵜呑みにしない

ここまでで確認したとおり、注意すべき点が3つあります。

1つめは、「割引」と「もらえる」の区別です。優待の一覧では両方が同じように並びますが、割引はお金を払う必要があります。28件のうち17件がこれでした。

2つめは、抽選かどうかです。「1株以上」と書いてあっても、当選枠が50名なら、実際に受け取れる人はごく一部です。

3つめは、他の条件が付いていないかです。ODKソリューションズのように、議決権の行使が条件になっていることがあります。株数の条件だけを見て判断すると、受け取れないことがあります。

配当は単元未満株でも受け取れる

優待とは対照的に、配当は保有株数に応じて必ず受け取れます。

1株持っていれば1株分の配当が支払われます。単元未満株だからといって減額されることも、対象外になることもありません。議決権や優待とは扱いが違う部分です。

そのため「少額から始めて配当を受け取りたい」という目的であれば、単元未満株は問題なく使えます。合わない相手は優待の方です(高配当株の選び方|配当利回りの落とし穴)。

優待が目的なら、単元未満株は「積み上げる道具」として使う

ここからが現実的な使い方の話です。

単元未満株の使いどころは、優待をもらうことではなく、100株に到達するまで少しずつ買い進めることです。

単元未満株を優待と組み合わせる考え方

① 欲しい優待の銘柄を決める
 ↓
100株分の金額を確認する(中央値は17万4,900円)
 ↓
③ 一度に買えないなら、単元未満株で少しずつ買い足す
 ↓
100株に到達した時点で、はじめて優待の対象になる
 ↓
⑤ 到達までの期間も配当は株数分だけ受け取れる

99株までは優待が届きません。ここを勘違いしないことが大切です。

この方法なら、値下がりしたときに買い増す、値上がりしたら待つ、といった調整もしやすくなりますミニ株とは?単元未満株との違いと約定タイミング)。

100株買うのにいくら必要か

では、優待をもらうために必要な金額はどれくらいなのか。100株が条件の1,097社について、実際の株価から計算しました。

100株の投資額 社数 割合
5万円未満 123社 11.2%
5〜10万円 200社 18.2%
10〜20万円 298社 27.2%
20〜30万円 206社 18.8%
30〜50万円 193社 17.6%
50万円以上 77社 7.0%

中央値は17万4,900円、平均は22万6,873円でした。最も安い銘柄は2,000円、最も高い銘柄は507万2,000円です。

10万円以下で買える銘柄は323社あり、全体の29.4%を占めます。つまり約3社に1社は10万円以内で優待の対象になります。思っているより手が届く範囲は広い、というのが実データから見える姿です(100株で買える株主優待を検索する)。

単元未満株のコスト|スプレッドと約定タイミング

単元未満株を使う場合、通常の売買とは違う点が2つあります。

項目 内容
価格の上乗せ 手数料が0円でも、スプレッド(価格差)が上乗せされることがある。実質的なコスト
約定のタイミング 多くの証券会社では1日1〜2回にまとめて執行。自分で値段を指定できない
指値の可否 原則として指値が使えない。成行に近い形になる
議決権 なし(1単元=100株ごとに1個)
配当 あり(保有株数に応じて受け取れる)

とくに約定のタイミングは、権利確定日をまたぐときに影響します。「権利付最終売買日に注文したのに、約定が翌日になって権利を取れなかった」ということが起こりえます。

100株に到達させるつもりなら、権利確定日の直前ではなく、余裕をもって買い進めておく必要があります権利確定日とは?いつ買えば優待をもらえるか)。

まとめ

この記事のポイント

・東証3,713社のうち優待実施は1,653社。100株未満が条件なのは23社(1.4%)だけ
・28件の内訳は割引17件/招待5件/抽選3件/モノ・金券3件
約6割は「もらえる」ではなく「安く買える」割引
・モノ・金券はODKソリューションズ・マネックスグループ・綿半HDの3件のみ
ODKソリューションズは議決権の行使が条件。単元未満株には議決権がない
・50株・75株で使えるのは東天紅(49,500円)ときんえい(313,875円)
きんえいは75株でも31万円超。株数が少なくても金額は小さくならない
配当は単元未満株でも保有株数に応じて受け取れる
・優待が目的なら、単元未満株は100株まで積み上げる道具として使う
・100株の投資額は中央値17万4,900円。10万円以下は323社(29.4%)
・単元未満株はスプレッドと約定タイミングに注意する

「単元未満株でも優待がもらえる」という情報は、実際に全社を確認すると成り立ちません。該当するのは1,653社中23社で、しかもその大半は割引や抽選です。

ただし、これは単元未満株が使えないという意味ではありません。配当は株数どおりに受け取れますし、100株に届かない金額から買い進められるのは単元未満株にしかできないことです。

優待を目的にするなら、まず100株分の金額を確認するところから始まります。中央値は17万4,900円ですが、10万円以下で買える銘柄も約3割あります。届く範囲から選べば、単元未満株で積み上げる期間も短くて済みます。

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