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Sell in May(セルインメイ)とは

Sell in May(読み方:せるいんめい)

 

Sell in May(セルインメイ)とは、米国の相場格言の1つで、時期性(季節性)のアノマリーの1つでもあります。
日本語に訳して「株は5月に売れ」「5月に売り逃げろ」などと言われることもあります。

セルインメイが何を表しているか分かりやすく説明すると、株式市場は5月までは上昇の傾向があり、6月から下落する傾向があるので、上昇の傾向がある5月までに株を売却して一度相場を離れたほうが良いという意味を持ちます。

相場格言として「Sell in May(セルインメイ)」と言われていますが、これには続きがあり、正確には次のような文章が続きます。

「Sell in May and go away, and come on back on St Leger's Day」

日本語に訳すと次のようになります。

「5月に株を売却して相場を離れなさい、そしてセント・レジャーズ・デイに戻ってきなさい」

セント・レジャーズ・デイは、毎年9月に英国で開催される「セントレジャーステークス」という競馬レースがある日を指しています。

つまり、「5月に株を売却し、一度相場を離れ、9月に相場に戻ってきなさい」というのが本来の意味になります。

Sell in May(セルインメイ)の理由

セルインメイは、簡単に言うと「5月以降の株価は下落しやすい傾向にある」という考えから生まれたものです。
毎年ではありませんが、実際にそのような動きをする年もあります。

それではSell in May(セルインメイ)、つまり5月以降の株価が下落しやすくなる理由はどこにあるのでしょうか。

明確な根拠があるわけではありませんが、一般的には以下のような要因から下落しやすくなると言われています。

・ヘッジファンドの決算が6月に多い
・機関投資家などが夏季休暇に入る
・Sell in May(セルインメイ)という格言があるから

ヘッジファンドの決算が6月に多い

一般企業の場合、3月を決算月としている会社が多いですが、ヘッジファンドなどの決算は6月が多いです。
ですので決算を迎える前に解約に対応するためにポジションを整理(売却)したりするので、相場は軟調になりやすいと考えられています。

機関投資家などが夏季休暇に入る

また、その後は夏季休暇に入るのも1つの要因となります。
日本の夏季休暇はお盆休み程度なのでそこまで長くなりませんが、海外の夏季休暇は長期休暇になることも珍しくありません。
そのため、夏枯れ相場という言葉もあるように、夏の相場は閑散期となり、相場の動きも停滞しやすくなります。

こうした要因から5月以降の相場は下落しやすいと考えられます。

Sell in May(セルインメイ)という格言があるから

Sell in May(セルインメイ)という相場格言・アノマリーがあるからこそ、相場はセルインメイどおりに動くとも考えられます。
根拠はなくとも、相場が下落することで「今年はSell in Mayかもしれない」と考える人が増えるので、結果として売りに偏りやすく、軟調な相場になると考えることもできます。

Sell in Mayを検証

セルインメイは「5月に株を売却し、一度相場を離れ、9月に相場に戻ってきなさい」というものです。
言い換えると「9月以降に株を買い、遅くとも5月中には株を売りなさい」とも言えます。

それでは、セルインメイの通りに「9月終値買い、5月始値売り」をした場合と、セルインメイに逆らって「5月終値買い、9月始値売り」をした場合のパフォーマンスを見てみましょう。

今回は「日経平均株価」の価格を基に検証していきます。

「9月終値買い、5月始値売り」で検証

2020年9月終値 2021年5月始値 損益(騰落率[%])
23185.12 29024.01 5838.89(25.18)
2019年9月終値 2020年5月始値 損益(騰落率[%])
21755.84 19991.97 -1763.87(-8.11)
2018年9月終値 2019年5月始値 損益(騰落率[%])
24120.04 22,184.40 -1,935.64(-8.03)
2017年9月終値 2018年5月始値 損益(騰落率[%])
20356.28 22,453.42 2,097.14(10.30)
2016年9月終値 2017年5月始値 損益(騰落率[%])
16449.84 19,154.03 2,704.19(16.44)
2015年9月終値 2016年5月始値 損益(騰落率)
17388.15 16,357.10 -1,031.05(-5.93)
2014年9月終値 2015年5月始値 損益(騰落率)
16173.52 19,510.85 3,337.33(20.63)
2013年9月終値 2014年5月始値 損益(騰落率)
14455.80 14,341.09 -114.71(-0.79)
2012年9月終値 2013年5月始値 損益(騰落率)
8870.16 13,837.72 4,967.56(56.00)
2011年9月終値 2012年5月始値 損益(騰落率)
8700.29 9,471.66 771.37(8.87)
  損益(騰落率)合計 14,871.21(114.57)
  損益(騰落率)単純平均 1,487.12(11.46)

「9月終値買い、5月始値売り」の検証結果

結果は6勝4敗で勝率60%となっています。

結果として上昇した年のほうが多いので「セルインメイどおりに相場は動くことが多い」と見ることはできますが、「よく当たるか?」という観点で見るとそうでもない結果となりました。
ただし、損益結果をみると合計にしても単純平均してもプラスの結果となっています。

それでは、セルインメイに逆行して「5月終値買い、9月始値売り」の取引をした場合はどうなるでしょうか。

「5月終値買い、9月始値売り」で検証

2019年5月終値 2020年9月始値 損益(騰落率)
20,601.19 23,089.63 2488.44(12.08)
2018年5月終値 2019年9月始値 損益(騰落率)
22,201.82 20,625.75 -1,576.07 (-7.10)
2017年5月終値 2018年9月始値 損益(騰落率)
19,650.57 22,819.17 3,168.60 (16.12)
2016年5月終値 2017年9月始値 損益(騰落率)
17,234.98 19,733.57 2,498.59(14.50)
2015年5月終値 2016年9月始値 損益(騰落率)
20,563.15 16,885.16 -3,677.99(-17.89)
2014年5月終値 2015年9月始値 損益(騰落率)
14,632.38 18,763.72 4,131.34(28.23)
2013年5月終値 2014年9月始値 損益(騰落率)
13,774.54 15,454.59 1,680.05(12.20)
2012年5月終値 2013年9月始値 損益(騰落率)
8,542.73 13,438.07 4,895.34(57.30)
2011年5月終値 2012年9月始値 損益(騰落率)
9,693.73 8,836.61 -857.12(-8.84)
2010年5月終値 2011年9月始値 損益(騰落率)
9,768.70 9,017.01 -751.69(-7.69)
  損益(騰落率)合計 11,999.49(98.91)
  損益(騰落率)単純平均 1,199.95(9.89)

「5月終値買い、9月始値売り」の検証結果

「5月終値買い、9月始値売り」の結果は、「9月終値買い、5月始値売り」と同じ6勝4敗で勝率60%となりました。
損益面ではセルインメイどおりに動いた「9月終値買い、5月始値売り」の方がやや優位という結果になっています。

セルインメイの格言どおり投資行動をすれば結果としてプラス収支になっていましたが、セルインメイに逆行したからといって損をするわけではない、というのがわかったと思います。

ただ、今回の結果が正解とは限りません。

今回は直近10年分のデータを基に検証しており、この期間は比較的強い相場が続いています。
そのため、このように「ほぼ同じ結果」に終わった可能性もあります。

また、自身の投資行動に「セルインメイ」を取り入れた場合、確率的には良い結果を残せる可能性はあるものの、必ずしも結果を残せるとは限らないという点は理解しておくようにしましょう。

相場格言は投資の本質を表すものとして様々な言葉があり、投資に役立てることもできます。
ただ、相場の状況は刻々と変化するものなので必ずしも当てはまるとは限りません。
ですので相場格言を投資に役立てる時は鵜呑みにせず、あくまでも投資に向き合う考え方の1つとして活用するようにしましょう。

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