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POとは

PO(読み方:ピーオー)

 

POとは、Public Offering(パブリック・オファリング)を略したもので、上場企業が新たに株式を発行して資金調達をする「公募」や既に発行された株式を売却する「売出し」のことをいいます。
「公募」と「売出し」は異なるものですが、2つをあわせて「PO」を呼ぶことから「公募・売出し」と呼ばれることもあります。

POを行う目的は「資金調達」や「株式の売却」などです。

資金の使途は企業によって様々ですが、新たに株式を発行して投資家から資金を調達したり、保有する自社株を売却して資金調達を行います。
株式の売却というのは、大株主の保有株を売却するためです。
大株主は大量の株式を保有しているため、市場で売却をすると大きな影響を与えかねません。
市場の混乱を招く恐れもあるので、そのようなことがないように、事前に株式を購入してくれる人を募って売出しを行ったりします。

また、よく比較される言葉で「IPO」があります。
似たところもありますが、2つは異なるもので大きな違いがあります。
ですから混同しないように2つの違いについても見ていきましょう。

 

POメモ

・POとはPublic Offering(パブリック・オファリング)の略
・公募や売出しのことで、資金調達や株式売却を目的に行われるもの
・POとよく比較される言葉で「IPO」があるが、異なるものなので混同しないように注意

 

POとIPOの違いとは

POとIPOの大きな違いは、主に3つあります。

1.上場の有無
2.提示する価格
3.株価の動向

上場の有無

POとIPOの大きな違いは上場の有無です。

PO(公募・売出し)は「すでに上場している企業」が行いますが、IPO(新規株式公開)は「これから上場する企業」が行うものです。
資金調達などを目的として新たに株式を発行したり、発行済み株式を売却するところは同じですが、このように上場の有無が異なります。

提示する価格

POやIPOで株式を取得するには「ブックビルディング(需要申告)」へ参加し、希望する購入価格を提示します。

この時、IPOの場合は仮条件の範囲内「購入希望価格」て提示しますが、POの場合は「ディスカウント率」で提示することになります。
ディスカウント率とは、わかりやすくいうと割引率のことで「何%安かったら買うか」というものです。

基本的な申し込みから株式購入までの流れは同じですが、ブックビルディングで提示する価格に違いがある点は覚えておきましょう。

株価の動向

株価の動向にも大きな違いがあります。

IPOはこれから上場する株であるため、注目している投資家も多く、比較的人気になりやすいです。
そのため、株価も上昇傾向にあります。

一方でPOはすでに上場している企業が公募や売出しを行うため、需給悪化や「株式の希薄化」を招く恐れがあります。
そのため悪材料になりやすく、株価も下落傾向にあります。

 

POメモ

・POは上場企業が行うが、IPOはこれから上場する企業が行うもの
・POに参加する時はディスカウント率を提示して申し込みをする
・POは需給悪化等を招くので下落を招く恐れがある

 

POのメリット

POは悪材料になりやすいと紹介しましたが、メリットもあります。

1.割引価格で株を買える
2.流動性が高まり売買が活発化する
3.長期的には株価の上昇も狙える

まず1つ目は割引価格で株を買えるところです。
基準となる市場価格より安く株を買えるので、その企業に魅力を感じる投資家などにとっては大きなメリットになると思います。

2つ目は流動性です。
POが行われると流通する株式が増加するので、流動性が高まります。
そうすると市場での売買が活発化し、スムーズに取引が行われるようになるなどのメリットもあります。

3つ目は株価の上昇です。
POは主に資金調達を目的として行われますが、この資金の使途によっては企業が成長する可能性もあり、長期的にみると株価の上昇につながる可能性も高いです。
ですから「PO=悪材料」ではなく、資金調達の目的やその企業の業績などもチェックするようにしましょう。

 

POメモ

・POは市場価格より安く株を買うことができる
・PO後は流動性が高まり売買が活発化する
・調達した資金の使途によっては株価の上昇につながる可能性もある

 

POのデメリット

POのデメリットは、以下の2点です。

1.需給が悪化する
2.株式の希薄化が起こる

メリットでも紹介したように、POが行われると流通する株式が増加します。
これは流動性を高める一方で、需給が悪化するというデメリットもあります。
「需給>供給」から「需給<供給」になってしまうので、売りが入りやすくなり株価は下落してしまう可能性があるのです。

もう1つは株式の希薄化です。
公募増資を行った場合は発行済み株式数が増加することになります。
そうなると1株あたりの価値が減少してしまうので、株式の希薄化を懸念した売りが入りやすくなります。

 

POメモ

・POが行われると需給バランスの悪化や株式の希薄化によって売りが入りやすくなる

 

POによる株価の動向

POは短期的に悪材料となるため、発表のあった翌日には売りが入りやすい傾向にあります。
しかし一時的な下落で終わることも多いので、安易に売りと判断するのは難しいです。
また、同時に好材料が発表されたり、POの目的によっては業績向上につながると判断されて好材料となることもあります。

それではPO発表後の株価の動向をいくつか確認していきましょう。

まずは2019年12月3日にPO(公募・売出し)を発表した【6564】ミダックです。

 

 

ミダックの場合は、同日に東証1部への指定承認と株式分割実施も発表しています。
公募・売出しによる希薄化はあるものの、上記2つの好材料もあることから買いが先行し、株価は上昇となりました。

続いて【3962】チェンジの株価の動向を確認してみましょう。

 

 

チェンジは2019年5月15日に公募・売出しを発表しています。
上記チャートをご覧になるとわかるように、株式の希薄化や需給の悪化を懸念した売りが強まって、株価は大幅に下落しています。
一時的な下落では終わらず、その後も株価は右肩下がりとなりました。
POによる株価の影響がわかりやすく出ている例だと思います。

しかし絶対に右肩下がりになるわけでもありません。

2019年10月30日に公募・売出しを発表した【3498】霞ヶ関キャピタルの株価を確認すると

 

 

発表日翌日には株価の下落が見られます。
しかしその後は一度反発して下落前の水準まで戻す動きもありました。

このようにPOの株価の動向は、目的や規模、その他の要因によって大きく左右されます。
基本的には悪材料になるものの、その点ばかりに目を向けずに目的や規模なども確認するようにしましょう。

 

POメモ

・POは短期的には悪材料で発表日の翌日は売りが入りやすい
・しかし同時に好材料を発表したり、POの目的によっては好材料となることもある

 

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