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株式給付信託とは

株式給付信託(読み方:かぶしききゅうふしんたく)

 

株式給付信託とは、役員や従業員に対する報酬・インセンティブ制度のことです。
業績連動型の株式報酬制度の一種で、信託を通じて自社株式を給付する制度のことをいいます。

株式給付信託には「退職給付型」と「従業員持株会処分型」があります。

退職給付型は、そのままの意味で、退職時に自社株式が給付される仕組みです。従業員向けと役員向けのものがあります。
従業員持株会処分型は、従業員持株会を活用したもので、加入者に対して還元される仕組みとなっています。

また、株式給付信託は「日本版ESOP」と呼ばれることもあります。
ESOP(イソップ)とは、アメリカにおける報酬制度のことで、自社株式を企業が買い付けて、それを退職金や年金として給付する制度のことをいいます。

 

株式給付信託メモ

・株式給付信託とは、役員や従業員に対する報酬・インセンティブ制度のこと
・業績連動型の株式報酬制度の一種で、信託を通じて自社株式を給付する制度
・株式給付信託は「日本版ESOP」と呼ばれることもある

 

株式給付信託の種類

株式給付信託は、大きく分けて「退職給付型」と「従業員持株会処分型」があります。

退職給付型

退職給付型は、言葉の通り、退職時(退任時)に自社株式が給付される株式給付信託のことです。

会社があらかじめ拠出した金銭で信託銀行が自社株式を取得し、役員や従業員が退職時(退任時)にポイントに応じた自社株式を給付します。

ポイントについては、会社の業績や役職、個々の成果など、事前に設定された基準で付与されます。

よく見る株式給付信託として「株式給付信託(J-ESOP)」と「株式給付信託(BBT)」がありますが、これは共に「みずほ信託銀行」が受託者となっている株式給付信託(退職給付型)のことです。
なお、みずほ信託銀行は、2016年~2018年度まで株式給付信託の受託件数No.1となっています(みずほ信託銀行調べ)。

株式給付信託(J-ESOP)

株式給付信託(J-ESOP)は、従業員に対するインセンティブとして自社株式を給付する仕組みのものです。

株式給付信託(BBT)

株式給付信託(BBT)は、役員に対する報酬として自社株式を給付する仕組みのものです。
BBTは「Board Benefit Trust」の略です。

「J-ESOP」と「BBT」では、若干異なる点はありますが、基本は上述した通り、付与されたポイントに応じた自社株式が給付される株式給付信託となります。

従業員持株会処分型

従業員持株会処分型は、従業員持株会を活用した株式給付信託のことです。

従業員持株会処分型の場合、信託銀行が金融機関から借入を行って、その借入金を原資として自社株式を一括購入します。
企業は借入金に対して債務保証を行います。

そして信託期間中、従業員持株会は信託から自社株式を購入し、その購入代金で信託銀行が返済を行います。
従業員持株会は、給与から一定額を天引きして自社株を購入していくものです。

そして信託終了時、株価上昇により信託財産が残っている場合は、それらを換金して従業員持株会加入者に分配します。
株価下落により借入金が残っている場合は、債務保証をしている会社が弁済するので従業員持株会加入者への追加負担はありません。

 

株式給付信託メモ

・株式給付信託は「退職給付型」と「従業員持株会処分型」がある
・退職給付型は退職時等に自社株式を給付する仕組み
・従業員持株会処分型は従業員持株会を活用した株式給付信託のことで退職給付型とは内容が異なる
・みずほ信託銀行が受託者となっている「株式給付信託(J-ESOP)」は従業員に対する株式給付信託、「株式給付信託(BBT)」は役員に対する株式給付信託のこと

 

株式給付信託のメリット

株式給付信託が導入されると、対象となる役員や従業員には、自社株式が給付されることになります。
つまり、対象者にとって、経済的な効果を得られるというメリットがあります。

また、自社株式の値上がりは、対象者の利益にもつながります。
そのため、株価上昇や業績向上への意欲が高まることも期待されます。
この点は会社にとってのメリットになるでしょう。

その結果、業績が向上して株価上昇となれば、既存株主にとっても経済的な利益をもたらすことになります。

株式給付信託のデメリット

株式給付信託を行う場合、信託報酬などの費用がかかります。
ほかにも自社株式の取得費用や従業員持株会処分型の場合は借入金の保証債務なども負担する可能性があります。
こういった費用がかかる点は企業にとってデメリットになるかもしれません。

また、従業員等のモチベーションが低下する可能性もあります。
モチベーションがアップする可能性があるというメリットもありますが、株価が下落したりするとモチベーションの低下につながることもあります。そうなると業績等にも響く可能性があるので、この点も株式給付信託のデメリットになりそうです。

 

株式給付信託メモ

・株式給付信託の導入により、対象者は自社株式が給付されるので経済的な効果が得られる
・これにより、従業員等のモチベーションアップを狙える
・信託報酬などの費用がかかるので企業にとってはデメリットになるところもある
・また、株価の下落により従業員等のモチベーションが低下する可能性もある

 

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