日銀金融政策決定会合|9月18日に0.5%利上げはあるのか

2026年9月17日・18日の金融政策決定会合で、日銀が政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げるとの見方が市場の8〜9割を占めています。一方で「0.5%の利上げ」という声も出ています。日銀が1回の会合で0.5%以上動かしたのは、1990年8月30日が最後です。

それから36年、日銀は一度もその幅を使っていません。ただし「制度上できない」わけではなく、過去70年をさかのぼると0.5%以上の利上げは17回あります。しかも2026年9月2日、日銀の審議委員本人が「0.25%の利上げ幅が必ず決まっているものではない」と発言しました。この記事では、日銀の政策金利の全変更履歴と、過去の日経平均株価や10年国債の値動きのデータを使って、9月会合で何が起きるのかを整理します。

この記事でわかること

・9月会合の日程と、発表される時刻
・市場が織り込んでいる利上げ幅と、その根拠
・0.5%の利上げが過去に何回あったのか(独自集計)
・利上げが決まった日、日経平均は実際どう動いたのか(独自集計)
・利上げ局面で上がった業種・上がらなかった業種(独自集計)

目次

結論:本線は0.25%。0.5%は「無いとは言い切れない」水準にとどまる

先に結論を整理します。

シナリオ 政策金利 位置づけ
0.25%の利上げ 1.00% → 1.25% 市場が8〜9割織り込んでいる本線
据え置き 1.00%のまま 10月30日の展望レポート回まで待つ形
0.5%の利上げ 1.00% → 1.50% 主要な予想機関では確認できない。ただし日銀の審議委員が幅にこだわらない考えを示した

0.5%を予想している大手の証券会社やシンクタンクは、2026年9月2日時点では見当たりませんでした。それでも同じ日に、日銀の政策委員の一人が「幅も間隔もとらわれない」と語っています。「あり得ない」と切り捨てにくい理由が、発言とデータの両方にあります。順に見ていきます。

2026年9月の金融政策決定会合はいつ、何が発表されるのか

金融政策決定会合は年8回、2日間の日程で開かれます。9月は17日(木)と18日(金)です。

タイミング 内容
9月17日(木) 会合1日目。発表はない
9月18日(金)昼ごろ 金融市場調節方針の公表。時刻は決まっておらず、正午前後になることが多い
同日 15時30分ごろ 総裁の記者会見

公表時刻が決まっていないため、昼休みをまたいで発表が遅れること自体が「議論が割れている」サインとして読まれることがあります。会見は結果と同じくらい重視されます。今後の利上げペースについて総裁がどこまで踏み込むかで、株と為替の反応が変わるためです。

9月会合は「展望レポートなし」の回

年8回の会合のうち、1月・4月・7月・10月の4回は「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」が同時に公表されます。物価と成長率の見通しを数字で改定する回です。

9月会合は展望レポートのない回です。見通しの改定を伴わない回で大きく動かすのは説明が難しい、という見方があります。ただし直近の2回はどちらも展望レポートのない回でした。

会合 展望レポート 決定内容
2025年12月18〜19日 なし 0.50% → 0.75%
2026年6月15〜16日 なし 0.75% → 1.00%
2026年9月17〜18日 なし
2026年10月29〜30日 あり

直近2回の利上げがどちらも展望レポートのない回だったため、「展望レポートの回まで待つ」という前提はすでに崩れていると考えられます。

いまの政策金利は1.00%|ここまでの利上げの経緯

政策金利(無担保コール翌日物レートの誘導目標)は、2026年6月16日の会合で0.75%から1.00%へ引き上げられました。1.00%という水準は1995年以来、31年ぶりです。

決定日 政策金利 前回からの間隔
2024年3月19日 −0.1% → 0〜0.1%(マイナス金利解除)
2024年7月31日 0〜0.1% → 0.25% 4.4ヶ月
2025年1月24日 0.25% → 0.50% 5.8ヶ月
2025年12月19日 0.50% → 0.75% 10.8ヶ月
2026年6月16日 0.75% → 1.00% 5.9ヶ月
2026年9月18日 (今回の会合) 3.1ヶ月

5回とも引き上げ幅は0.25%以下です。1回で0.5%動かした回は1度もありません。

利上げの間隔が縮んでいる|10.8ヶ月 → 5.9ヶ月 → 3.1ヶ月

上の表でいちばん見るべきなのは、右端の「間隔」の列だと考えられます。

2025年1月 → 2025年12月
10.8ヶ月
約1年に1回のペース
2025年12月 → 2026年6月
5.9ヶ月
半年に1回のペース
2026年6月 → 2026年9月
3.1ヶ月
実現すれば今サイクル最短

9月18日に利上げが決まると、前回からわずか94日での再利上げになります。今サイクルでいちばん短い間隔です。「0.5%を1回」ではなく「0.25%を短い間隔で」というのが、いま実際に起きている加速の形だと考えられます。

市場は何を織り込んでいるのか

翌日物金利スワップ(OIS)市場では、9月会合での追加利上げを見込む確率が8割前後まで上がったと報じられています。日本経済新聞は8月時点で「9月利上げ予想8割迫る」と伝えました。

後押しになったとされるのが、2026年7月末の日米協調介入です。ドル円は163円台から155円台へ急落しました。為替の面から利上げしやすい環境が整った、という見方につながっています。

もう一つが、2026年8月27日の氷見野副総裁の講演です。基調的な物価上昇率について「これまで以上に上振れリスクを意識する必要がある」と述べ、利上げの時期については「9月を含め毎回の決定会合でしっかり議論する」と語りました。9月を特別扱いも除外もしない言い方でしたが、市場は地ならしと受け取っています。

物価は2%を下回っている

指標(2026年7月・全国) 前年同月比
総合 +1.9%
コアCPI(生鮮食品を除く) +1.8%
コアコア(生鮮食品・エネルギーを除く) +1.9%

物価そのものは2%の目標をやや下回っています。それでも利上げ観測が強いのは、円安と資源高で今後2%を超えていく方向のリスクが意識されているためです。コアとコアコアの違いは消費者物価指数の記事で整理しています。

日銀の審議委員が「0.25%と決まっているわけではない」と語った

2026年9月2日、日銀の高田創審議委員が札幌市で講演し、その後の記者会見で利上げの幅について踏み込んだ発言をしました。この記事でいちばん重要な材料です。

高田創審議委員の発言(2026年9月2日・札幌市)

・日銀は「機動的な利上げが必要な新たな局面」に入った
「市場で考えられている一定の利上げの間隔や幅にとらわれるのではなく」機動的に対応する必要がある
0.25ポイントという利上げ幅は「必ず決まっているというものではない」
・年2回の間隔での利上げは「従来の発想」
「局面が変わるなら連続利上げということも、もしかしたらあり得る」
・9月の利上げ観測については「市場の認識は踏まえながら考えていきたい」
・長期金利の上昇は「例外的な状況」には当たらない

「一定の幅にとらわれない」という言い方は、0.25%より大きい幅も、小さい幅も選択肢から外さないという意味に読めます。会見でわざわざ0.25ポイントという数字を挙げて否定した点は、市場が織り込んでいる前提そのものへの牽制と受け取ることができます。

ただし高田委員は9人のうちの1人であり、最もタカ派寄り

ここは慎重に見る必要があります。金融政策は9人の政策委員による多数決で決まります。高田委員の発言は日銀全体の意思ではありません。

会合 結果 高田委員の立場
2026年6月15〜16日 0.75% → 1.00%へ利上げ 賛成
2026年7月30〜31日 据え置き(8人が賛成) 唯一の反対。利上げを主張した

7月の会合で利上げを主張して反対票を投じたのは、9人のうち高田委員ただ1人でした。つまり今回の発言は、政策委員会のなかで最も利上げに前のめりな人物のものという前提で読む必要があります。日本経済新聞が同氏を「孤高のタカ」と表現したこともあります。

それでも、8月27日の氷見野副総裁(「9月を含め毎回の会合でしっかり議論する」)に続いて、9月2日に審議委員が「幅にとらわれない」と述べた流れは軽くありません。執行部と審議委員の両方から、9月に向けた地ならしと読める発言が出てきた形です。

0.5%の利上げはあり得るのか|日銀は過去70年で17回やっている

ここからがこの記事の本題です。日本銀行が公表している政策金利の全変更履歴を集計しました。

集計の方法

日本銀行「基準割引率および基準貸付利率(従来「公定歩合」として掲載されていたもの)」の4系列を結合。1955年8月10日から2026年6月17日までの90件・変更81回を対象にしています。1994年までは公定歩合が政策金利にあたる金利でした。
区分 回数
変更の合計(1955年8月〜2026年6月) 81回
うち利上げ 30回
うち0.5%以上の利上げ 17回(利上げ全体の56.7%)
最大の利上げ幅 1973年12月22日の+2.00%(7.00%→9.00%)
0.5%以上を最後にやった日 1990年8月30日(5.25%→6.00%)

かつての日銀にとって0.5%は珍しい幅ではなく、利上げの半分以上がそれ以上でした。1973年から1974年の石油危機、1979年から1980年の第二次石油危機、1989年から1990年のバブル末期は、いずれも0.5%から2.00%の刻みで動いています。

0.5%以上の利上げ 17回の全一覧

実施日 変更
1957年5月8日 7.67% → 8.40% +0.73
1964年3月18日 5.84% → 6.57% +0.73
1973年4月2日 4.25% → 5.00% +0.75
1973年5月30日 5.00% → 5.50% +0.50
1973年7月2日 5.50% → 6.00% +0.50
1973年8月29日 6.00% → 7.00% +1.00
1973年12月22日 7.00% → 9.00% +2.00
1979年4月17日 3.50% → 4.25% +0.75
1979年7月24日 4.25% → 5.25% +1.00
1979年11月2日 5.25% → 6.25% +1.00
1980年2月19日 6.25% → 7.25% +1.00
1980年3月19日 7.25% → 9.00% +1.75
1989年5月31日 2.50% → 3.25% +0.75
1989年10月11日 3.25% → 3.75% +0.50
1989年12月25日 3.75% → 4.25% +0.50
1990年3月20日 4.25% → 5.25% +1.00
1990年8月30日 5.25% → 6.00% +0.75

1957年と1964年の端数は、当時の金利が「日歩」で決められていたものを年率に換算しているためです。

ただし、いまの政策金利では20年間で一度も使われていない

1990年8月30日を最後に、日銀は36年間この幅を使っていません。

さらに重要なのは、政策の道具が変わっていることです。現在の政策金利は公定歩合ではなく無担保コール翌日物レートの誘導目標で、これが政策金利として運用されるようになったのは1990年代後半からです。

時代 政策金利 1回の利上げ幅
1955〜1994年 公定歩合 0.5〜2.00%が中心
2006年〜現在 無担保コール翌日物の誘導目標 すべて0.25%以下

2006年7月以降の利上げ7回は、すべて0.25%以下です。0.5%という幅は「日銀の歴史にはあるが、いまの日銀のやり方にはない」というのが正確なところだと考えられます。

それでも0.5%が本線にならない5つの理由

0.5%が本線にならない理由
① 20年間0.25%を超えていない。市場との対話を重視する日銀にとって、幅を変えること自体が強いメッセージになる
② 物価は2%を下回っている。コアCPIは+1.8%。急ぐ理由を数字で説明しにくい
③ 9月は展望レポートのない回。見通しの改定を伴わずに幅を倍にすると、根拠を示す場が会見だけになる
④ 市場は0.25%を8〜9割織り込んでいる。0.5%はサプライズになり、長期金利と円が急変動しかねない
⑤ 0.25%を短い間隔で重ねる方法がある。9月と12月で合計0.5%なら、同じ到達点により小さな衝撃で届く

5番目が実務的にはいちばん大きいと考えられます。9月18日と12月18日の2回で0.25%ずつ動かせば、年末には1.50%になります。到達点が同じなら、幅を倍にする必要がありません。

高田委員が会見で述べた「連続利上げということも、もしかしたらあり得る」という言葉も、幅ではなく回数の話です。日銀が加速するとしても、まず疑うべきは「0.5%を1回」ではなく「0.25%を続けて」のほうだと考えられます。

逆に、0.5%が現実味を帯びるとしたらどんなときか

否定材料だけを並べるのは公平ではありません。データの側には、日銀が「まだ足りない」と見られていることを示す数字があります。

① 長期金利との差が、過去の打ち止め水準より広い

財務省「国債金利情報」の10年物利回りと、政策金利の差を1986年7月から、約40年分さかのぼって集計しました。

時点 10年国債 政策金利
2024年3月19日(マイナス金利解除) 0.744% 0.05% 0.69
2025年12月19日 2.021% 0.75% 1.27
2026年6月16日 2.655% 1.00% 1.66
2026年8月31日 2.943% 1.00% 1.94

この1.94ポイントという差は、過去40年で上位18.1%にあたる大きさです(中央値は1.20、平均は1.22)。しかも過去の利上げ局面が終わった日と比べると、こうなります。

局面 最後の利上げ日 そのときの差
バブル末期 1990年8月30日 1.57
2006〜2007年 2007年2月21日 1.20
いま 2026年8月31日 1.94

過去2回の利上げ局面は、長短の差が1.2〜1.6まで縮んだところで終わっています。いまの1.94は、その水準よりまだ広い状態です。債券市場が「政策金利はこの先もっと上がる」と見ている、という読み方ができます。長期金利そのものの話は30年ぶりに長期金利が3%台に突入した記事で詳しく扱っています。

② 中立金利の下限にも届いていない

日銀は2026年3月27日、景気を熱しも冷ましもしない「中立金利」の推計を更新し、名目ベースで1.1%〜2.5%程度という幅を示しました。

いまの政策金利
1.00%
中立金利の下限にも届いていない
中立金利の推計レンジ
1.1〜2.5%
2026年3月27日に日銀が公表

1.25%に上げてようやく下限を超え、緩和的な状態から中立の入り口に入ります。つまり9月に0.25%上げても、まだ「ブレーキを踏んだ」ことにはなりません。

③ 条件がそろうとすれば「円が急落したとき」

以上を踏まえると、0.5%が現実になる筋道は次のように整理できます。

0.5%が視野に入るとしたら

・会合までにドル円が7月の高値である163円台を明確に超える
・8月・9月のCPIが2%台へ加速する
・長期金利が3%台に定着し、財政不安として意識される
・9月15〜16日のFOMCで米国が想定より強い姿勢を示し、日米金利差が開く
高田委員に同調する政策委員が増え、9人のうち賛成が積み上がる

逆に言えば、こうした変化が起きないかぎり0.5%を選ぶ理由は乏しい、ということになります。7月末に日米協調介入があったばかりで円が155〜160円台にとどまっている現状は、日銀にとって「急ぐ必要がない」状態と言えます。

ただし高田委員が9月2日に述べたのは「機動的な利上げが必要な新たな局面に入った」という認識でした。前提が変わったときに、日銀が0.25%という慣例に縛られないと明言している点は、これまでの局面になかった要素です。

利上げが決まった日、日経平均はどう動いてきたか

ここからは株の話です。1970年以降に実施された利上げ21回を起点に、日経平均のその後を集計しました。

起点からの日数 利上げ後(21回) 全営業日の平均
1営業日後 −0.30%(勝率47.6%) +0.03%(52.3%)
5営業日後 −1.08%(勝率33.3%) +0.16%(54.8%)
20営業日後 −0.50%(勝率52.4%) +0.64%(57.9%)
60営業日後 −0.01%(勝率60.0%) +1.94%(60.5%)
120営業日後 +0.62%(勝率55.0%) +3.97%(60.9%)
250営業日後 −2.39%(勝率47.4%) +8.51%(64.7%)

どの期間で切っても、利上げ後は全営業日の平均を下回っています。いちばん差が出るのは5営業日後で、勝率は33.3%まで落ちます。3回に1回しか上がっていない計算です。

ただしこの21回にはバブル崩壊の直前が5回含まれており、その分が数字を押し下げている面があります。1989年12月25日の利上げの250営業日後は−37.9%でした。「利上げしたから下がった」と読むのは行き過ぎで、利上げが行われる局面そのものが相場の過熱期と重なりやすい、と考えるのが妥当だと思われます。

直近5回の利上げ決定日と、その後20営業日

より参考になるのは、いまのサイクルの5回です。決定が発表された当日の終値で見ます。

決定日 当日 翌日 5営業日後 20営業日後
2024年3月19日 +0.66% +2.03% +1.90% −5.10%
2024年7月31日 +1.49% −2.49% −10.26% −1.89%
2025年1月24日 −0.07% −0.92% −0.90% −4.24%
2025年12月19日 +1.03% +1.81% +2.51% +8.45%
2026年6月16日 +0.13% +0.72% +0.55% −2.39%

読み取れることが3つあります。

読み取れること 中身
当日は下がっていない 5回中4回がプラス。織り込み済みの利上げは、決まった時点では材料出尽くしになりやすい
崩れるとしたら数日後 2024年7月31日は当日+1.49%のあと、5営業日で−10.26%。翌週の8月5日の急落が挟まっている
上がるときは大きい 2025年12月19日は20営業日で+8.45%。利上げが「景気が強い証拠」と受け取られた形

2024年8月5日の急落については恐怖指数(VIX)の記事でも触れています。利上げ単独の影響というより、米国の景気懸念と円キャリー取引の巻き戻しが重なった局面でした。

利上げ局面で上がった業種・上がらなかった業種

業種ごとの差も集計しました。TOPIX-17シリーズの業種別ETF17本の終値を使い、マイナス金利解除の前日から2026年9月1日までの騰落率を並べています。分配金は含めていないため、実際の投資成果はこれよりわずかに高くなります。

順位 業種 騰落率
1位 鉄鋼・非鉄 +153.8%
2位 銀行 +149.1%
3位 エネルギー資源 +74.5%
4位 金融(除く銀行) +74.0%
5位 電機・精密 +73.3%
日経平均 +67.3%
13位 小売 +25.9%
15位 運輸・物流 +16.0%
16位 医薬品 +9.2%
17位 自動車・輸送機 +0.5%

首位と最下位の差は153.2ポイントです。日経平均が+67.3%の間に、自動車・輸送機はほぼ横ばいでした。同じ2年半でも、どの業種を持っていたかで結果がまったく変わっています。

直近9ヶ月では不動産だけがマイナス

政策金利が0.5%から1.0%へ動いた期間(2025年12月18日から2026年9月1日)に絞ると、傾向がよりはっきりします。

上位3業種 騰落率 下位3業種 騰落率
鉄鋼・非鉄 +61.1% 小売 +1.7%
銀行 +52.5% 自動車・輸送機 +1.6%
電機・精密 +36.9% 不動産 −3.7%

17業種のうちマイナスは不動産だけでした。借入で物件を持つビジネスは金利上昇が費用に直結するため、教科書どおりの動きと言えます。金利と株価の関係そのものは金利が上がるとなぜ株価は下がるのかの記事で整理しています。

銀行株は「利上げなら買い」とは限らない

2年半で+149.1%という数字を見ると、銀行株は利上げのたびに上がってきたように思えます。ただし各回の20営業日を切り出すと、まったく違う顔が出てきます。

利上げ決定日 銀行の20営業日騰落 17業種中の順位
2024年3月19日 +0.1% 7位
2024年7月31日 −12.5% 17位(最下位)
2025年1月24日 +2.7% 3位
2025年12月19日 +13.3% 3位
2026年6月16日 +7.4% 1位

2024年7月31日の利上げのあと、銀行は17業種で最下位まで落ちています。利上げは銀行の利ざやにプラスに働きますが、相場全体が崩れる局面では、上げ幅が大きかった業種ほど売られます。「利上げ=銀行株」という単純な図式では説明できない、という点は押さえておきたいところです。

会合の当日、どこを見ればいいのか

結果そのものより、次の3つを順に見ると全体像がつかみやすくなります。

見る順番 チェックすること
① 決定内容 政策金利の水準。合わせて国債買い入れの減額計画にも触れられるか
② 賛成と反対の数 全員一致か、反対票が何票あるか。反対が多いほど次回への含みが残る
③ 総裁会見 次回以降のペースについての言い回し。「毎回の会合で判断する」型か「当面は様子を見る」型か

声明文の言葉づかいから方向を読む手順はタカ派・ハト派の記事にまとめてあります。

会合の前に控えている日程

日程 内容
9月15〜16日 米国のFOMC。結果が日本に伝わるのは17日の早朝で、日銀会合の初日と重なる
9月中旬 8月分の全国消費者物価指数。会合の直前になる見込み
9月17〜18日 日銀の金融政策決定会合
10月29〜30日 次の会合。展望レポートあり

FOMCの結果が出た数時間後に日銀の会合が始まる並びです。米国側の姿勢が円相場を動かした状態で議論が始まるため、9月17日未明の米国の動きは、そのまま9月18日の判断材料になり得ます。FOMCの仕組みはFOMCの記事、FRBの体制はFRBの記事で扱っています。

よくある質問

9月の日銀会合はいつ、何時に結果が出ますか
2026年9月17日(木)と18日(金)の2日間です。結果は18日の昼ごろに公表され、時刻はあらかじめ決まっていません。総裁の記者会見は同日15時30分ごろから始まります。
0.5%の利上げは本当にあり得るのですか
2026年9月2日時点で、0.5%を予想している主要な機関は確認できませんでした。市場が織り込んでいるのは0.25%の利上げで、確率は8〜9割とされています。ただし同じ9月2日に、日銀の高田創審議委員が「0.25ポイントの利上げ幅が必ず決まっているというものではない」と会見で述べています。過去に0.5%以上の利上げを17回行っている事実と合わせると、選択肢から外れるとまでは言い切れません。
高田審議委員の発言は、日銀の方針が変わったということですか
そうとは限りません。金融政策は9人の政策委員による多数決で決まり、高田委員はそのうちの1人です。しかも2026年7月30〜31日の会合では、9人のうちただ1人だけ利上げを主張して据え置きに反対しており、政策委員会のなかで最も利上げに前向きな立場にあたります。発言はその前提で受け取る必要があります。
なぜ0.25%きざみなのですか
2006年7月に無担保コール翌日物の誘導目標が政策金利として運用されるようになって以降、日銀の利上げは7回すべてが0.25%以下です。市場との対話を重視しており、想定より大きく動かすと長期金利と為替が急変動しかねない、という事情があると考えられます。
利上げが決まったら株は下がりますか
1970年以降の利上げ21回を集計すると、5営業日後の勝率は33.3%で全営業日の54.8%を下回りました。ただし直近5回の決定日は当日ベースで4回がプラスです。織り込み済みの利上げは材料出尽くしになりやすく、決まった瞬間より、そのあと数日の反応のほうが大きくなる傾向があります。
政策金利はどこまで上がるのですか
日銀は2026年3月27日、中立金利を名目ベースで1.1〜2.5%程度と推計しました。1.25%に上げてようやく下限を超える水準です。市場では最終的な到達点として1.5%から2%という見方が出ていますが、確定した目標が示されているわけではありません。
展望レポートがない回でも利上げはできますか
できます。実際、2025年12月19日と2026年6月16日の利上げは、どちらも展望レポートのない回に決まりました。9月会合も展望レポートのない回ですが、それ自体は利上げを妨げる要素にはならないと考えられます。
利上げで買われやすい業種はどこですか
マイナス金利解除から2026年9月1日までの集計では、鉄鋼・非鉄が+153.8%、銀行が+149.1%で上位でした。逆に不動産は直近9ヶ月で17業種中ただ一つのマイナスです。ただし2024年7月31日の利上げ後には銀行が20営業日で17業種中最下位まで落ちており、常に同じ結果になるわけではありません。
長期金利が3%なのに政策金利が1%なのはなぜですか
政策金利は日銀が決める短期の金利、長期金利は市場が決める10年物の金利です。2026年8月31日時点で差は1.94ポイントあり、これは1986年以降の約40年で上位18.1%にあたる大きさです。市場が今後の利上げを先回りして織り込んでいる状態と読むことができます。

まとめ

論点 この記事の整理
9月会合の本線 0.25%の利上げで1.25%。市場は8〜9割織り込み
0.5%の可能性 過去70年で17回の実績はあるが、最後は1990年8月30日。いまの政策金利では20年間0.25%を超えていない
審議委員の発言 9月2日、高田委員が「0.25ポイントと必ず決まっているものではない」と会見で発言。ただし9人のうち最もタカ派寄りの1人
加速は幅ではなく間隔で 利上げの間隔が10.8ヶ月 → 5.9ヶ月 → 3.1ヶ月へ縮んでいる
まだ足りないという証拠 長短の差1.94ポイントは、過去の利上げ打ち止め時(1.57/1.20)より広い
株の反応 決定当日は直近5回中4回がプラス。崩れるとしたら数日後
業種の差 首位と最下位で153.2ポイントの開き。不動産は直近9ヶ月で唯一のマイナス

9月18日にどちらが選ばれても、政策金利が中立金利の下限付近にとどまっていることは変わりません。見るべきは1回の幅より、そのあと総裁が次回以降のペースをどう語るかだと考えられます。

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※ この記事の集計は、日本銀行「基準割引率および基準貸付利率」、財務省「国債金利情報」、日経平均株価の日次終値(1970年1月5日〜2026年9月1日・13,932営業日)、TOPIX-17業種別ETFの日次終値をもとにしています。数値は2026年9月2日時点のものです。投資の判断はご自身の責任でお願いします。

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