TOPIX(東証株価指数)とは、東京証券取引所に上場する多数の銘柄を、浮動株の時価総額で加重して算出する株価指数です。1968年1月4日の時価総額を100として指数化しています。

日経平均が225銘柄の「株価」で加重するのに対し、TOPIXは約1,700銘柄の「浮動株時価総額」で加重します。市場全体の実態に近いのはこちらです。

そして2026年10月から、TOPIXは大きく姿を変えます。構成銘柄が約1,050銘柄まで絞り込まれ、しかも対象がプライム市場だけではなくなります。

この記事でわかること

・TOPIXの計算方法と「浮動株」の意味
・第1段階の見直しで何が起きたか(2022年〜2025年1月)
・2026年10月から始まる第2段階の中身
・銘柄が約1,700から約1,050へ絞られる基準
・スタンダード・グロース市場も対象になる意味
・日経平均との使い分け

TOPIX(東証株価指数)とは

TOPIX(読み方:とぴっくす)は「Tokyo Stock Price Index」の略で、日本語では東証株価指数といいます。算出しているのはJPX総研です。

項目 内容
算出方法 浮動株時価総額加重型
起算日・基準値 1968年1月4日・100ポイント
算出開始日 1969年7月1日
構成銘柄数 約1,700銘柄(2026年8月時点)
単位 ポイント(日経平均は円)
連動する運用資産 約110兆円(2024年3月末時点)

出典:日本取引所グループ「TOPIX(東証株価指数、TPX)」「TOPIXの見直し」

110兆円という数字が、TOPIXの見直しがこれほど注目される理由です。ETFや年金運用がこの指数に連動しているため、構成銘柄から外れることは、その企業の株を機械的に売られることを意味します。

TOPIXの計算方法

計算式そのものは単純です。

TOPIXの計算式
TOPIX = (構成銘柄の浮動株時価総額の合計 ÷ 基準時価総額) × 100
 1968年1月4日の時価総額を 100ポイント としている

2026年8月21日の終値は4,067.29ポイントでした。つまり1968年に比べて日本株の時価総額は約40倍になっているということです。

ただし基準時価総額は、新規上場や上場廃止、増資などのたびに調整されます。相場以外の要因で指数が飛ばないようにするためで、日経平均の除数と同じ役割です。

浮動株とは何か

TOPIXを理解するうえで避けて通れないのが浮動株です。

発行済株式は2種類に分かれる
浮動株 … 市場で実際に売買される株
固定株 … 創業家・親会社・持ち合いなど、動かない株

TOPIXは浮動株のぶんだけを数える

たとえば時価総額1兆円の会社でも、親会社が7割を保有していれば、市場で流通しているのは3千億円ぶんです。TOPIXは実際に売買できる3千億円ぶんだけをカウントします。

これは合理的な設計です。指数連動ファンドが実際に買えない株を指数に含めても、追随できないからです。詳しくは浮動株とは浮動株比率とはを参照してください。

第1段階の見直し(2022年〜2025年1月)

TOPIXはかつて「東証一部の全銘柄」という単純な定義でした。しかし2022年4月の市場区分再編にあわせて、大がかりな見直しが始まりました。

項目 内容
期間 2022年10月〜2025年1月末に完了
基準 流通株式時価総額100億円未満は段階的に除外
やり方 10回に分けて10%ずつウエートを引き下げ
結果 約2,200銘柄 → 約1,700銘柄

いきなり除外せず10回に分けて少しずつウエートを下げた点が重要です。110兆円の資金が一斉に売りに回れば、市場が壊れてしまいます。

この「時間をかけて薄めていく」やり方は、第2段階でも踏襲されます。

2026年10月から始まる第2段階の見直し

ここからが本題です。第2段階では、TOPIXの設計思想そのものが変わります。

項目 第1段階 第2段階
対象市場 プライム市場が中心 プライム・スタンダード・グロースの全市場区分
重視する基準 流通株式時価総額 流動性(売買のされやすさ)
ウエート低減 10回に分けて10%ずつ 8回に分けて12.5%ずつ
開始 2022年10月 2026年10月
完了予定 2025年1月(完了済み) 2028年7月

最も大きな変更は1行目です。これまで「TOPIX=プライム市場の指数」という理解で通用していましたが、第2段階以降のTOPIXは市場区分に依存しません。

スタンダード市場やグロース市場の銘柄でも、流動性の基準を満たせばTOPIXに採用されます。逆にプライム市場でも、売買が細ければ外れます。

絞り込みの基準は2つ

第2段階の選定基準は、次の2軸です。両方を満たす必要があります。

基準 内容
① 年間売買代金回転率 0.2以上(=浮動株の時価総額に対し、年間で2割以上が売買されている)
② 浮動株時価総額の累積比率 上位96%以内(新規追加)/上位97%以内(継続)

②は少しわかりにくいので補足します。全銘柄を浮動株時価総額の大きい順に並べ、上から足していって全体の96%に達するまでが対象という意味です。絶対額の基準ではなく、相対的な順位で決まります。

JPX総研の試算では、2026年3月末を基準日とすると次期TOPIXの構成銘柄数は約1,050銘柄になる見込みです。同じ試算で、上位97%以内に入る最小の浮動株時価総額は約360億円、1日あたり売買代金の最小値は約8,100万円とされています。

※ 数値はJPX総研の試算にもとづくもので、実際の基準日時点の市況により変動します。

スケジュールと救済のチャンス

除外が決まっても、いきなり指数から消えるわけではありません。

第2段階のスケジュール
2026年8月末 … 判定の基準日
 ↓
2026年10月末 … 第2段階スタート。ウエート低減の1回目
 ↓ 8回に分けて12.5%ずつ引き下げ
2027年10月 … 再評価。継続基準を満たせばウエート低減は停止
 ↓
2028年7月 … 移行完了(基準を満たさない銘柄は除外)

2027年10月の再評価が最大の分岐点です。ここで継続基準(浮動株時価総額の累積比率上位97%以内)を満たしていれば、そこから先のウエート低減は止まります。

企業側から見れば、2027年10月までに流動性を高められるかどうかが勝負になります。IR活動を強化して投資家の関心を高める、政策保有株を減らして浮動株を増やす、といった対応が現実的な選択肢です。

TOPIXと日経平均株価の違い

同じ日本株の指数でも、性格はまったく違います。

項目 TOPIX 日経平均株価
算出者 JPX総研(取引所グループ) 日本経済新聞社
銘柄数 約1,700 225
加重方法 浮動株時価総額 株価
影響が大きい銘柄 時価総額の大きい会社 株価の高い会社(値がさ株)
1銘柄あたりの影響 分散されている 最大10%(キャップの上限)
2026年8月21日終値 4,067.29 66,016.36円

「市場全体がどうなのか」を知りたいならTOPIX、「話題の銘柄がどう動いているか」を知りたいなら日経平均です。両者の比率はNT倍率として指標化されています。

TOPIXが動くとき、何が起きているのか

TOPIXの動きには、日経平均にはない特徴があります。

状況 背景として多いもの
TOPIXが日経平均より強い 銀行・保険・商社など時価総額の大きい業種に買いが入っている
TOPIXだけ最高値を更新 相場の裾野が広い。健全な上昇とされやすい
3月末・9月末に大きく動く 配当の権利取りと、指数連動ファンドのリバランス
大引け直前に急変 TOPIXの終値で約定させたい大口の注文が集中する

特に最後の行は、個人投資家にも実害があります。指数の入れ替え日や配当権利日の大引けは、通常と値動きの性質が変わるため、その時間帯の成行注文は避けたほうが無難です。

TOPIXに投資する方法

TOPIXに連動する商品は数多くあります。

手段 特徴
TOPIX連動ETF 取引時間中に売買できる。日銀が大量に保有してきた対象でもある
TOPIX連動インデックス投信 100円から積立可能。NISAのつみたて投資枠の対象商品もある
TOPIX先物 レバレッジが効く。損失が預託金を超えることがある

2026年10月からの絞り込みは、TOPIX連動ファンドの中身を変えます。ただし個人投資家が何かする必要はありません。ファンド側が自動的に入れ替えを行うためです。

TOPIXに関するよくある質問

TOPIXは何ポイントから始まりましたか?
1968年1月4日の時価総額を100ポイントとして算出されています。算出開始日は1969年7月1日です。2026年8月21日の終値は4,067.29ポイントで、起算日と比べて約40倍の水準になっています。
浮動株時価総額加重型とはどういう意味ですか?
発行済株式のうち、市場で実際に売買される「浮動株」の部分だけを時価総額としてカウントし、その大きさに応じて指数への影響度を決める方式です。創業家や親会社が持つ動かない株は除かれます。指数連動ファンドが実際に買える株だけを対象にするための設計です。
2026年10月から何が変わりますか?
TOPIXの第2段階の見直しが始まります。最大の変更は、対象がプライム市場だけでなくスタンダード市場・グロース市場を含む全市場区分になることです。あわせて流動性を重視した選定基準が導入され、構成銘柄は約1,700から約1,050へ絞り込まれる見込みです。
TOPIXから外れると株価はどうなりますか?
TOPIXに連動する運用資産は約110兆円(2024年3月末時点)あるため、除外されるとその分の売りが機械的に発生します。ただし一度に外すのではなく、8回に分けて12.5%ずつウエートを引き下げる設計になっており、市場への影響を抑える配慮がなされています。
除外が決まったら取り消せませんか?
2027年10月に再評価が行われます。この時点で継続基準(浮動株時価総額の累積比率が上位97%以内)を満たしていれば、以降の段階的ウエート低減は停止されます。企業にとっては、それまでに流動性を高められるかどうかが分かれ目になります。
TOPIXと日経平均はどちらが市場の実態に近いですか?
TOPIXです。約1,700銘柄を浮動株時価総額で加重するため、幅広い銘柄の動きが反映されます。日経平均は225銘柄を株価で加重するため、株価の高い一部の銘柄の値動きが指数を大きく左右します。ただし日経平均のほうが報道されやすく、相場の話題性を測る指標としては有用です。
TOPIXはプライム市場の指数ではないのですか?
これまでは実質的にそう理解されてきましたが、2026年10月からの第2段階では市場区分に依存しなくなります。日本取引所グループは全市場区分(プライム・スタンダード・グロース)を対象として、流動性を重視した定期入替を行う方針を示しています。スタンダードやグロースの銘柄でも基準を満たせば採用されます。
TOPIX連動の投資信託を持っていますが、何かすべきですか?
特に必要ありません。構成銘柄の入れ替えは運用会社が自動的に行います。ただし、絞り込みによって指数の中身が中小型株の少ない構成に変わっていくため、長期で見たときの値動きの性質は徐々に変化していく可能性があります。

まとめ

TOPIXは「東証全体の時価総額を映す鏡」から「流動性のある銘柄を選んだ指数」へと変わろうとしています。その転換点が2026年10月です。

この記事のまとめ

・TOPIXは浮動株時価総額加重型。1968年1月4日=100ポイントが起算
・連動する運用資産は約110兆円(2024年3月末時点)
・第1段階(2022年〜2025年1月)で約2,200銘柄から約1,700銘柄へ
・第2段階は2026年10月開始、2028年7月完了予定
・対象がプライムだけでなく全市場区分に広がる
・基準は「年間売買代金回転率0.2以上」かつ「浮動株時価総額の累積上位96%以内」
・8回に分けて12.5%ずつウエートを低減する
・2027年10月の再評価で継続基準を満たせば低減は停止
・次期TOPIXは約1,050銘柄になる見込み(JPX総研の試算)

※ 本記事は2026年8月時点の情報にもとづく解説であり、特定の商品や投資判断を推奨するものではありません。見直しの詳細は日本取引所グループの公表資料をご確認ください。

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