FOMCとは、アメリカの金融政策を決める会合のことで、正式名称は連邦公開市場委員会(Federal Open Market Committee)です。
年8回開催され、政策金利の誘導目標を決定します。結果が発表されるのは日本時間の深夜3時(夏時間)で、日本の株式市場が閉まっている時間帯にあたります。そのため翌朝の日本株は、結果を織り込んだ状態で始まることになります。
2026年7月の会合では、フェデラルファンド金利の誘導目標を3.50〜3.75%で据え置くことが決定されました。
この記事でわかること
・結果が出るのは日本時間の何時か
・FOMCが決めていること(金利だけではない)
・金利の決定が日本株に届くまでの3つの経路
・年4回だけ公表される「ドットチャート」の読み方
・当日に個人投資家ができること
目次
FOMCとは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 連邦公開市場委員会(Federal Open Market Committee) |
| 読み方 | エフオーエムシー |
| 開催回数 | 年8回(必要に応じて臨時会合も開かれる) |
| 日程 | 2日間(火曜・水曜が基本) |
| 投票権を持つ人数 | 12名(FRB理事7名+地区連銀総裁5名) |
| 決めること | フェデラルファンド金利の誘導目標、保有資産の方針 |
| 日本での対応 | 日本銀行の金融政策決定会合(年8回) |
投票権を持つのは12名です。FRB(連邦準備制度理事会)の理事7名と、ニューヨーク連銀総裁、そして残る11の地区連銀総裁が1年ごとに交代で務める4名を合わせた構成になっています。ニューヨーク連銀総裁だけが常に投票権を持つのは、実際の市場操作を担当しているためです。
会合には投票権のない地区連銀総裁も参加し、議論には加わります。決定は多数決で行われ、反対票が何票あったかも公表されます。2026年7月の会合では、12名のうち3名が金利の引き上げを支持したことが明らかにされています。
2026年・2027年の開催日程
FOMCの日程は前年のうちに公表されます。米連邦準備制度理事会が公表している日程は次のとおりです。
| 2026年 | 2027年 | 経済見通し |
|---|---|---|
| 1月27〜28日 | 1月26〜27日 | — |
| 3月17〜18日 | 3月16〜17日 | あり |
| 4月28〜29日 | 4月27〜28日 | — |
| 6月16〜17日 | 6月8〜9日 | あり |
| 7月28〜29日 | 7月27〜28日 | — |
| 9月15〜16日 | 9月14〜15日 | あり |
| 10月27〜28日 | 10月26〜27日 | — |
| 12月8〜9日 | 12月7〜8日 | あり |
※ 出典:米連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board)公表の会合日程。「経済見通し」は経済予測サマリー(SEP)が同時公表される回
年8回のうち4回(3月・6月・9月・12月)は、経済予測サマリーが同時に公表されます。この回は情報量が多く、相場が大きく動きやすい傾向があります。
結果は日本時間の何時に出るか
日本の投資家にとって重要なのが発表時刻です。
| 内容 | 日本時間(夏時間) | 日本時間(冬時間) |
|---|---|---|
| 声明文の発表 | 翌日午前3時 | 翌日午前4時 |
| 議長の記者会見 | 翌日午前3時30分ごろ | 翌日午前4時30分ごろ |
| 議事要旨の公表 | 会合の約3週間後 | |
会合は2日間で、2日目の終了後に結果が出ます。米国の夏時間は3月の第2日曜から11月の第1日曜までで、この期間は日本との時差が13時間になります。
注意したいのは、声明文の発表と記者会見で相場が2回動くことがある点です。声明文の内容が予想どおりでも、その後の会見での発言で方向が変わることは珍しくありません。
日本の投資家がこの時間に取引できる手段は限られます。PTSは取り扱い銘柄と流動性に制約があり、多くの投資家にとっては結果を見てから動けるのは翌朝9時からということになります。
FOMCが決めていること
FOMCが決めるのは金利だけではありません。主に3つの手段を使い分けています。
③は見落とされがちですが、実際に相場を動かす力は大きくなっています。金利が据え置かれても、声明文の文言が変わっただけで株価が大きく動くことがあります。
FOMCが政策を判断する際の基準は、法律で定められた2つの目標です。
| 目標 | 内容 | 主に見る指標 |
|---|---|---|
| 物価の安定 | インフレ率2%を長期的な目標とする | PCEデフレーター、消費者物価指数 |
| 雇用の最大化 | できるだけ多くの人が働ける状態を目指す | 雇用統計、失業率 |
この2つはしばしば互いに矛盾します。インフレを抑えるには金利を上げる必要がありますが、金利を上げれば景気が冷えて雇用が悪化します。FOMCの判断が読みにくいのは、この綱引きのなかで決めているためです。
金利の決定が日本株に届くまでの3つの経路
アメリカの金利がなぜ日本の株価を動かすのか、経路を整理します。
米国の金利が上がると、金利の高いドルで資産を持つほうが有利になり、ドルが買われて円安が進みます。円安は輸出企業の採算を改善させるため、日本株には追い風になります。最も速く効く経路です。
金利が上がると、企業の借入コストが増え、将来の利益の現在価値も目減りします。米国株が下がれば、翌日の日本株も影響を受けます。ナスダックのように成長企業の比率が高い市場ほど、金利の影響を強く受けます。
金利の引き上げが続けば米国の景気が減速し、日本企業の輸出も減ります。ただしこの経路が数字に表れるまでには数か月から1年かかります。
①と②は当日から翌日にかけて表れ、③は時間をかけて効いてきます。FOMCの直後に動くのは①と②であり、③は後から業績の数字として出てきます。
ここで注意したいのは、①と②が逆方向に働くことがある点です。利上げは円安(日本株にプラス)を招く一方で、米国株安(日本株にマイナス)にもつながります。どちらが強く出るかはその時々で変わります。
ドットチャートと経済予測サマリー
年4回の会合(3月・6月・9月・12月)では、経済予測サマリー(SEP)が同時に公表されます。
| 内容 | 何がわかるか |
|---|---|
| ドットチャート | 参加者それぞれが考える適切な金利水準を点で示した図 |
| GDP成長率の見通し | 今後数年の景気をどう見ているか |
| インフレ率の見通し | 2%の目標にいつ近づくと考えているか |
| 失業率の見通し | 雇用情勢の見通し |
市場が最も注目するのがドットチャートです。参加者一人ひとりの見方が点で示されるため、年内にあと何回の利上げ(利下げ)が想定されているかを読み取れます。
ただし2点の注意があります。第一に、ドットチャートは約束ではなく、その時点での各参加者の見方にすぎません。経済情勢が変われば次回には位置が変わります。第二に、誰の点かは公表されないため、投票権のある人の見方かどうかは分かりません。
相場が動くのは「予想との差」
FOMCで最も誤解されやすいのが、この点です。利上げが発表されたから株価が下がる、という単純な関係にはなっていません。
| 市場の予想 | 実際の決定 | 相場の反応 |
|---|---|---|
| 0.25%の利上げ | 0.25%の利上げ | 織り込み済み。大きくは動かない |
| 0.25%の利上げ | 据え置き | 想定より緩和的。株高になりやすい |
| 据え置き | 0.25%の利上げ | 想定より引き締め的。株安になりやすい |
会合の前には、市場参加者の予想が金利先物の価格などから広く共有されています。その予想はすでに株価に織り込まれているため、予想どおりの決定では相場は大きく動きません。
この構造は噂で買って事実で売るや経済指標で扱っている内容と同じです。動くのは事実そのものではなく、事実と予想のずれです。
当日に個人投資家ができること
日本の個人投資家にとって、FOMCは「終わってから知る」イベントです。そのうえでできることを整理します。
年8回の日程は事前に分かっています。特に経済予測サマリーが出る3月・6月・9月・12月の回は情報量が多く、値動きも大きくなりやすい傾向があります。
結果が出るのは深夜です。電気が消えるとお化けが出るで扱っているように、翌朝は窓を開けて始まる可能性があります。対応できない時間帯にどれだけの持ち高を置くかを、事前に決めておく必要があります。
金利がどうなったかより、米国市場がその決定にどう反応したかのほうが翌日の日本株には直結します。深夜に起きて声明文を読むより、朝に米国市場の終値を確認するほうが実務的です。
FOMCに関するよくある質問
まとめ
この記事のポイント
・結果が出るのは日本時間の深夜3時(冬時間は4時)
・3月・6月・9月・12月の回は経済予測サマリーが同時公表される
・日本株への波及は「為替」「米国株」「景気」の3経路
・為替経路と米国株経路は逆方向に働くことがある
・相場が動くのは決定内容そのものではなく、予想とのずれ
・2026年7月時点の政策金利誘導目標は3.50〜3.75%
FOMCが日本の投資家にとって扱いにくいのは、最も影響の大きいイベントが、最も対応できない時間帯に起きるという点にあります。深夜に結果を見ても、売買できるのは翌朝からです。
そのため実務的な備えは、当日の情報収集ではなく事前の持ち高の調整に集約されます。日程は1年前から公表されているため、少なくとも「知らないうちに来ていた」という事態は避けられます。











