30年ぶりに日本の長期金利が3%台に突入!今後の株価の影響を解説

2026年9月1日、日本の長期金利が一時3.0%をつけました。3%台は約30年ぶりです。

長期金利とは、新しく発行された10年物国債の流通利回りのことです。住宅ローンの固定金利も企業の借入金利も、この数字を出発点に決まります。

気になるのは株価にどう影響があるのかというところだと思います。ここで先に結論を書いておくと、データ上は「金利が上がると株が下がる」とは限りませんでした。

財務省が公表している国債金利の全データと日経平均株価を突き合わせ、1986年7月以降の9,854営業日を月ごとに分けて数えました。すると長期金利が上がった224ヶ月の日経平均は平均+1.39%・上昇率64.3%、下がった257ヶ月は平均−0.37%・上昇率47.9%で、上がった月のほうが強く動いていました。

ただしこれには続きがあります。金利上昇のスピードが速すぎると、株価の伸びが鈍る場面がありました。金利上昇が株価に及ぼすプラス、そしてマイナスの両面について解説していきます。

まず、3%という水準そのものについてです。数字を見ただけでは高いか低いかは判断できないので、10年物の利回りが記録されている1986年7月5日以降の9,929営業日を1日ずつ数えました。

調べたこと 実際の数字
3.0%以上だった営業日 2,513日(全体の25.3%)
最後に3%以上をつけた日 1996年9月6日(3.060%)
2000年以降で3%台だった日 6,533営業日のうち0日

3%は、昔は4日に1日は見ていた水準です。それが26年間まったく無かった、というのが今回の「30年ぶり」の中身です。

この記事でわかること

・長期金利は誰がどうやって決めているのか
【独自集計】最後に3%をつけた日を1日単位で特定する
・2026年9月1日に上がった4つの理由
【独自集計】金利の上がり方の速さを過去40年と比べる
【独自集計】株価へのプラスの影響|上昇月は勝率64.3%
【独自集計】株価へのマイナスの影響|+0.5ポイントの折れ目
金利上昇で不利になるのはどんな会社か
・3%より異常かもしれない30年債の4.09%
今後の相場見通しと、投資家が注意すべき6つのポイント
・債券・住宅ローン・預金に何が起きるのか

※ この記事は制度とデータの解説であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。

長期金利とは|新発10年物国債の利回り

長期金利という言葉が指しているのは、その時点でいちばん新しく発行された10年物国債(新発10年債)が、市場で売買されるときの利回りです。ニュースで「長期金利が上昇」と言うとき、ほぼ例外なくこの数字を指しています。

混同されやすいのが政策金利です。両者は決まり方がまったく違います。

  長期金利 政策金利(短期金利)
中身 新発10年物国債の利回り 無担保コール翌日物レート
誰が決めるか 市場の売買。日銀が直接決める数字ではない 日銀が金融政策決定会合で決める
動く頻度 毎営業日、秒単位で動く 年8回の会合のときだけ
反映するもの 今後10年の物価・景気・財政の見通し 現時点の金融政策の判断
直結するもの 住宅ローンの固定金利、社債、企業の長期借入 住宅ローンの変動金利、普通預金

ここがいちばん大きな違いです。政策金利は日銀が「決める」ものですが、長期金利は市場が「つける」ものです。日銀が国債を大量に買えば押し下げることはできますが、水準そのものを指定しているわけではありません。

2026年9月時点の政策金利は1.0%です。日銀は2026年6月16日の会合で0.75%から0.25ポイント引き上げ、1995年以来31年ぶりの水準になりました。政策金利そのものの解説は利上げとは?金利が上がった局面の1年後の勝率は78.2%にまとめてあります。

なぜ10年なのかというと、国債のなかで発行量と売買が最も多く、値がつきやすいからです。10年債の利回りは、他の年限や社債、ローンの金利を決めるときの基準として使われています。

2026年9月1日に何が起きたのか

9月1日の債券市場で、新発10年物国債の利回りが上昇し、一時3.0%をつけました。3%台は約30年ぶりです。

その直前の水準を、財務省の公表データで確認しておきます。

日付 10年物国債の利回り
2026年8月19日 2.894%
2026年8月26日 2.892%
2026年8月28日 2.930%
2026年8月31日 2.943%
2026年9月1日 一時 3.0%(日中)

8月の後半はすでに2.9%前後で推移していました。9月1日にいきなり跳ねたというより、じりじり上がってきたものが大台に届いた、という形です。

【独自集計】最後に3%をつけたのは1996年9月6日

財務省のデータによると、3%台をつけた最後の日は1日単位で特定できます。

日付 10年物利回り  
1996年9月4日 3.034%  
1996年9月5日 3.070%  
1996年9月6日 3.060% これが最後の3%台
1996年9月9日 2.993% ここで3%を割り込む
1996年10月の最高値 2.912% 以後、届かなくなる

1996年9月6日から2026年9月1日まで、7,346営業日、約30.0年。この間、10年物国債の利回りは一度も3%に届いていません。

なお「1996年9月以来」と「1996年10月以来」の両方の表記が見られます。これは参照している金利の系列が違うためと考えられます。財務省が公表している複利利回りのデータで見るかぎり、3%以上を記録した最後の日は1996年9月6日です。

【独自集計】2000年以降、3%台の日は1日もない

3%をどれくらい珍しいと見るべきかは、年代別に数えると見当がつきます。

年代 営業日数 うち3%以上 割合
1980年代(1986年7月〜) 931日 931日 100.0%
1990年代 2,465日 1,582日 64.2%
2000年代 2,457日 0日 0.0%
2010年代 2,449日 0日 0.0%
2020年代(8月31日まで) 1,627日 0日 0.0%

この26年間に投資を始めた人は、3%台の長期金利を一度も見たことがありません。その間の記録も並べておきます。

記録 日付と数値
過去最高 1990年9月28日 8.105%
過去最低 2016年7月27日 −0.297%
利回りがマイナスだった営業日 453日(2016年2月9日〜2020年5月22日)
2026年8月31日の水準 2.943%(9,929営業日中の上位25.7%)

10年で見ると、金利がマイナスだった時期からの振れ幅の大きさがわかります。マイナス金利を含む金融緩和の枠組みについてはQE(量的緩和)とは?世界初は日本銀行という事実と出口で扱っています。

なぜ上がったのか|重なった4つの理由

9月1日の上昇の要因は、大きく4つに整理できます。どれか1つが効いたというより、同じ方向の材料が重なった形です。

要因 中身
① 日銀の追加利上げ観測 政策金利は2026年6月に1.0%へ。9月の会合での追加利上げを見込む観測が残っている
② 財政への警戒 2027年度予算の概算要求が143兆円前後となり4年連続で過去最大。上限を設けない成長投資枠に10兆円超の要求が集まった
③ 米金利の上昇 前日の米国市場での金利上昇が東京市場に波及した
④ 原油の供給リスク 8月30日に米軍がホルムズ海峡のイランの発射施設を攻撃。物価上昇への警戒が強まった

②はこれまでとやや違う材料です。概算要求のうち、利払いと債務償還に充てる国債費だけで36兆6,386億円が要求されています。金利が上がれば、この利払い費はさらに増えます。国債を大量に発行する側の財政が悪化するという見立てが、国債を売る理由になっているという構図です。

④は物価の経路です。原油が上がると消費者物価指数が押し上げられ、それが金融引き締めの観測につながります。指標そのものより予想との差で相場が動く仕組みは経済指標とは?相場が動くのは予想との差である理由にまとめてあります。

【独自集計】金利の上がり方は速いのか|過去40年と比べる

水準よりも、上がるスピードのほうが市場に影響します。そこで250営業日(約1年)でどれだけ上がったかを全期間で計算し、大きい順に並べてみました。

順位 期間 利回りの変化 上昇幅
1位 1989年9月→1990年9月 5.017% → 8.105% +3.088
2位 2003年6月→2004年6月 0.440% → 1.888% +1.448
3位 2025年5月→2026年5月 1.343% → 2.783% +1.440
4位 1987年6月→1988年5月 3.662% → 5.009% +1.347
5位 1993年12月→1995年1月 3.394% → 4.671% +1.277

今回の金利上昇の局面は、過去40年で3番目の速さに入っています。直近1年(2025年8月20日→2026年8月31日)でも+1.326ポイントで、集計した9,679区間のうち224番目、上位2.3%に入る速さです。

もう少し長い目で見ると、底からの上昇幅がわかります。

年末 10年物利回り
2019年末 −0.015%
2021年末 0.089%
2022年末 0.454%
2023年末 0.647%
2024年末 1.111%
2025年末 2.066%
2026年8月31日 2.943%

底は2019年9月4日の−0.286%でした。そこから約7年(1,705営業日)で3.229ポイント上がったことになります。

【独自集計】3%より異常なのは30年債の4.09%かもしれない

10年債ばかりが取り上げられますが、国債は1年から40年までさまざまな年限が発行されています。年限ごとの利回りを並べた線をイールドカーブと呼びます。

基準日 1年 5年 10年 20年 30年
2016年8月31日 −0.220 −0.180 −0.058 0.334 0.410
2021年8月31日 −0.129 −0.118 0.030 0.406 0.654
2025年8月29日 0.712 1.162 1.613 2.596 3.096
2026年8月31日 1.502 2.233 2.943 3.815 4.092

10年の3%より目を引くのは、右端です。30年債は4.092%、40年債は4.094%まで来ています。

30年債のデータがある1999年9月2日以降の6,613営業日を数えると、4%以上を記録したのは16日だけです。しかもその全部が2026年5月18日以降に集中しています。30年債の過去最高は2026年8月18日の4.096%、40年債の過去最高も同じ日の4.103%で、こちらは「30年ぶり」ではなく「過去最高値の更新」にあたります。

もう1つ、長短の差も広がっています。

時点 10年 1年 差(長短金利差)
2019年末 −0.015 −0.129 0.114
2022年末 0.454 0.013 0.441
2025年末 2.066 0.906 1.160
2026年8月31日 2.943 1.502 1.441

長短金利差は2019年末の0.114ポイントから1.441ポイントへ、およそ12.6倍に広がっています。短く借りて長く貸す銀行にとっては、この差が利ざやの元になります。逆に短期が長期を上回る形については逆イールドとは?12局面の実測でわかった予測力とその限界で扱っています。

【独自集計】金利上昇が株価に与えるプラスの影響

ここからが本題です。「金利が上がると株が下がる」という説明はよく見かけますが、実際のデータはそう単純ではありませんでした。

財務省の10年物利回りと日経平均株価の終値を突き合わせられる1986年7月7日から2026年8月31日までの9,854営業日を、月ごとに「金利が上がった月」「下がった月」に分けて集計しました。

その月の長期金利 該当 日経平均の平均騰落 上昇した割合
上昇した月 224ヶ月 +1.39% 64.3%
低下した月 257ヶ月 −0.37% 47.9%

金利が上がった月のほうが、日経平均は強く動いていました。平均で1.8ポイント近い差があり、上昇した月の割合も16ポイント違います。

理由として説明されることが多いのは、金利が上がる背景に景気の改善や物価の上昇があるためです。景気が良くなる見通しがあるから金利が上がり、同じ理由で企業の利益も伸びる、という順序です。金利という数字だけを取り出して株価と結びつけると、この背景が抜け落ちてしまいます。

直近もこの形になっています。2026年の年初から8月31日までで、長期金利は2.111%から2.943%へ0.832ポイント上昇しましたが、同じ期間に日経平均は51,833円から66,312円へ27.9%上昇しています。

業種ごとの影響や銀行株の動きについては、金利が上がると株価はどうなる?銀行株はもう2.4倍で別途詳しく扱っています。金利上昇が株価を押し下げる側の理屈は金利が上がるとなぜ株価は下がる?利上げの影響を解説にあります。

【独自集計】金利上昇が株価に与えるマイナスの影響

ここで終わると一面的なので、もう一段細かく分けてみました。3ヶ月(60営業日)で金利がどれだけ動いたかを6段階に分け、同じ期間の日経平均の騰落率を集計します。

金利の3ヶ月変化 該当営業日 日経平均の3ヶ月騰落 上昇した割合
−0.3ポイント以下 1,253日 −2.07% 38.6%
−0.3〜−0.1 1,998日 −2.38% 36.5%
−0.1〜+0.1(ほぼ横ばい) 3,824日 +2.28% 61.2%
+0.1〜+0.3 1,638日 +4.72% 70.9%
+0.3〜+0.5 557日 +6.14% 75.2%
+0.5ポイント超 524日 +1.64% 65.6%

金利の上昇幅が大きくなるほど日経平均も強くなり、+0.3〜+0.5ポイントで平均+6.14%・上昇率75.2%とピークをつけます。ところがその先の「+0.5ポイント超」で、平均が+1.64%まで落ち込みます。

金利上昇は株価にプラスに働きやすい一方で、金利上昇のスピードが速すぎると効きが弱まる、という折れ目がありました。

実際に3ヶ月で+0.5ポイントを超えた局面を独立した18回に整理し、その後の日経平均を追ってみると、次のようになりました。

経過 急上昇の18局面 全期間の平均
20営業日後 −0.65%(勝率50.0%) +0.45%(55.2%)
60営業日後 +0.98%(66.7%) +1.37%(55.9%)
120営業日後 +0.36%(55.6%) +2.75%(55.2%)
250営業日後 +2.67%(52.9%) +5.28%(56.5%)

急上昇のあとの1年は平均+2.67%で、全期間の平均+5.28%の半分ほどでした。下がるわけではないものの、伸びは鈍りやすかった、という結果です。

2026年8月31日時点の3ヶ月変化は+0.298ポイントで、いまのところ最も成績が良かった「+0.3〜+0.5」の手前にあります。見るべきは金利の水準ではなく、3ヶ月でどれだけ動いたかのほうかもしれません。

金利上昇で不利になるのはどんな会社か

指数の平均では上昇が勝っていても、個々の銘柄まで同じとは限りません。金利上昇が企業に効く経路は3つあります。

経路 何が起きるか 効きやすい会社
① 借入コスト 借り換えのたびに支払利息が増え、利益を圧迫する 有利子負債が多い会社(不動産・電力・インフラなど)
② 割引率 遠い将来の利益ほど現在価値が小さく見積もられ、許容されるPERが下がる 利益より期待で買われている高PER株
③ 比較対象の出現 国債で3%取れるなら、株式に求める利回りも上がる 配当利回りだけを理由に買われていた銘柄

②はいちばん見落とされやすい経路です。業績が悪化していなくても、同じ利益に対して払われる株価が下がることがあります。この考え方はPERとは?目安と低PER株の落とし穴を図解で解説で扱っています。

③も、長期金利が3%まで来たことで意味が変わってきました。配当利回り3%の銘柄は、値下がりの可能性がない国債と同じ利回りになったことになります。選ばれ続けるには、増配や株価上昇といった上乗せの理由が要ることになります。

逆に金利上昇が追い風になるのが銀行です。短く借りて長く貸す仕組みのため、長短金利差が広がるほど利ざやが取りやすくなります。この記事の集計では、長短金利差は2019年末の0.114ポイントから1.441ポイントへ広がっていました。銀行株がすでにどれだけ動いたかと、業種ごとの強弱の一覧は金利が上がると株価はどうなる?銀行株はもう2.4倍にまとめてあります。

景気の影響を受けにくい銘柄群についてはディフェンシブ銘柄とは?業種一覧と弱い場面も参考になります。

【独自集計】1996年の3%と2026年の3%は何が違うのか

同じ3%でも、どちらの方向へ向かう途中かで意味が変わります。1996年9月の前後をたどると、それがはっきり出ます。

時点 10年物利回り
1994年9月1日 4.765%
1995年9月5日 3.174%
1996年9月6日 3.060%
1997年9月12日 2.251%
1998年9月21日 0.938%

1996年の3%は、下り坂の途中で通過した3%でした。4年で4.765%から0.938%まで落ちていく、その道の途中にあった数字です。

2026年は逆方向です。2019年の−0.286%から上がってきて、いま3%に届いたところです。

  1996年9月 2026年9月
金利の方向 低下の途中 上昇の途中
物価 デフレへ向かう局面 物価上昇が続く局面
金融政策 緩和方向 利上げ方向(政策金利1.0%)
超長期の金利 20年で3.606%(30年債は未発行) 30年・40年が過去最高水準
3%の意味 通過して下へ抜けた 通過点になるかは未確定

「30年ぶり」という言葉は水準が同じことを指しているだけで、そこに至る過程は正反対です。1996年の3%を根拠に「昔も大丈夫だった」と考えるのは、比較として噛み合わないかもしれません。

債券の価格はどれだけ下がるのか

金利が上がると、すでに発行されている債券の価格は下がります。利率が固定されているため、新しく発行される債券のほうが有利になり、古い債券は値引きしないと売れなくなるからです。

利率3%・残存10年の国債を100円で買った場合、利回りの変化で価格がどう動くかを計算すると次のようになります。

利回り 残存10年の価格 残存30年の価格
2.5% 104.38円(+4.4%) 110.47円(+10.5%)
3.0%(購入時) 100.00円 100.00円
3.5% 95.84円(−4.2%) 90.80円(−9.2%)
4.0% 91.89円(−8.1%) 82.71円(−17.3%)

同じ金利の動きでも、残存期間が長いほど価格の下がり方は大きくなります。30年債で利回りが1ポイント上がると、価格は17%以上下がる計算です。

これが、生命保険会社や銀行のような超長期債を大量に持つ投資家にとって重い意味を持ちます。ただし満期まで持ち切れば額面で償還されるため、途中の価格下落がそのまま損失になるとは限りません。売る必要が出たときに初めて問題になる、という形です。

債券型の投資信託やREITも金利の影響を受けます。REITは借入で物件を買う仕組みのため、金利上昇は調達コストの増加として効いてきます。

住宅ローン・預金はどう変わるのか

長期金利が動いたときに家計へ届く経路は、変動と固定で分かれます。

対象 連動するもの 長期金利3%の影響
住宅ローン(固定) 長期金利 直接効く。新規契約の金利が上がりやすい
住宅ローン(変動) 短期プライムレート(=政策金利) 直接は連動しない。日銀の利上げで動く
普通預金 政策金利 直接は連動しない
定期預金(長め) 市場金利 上がりやすい
個人向け国債(変動10年) 10年物国債の利回り 適用利率が上がる

ここで押さえておきたいのは、長期金利が上がっても変動金利の住宅ローンはすぐには動かない、という点です。変動型が参照するのは短期プライムレートで、こちらは政策金利の影響を受けます。

逆に、これから固定で借りようとする人や借り換えを考えている人には、長期金利の水準が直接効いてきます。個人向け国債の扱いは個人向け国債の税優遇は株価にどう影響するかにまとめてあります。

参考までに、100万円を10年間その利回りで複利運用した場合の受取利息を並べておきます。

年利回り 10年後の受取利息(税引前)
0.0% 0円
1.0% 104,622円
2.0% 218,994円
3.0% 343,916円

金利がゼロ近辺だった時期と比べると、「置いておくだけ」の選択肢が意味を持つ水準に戻ってきた、とは言えそうです。その分、株式に求められる利回りの水準も上がることになります。

今後の相場見通しと投資家が注意すべき6つのポイント

3%という数字そのものより、次にどちらへ向かうかを決める材料のほうが重要になります。見るべきものを整理しておきます。

見るもの どこを確認するか
① 日銀の金融政策決定会合 追加利上げの有無と、声明文の表現。タカ派・ハト派の判別が効く場面
② 国債の入札結果 応札倍率と落札利回り。買い手が細ると金利は上がりやすい
③ 予算編成の行方 143兆円の概算要求が年末の予算案でどこまで削られるか
④ 米国の長期金利 日本の金利は米金利に引きずられやすい。FOMCの日程も合わせて確認
⑤ 3ヶ月での上昇幅 +0.5ポイントを超えるかどうか。超えると株式の伸びが鈍りやすい
⑥ 超長期ゾーン 30年・40年が4%台から動くかどうか。財政への見方が出やすい

⑤は今回の集計から出てきた見方です。金利が上がること自体は株式にとって不利な材料とは限らないため、金利の水準ではなく上昇スピードを見るほうが判断しやすくなります。

市場では、年内に3.3%程度まで上昇する可能性を指摘する見方も出ています。仮にそこまで進むと、8月31日の2.943%から約0.36ポイントの上昇です。3ヶ月で+0.5ポイントという折れ目を超えるかどうかは、この先の日程しだいということになります。

相場の見通しとして押さえておきたいのは、金利が上がった理由によって株価への効き方が変わる、という点です。

金利が上がった理由 株価にとっての意味
景気や物価の改善 企業の利益も伸びやすい。集計で出た「上昇月のほうが強い」はこの形
財政への警戒 利益は増えないのに割引率だけ上がる。株価には不利に働きやすい
海外金利につられた上昇 為替も同時に動くため、輸出企業への影響と合わせて見る

今回の上昇は、日銀の利上げ観測(景気・物価の側)と概算要求143兆円(財政の側)が同時に材料として出てきた形です。どちらが主役になるかで、株価の反応は変わってくると考えられます。為替の影響と合わせて見るときは円安とは?2026年の160円台と株価が上がる業種・下がる業種も参考になります。日経平均の水準だけを見て判断しないほうが、材料の切り分けはしやすくなります。

よくある質問

長期金利と政策金利はどう違うのですか?
決める主体が違います。政策金利は日銀が金融政策決定会合で決める無担保コール翌日物のレートで、2026年9月時点では1.0%です。一方の長期金利は新発10年物国債が市場で売買されるときの利回りで、日銀が水準を指定しているものではありません。国債を大量に買えば押し下げる方向に働きますが、最終的には市場の売買で決まります。住宅ローンでいうと、変動金利が政策金利側、固定金利が長期金利側につながっています。
なぜ3%が節目として扱われるのですか?
きりの良い数字であることに加えて、26年間まったく届かなかった水準だからです。財務省のデータを1986年7月5日から数えると、10年物利回りが3%以上だった営業日は9,929日中2,513日(25.3%)ありますが、2000年以降の6,533営業日では0日です。最後に3%台をつけたのは1996年9月6日の3.060%で、翌営業日の9月9日に2.993%へ下げてから一度も戻っていません。
長期金利が上がると株価は下がるのですか?
データで見るかぎり、逆の傾向が出ています。1986年7月から2026年8月までの月次で集計すると、長期金利が上昇した224ヶ月の日経平均は平均+1.39%・上昇した割合64.3%、低下した257ヶ月は平均−0.37%・47.9%でした。金利が上がる背景に景気の改善や物価の上昇があるためと説明されます。ただし3ヶ月で+0.5ポイントを超える急上昇では平均が+1.64%まで落ちるので、金利の上がり方の速さは分けて見たほうがよさそうです。
いま国債を買うと得なのでしょうか?
利回りだけを見れば、ゼロ近辺だった時期より条件は良くなっています。100万円を3.0%で10年複利運用した場合の受取利息は343,916円(税引前)で、1.0%なら104,622円です。ただし金利がさらに上がると債券の価格は下がります。利率3%・残存10年の国債は、利回りが4.0%になると価格が91.89円まで下がる計算です。満期まで持てば額面で償還されますが、途中で売る可能性があるなら価格変動を織り込んでおく必要があります。
住宅ローンの変動金利はすぐ上がりますか?
長期金利が上がっただけでは動きません。変動型が参照しているのは短期プライムレートで、こちらは日銀の政策金利の影響を受けます。今回の3%は10年物国債の利回りなので、直接効くのは固定金利のほうです。これから固定で借りる場合や借り換えを検討している場合は影響が出ますが、すでに変動で借りている場合は日銀の会合のほうを見ることになります。
30年債が4%というのはどれくらい珍しいのですか?
10年債の3%より珍しい水準です。30年債のデータがある1999年9月2日以降の6,613営業日のうち、4%以上を記録したのは16日だけで、その全部が2026年5月18日以降です。30年債の過去最高は2026年8月18日の4.096%、40年債も同じ日の4.103%で、こちらは過去最高値の更新にあたります。10年の3%が「30年ぶり」なのに対し、超長期ゾーンは「初めての水準」に入っています。
1996年も3%でしたが、そのときと同じと考えていいですか?
向かっている方向が逆です。1996年9月の3.060%は、1994年9月の4.765%から1998年9月の0.938%へ下がっていく低下トレンドの途中で通過した数字でした。2026年は2019年9月の−0.286%から上がってきた末に届いた3%です。物価も金融政策も当時とは逆方向で、超長期ゾーンに至っては30年・40年が過去最高水準にあります。水準が同じというだけで、置かれている状況は別物と見たほうがよさそうです。
今回の上昇スピードは過去と比べて速いのですか?
上位に入る速さです。250営業日(約1年)での上昇幅を全期間で計算すると、2025年5月から2026年5月の+1.440ポイントは1990年(+3.088)、2004年(+1.448)に次ぐ3番目でした。直近1年でも+1.326ポイントで、集計した9,679区間のうち224番目、上位2.3%に入ります。底だった2019年9月4日の−0.286%からは約7年で3.229ポイント上がった計算になります。

まとめ|見るのは金利の水準ではなく上昇スピード

この記事の要点
最後に3%台をつけたのは1996年9月6日。以来7,346営業日、約30.0年ぶり
2000年以降の6,533営業日で3%台は0日。1980年代は100%の日が3%以上だった
上昇スピードは過去40年で3番目。直近1年は上位2.3%
長期金利が上昇した月の日経平均は平均+1.39%・上昇率64.3%。低下月は−0.37%・47.9%
ただし3ヶ月で+0.5ポイント超の急上昇では+1.64%まで落ちる
不利になりやすいのは有利子負債が多い会社・高PER株・配当利回りだけで買われていた銘柄
30年債4.092%・40年債4.094%は「30年ぶり」ではなく過去最高水準
1996年は下り坂で通過した3%。2026年は上り坂で届いた3%

長期金利が3%になったというニュースを見たときに確認したいのは、3%が高いかどうかではなく、そこへ至った金利上昇のスピードと理由のほうです。

集計では、金利がゆるやかに上がる局面の日経平均が最も強く(3ヶ月で+0.3〜+0.5ポイントのとき平均+6.14%・上昇率75.2%)、それを超えて金利上昇が速くなると、株価の伸びが鈍っていました。いまは+0.298ポイントで、その手前にあります。

そして、3%が上限なのか通過点なのかは、まだ決まっていません。30年債と40年債がすでに過去最高の水準にあることを考えると、10年債の3%を天井と見るのは早いかもしれません。日銀の会合、国債の入札、年末の予算編成と、判断材料は続けて出てきます。

※ 金利の集計は財務省「国債金利情報」(1974年9月24日〜2026年8月31日)に基づく独自集計です。10年物の利回りは1986年7月5日以降の9,929営業日を対象としています。日経平均株価との突合は1986年7月7日〜2026年8月31日の9,854営業日です。2026年9月1日の「一時3.0%」は日中につけた値で、終値ベースの確定値とは異なることがあります。制度や金利水準は変更されることがあります。投資の判断はご自身の責任でお願いします。

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