自動運転関連株の本命は?レベル2++発表で動いた22銘柄を実測

自動運転関連株とは、自動運転車に必要なソフトウェア・センサー・半導体・地図などを供給する企業の株式のことです。完成車メーカーだけを指す言葉ではありません。

2026年8月27日、トヨタ自動車が2028年から「レベル2++」の自動運転機能を市販の乗用車に搭載すると発表しました。市街地を含めて、ほぼ手を使わずに走行できる水準です。

この発表を受けて自動運転関連株が一斉に買われましたが、実際に大きく動いた銘柄と、まったく動かなかった銘柄が、はっきり分かれています。

発表した当事者であるトヨタ自動車は2日間で+1.5%。国内最大の自動車部品メーカーであるデンソーにいたっては−0.2%で、むしろ下がりました。その一方で、2026年7月に上場したばかりのティアフォーは+50.5%まで買われています。

ニュースで名前が出る企業と、株価が動く企業は違います。この記事では、その差がどこから生まれるのかを実際の終値で確かめたうえで、自動運転に関わる企業を5つの層に分けて整理します。

この記事でわかること

・2026年8月27日にトヨタが発表した内容の中身
・自動運転レベル0〜5の定義と、「2++」という表記の意味
・なぜレベル3ではなく2++を選んだのか(責任の所在)
・発表の2日間で実際に動いた22銘柄の騰落率
・規模の大きい企業ほど動かなかった理由
・ティアフォー(593A)という上場したばかりの自動運転専業企業
・自動運転関連企業を5つの層に分けた全体像
・古い関連銘柄一覧に残る「もう買えない会社」と、その確認方法
・テーマ株で損をしないための確認リスト

※ この記事は業界構造とデータの解説であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。企業名は供給関係と株価の動きを説明するために挙げています。投資の判断はご自身の責任でお願いします。

2026年8月27日にトヨタが発表した内容

まず、事実関係を整理します。

項目 内容
発表日 2026年8月27日
導入時期 2028年から個人向けの乗用車に搭載
水準 レベル2++。市街地を含めて、ほぼ操作を必要としない
技術の中身 自律AIによるE2E(エンドツーエンド)自動運転+ルールベースの「ガードレール」
ガードレールの役割 AIが想定外の動きをしたときに介入する安全機構。事故が起きたときの説明責任にも使う
AIの開発 AIシステムを内製で開発する方針
商用シャトル 2030年までに完全自律の技術開発を進め、レベル4を目指す
Waymoとの関係 ロボタクシー事業への参入も検討という段階
対象車種 2028年に導入し、2030年以降に搭載車種を拡大

注目したいのは、「レベル3」でも「レベル4」でもなく「レベル2++」という言い方をしている点です。ここに、この発表を株の材料として読むうえでの入口があります。

「レベル2++」とは何か。自動運転レベル0〜5の定義

自動運転の水準は、国際的に0から5までの6段階で定義されています。

レベル 呼び方 運転の主体 事故の責任
0 運転自動化なし 運転者 運転者
1 運転支援 運転者 運転者
2 部分運転自動化 運転者(監視を続ける) 運転者
2++ 正式な定義ではない業界的な呼び方。レベル3に迫る機能を持つが、法律上はレベル2 運転者(監視を続ける) 運転者
3 条件付き運転自動化 システム(要請時のみ運転者が交代) 作動中はシステム側
4 高度運転自動化 システム(限定領域内) システム側
5 完全運転自動化 システム(場所を問わない) システム側

「2++」は法律や国際規格で定められた区分ではありません。レベル2の枠内にとどまりながら、できることをレベル3に近いところまで引き上げた状態を指す、業界の呼び方です。

したがって、レベル2++の車に乗っている人は走行中もずっと前方を監視し、必要ならすぐ操作を代われる状態でいる必要があります。ここがレベル3との決定的な違いです。

なぜレベル3ではなく2++なのか。答えは技術ではなく責任の所在

技術的な段階の話に見えて、実際は事故の責任を誰が負うかという法律の話です。

レベル2++を選ぶと
運転者が監視を続ける
→ 事故の責任は運転者
→ メーカーの賠償リスクは増えない
→ 価格帯を問わず全車種に載せられる
→ 部品の数量が大きく伸びる
レベル3にすると
作動中はシステムが運転の主体
→ 責任がメーカー側へ移る
→ 保険・法務・検証のコストが増える
→ 高価格帯の一部車種に限られる
→ 部品の数量は伸びにくい

この読み方が正しいことは、すでに現実が証明しています。

日本ではレベル3が2020年4月に解禁されました。改正道路交通法が施行され、条件付きの自動運転が法律上は可能になっています。国産初のレベル3搭載車としてホンダの「レジェンド」が登場し、メルセデス・ベンツもSクラスで有料オプションとして提供しました。

それから6年たった2026年になっても、レベル3の車は普及していません。

法律が禁じているからではなく、メーカーが責任を引き受けたがらないからです。作動中の事故でメーカーが責任を問われる構造では、量産して安く広く売るという判断がしにくくなります。

なお、レベル4は2023年4月に施行された改正道路交通法で「特定自動運行」として制度化され、同年5月から運用が始まっています。ただしこれは公安委員会の許可を受けた限定的な運行が前提で、個人が買う乗用車の話ではありません。トヨタが商用シャトルで2030年までにレベル4を目指すとしているのは、こちらの枠組みです。

株の材料として何が変わるか

レベル3を待つより、レベル2++のほうが搭載される台数は桁違いに大きくなります。

部品を供給する側から見れば、1台あたりの単価が高い少数の車より、単価が抑えられても大量に載る構成のほうが事業へのインパクトは大きくなります。

センサーと半導体の数量が伸びる方向の発表だと読むのが自然です。

発表の2日間で実際に動いた銘柄・動かなかった銘柄

ここからが、この記事の中心になる部分です。

発表があった2026年8月27日と、その翌日28日の終値を使って、自動運転に関わる22銘柄の騰落率を集計しました。基準は発表前日である8月26日の終値です。

銘柄(コード) 市場 8/26終値 8/28終値 2日間
ティアフォー(593A) グロース 1,328 1,999 +50.5%
ダイナミックマッププラットフォーム(336A) グロース 851 1,051 +23.5%
ヴィッツ(4440) スタンダード 1,209 1,485 +22.8%
アイサンテクノロジー(4667) スタンダード 2,266 2,661 +17.4%
イーソル(4420) スタンダード 675 785 +16.3%
村田製作所(6981) プライム 7,185 7,397 +3.0%
ゼンリン(9474) プライム 905 921 +1.8%
ローム(6963) プライム 4,748 4,830 +1.7%
本田技研工業(7267) プライム 1,674.5 1,702.5 +1.7%
パナソニック ホールディングス(6752) プライム 4,344 4,414 +1.6%
トヨタ自動車(7203) プライム 3,070 3,116 +1.5%
ソニーグループ(6758) プライム 3,878 3,928 +1.3%
ルネサスエレクトロニクス(6723) プライム 3,372 3,417 +1.3%
日産自動車(7201) プライム 318.5 321 +0.8%
小糸製作所(7276) プライム 2,674 2,692.5 +0.7%
SUBARU(7270) プライム 2,625.5 2,639 +0.5%
三菱電機(6503) プライム 5,619 5,648 +0.5%
京セラ(6971) プライム 3,625 3,625 0.0%
デンソー(6902) プライム 1,919 1,915.5 −0.2%
アイシン(7259) プライム 2,252.5 2,233 −0.9%
ジェイテクト(6473) プライム 2,058 2,035 −1.1%

※ 市場区分は日本取引所グループ「東証上場銘柄一覧」(2026年7月31日現在)で確認。

並べてみると、境目がきれいに出ています。

この表から読み取れること

・2桁の上昇はグロース市場とスタンダード市場の5銘柄だけ
・プライム市場の17銘柄は、最も上がった村田製作所でも+3.0%
・発表した当事者のトヨタ自動車は+1.5%
・国内最大の自動車部品メーカーであるデンソーは−0.2%で下落
・アイシンとジェイテクトもマイナス

自動運転の中心にいる企業ほど、株価が動いていません。次の章で、この理由を説明します。

なぜ規模の大きい企業ほど動かなかったのか

理由は単純で、その企業の売上のうち、自動運転が占める割合が小さいからです。

デンソーの数字で確かめます。

項目 デンソー ティアフォー
年間の売上規模 7兆7,500億円(2027年3月期の会社予想) 84億8,400万円(2026年9月期の会社予想)
自動運転が売上に占める割合 先進運転支援は事業の一部 事実上100%
規模の対比 ティアフォーの年間売上は、デンソーの売上の約0.4日分
8/27〜28の株価 −0.2% +50.5%

デンソーは2026年3月期に売上収益7兆5,399億円(前期比+5.3%)、営業利益5,525億円(同+6.5%)を計上した企業です。2026年4〜6月期(2027年3月期第1四半期)も売上収益1兆9,139億円(前年同期比+9.1%)と増収でした。

ただし同じ四半期の営業利益は842億円で、前年同期比−21.5%の減益です。デンソーの株価を動かすのは、この規模の増減であって、まだ売上として立っていない2028年の自動運転ではありません。

一方のティアフォーは、売上のほぼすべてが自動運転です。同じニュースでも、業績の見通しに与える意味がまったく違います。

関連度と業績インパクトは別物

関連度 … そのテーマにどれだけ深く関わっているか。ニュースで名前が出るかどうか
業績インパクト … そのテーマが伸びたとき、会社の利益がどれだけ変わるか

デンソーは関連度が非常に高い企業ですが、規模が大きすぎて業績インパクトは薄まります。
確認すべきなのは「その企業の売上のうち、そのテーマが何割か」という一点です。

この割合は決算短信のセグメント情報で確認できます。テーマ株を見るときに、1番先に開くべき資料です。

ティアフォー(593A)とは何の会社か

今回1番大きく動いた銘柄なので、内容を確認しておきます。

項目 内容
会社名 株式会社ティアフォー(TIER IV)
上場 2026年7月22日 東証グロース市場(証券コード593A)
設立 2015年12月。名古屋大学発のディープテック企業
本社 東京都品川区
技術基盤 オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」。創業メンバーの加藤真平氏が中心となり名古屋大学で開発
事業構成 モビリティサービス/デベロップメントサービス/ソリューションサービスの3つ
セグメント別売上
(2025年9月期)
ソリューション28.1億円/モビリティ22.6億円/デベロップメント13.3億円
筆頭株主 SOMPOホールディングス(上場前の保有比率21.3%)
発行済株式数 6,352万4,090株

Autowareは、自動運転の頭脳にあたるソフトウェアをオープンソースとして公開している点が特徴です。国際的な業界団体「The Autoware Foundation」が運営に関わっており、ティアフォーはその設立側にあたります。

2026年8月28日に大きく買われたイーソル(4420)とアイサンテクノロジー(4667)は、いずれもこのAutowareを軸にティアフォーと関係を持つ企業です。イーソルはAutoware Foundationに設立メンバーとして参画し、のちにプレミアムメンバーへ昇格しています。アイサンテクノロジーは自動運転向けの高精度3次元地図「ADASmap」を手がけ、上場直前時点でティアフォー株の3.42%を保有する第8位株主でした。

また、ティアフォーはルネサスエレクトロニクスと協業し、ルネサスの車載向けSoC「R-Car Gen 5」とソフトウェアを統合したプラットフォームの最適化を進めています。

ティアフォーの上場からの27営業日

上場したばかりの銘柄がテーマで買われると、どういう値動きになるのか。ティアフォーの全営業日を見ると、その典型が出ています。

局面 日付 株価 意味
公開価格 2026/7/22 1,085円 想定発行価格1,015円から引き上げ
初値 2026/7/22 1,009円 公開価格を7.0%下回る「公開価格割れ」
上場直後の高値 2026/7/24 1,285円 上場3日目に一度盛り上がったが続かなかった
安値の終値 2026/8/19 883円 公開価格を18.6%下回る水準まで下落
発表当日 2026/8/27 1,599円 前日比+271円(+20.4%)
翌営業日 2026/8/28 1,999円 前日比+400円(+25.0%・ストップ高)

※ 期間は上場日の2026年7月22日から8月28日までの27営業日。

整理すると、次のようになります。

起点 8/28終値までの変化
公開価格 1,085円から +84.2%
初値 1,009円から +98.1%
安値の終値 883円(8/19)から +126.4%(7営業日)

わずか7営業日で2.26倍になっています。ただし、これは「良い会社だから上がった」という話ではありません。公開価格を18.6%下回るところまで放置されていた銘柄が、ニュース1本で買い戻されたという値動きです。

8月28日の出来高は3,810万4,200株でした。発行済株式数6,352万4,090株の約60%が、1日で入れ替わった計算になります。短期の資金がどれだけ集中したかを示す数字です。

こうした急騰の入口を理解するには、ストップ高の仕組みと出来高の見方をあわせて押さえておくと役に立ちます。

ティアフォーを見るときの3つの注意点

売上のほぼすべてが自動運転という点は、上昇のときには追い風になりますが、逆に振れたときも同じだけ効きます。

注意点 中身
① 大幅な営業損失 2026年9月期の会社予想は売上高84億8,400万円(前期比+32.4%)に対し、営業損失112億3,900万円。売上より損失のほうが大きい状態で、会社自身が「黒字化には一定の期間を要する」としている
② 需給が固まっていない 上場は2026年7月22日で、まだ日が浅い。主要株主には原則180日間のロックアップが設定されている。期間が明ける前後は売り圧力が意識されやすい
③ 利益で測れない 赤字のためPERが計算できない。8月28日の終値ベースの時価総額は約1,270億円で、2026年9月期の予想売上高に対して約15倍。売上の何倍まで許容できるかという見方になる

時価総額は、公開価格ベースでは約689億円でした。8月28日までに約1,270億円まで膨らんでいます。会社の中身が2日で変わったわけではないので、この差はそのまま期待の大きさです。

ロックアップと時価総額の考え方は、上場直後の銘柄を見るときに欠かせません。

自動運転関連企業を5つの層で整理する

ここからは全体像です。自動運転に関わる企業は、供給しているものによって次の5つの層に分けられます。

第1層|完成車メーカー
車をつくって売る。
関連度は最高だが規模が大きく薄まる
第2層|Tier1(大手部品)
システムとして組み上げて納入する。
売上規模が大きく薄まりやすい
第3層|センサー
カメラ・LiDAR・ミリ波レーダー。
1台あたりの搭載数が増える
第4層|半導体
AIを動かす計算基盤。
海外勢が中心にいる
第5層|地図・ソフトウェア
高精度地図と自動運転ソフト。
売上に占める比率が1番高い

今回の2日間で2桁上昇した5銘柄は、すべて第5層(地図・ソフトウェア)に属します。層と株価の動きが、そのまま対応していました。

第1層・第2層|完成車メーカーとTier1

企業(コード) 層 自動運転での位置づけ
トヨタ自動車(7203) 完成車 今回の発表の当事者。AIシステムを内製で開発する方針を示している
本田技研工業(7267) 完成車 「レジェンド」で国産初のレベル3を実現した実績を持つ
日産自動車(7201) 完成車 「プロパイロット」で高速道路の運転支援を展開
SUBARU(7270) 完成車 「アイサイト」でステレオカメラ方式の運転支援を先行させた
デンソー(6902) Tier1 国内最大手の自動車部品メーカー。先進運転支援をトヨタグループ以外へも拡販している
アイシン(7259) Tier1 駆動系が主力。自動運転では車両制御の側で関わる
ジェイテクト(6473) Tier1 電動パワーステアリング。ハンドルを自動で切る部分を担う
小糸製作所(7276) Tier1 ランプ大手。LiDAR事業に参入し、静岡の工場で量産を開始している
パナソニック ホールディングス(6752) Tier1 車載機器と電池。自動運転は事業のごく一部

この層は、ニュースで名前が出る回数が1番多い層です。ところが今回の2日間で見ると、9銘柄のうち3銘柄がマイナスでした。関連度の高さと株価の反応が一致しないことが、はっきり出ています。

第3層・第4層|センサーと半導体

レベル2++が全車種に載っていくとき、数量として最も効いてくるのがこの2つの層です。

企業(コード) 層 自動運転での位置づけ
ソニーグループ(6758) センサー 車載イメージセンサーの金額シェアを2024年度の37%から2026年度に43%へ引き上げる目標を掲げている
京セラ(6971) センサー 車載カメラやセンシング関連の部品を手がける
村田製作所(6981) センサー・部品 電子部品大手。車載向けの搭載点数が増える方向で効いてくる
ルネサスエレクトロニクス(6723) 半導体 車載向けSoC「R-Car」を展開。ティアフォーと協業し、R-Car Gen 5とAutowareを統合したプラットフォームの最適化を進めている
ローム(6963) 半導体 パワー半導体とアナログ。電動化・電装化の側から関わる
NVIDIA・クアルコム・Mobileye 半導体(米国) 自動運転用の計算基盤で先行。トヨタは2025年1月のCESで、次世代車にNVIDIAの「DRIVE Orin」を採用すると発表している

センサーの層で押さえておきたいのは、1台あたりのカメラ搭載数が増えていくという方向性です。ソニーの見通しでは、車載カメラの搭載個数は2024〜25年度の約8個から、2027〜28年度には約12個へ増えるとされています。

これは、レベル2++を全車種に広げるという今回の発表と、きれいに整合します。1車種あたりの単価ではなく、搭載台数×搭載個数で効いてくる構造です。

なお、NVIDIAやクアルコムなどの米国株は、国内の証券会社でも取り扱いがあります。ただし取扱銘柄は会社ごとに違うため、購入を考える場合は取引画面で確認が必要です。

第5層|地図・ソフトウェア。売上比率が1番高い層

今回1番動いたのがこの層です。

企業(コード) 市場 自動運転での位置づけ
ティアフォー(593A) グロース 自動運転ソフト「Autoware」の中心企業。売上のほぼ全部が自動運転
ダイナミックマッププラットフォーム(336A) グロース 高精度3次元地図の専業。2025年3月27日に東証グロースへ上場(公募1,200円・初値1,530円)。株主に国内の自動車メーカーが並ぶ
アイサンテクノロジー(4667) スタンダード 測量ソフトが本業。自動運転用の高精度3次元地図「ADASmap」と実証実験の受託。ティアフォー株を保有
イーソル(4420) スタンダード 組込みOSとAUTOSAR関連。Autoware Foundationに設立メンバーとして参画
ヴィッツ(4440) スタンダード 車載ECUのソフト開発と、機能安全・サイバーセキュリティのコンサルティング
ゼンリン(9474) プライム 地図の最大手。ただし紙地図やカーナビ向けなど事業の幅が広い
三菱電機(6503) プライム 測位や車載機器。総合電機のため自動運転は事業の一部

同じ第5層でも、ゼンリンと三菱電機の2日間の上昇率は+1.8%と+0.5%にとどまりました。この2社は事業の幅が広く、自動運転が売上に占める割合が小さいためです。

層が同じでも、売上比率が違えば株価の反応も変わります。層は入口の整理であって、最後は必ず売上比率で見ることになります。

古い関連銘柄一覧に残る「もう買えない会社」と、その確認方法

テーマ株を調べていると、数年前に書かれた「関連銘柄一覧」が検索の上位に残っていることがあります。ここに、上場していない会社が混ざっています。

会社 現在の状況 経緯
パイオニア 2019年3月27日に上場廃止 アジア系ファンド(ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア)の傘下で再建へ。LiDAR開発の実績で関連銘柄として挙げられることがあるが、株式は売買できない
東芝 2023年12月20日に上場廃止 日本産業パートナーズ(JIP)を中心とした国内連合のTOB成立を経て非公開化。74年の上場の歴史に幕を下ろした

※ 東芝本体は上場廃止ですが、東芝テック(6588)は現在も東証プライムに上場しています。グループ会社と本体を混同しないよう注意が必要です。

上場しているかどうかを自分で確認する方法

1番確実なのは、日本取引所グループ(JPX)が公開している「東証上場銘柄一覧」を見ることです。

・JPXのサイトで毎月更新される全上場銘柄のファイルが無料で公開されている
・銘柄コード・会社名・市場区分(プライム/スタンダード/グロース)まで載っている
・この一覧に無ければ、その会社の株は買えない

検索エンジンで「上場していない」ことを確かめるのは困難です。「載っていない」ことを確認できる名簿を使うのが確実です。

手軽に済ませるなら、使っている証券会社の銘柄検索に会社名を入れてみる方法でも判別できます。

この記事に登場する企業の市場区分も、すべて同じ一覧(2026年7月31日現在・4,444銘柄)で確認しています。市場区分そのものについては新市場区分の記事で解説しています。

時間軸のズレ|発表は2026年、売上に乗るのは2028年

テーマ株で1番損をしやすいのが、この時間差を意識しないまま買うパターンです。

時期 起きること 株価の性質
2026年8月 発表。まだ何も売れていない 期待だけが先行する。1番上がりやすい局面
2026〜27年 部品やソフトの採用が決まっていく。ただし多くは公表されない 材料が途切れ、値動きが止まりやすい
2028年 量産が始まり、売上に計上され始める 業績で答え合わせがされる
2030年以降 搭載車種が拡大。商用シャトルのレベル4も視野に 数量が伸びるかどうかで差がつく

期待が先で、業績が後です。発表の直後が1番株価は動きますが、そこから業績で確認できるまでには2年近い空白があります。

この空白の期間に何が起きるかというと、買った理由が確認できないまま値動きだけが続くという状態です。材料が出尽くしたと判断されれば下がりますし、別のテーマに資金が移ることもあります。

株価が材料をどう織り込んでいくかについてはカタリストの記事で、業績が発表されたときの反応については業績予想の修正の記事で詳しく解説しています。

テーマ株で損をしないための6つの確認

ここまでの内容を、実際に確認する手順の形にまとめます。

確認すること どこで見るか
① そもそも上場しているか JPXの「東証上場銘柄一覧」、または証券会社の銘柄検索
② 売上のうちそのテーマが何割か 決算短信・有価証券報告書のセグメント情報
③ いつ売上に乗るのか 発表の中の「◯年から」という表現。今期の業績ではないことが多い
④ すでにどれだけ上がったか 直近の値動き。2日で50%上がった後は、同じ材料では動きにくい
⑤ 赤字かどうか 決算短信。赤字ならPERが使えないので、売上に対する時価総額の倍率で見る
⑥ 需給に不安定な要素はないか 上場からの期間、ロックアップの期限、1日の出来高が発行済株式数に対して大きすぎないか

この6つのうち、①と②だけでも確認しておくと、テーマ株の失敗はかなり減ります。①は買えない会社を買おうとする事故を防ぎ、②は「関連はしているが業績には響かない銘柄」を選ぶことを防ぎます。

よくある質問

自動運転関連株の「本命」はどれですか?
特定の銘柄を本命として挙げることはできませんが、判断の基準は示せます。売上に占める自動運転の割合が高い企業ほど、同じニュースでも業績への影響が大きくなります。実際に2026年8月27日の発表後2日間で2桁上昇したのは、地図・ソフトウェアを手がけるグロース市場とスタンダード市場の5銘柄だけでした。ただし、その分だけ下振れも大きくなる点は同時に見ておく必要があります。
古い記事の「関連銘柄一覧」はどこまで信用できますか?
更新日を必ず確認してください。自動運転関連ではパイオニアが2019年3月27日に、東芝が2023年12月20日にそれぞれ上場廃止となっています。それでも一覧に残っている記事は珍しくありません。買う前に、日本取引所グループが公開している上場銘柄の一覧か、証券会社の銘柄検索で存在を確認するのが確実です。

まとめ|関連度ではなく、売上比率で見る

2026年8月27日のトヨタの発表は、自動運転そのものより「レベル2++という選び方」に意味があるニュースでした。

この記事の要点
レベル2++を選んだのは技術ではなく責任の所在の問題。運転者が責任を持つ形にすることで全車種に載せられる
だから単価より数量が伸びる。センサーと半導体の搭載個数が効いてくる
発表後2日間で2桁上昇したのは第5層(地図・ソフト)の5銘柄だけ。プライム市場の17銘柄は最大でも+3.0%
当事者のトヨタは+1.5%、最大手部品のデンソーは−0.2%。関連度と業績インパクトは別物
ティアフォー(593A)は売上のほぼ全部が自動運転。ただし営業損失112億円・上場から日が浅い
古い一覧にはパイオニア・東芝など上場廃止済みの会社が残っている。買う前に一覧で確認する
発表は2026年、売上に乗るのは2028年。その間は材料が途切れる期間になる

テーマ株を見るとき、最後に残る問いはいつも同じです。その会社の売上のうち、そのテーマは何割か。この一点を決算短信で確かめるところから始めると、ニュースの盛り上がりと株価の動きを切り離して考えられるようになります。

※ 本記事の株価・出来高は2026年8月28日終値時点、市場区分は日本取引所グループ「東証上場銘柄一覧」(2026年7月31日現在)に基づきます。業績数値は各社の公表資料および報道によります。投資に関する最終的な判断はご自身の責任でお願いします。

スポンサーリンク
おすすめの記事