配当王(Dividend Kings)とは?50 年以上連続増配の米国企業の一覧・配当貴族・配当チャンピオンとの違い・増配記録の調べ方と落とし穴

配当王(Dividend Kings)とは、50 年以上連続で 1 株あたり配当を増やし続けている米国企業のことです。S&P500 採用が条件の配当貴族(25 年以上)と違い、指数への採用は問われず、年数だけで決まります。2026 年時点で約 50 社あり、P&G・コカ・コーラ・J&J のような世界的な消費財・医薬品企業から、地方の水道会社や部品メーカーまで含まれます。半世紀にわたる増配は、オイルショック・リーマンショック・コロナ禍を減配なしで乗り切った証ですが、記録の長さが将来を保証するわけではなく、2024 年には 3M が 64 年の記録を止めています。この記事では、配当王の定義と代表銘柄、配当貴族・チャンピオン・コンテンダーとの違い、記録の調べ方、連続増配だけで選ぶ落とし穴、日本からの買い方をまとめます。

この用語の要点
  • 配当王=50 年以上連続増配。配当貴族=S&P500 採用+25 年以上。配当チャンピオン=25 年以上(採用不問)。コンテンダー=10〜24 年
  • 代表銘柄は P&G・コカ・コーラ・J&J・コルゲート・ロウズ・ターゲット・アボットなど。生活必需品・ヘルスケア・公益が中心
  • 記録は途切れる。3M は 2024 年にスピンオフに伴い減配、ウォルグリーンは 2024 年に減配。配当性向とキャッシュフローで裏付けを取る

連続増配の 4 つの分類:王・貴族・チャンピオン・コンテンダー

分類増配年数指数採用社数(目安)選定者
配当王(Dividend Kings)50 年以上不問約 50民間の集計(決まった指数はない)
配当貴族(Dividend Aristocrats)25 年以上S&P500 採用が条件約 70S&P ダウ・ジョーンズの指数
配当チャンピオン(Champions)25 年以上不問約 150民間の集計(旧 DRiP Investing Resource Center)
配当コンテンダー(Contenders)10〜24 年不問約 300同上
配当チャレンジャー(Challengers)5〜9 年不問約 200同上

配当王には公式の指数が無く、情報サイトや運用会社がそれぞれ集計しているため、サイトによって社数が数社ずれます。配当貴族は S&P ダウ・ジョーンズが指数として管理しているので、構成銘柄が明確です。配当王の多くは配当貴族でもありますが、S&P500 に入っていない中小型の配当王(地方の水道会社・部品メーカーなど)は配当貴族には含まれません。

日本の投資家が「連続増配株」として目にするのは、配当貴族の ETF(NOBL)か、配当王・チャンピオンの一覧です。詳しい採用条件と ETF は 配当貴族の解説 をご覧ください。

代表的な配当王と増配年数

会社ティッカー連続増配(目安)事業
アメリカン・ステイツ・ウォーターAWR約 71 年水道(米国最長)
P&GPG約 70 年日用品
ジェニュイン・パーツGPC約 70 年自動車部品
コカ・コーラKO約 64 年飲料
ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJ約 64 年医薬品・医療機器
コルゲート・パルモリーブCL約 63 年日用品
ロウズLOW約 63 年ホームセンター
ターゲットTGT約 55 年小売
アボット・ラボラトリーズABT約 54 年医療機器・栄養
ペプシコPEP約 54 年飲料・スナック
ウォルマートWMT約 53 年小売
アッヴィ(アボットからの分離を含む)ABBV約 54 年医薬品

年数は各社の増配発表の時期で 1 年前後ずれるため目安です。配当王の配当利回りは 2〜3% 台が多く、「高配当」ではありません。株価が長期で上がり続けているため利回りが低く見えるのであり、20 年前に買った人にとっては買値ベースの利回りが 10% を超えている、というのが連続増配株の本質です。

記録が途切れた例と、連続増配だけで選ぶ落とし穴

連続増配の記録は永久ではありません。近年の例です。

会社途切れた年理由
3M2024 年ヘルスケア部門(ソルベンタム)のスピンオフに伴い配当を約半分に。64 年の記録が終了
ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス2024 年業績悪化で減配。47 年の記録が終了。2025 年に非公開化
V.F. コーポレーション2023 年アパレル不振で減配。50 年の記録が終了
AT&T2022 年ワーナーメディア分離で減配。35 年の記録が終了

共通するのは、減配の前に「配当性向の上昇(利益の 80% 超を配当に回す)」「フリーキャッシュフローで配当をまかなえない」「事業の分離・再編」という兆候があったことです。連続増配の年数は過去の実績であり、確認すべきは次の 3 点です。

  • 配当性向:純利益に対する配当の割合。60% 以下なら余裕がある。80% 超は要注意
  • フリーキャッシュフロー配当性向:営業キャッシュフロー − 設備投資に対する配当の割合。会計上の利益より現金で見る
  • 増配率:毎年 1% の増配で記録を保っている会社は、実質的に「据え置き」に近い。5 年平均の増配率が 5% 以上あるかを見る

連続増配株の増配発表は毎年ほぼ同じ四半期に行われるので、増配が無かった四半期があれば、その会社は記録を止める可能性が高いと読めます。

増配記録の調べ方と、日本からの買い方

調べ方:各社の IR サイトの「Dividend History」に過去の配当が年ごとに載っています。連続増配の一覧は、運用会社(プロシェアーズ、S&P ダウ・ジョーンズ)や米国の配当情報サイトが毎月更新しており、「Dividend Kings list」で検索すると最新の一覧が見つかります。日本の証券会社の銘柄情報でも「連続増配年数」を表示する会社が増えています。

買い方:配当王の大半は NYSE またはナスダック上場で、日本のネット証券で 1 株から買えます。地方の水道会社や小型株は取扱が無い場合があるので、ティッカーで検索して確認してください。配当王だけをまとめた ETF は主要なものが無いため、配当貴族の NOBL や、10 年以上増配の VIG・SCHD で代替するのが現実的です。

目的方法
個別株で持つP&G・KO・JNJ・PEP など大型の配当王を 5〜10 銘柄に分散
ETF でまとめて持つNOBL(配当貴族)・VIG(増配 10 年以上)・SCHD(配当の質)
税金を抑えるNISA の成長投資枠(日本の 20.315% が非課税、米国 10% は残る)

配当は米国で 10% 源泉徴収されたうえで日本で 20.315% 課税されます。手取りの試算は当サイトのコスト&配当手取りシミュレーター、日本の証券会社で買える連続増配の代表銘柄はテーマ株一覧「配当貴族・連続増配」にまとめています。

配当王・配当チャンピオンに関するよくある質問

配当王と配当貴族はどちらが安全ですか?
年数だけなら配当王のほうが長いですが、安全性は年数ではなく配当性向とキャッシュフローで決まります。配当貴族は S&P500 採用という規模・流動性の条件がある分、極端に小さい会社は含まれません。どちらも個別に財務を確認する必要があります。
日本に配当王はありますか?
50 年以上連続増配の日本企業は 2026 年時点でありません。最長は花王の 30 年超で、これは日本で唯一の 30 年超です。米国と比べて連続増配の文化が浅いため、連続増配株投資は米国株のほうが選択肢が多くなります。
連続増配株は株価も上がりますか?
長期では上がっている会社が多いですが、テック株のような急成長はしません。景気後退局面で下げにくく、上昇局面で出遅れる「守り」の性格です。値上がり益を狙うなら別の銘柄を組み合わせる必要があります。
増配が発表されるのはいつですか?
会社ごとにほぼ決まった四半期に発表します。P&G は 4 月、コカ・コーラは 2 月、J&J は 4 月が通例です。その四半期の配当宣言で前年と同額なら、記録が止まる兆候として注目されます。

関連する用語

  • 配当性向
    配当性向とは、その年に稼いだ利益のうち、どれだけを配当として株主に配ったかを示す割合です。
  • 配当金
    配当金とは、企業が稼いだ利益の一部を株主に分配するお金です。
  • キャッシュフロー
    キャッシュフローとは、一定期間に会社へ実際に入ってきた現金と、出ていった現金の流れのことです。
  • スピンオフ
    スピンオフとは、会社が事業部門や子会社を切り出して独立させ、その株式を既存の株主に配ることです。
  • NISA
    NISAとは、投資で得た利益に税金がかからなくなる制度です。
  • 外国税額控除
    外国税額控除とは、米国株の配当に米国で課された 10% の税金を、日本の所得税・住民税から差し引
  • 配当貴族(Dividend Aristocrats)
  • 権利落ち日(Ex-Dividend Date)と四半期配当

あわせて使うツール・記事

執筆:(Pacific Stock 編集長・専業投資家歴20年)
各社の連続増配年数は各社 IR の配当履歴、記録が途切れた事例は各社のプレスリリース(3M 2024 年 4 月、ウォルグリーン 2024 年 1 月、V.F. 2023 年 2 月、AT&T 2022 年 2 月)、分類の定義は S&P ダウ・ジョーンズおよび配当情報サイトの一般的な定義(2026 年 9 月時点)にもとづきます。年数は発表時期により前後します。 本記事は情報提供を目的とし、特定の銘柄・証券会社の売買や口座開設を推奨するものではありません。当サイトは証券会社の口座開設等によりアフィリエイト報酬を得る場合がありますが、比較の順位や数値には影響しません。最終更新 2026-09-18。

スポンサーリンク
おすすめの記事