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生産者物価指数とは

生産者物価指数(読み方:せいさんしゃぶっかしすう)

 

生産者物価指数とは、製造業者が出荷した製品や原材料などの販売価格を対象に算出された経済指標のことです。

英語表記「Producer Price Index」の頭文字をとって「PPI」と呼ばれたり、卸売物価指数と呼ばれることもあります。

生産者物価指数は世界各国で発表されていますが、米国の場合は、米国の労働省が米国内の製造業者の約1万品目の販売価格の変動から調査・算出し、毎月中旬頃に前月分が発表されています。

日本では生産者物価指数はありませんが、それに相当する「企業物価指数」という経済指標があります。

生産者物価指数は主に物価上昇率、いわゆるインフレ度合いの判断材料に用いられる経済指標となっています。

生産者物価指数と消費者物価指数

インフレ度合いの判断材料に用いられる指標として「消費者物価指数(CPI)」がありますが、生産者物価指数は消費者物価指数の先行指標として知られており、ともに注目度の高い指標となっています。

2つの違いについては、簡単に説明すると、生産者物価指数は販売する側の価格を表すもので、消費者物価指数は購入する側の価格を表すものとなっています。

生産者物価指数は、生産者とあるように販売する側の価格、いわゆる卸売価格を調査して算出した指標です。
一方で消費者物価指数は消費者とあるように消費者が購入する価格、いわゆる小売価格を調査して算出した指標となります。

生産者物価指数が消費者物価指数に先行する理由については、通常は原材料などの製造コストが先に上昇するからです。
製造コストが上昇すると生産者はその上昇分を販売価格に上乗せすることになり、それが消費者の購入価格にも反映される形なります。
そのため生産者物価指数が消費者物価指数に先行する動きとなります。

ただ、生産者の販売価格が、消費者の購入価格へ反映されるまでタイムラグが生じることもありますし、製造コスト上昇分を上乗せしないようなケースもあります。
そのため、必ずしも先行するわけではないというのは覚えておくといいでしょう。

総合指数とコア指数

生産者物価指数には、総合指数やコア指数、製造段階別、品目別、産業別の数値などがありますが、代表的な数値は総合指数とコア指数になります。

総合指数は全品目の物価動向を表したもので、コア指数は商品とエネルギーを除いた指数です。

どちらも重要な指標となりますが、2つの数値に乖離がある場合はコア指数の数値が重視される傾向があります。

生産者物価指数の見方

それでは具体的に生産者物価指数が何を表しているのかを見ていきましょう。

結論から言うと、生産者物価指数が上昇している時は物価が上昇している、いわゆるインフレの状態です。
反対に生産者物価指数が下落している時は物価が下落している、いわゆるデフレの状態となります。

物価は景気がよくなると上昇し、景気が悪くなると下落していきます。

つまり生産者物価指数が上昇している時は、好景気でよくモノが売れており、供給に対して需要が多い状態となります。

景気がよくなると企業の業績も上がりやすくなり、賃金アップにもつながります。
そうするとモノを買う人がさらに増えて、値段もどんどん上がっていくことになります。

ただ、物価の上昇がいつまでも続くわけではありません。

一般的に安定的な経済成長には物価の上昇は欠かせないものですが、これが過度に上昇していたり、急激に上昇していたりすると景気が過熱していると判断されます。

景気の過熱感がピークに達すると今度はモノを買う人が減ってきたりするので、生産者物価指数の伸びが鈍化したり、下落していくことになります。

つまりインフレが沈静化し、不景気でモノが売れなくなり、供給に対して需要が少ない状態となっていきます。

景気が悪化すると企業の業績も悪くなりやすく、賃金カットなどもあるかもしれません。
そうなると更にモノは売れなくなるので、企業は値下げ等を行っていきますので、モノの値段が下がっていきます。

このように生産者物価指数はインフレ度合い、景気の好不況を判断する重要な経済指標となります。

生産者物価指数が株価に与える影響

生産者物価指数の上昇は株価の下落につながることがあります。

不景気から回復する段階や好景気の初期段階は別ですが、生産者物価指数が上昇していき、景気が過熱してくると中央銀行が金融引き締めを実施することがあります。

金融引き締めの代表的なもので「利上げ」がありますが、そういった政策がとられると市中金利が上がるので企業は借入負担が増加しますし、個人消費の落ち込みにつながります。

そうなると企業業績が悪化することになるので株価も下落しやすくなります。

反対に生産者物価指数の下落は株価の上昇につながることがあります。

生産者物価指数が下落している時は不景気ということで、株価も下がると思われるかもしれませんが、更なる景気悪化を防ぐために中央銀行が金融緩和を実施する可能性があります。

代表的なもので「利下げ」がありますが、金利が引き下げられると借入もしやすくなり、企業は設備投資などがしやすくなったりしますし、個人の消費や投資活動も活発になるので景気回復が期待されます。

そうなると企業業績の改善なども期待できるため、株価も上昇しやすくなります。

また、生産者物価指数の推移を見ることも大事ですが、経済指標は市場予想と比較することが重要です。
仮に生産者物価指数が上昇している状態でも、市場予想を下回れば、予想よりもインフレが後退していると判断されて株価が上昇するケースもあります。

ただ、これらはあくまで傾向であり、必ずしもこの通りになるとは限りません。
また、当然ですが、銘柄によって値動きに違いはありますし、不景気に強い銘柄などもあったりするので、実際に投資を行う際は銘柄の特性も加味した上で判断するようにしましょう。

 

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