逆指値注文とは、「株価が○○円以上になったら買う」「○○円以下になったら売る」という条件を付けた注文のことです。

通常の指値とはまったく逆の方向に条件を付けるため、この名前が付いています。

損切りを自動化できる注文として知られていますが、置く場所を間違えると狙い撃ちされます。その理由まで解説します。

この記事でわかること

・指値と逆指値の決定的な違い
・4つの注文パターンの整理
・損切り・ブレイクアウト・利益確定での使い分け
・想定より不利な価格で約定してしまうケース
・逆指値を置いてはいけない価格帯

逆指値注文とは

逆指値注文(読み方:ぎゃくさしねちゅうもん)は、指定した価格に達したことを引き金にして、自動的に注文が発注される仕組みです。ストップ注文とも呼ばれます。

2段階になっている
① トリガー(引き金) 株価が指定した価格に達する
 ↓
② 発注 あらかじめ決めておいた注文が自動で出される
→ トリガーに達した時点では、まだ約定していません

ここが重要な点です。「1,000円で逆指値売り」を出していても、1,000円で売れるとは限りません。1,000円に達したときに注文が出されるだけで、実際の約定価格は市場の状況で決まります。

指値注文との決定的な違い

通常の指値は「今より有利な価格」を指定します。逆指値はその逆です。

指値(通常)

現在1,000円のとき
「950円まで下がったら買う」
→ 安く買いたい。有利な方向を待つ

逆指値

現在1,000円のとき
「1,050円まで上がったら買う」
→ 高くても買う。上昇が確認できてから乗る

一見すると不合理に見えますが、「その方向に動いたことを確認してから動く」という考え方にもとづいています。

4つの注文パターン

注文 条件 目的
指値 買い ○○円以下になったら買う 押し目で安く拾う
指値 売り ○○円以上になったら売る 利益確定
逆指値 買い ○○円以上になったら買う 上昇トレンドに乗る/空売りの損切り
逆指値 売り ○○円以下になったら売る 損切り/下落トレンドに乗る

覚え方は単純です。指値は「有利な方向」、逆指値は「不利な方向」に条件を置きます。

トリガー後の執行方法を選ぶ

多くの証券会社では、トリガーに達したあとの注文方法を成行か指値か選べます。

執行方法 特徴 リスク
成行 ほぼ確実に約定する 想定より大きく不利な価格になることがある
指値 価格の下限(上限)を切れる 約定しないまま下げ続けることがある

損切り目的なら成行を選ぶのが基本です。指値にすると「約定しないまま損失が拡大する」という、逆指値を使う意味を失う結果になりかねません。

成行注文の性質は成行注文とはで解説しています。

使い方① 損切りを自動化する

もっとも一般的な使い方です。買った時点で、同時に逆指値の売り注文を出しておきます。

設定例

1,000円で買った → 同時に950円で逆指値売りを設定
 ↓
株価が950円に下がったら自動で売り注文が出る
→ 損失を約5%に限定できる(滑りがなければ)

この方法の本当の価値は「判断する自分を排除できること」にあります。

人は損切りができない
下がってくると「もう少し待てば戻るかも」と考えます。
その結果、損失が膨らんでから投げ売りすることになります。
→ 買った瞬間に逆指値を置けば、迷う余地がなくなります

使い方② ブレイクアウトを狙う

もうひとつの使い方が「上がり始めたら買う」という順張りです。

置く場所 狙い
直近高値の少し上 上値抵抗を抜けたところで乗る
年初来高値の少し上 上に売り手がいない状態に入るのを待つ
もみ合いの上限の上 方向感が出るまで待ってから入る

相場を見ていられない人にとって、「条件を満たしたときだけ自動でエントリーする」という使い方は実用的です。

使い方③ 利益を守る(トレーリングストップ)

株価が上がるにつれて、逆指値の位置も引き上げていく方法です。

1,000円で買い → 逆指値売りを950円に設定
株価1,100円へ → 逆指値を1,050円へ引き上げ(この時点で利益確定が確定)
株価1,200円へ → 逆指値を1,150円へ引き上げ
→ 上昇にはついていき、下落したところで自動的に利益を確保する

証券会社によっては、この引き上げを自動で行うトレーリングストップ機能が用意されています。

利点は「上昇の天井を当てにいかなくてよい」ことです。どこまで上がるかは誰にもわかりませんが、下がったら降りるというルールなら実行できます。

逆指値注文のメリット

メリット 中身
損失を限定できる 最大の損失額を、買う前に決められる
感情を排除できる 「もう少し待とう」という判断が入り込まない
相場を見なくていい 仕事中でも自動的に執行される
トレンドに乗れる 動き出したことを確認してからエントリーできる
利益を守れる 引き上げていけば、含み益を確保しながら上昇を追える

逆指値注文のデメリット

① 指定した価格で約定するとは限らない

トリガーに達したあと成行で発注されるため、板が薄ければ大きく下の価格で約定します。これをスリッページといいます。

② 窓を開けたら意味がない

前日終値1,000円、逆指値950円としていても、翌朝ギャップダウンして800円で寄れば、約定は800円付近になります。

③ ストップ安では約定しない

売り気配のまま値が付かなければ、逆指値を出していても売れません。翌日以降に持ち越しになります。

④ 一時的な下げで振り落とされる

その後すぐ戻る値動きでも、いったん触れれば約定します。「損切りした直後に上がった」という状態が起こります。

②と③は逆指値では防げないリスクです。「逆指値を置いておけば損失は限定できる」というのは、正確ではありません。

逆指値を置いてはいけない場所

ここがこの記事でもっとも実践的な部分です。逆指値は、他の参加者からも位置が推測できます。

集中しやすい価格 なぜ危ないか
キリの良い数字
1,000円、500円など
多くの人が同じ位置に置くため、一気に約定して下げが加速する
直近安値のすぐ下 誰もが意識する水準。割った瞬間に売りが噴き出す
移動平均線のすぐ下 テクニカルを見る参加者の注文が重なる

逆指値の売りが大量に約定すると、その売りがさらに下の逆指値を発動させ、連鎖的に下げます。下ヒゲの長いローソク足は、こうして作られることがあります。

対策
・キリの良い数字より少し下に置く(1,000円ではなく995円など)
・直近安値のさらに下に余裕を持たせる
・値動きの大きさ(ボラティリティ)に応じて幅を調整する
→ 「損失をいくらに抑えたいか」ではなく「どこまで下がったら判断が間違いだったといえるか」で決める

逆指値付通常注文との使い分け

注文の種類 できること
逆指値注文 損切りか、順張りのエントリーのどちらか一方
逆指値付通常注文 利益確定と損切りを同時に出せる(一方が約定すれば他方は取消)

実務では「1,100円で利確、950円で損切り」を同時に出しておく使い方が便利です。証券会社によってOCO注文などの名称で提供されています。

※ 注文の名称や設定できる条件は証券会社によって異なります。詳細はご利用の証券会社の説明をご確認ください。

※ 本記事は取引制度の解説であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

逆指値注文に関するよくある質問

逆指値と指値はどう違いますか?
条件の向きが逆です。指値は「950円以下で買う」のように有利な方向を指定します。逆指値は「1,050円以上になったら買う」のように不利な方向を指定します。逆指値は、その方向に動いたことを確認してから執行したい場合に使います。
逆指値を置いた価格で必ず約定しますか?
しません。指定した価格はあくまでトリガー(引き金)で、そこに達したときに注文が発注される仕組みです。実際の約定価格は市場の状況で決まります。板が薄い銘柄や急落時には、想定よりかなり不利な価格で約定することがあります。
逆指値を置いておけば損失は限定できますか?
完全には限定できません。前日終値から大きく下に窓を開けて寄り付いた場合、逆指値の水準を飛び越えて約定します。またストップ安で値が付かない場合は、そもそも売れずに翌日以降へ持ち越しになります。
損切りの幅はどれくらいに設定すべきですか?
一律の正解はありませんが、金額から決めるのではなく「どこまで下がったら自分の判断が間違いだったといえるか」で決めるのが基本です。値動きの大きい銘柄で幅を狭くすると、通常の変動で振り落とされてしまいます。
なぜキリの良い価格に置いてはいけないのですか?
多くの参加者が同じ価格に逆指値を置くためです。その水準を割った瞬間に売り注文が一斉に執行され、下落が加速します。さらにその売りが下の逆指値を発動させる連鎖も起こります。数円ずらすだけでも巻き込まれにくくなります。
トリガー後は成行と指値のどちらがいいですか?
損切り目的なら成行が基本です。指値にすると、急落時に約定しないまま損失が拡大する可能性があります。確実に手じまうことが目的である以上、価格より約定を優先すべきです。
逆指値は空売りにも使えますか?
使えます。空売りの損切りには「逆指値の買い」を使います。株価が上昇して損失が拡大する前に買い戻すためです。空売りは理論上の損失に上限がないため、現物以上に逆指値の設定が重要になります。
損切りした直後に株価が戻ってしまいます。
逆指値の幅が狭すぎる可能性があります。その銘柄の通常の値動きの範囲内に置いていると、意味のない振れで約定してしまいます。過去の値幅を確認し、日常的な変動より外側に置いてください。ただし幅を広げれば損失も大きくなるため、購入する株数で調整する考え方もあります。

まとめ

逆指値は「判断する自分をあらかじめ排除する」ための道具です。ただし万能ではなく、置く場所と執行方法で結果が変わります。

この記事のまとめ

・「○○円以上で買う」「○○円以下で売る」という条件付き注文
・指値とは条件の向きが逆
・指定価格はトリガーであり、約定価格ではない
・損切りの自動化とブレイクアウト狙いが主な用途
・引き上げていけば利益を確保しながら上昇を追える
・窓開けやストップ安では想定どおりに機能しない
・キリの良い数字や直近安値のすぐ下は避ける
・損切り目的ならトリガー後は成行を選ぶ

あわせて読みたい:成行注文とは逆指値付通常注文とは損切りとは利確とはボラティリティとは

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