出来高(できだか)とは、その日に売買が成立した株数のことです。売り手と買い手の注文が合致した株数を合計したもので、単位は「株」です。

チャートの下にいつも表示されている棒グラフ。あれが出来高です。多くの人が「なんとなく見ている」だけで終わっていますが、出来高は株価より先に動くことがあるため、使えるようになると相場の見え方が変わります。

この記事では、出来高の意味から、株価との組み合わせで何が読み取れるのか、そして出来高を使うときにやってはいけないことまでを順番に解説します。

この記事でわかること

・出来高の数え方と「売買代金」との違い
・株価×出来高の4パターンで何が読めるか
・出来高が急増する5つのタイミング
・出来高が少ない銘柄に手を出してはいけない理由
・2024年の取引時間延伸で大引けの出来高がどう変わったか

出来高とは

出来高とは、一定期間内に売買が成立(約定)した株数の合計です。

ここで重要なのは、1回の取引で「売り」と「買い」の両方が発生しても、出来高は片方しか数えないという点です。

よくある勘違い
Aさんが1,000株「売り」
Bさんが1,000株「買い」
→ 出来高は2,000株?

正解は1,000株です。売買が「成立した株数」を数えるので、売りと買いを二重に足すことはありません。

また、注文を出しただけでは出来高になりません。約定して初めて出来高に反映されるため、板に並んでいる注文(板情報)と出来高はまったく別のものです。

出来高と売買代金の違い

混同されやすいのが売買代金です。この2つは分母がまったく違います。

項目 出来高 売買代金
単位
計算 成立した株数の合計 株価 × 出来高
株価が違う銘柄の比較 できない できる
向いている使い方 同じ銘柄の時系列比較 銘柄どうしの人気比較

たとえば株価100円の銘柄が100万株、株価5,000円の銘柄が10万株の出来高だったとします。出来高は10倍の差がありますが、売買代金は1億円と5億円で後者のほうが大きい——こうした逆転が普通に起きます。

銘柄どうしを比べるときは、出来高ではなく売買代金を使ってください。

株価と出来高の4パターン

出来高は、単独で見ても意味がありません。株価の方向と組み合わせて初めて情報になります。この表がこの記事の核心です。

株価 出来高 読み取れること 強さ
上昇 増加 多くの参加者が買っている。上昇に裏付けがある最も素直な形 強い
上昇 減少 買いが続かず「上がっているのに参加者が減っている」。息切れのサイン 注意
下落 増加 投げ売り。ただし出尽くせば底打ちの起点になることもある 弱い
下落 減少 売りたい人がいなくなった状態。売り枯れと呼ばれ、反転の前触れになることがある 転換点

特に押さえてほしいのが2行目です。株価が上がっているのに出来高が細っていく形は、上昇の終わりが近いサインとして古くから知られています。「上がっているから安心」ではなく、「誰が買っているのか」を出来高で確認する習慣が身につきます。

出来高が急増する5つのタイミング

出来高が普段の数倍に跳ね上がるときには、必ず理由があります。

1

決算発表
四半期ごと

最も確実に出来高が増える場面です。上方修正・下方修正が出れば、翌営業日はギャップアップやギャップダウンを伴って出来高が跳ねます。

2

材料・ニュースが出た
不定期

新製品、業務提携、M&A、不祥事など。特に東証の適時開示(TDnet)で出た情報は、その日のうちに出来高へ反映されます。

3

指数への採用・除外
定期見直し時

日経平均株価TOPIXに採用されると、指数に連動する投資信託が機械的に買うため、入替日には桁違いの出来高が出ます。

4

規制・注意喚起
急騰の途中

増担保規制がかかると、それまで信用で買っていた人が手仕舞いに動き、一時的に出来高が膨らんだあと急速に細ります。

5

需給イベント
開示日・実施日

公募増資立会外分売、自社株買いの発表など。株数そのものが動くイベントは出来高に直結します。

2024年の取引時間延伸で大引けの出来高が変わった

ここは意外と知られていないポイントです。

2024年11月5日から、東京証券取引所の取引終了時刻が15:00から15:30に30分延長されました。同時に、大引けの値段を決める仕組みとしてクロージング・オークションが導入されています。

項目 2024年11月4日まで 2024年11月5日から
後場の終了 15:00 15:30
大引け直前 通常の売買が続く 15:25〜15:30は約定しない注文受付時間
大引けの値決め 15:00の板寄せ 15:30にクロージング・オークションで板寄せ

※ 出典:日本取引所グループおよび各証券会社の告知(2024年11月5日実施)

実務上どう効くかというと、15:25〜15:30の5分間は注文が積み上がるだけで約定しないため、その分が15:30にまとめて出来高になります。大引けに出来高が集中しやすくなった、と理解しておけば十分です。この5分間は気配だけが更新されるので、板の見え方も変わりました。

出来高が少ない銘柄のリスク

初心者が1番軽視しがちなのがここです。出来高が少ない=流動性が低い状態で、次のような問題が起きます。

① 売りたいときに売れない

買い注文がほとんど並んでいないため、成行で売ると想定よりずっと安い価格で約定します。損切りしたいときに損切りできない、というのが最大のリスクです。

② 買値と売値の差が大きい

売り気配と買い気配が離れているため、買った瞬間に含み損になります。往復のコストが手数料よりはるかに大きくなることがあります。

③ 少額の注文で株価が飛ぶ

数十万円の買いで株価が数%動いてしまうため、値動きが荒くなります。逆に言えば、意図的に動かされやすい状態でもあります。

目安として、1日の売買代金が数千万円に届かない銘柄は、初心者のうちは避けたほうが無難です。どうしても取引したい場合は、成行を使わず必ず指値で、かつ資金量を絞ってください。

出来高だけで判断すると失敗する3つの理由

出来高は便利ですが、万能ではありません。ここを知らないと逆に損をします。

落とし穴 何が起きるか 対策
急増を見てから飛び乗る 出来高が急増した時点で、株価はすでに大きく動いた後。高値づかみになりやすい 急増した「理由」を先に確認する。理由が分からないなら見送る
株数だけで人気度を比べる 低位株は株数が多く出るため、実際より人気に見える 銘柄比較には売買代金を使う
一日の出来高だけを見る たまたま大口の売買が1回入っただけでも急増して見える 直近20〜25日の平均と比べる。「平均の何倍か」で見る
出来高が増えても「誰が買ったか」は分からない

出来高はあくまで成立した株数です。買ったのが長期保有の機関投資家なのか、その日のうちに売る短期筋なのかは、出来高からは判別できません。「出来高増加=買い」と単純化しないでください。

出来高から売り枯れと天井を読む

出来高の応用としてよく使われるのが、相場の転換点の判断です。

底のサイン
下落+出来高減少
売りたい人が売り終わり、
板から売り注文が消える
売り枯れ
天井のサイン
上昇+出来高急増の翌日
買いたい人が買い尽くし、
翌日から出来高が細る
セリング・クライマックス後

転換点では、株価より先に出来高が変化することが多い

ただし、これらは後から見れば分かる形であって、リアルタイムで断定できるものではありません。「売り枯れっぽい」と思ってから実際に反転するまでに、さらに下げることは普通にあります。詳しくは売り枯れとはで解説しています。

価格帯別出来高という見方

通常の出来高は「時間軸」で並べますが、これを「価格軸」で並べ替えたものが価格帯別出来高です。

どの株価帯でたくさん売買されたかが横棒グラフで表示され、出来高が積み上がっている価格帯は、上値では抵抗に、下値では支えになりやすいと考えられています。買った人が多い価格帯には「やれやれ売り」が待っているためです。

チャートツールの多くに標準で搭載されているので、出来高の基本を押さえたら次はこちらを見てみてください。

出来高の調べ方

調べる場所 見られるもの 費用
証券会社の取引ツール リアルタイムの出来高、価格帯別出来高、出来高ランキング 無料
日本取引所グループ(JPX) 市場全体の売買高・売買代金の統計 無料
株式情報サイト 出来高急増ランキング、前日比の倍率 無料

実務では「出来高そのもの」より「直近平均の何倍か」を見るほうが役に立ちます。多くのツールに搭載されている出来高移動平均線(25日など)を重ねて表示しておくと、ひと目で判断できます。

出来高を使うときの実践ルール

① 必ず株価と組み合わせる

出来高だけを見ても方向は分かりません。この記事の「4パターン」の表に当てはめる習慣をつけてください。

② 「平均の何倍か」で見る

絶対値ではなく倍率で見ます。同じ100万株でも、普段10万株の銘柄なら大事件、普段500万株の銘柄なら閑散です。

③ 買う前に「出来高の下限」を決めておく

「1日の売買代金が◯億円未満の銘柄は買わない」と自分でルール化しておくと、流動性リスクをまとめて避けられます。

※ 本記事は用語と仕組みの解説であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

出来高に関するよくある質問

出来高が多いほど良い銘柄ということですか?
「良い銘柄」ではなく「取引しやすい銘柄」です。出来高が多いと売りたいときに売れるという利点がありますが、それと株価が上がるかどうかは別の話です。ただし出来高が極端に少ない銘柄はリスクが大きいため、初心者は避けるのが無難です。
出来高と売買高は違うものですか?
同じ意味です。個別銘柄では「出来高」、市場全体の統計では「売買高」と呼び分けられることが多いだけで、どちらも成立した株数を指します。JPXの統計資料では売買高という表記が使われます。
出来高がゼロの日があるのはなぜですか?
その日に一度も売買が成立しなかったためです。取引参加者がきわめて少ない銘柄で起こります。出来高ゼロの日がある銘柄は流動性が非常に低く、売却したくてもできないリスクが高いと考えてください。
株価が上がっているのに出来高が減っているのは危険ですか?
上昇の勢いが弱まっているサインとされます。買う人が減っているのに株価だけが上がっている状態なので、何かのきっかけで下落に転じやすくなります。ただしこれだけで売り判断にするのではなく、他の材料とあわせて確認してください。
PTSの出来高は取引所の出来高に含まれますか?
含まれません。PTS(私設取引システム)の売買は取引所外の取引なので、東証の出来高とは別に集計されます。証券会社のツールでも、通常は取引所の出来高が表示されます。
単元未満株の売買も出来高に入りますか?
単元未満株の取引は多くの場合、証券会社が相手方となる取引所外の取引として処理されるため、取引所の出来高には反映されません。仕組みは単元未満株の記事で解説しています。
出来高急増ランキングの上位銘柄を買えばいいですか?
おすすめしません。ランキングに載る時点で株価はすでに動いた後であることが多く、翌日に急落するケースも珍しくありません。ランキングは「何が起きているかを知る入口」として使い、必ず急増の理由を確認してから判断してください。
大引けの出来高が大きくなったのはなぜですか?
2024年11月5日の取引時間延伸で、15:25〜15:30が約定しない注文受付時間になり、その間に積み上がった注文が15:30のクロージング・オークションでまとめて成立するようになったためです。仕組みの変更によるもので、異常ではありません。

まとめ

出来高はチャートの「おまけ」ではなく、株価の動きに裏付けがあるかどうかを確かめるための道具です。株価の方向と組み合わせて、平均の何倍かで見る——この2つを守るだけで精度が変わります。

この記事のまとめ

・出来高=成立した株数。売りと買いを二重に数えない
・銘柄どうしの比較は出来高ではなく売買代金で行う
・株価×出来高の4パターンに当てはめて読む
・上昇+出来高減少は息切れのサイン
・出来高が少ない銘柄は売りたいときに売れない
・2024年11月5日から大引けは15:30のクロージング・オークション
・急増ランキングへの飛び乗りは高値づかみになりやすい

あわせて読みたい:売買代金とは価格帯別出来高とは売り枯れとは板とは

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