ゴールドマン・サックスの空売り銘柄|日本株を1兆円規模でショートする大きい理由

空売り(ショート)残高の一覧は、残高割合の大きい順に並びます。そのため上位に来るのは、発行済株式数の少ない小型株が中心になります。

この並びには、見えていないものがあります。金額です。

2026年8月26日から2026年9月2日の報告を集計すると、GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL の名前は319銘柄にありました。バークレイズの428銘柄、モルガン・スタンレーMUFG証券の377銘柄に次ぐ3番目です。

ところが残高数量に株価をかけて時価に直すと、約9,138億円と、日本株だけで1兆円に迫る規模です。この3機関のなかで最も大きくなります。名前を見かける回数は3番目なのに、売り建ての規模は1番ということです。

この記事では、319銘柄を金額という軸から数え直します。一覧の並び順では分からないことが、いくつか見えてきます。

この記事でわかること

・名前が出ているのは319銘柄で3番目。なのに売り建ての金額は約9,138億円で1番大きい
・1銘柄あたり約28.6億円。他の2機関(約20.4億円・約21.0億円)の1.4倍
金額の上位10銘柄だけで全体の44.8%を占める
任天堂は残高0.38%なのに約439.9億円という例
・プライムが68.1%。TOPIXの規模区分でも上位に名前がある
・319銘柄の年初来は上がった196/下がった123(中央値+8.2%)
・他の機関が名前を出していない88銘柄
・バークレイズ・モルガン・スタンレーMUFG証券との3機関比較

※ この記事は制度と公表データの解説であり、特定の銘柄や売買、特定の事業者の評価を目的とするものではありません。集計は2026年8月26日から2026年9月2日に公表された空売り残高の報告にもとづきます。株価はYahoo Financeの日足終値です。

ゴールドマン・サックス・インターナショナルとはどんな会社か

空売り残高を報告しているのは、ロンドンに登記された「GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL」です。日本にある ゴールドマン・サックス証券株式会社 とは別の法人です。

個人向けの店舗を持つ会社ではなく、機関投資家を相手にするホールセールの法人です。

項目 内容
報告書に載っている名前 GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL
報告書に載っている住所 Plumtree Court 25 Shoe Lane London
登記 英国の無限責任会社(Private unlimited company)として登記。会社番号 02263951
規制 英国健全性規制機構(PRA)の認可、金融行為規制機構(FCA)の規制。FCA登録番号 142888
設立と登記上の住所 プラムツリー・コートは1988年6月2日に設立。登記上の住所は Plumtree Court, 25 Shoe Lane, London, EC4A 4AU
日本にある同名グループ会社 ゴールドマン・サックス証券株式会社(東京)。別の法人

※ この表の内容は、JPXの空売り残高報告(報告者名と住所)と、英国 Companies House の登記(会社番号・種類・設立日)で確認しました。

報告書の住所がロンドンであることは、この法人が日本の証券会社ではないことを示しています。同じグループの名前でも、報告している主体は国ごとに違います。

報告している法人はどこにあるか

ゴールドマン・サックスは米国の金融グループです。ただし日本株の空売り残高を報告しているのは、米国の本体でも日本法人でもありません。

名称 内容
今回の報告者 GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL 英国に登記された法人。住所はPlumtree Court 25 Shoe Lane London
日本の拠点 ゴールドマン・サックス証券株式会社 東京都港区。1974年に東京駐在員事務所を開設
グループの本拠 The Goldman Sachs Group, Inc. 米国・ニューヨーク

報告書の住所欄はロンドンです。日本にもゴールドマン・サックス証券株式会社がありますが、この集計期間の報告には名前が出ていませんでした。

海外の金融機関では、各国の株式の売買を1つの法人に集めることがあります。報告義務もその法人が負うため、日本株の報告書に海外の住所が並びます。住所が海外だからといって、日本市場から離れた場所で決めているとは限りません。

銘柄数は3番目、売り建ての金額は1番大きい

まず、上位3機関を2つの軸で並べます。報告書に金額は載っていないので、残高数量に株価をかけて計算しました。

報告者 銘柄数 売り建ての合計 1銘柄あたり
ゴールドマン・サックス 319 約9,138億円 約28.6億円
バークレイズ 428 約8,715億円 約20.4億円
モルガン・スタンレーMUFG 377 約7,926億円 約21.0億円

銘柄数では428のバークレイズが最も多く、ゴールドマン・サックスは319で3番目です。それでも金額の合計は最大になります。

理由は1銘柄あたりの大きさにあります。約28.6億円は、バークレイズの約20.4億円、モルガン・スタンレーMUFG証券の約21.0億円のおよそ1.4倍です。

集中の度合いも違います。

報告者 金額上位10銘柄が占める割合 プライムの比率
ゴールドマン・サックス 44.8% 68.1%
バークレイズ 28.5% 56.0%
モルガン・スタンレーMUFG 43.3% 53.1%

金額の44.8%が、上位10銘柄に集まっています。バークレイズは28.5%なので、同じ「上位10銘柄」でも意味が違います。

広く薄く名前が出るタイプと、絞って大きく持つタイプがあるということです。一覧を眺めているだけでは、この違いは見えません。

金額で並べた10銘柄

売り建ての時価が大きい順に並べます。

銘柄(コード) 残高割合 売り建ての時価 年初来
① サンリオ(8136) 4.04% 653.9億円 +28.0%
② キヤノン(7751) 1.05% 648.6億円 −2.4%
③ 川崎汽船(9107) 2.69% 573.7億円 +52.8%
④ 日産自動車(7201) 3.83% 449.2億円 −19.8%
⑤ 任天堂(7974) 0.38% 439.9億円 −17.0%
⑥ 商船三井(9104) 1.69% 430.1億円 +47.1%
⑦ レゾナック・ホールディングス(4004) 1.03% 306.8億円 +130.0%
⑧ NIPPONEXPRESSホ(9147) 1.64% 225.0億円 +65.9%
⑨ 電通グループ(4324) 1.88% 188.8億円 +11.1%
⑩ ローム(6963) 0.90% 177.3億円 +113.6%

上位10銘柄で約4,093億円、319銘柄の合計の44.8%にあたります。

業種は電気機器が2銘柄、海運業が2銘柄、卸売業が1銘柄、輸送用機器が1銘柄という内訳です。年初来がプラスの銘柄とマイナスの銘柄が混ざっていて、一方向にはなっていません。

残高0.38%で約439.9億円という例

上の表で目を引くのが任天堂(7974)です。残高割合は0.38%。報告が始まる基準の0.5%を下回っています。

それでも金額に直すと約439.9億円になります。発行済株式数に対する割合が小さくても、1株の値段と株数が大きければ金額は膨らみます。

同じように、残高割合が0.5%を下回っているのに金額が大きい銘柄を並べます。

銘柄(コード) 残高割合 売り建ての時価
任天堂(7974) 0.38% 439.9億円
ブラザー工業(6448) 0.44% 54.0億円
FOOD&LIFECOMPA(3563) 0.33% 46.1億円
神戸物産(3038) 0.49% 40.8億円
メルカリ(4385) 0.46% 34.4億円

これらの銘柄は、残高割合で並べた一覧では下のほうに沈みます。上位には出てきません。

ここで押さえておきたいのが、0.5%は報告が始まる基準であって、一覧から消える基準ではないという点です。報告を始めたあとは、基準を割ったことを届け出るまで一覧に残ります。今回の319銘柄でも、45銘柄が0.5%未満でした。

つまり一覧の下のほうには、2種類のものが混ざっています。

0.5%未満で載っているもの 中身 見方
買い戻しが進んでいる銘柄 基準を下回った届け出。0%になれば残高は解消 減っていく方向
もともと割合が小さい大型株 発行済株式数が多いため割合が小さく出る 金額は数百億円のことがある

この2つは、前回の残高割合と比べれば区別できます。減ってきて0.5%を割ったのか、もとから小さいのか。数字1つではなく、前回との差で読んでください。

残高割合で並べた10銘柄

今度は、いつも目にする並び方です。金額の表とは顔ぶれが変わります。

銘柄(コード) 市場 残高割合 年初来
① SHIFT(3697) プライム 4.65% −5.1%
② ReYuuJapan(9425) スタンダード 4.18% −43.6%
③ サンリオ(8136) プライム 4.04% +28.0%
④ カルナバイオサイエンス(4572) グロース 4.04% +1.5%
⑤ TOWA(6315) プライム 3.97% −3.2%
⑥ 野村マイクロ・サイエンス(6254) プライム 3.85% +14.2%
⑦ 日産自動車(7201) プライム 3.83% −19.8%
⑧ クレハ(4023) プライム 3.77% +9.9%
⑨ 東邦亜鉛(5707) プライム 3.25% +4.1%
⑩ メタプラネット(3350) スタンダード 3.18% −37.4%

最も大きいのはSHIFT(3697)の4.65%です。金額の上位10銘柄と両方に入っているのは2銘柄(サンリオ・日産自動車)だけでした。

同じ319銘柄を並べ替えただけで、ほとんど別の一覧になります。「大きく空売りされている銘柄」と言うとき、どちらの意味で言っているのかを確かめてください。

プライムが68.1%を占める

市場区分で分けます。区分が確認できたのは310銘柄です(残りの9銘柄はREITとETFで、後の章で扱います)。

市場区分 銘柄数 構成比 年初来の中央値
プライム 211銘柄 68.1% +7.9%
スタンダード 53銘柄 17.1% +23.8%
グロース 46銘柄 14.8% +8.3%

プライムが68.1%です。バークレイズの56.0%、モルガン・スタンレーMUFG証券の53.1%より高い比率になっています。

TOPIXの規模区分でも見てみます。

TOPIXの規模区分 銘柄数 構成比
TOPIX Core30 1銘柄 0.3%
TOPIX Large70 3銘柄 0.9%
TOPIX Mid400 58銘柄 18.2%
TOPIX Small 157銘柄 49.2%
区分なし(グロース・REIT等) 100銘柄 31.3%

時価総額が最上位のTOPIX Core30にも1銘柄あります。ただし最も多いのはTOPIX Smallの157銘柄で、大型株だけを選んでいるわけではありません。

金額が大きくなるのは、上位の数銘柄が飛び抜けているためです。銘柄の顔ぶれ全体が大型に寄っているわけではない、という点は分けて見ておきたいところです。

319銘柄の年初来を数える

名前が出ている銘柄の株価がどうなったかを、全数で数えます。

銘柄数 構成比
年初来がプラス 196銘柄 61.4%
年初来がマイナス 123銘柄 38.6%
年初来の中央値 +8.2%
報告が出ている全銘柄の中央値 +5.9% (1,043銘柄)

プラスが196銘柄・61.4%です。中央値+8.2%は、報告が出ている全銘柄の+5.9%より高い水準にあります。

名前が出ていることが、その銘柄の値下がりを示しているわけではありません。ただしこれは「空売りされても上がる」という意味でもありません。年初来の株価は、空売り残高とは別の要因で決まっています。

もうひとつ、売り建ては最後に買い戻して返す取引です。319銘柄に積み上がっている約9,138億円は、いずれ市場で買い戻されます。需給の考え方は貸借倍率とは?で整理しています。

他の機関が名前を出していない88銘柄

報告が出ている銘柄のうち、この機関の名前しか載っていないものが88銘柄あります。319銘柄の27.6%です。

銘柄(コード) 市場 残高割合 年初来
① クレハ(4023) プライム 3.77% +9.9%
② 内外テック(3374) スタンダード 2.54% +75.7%
③ クオンツ総研ホールディングス(9552) プライム 2.18% +8.2%
④ 太洋テクノレックス(6663) スタンダード 1.97% +21.9%
⑤ テセック(6337) スタンダード 1.93% +72.0%
⑥ キーコーヒー(2594) プライム 1.81% +0.8%
⑦ あおぞら銀行(8304) プライム 1.70% +34.9%
⑧ 商船三井(9104) プライム 1.69% +47.1%
⑨ 三和油化工業(4125) スタンダード 1.58% +61.8%
⑩ 大幸薬品(4574) プライム 1.50% −15.3%

この88銘柄の平均残高は0.85%、金額の合計は約1,558億円です。319銘柄の合計9,138億円のうち17.1%にとどまります。

つまり金額の大半は、他の機関も名前を出している銘柄のほうにあります。複数の機関が同じ銘柄に名前を並べるのは、その銘柄に注目が集まっているからというより、大型株では複数の証券会社が同時に取引しているためと考えるほうが自然です。

なぜ1銘柄あたりが大きくなるのか

1銘柄あたり約28.6億円という数字は、証券会社の業務から説明できます。

業務 内容 残高への出方
大口の注文を受ける 機関投資家がまとまった株数を売買するとき、その反対側をいったん引き受ける 1件が大きくなる
引受けと売出し 増資や売出しで引き受けた株を、売りさばくまでの価格変動を抑える 一時的に大きく積み上がる
デリバティブの提供 顧客に提供したオプションや仕組み商品のリスクを、株の売買で打ち消す 大型株に集まりやすい
指数との差を取る 指数連動の商品と現物株の価格差を両建てで取る 多くの銘柄に薄く広がる

いずれも買いと組み合わせた取引です。それでも報告されるのは売りの側だけなので、一覧には片側だけが並びます。これに対して買い持ちの側は、5%を超えるまで表に出ません。大株主とは?で扱っている大量保有報告の基準です。

ただし報告書に理由を書く欄はありません。ここに挙げたのは一般的な業務の説明であって、個別の銘柄がどれに当たるかを外から特定する方法はありません。

REITとETFにも9件

319銘柄のうち9件は事業会社ではありません。REITが7件、ETFが2件です。

銘柄(コード) 種類 残高割合
日経平均ダブルインバース・インデ(1357) ETF 1.91%
阪急阪神リート投資法人(8977) REIT 1.42%
東急リアル・エステート投資法人(8957) REIT 1.09%
MIRARTH不動産投資法人(3492) REIT 1.03%
日経平均ベア2倍上場投信(1360) ETF 0.68%
霞ヶ関ホテルリート投資法人(401A) REIT 0.62%
星野リゾート・リート投資法人(3287) REIT 0.56%
ジャパン・ホテル・リート投資法人(8985) REIT 0.52%
トーセイ・リート投資法人(3451) REIT 0.49%

REITが7件と多いのが特徴です。REITは投資口の発行口数が少ないため、金額としては小さくても0.5%の基準に届きやすくなります。また公募増資による資金調達を繰り返す仕組みなので、引受けにともなう売り建ても立ちやすい商品です。

ETFは2件で、いずれも日経平均が下がると値上がりするように作られた商品です。それを売り建てているので、形のうえでは日経平均の上昇で利益が出る向きになります。個別銘柄を売り崩すという話とは、別の取引です。

前回の報告からどう動いたか

1つ前の報告と比べます。

前回報告との比較 銘柄数 構成比
増えた 152銘柄 47.8%
減った 166銘柄 52.2%
0.5%を下回っている 45銘柄 14.1%
残高0%の届け出 2銘柄 0.6%

減った銘柄のほうが多くなっています(増152/減166)。3日ぶんの報告を見るだけでも、これだけ入れ替わります。

銘柄(コード) 前回 今回 増減
大真空(6962) 0.92% 1.52% +0.60
マツダ(7261) 0.29% 0.82% +0.53
HPCシステムズ(6597) 0.46% 0.96% +0.50
ShinwaWiseHold(2437) 1.19% 1.59% +0.40
TOWA(6315) 3.59% 3.97% +0.38
マクセル(6810) 1.92% 0.00% −1.92
新晃工業(6458) 1.44% 0.00% −1.44
アトム(7412) 1.58% 0.28% −1.30
ユニチカ(3103) 3.27% 2.28% −0.99
JFEホールディングス(5411) 0.89% 0.10% −0.79

3機関を並べると、それぞれ形が違う

ここまでの数字を、上位3機関で並べます。

銘柄数 1銘柄あたり 金額の上位3社
ゴールドマン・サックス 319 28.6億円 サンリオ/キヤノン/川崎汽船
バークレイズ 428 20.4億円 西日本旅客鉄/ゼンショーホ/サンリオ
モルガン・スタンレーMUFG 377 21.0億円 三菱重工業/キヤノン/レーザーテッ

金額の上位に並ぶ会社が、3機関でそれぞれ違います。同じ市場で同じ制度のもとで報告していても、扱っている銘柄の顔ぶれは重なりません。

「機関投資家が売っている」とひとくくりにされることがありますが、中身は機関ごとに別々です。それぞれの詳しい内訳は、バークレイズの空売り428銘柄モルガン・スタンレーMUFG証券の空売りで扱っています。

金額という軸を足すと何が変わるか

この記事では残高割合ではなく金額を軸にしました。実際に使うときの手順にすると、次のようになります。

① 残高数量に株価をかける

報告書には残高数量(株数)が載っています。これに株価をかければ、売り建ての時価が出ます。電卓ひとつで計算できます。

② その銘柄の1日の売買代金と比べる

出てきた金額を、その銘柄の1日の売買代金と比べます。売買代金の何日分にあたるかで、買い戻しにかかる日数の見当がつきます。1日の売買代金の10倍なら、単純計算で10日ぶんの買いが待っていることになります。読み方は売買代金とは?で解説しています。

③ 残高割合は「浮動株に対する重さ」として見る

金額が大きくても、発行済株式数が多ければ株価への影響は薄まります。金額は規模、割合は重さ。2つは別のことを表しています。両方を見て初めて、その残高の意味が決まります。

この記事の金額はどう計算したか

報告書に金額の記載はありません。この記事の金額は、次の方法で計算しています。

項目 内容
計算式 残高数量(株)× 株価 = 売り建ての時価
使った株価 Yahoo Financeの日足終値(319銘柄それぞれの直近値)
ずれる理由① 残高の計算年月日と、株価の日付が一致していない
ずれる理由② 実際に売った価格は分からない。建値は報告書に載っていない
ずれる理由③ 株価が動けば時価も動く。この記事の数字はある1時点のもの

つまりここでの金額は、規模の見当をつけるための概算です。それでも「0.5%で数百億円」「6%で10億円」といった桁の違いは、この計算をしないと見えません。

元のデータは日本取引所グループの「空売り残高に関する情報」で公開されています。残高数量の欄があるので、同じ計算を自分で試せます。

ゴールドマン・サックスの空売りに関するよくある質問

ゴールドマン・サックスの空売りは、他の機関より規模が大きいのですか。
金額で見ると最も大きくなっています。319銘柄の売り建てを時価に直すと約9,138億円で、銘柄数が428あるバークレイズの約8,715億円を上回ります。1銘柄あたりでは約28.6億円と、他の2機関の約1.4倍です。
金額の上位と残高割合の上位で、銘柄がまったく違うのはなぜですか。
残高割合は発行済株式数に対する比率だからです。株数の多い大型株は、同じ金額を売り建てても割合が小さく出ます。任天堂は0.38%で約439.9億円、いっぽう残高割合が最大のSHIFTは4.65%です。割合は株価への重さ、金額は取引の規模を表しています。
報告しているのは日本のゴールドマン・サックス証券ですか。
今回の集計に出ていたのは、英国に登記された法人です。報告書の住所欄はロンドン(Plumtree Court 25 Shoe Lane London)になっています。日本にはゴールドマン・サックス証券株式会社(東京都港区)がありますが、この集計期間の報告には名前が出ていませんでした。
名前が出ている銘柄の株価はどうなりましたか。
319銘柄の年初来は、上がったのが196銘柄・下がったのが123銘柄でした。中央値は+8.2%です。報告が出ている全1,043銘柄の中央値+5.9%より高い水準にあります。
大型株ばかりに名前が出ているのですか。
プライムが68.1%を占めます。他の2機関より高い比率です。ただし157銘柄はTOPIX Smallに区分される小型株で、大型株だけを選んでいるわけではありません。金額が大きくなるのは、上位の数銘柄に規模が集中しているためです。
空売り残高が大きいと、株価は下がりますか。
この集計では、そう言える結果は出ていません。金額の上位10銘柄でも、年初来がプラスの銘柄とマイナスの銘柄が混ざっています。残高は買いと組み合わせた取引から生まれることが多く、それだけで方向を示すものではありません。
報告書を見れば、いつからその残高を持っているか分かりますか。
分かりません。載っているのは計算年月日時点の残高だけです。前回の報告と比べた増減までは追えますが、いつ建て始めたのか、どれくらいの期間持っているのかは公表されていません。
ETFやREITにも名前が出ているのはなぜですか。
今回の集計では、REITが7件・ETFが2件ありました。REITは投資口の発行口数が少なく、金額が小さくても0.5%に届きやすい商品です。ETFは指数に連動する商品なので、個別企業への評価とは別の理由で売り建てが立ちます。

まとめ

GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL の空売り残高319銘柄を、金額という軸で数えました。

この記事のポイント

・銘柄数は319で3番目売り建ての金額は約9,138億円で1番大きい
・1銘柄あたり約28.6億円。バークレイズ約20.4億円・モルガン約21.0億円の1.4倍
金額の44.8%が上位10銘柄に集中(バークレイズは28.5%)
任天堂は残高0.38%なのに約439.9億円
・0.5%未満の報告が45銘柄。買い戻し中のものと、もとから割合が小さい大型株が混ざる
・プライムが68.1%。ただし最多はTOPIX Smallの157銘柄
・年初来は上がった196/下がった123(中央値+8.2%)。全体の+5.9%より高い
・報告しているのは英国に登記された法人(住所はロンドン)

一覧の並び順は残高割合です。そこには金額が写っていません。0.38%で約439.9億円という銘柄は、割合で並べるかぎり上位には出てきません。

残高数量に株価をかける。それだけで、一覧が別の顔を見せます。空売り残高を見るときは、割合と金額の2つを持っておくと、同じデータからもう1段深く読めます。

他の機関の空売り残高を見る

同じ報告データを、機関ごとに全数で数えたページを用意しています。同じ日のデータでも、機関によって形がまったく違います。

機関 銘柄数 その機関の特徴
モルガン・スタンレーMUFG証券 377銘柄 報告銘柄数が最多。名前がよく似た3つのモルガン
バークレイズ 428銘柄 報告が出ている銘柄の41.0%に名前がある
野村 225銘柄 東京とロンドンで1銘柄あたり5.6倍違う
JPモルガン証券 130銘柄 割合の上位10と金額の上位10に共通が0件
メリルリンチ 87銘柄 3%超えが1つもない
UBS 70銘柄 3分の2が報告ラインのすぐ上に集まっている

7機関の全体像と、空売り機関がどう見られているかは 空売り機関の手口|「悪の機関」と呼ばれる理由 にまとめています。

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