米国株の貸株とは?金利の決まり方とデメリット、SBI証券・楽天証券・マネックス証券を比較

米国株の貸株は、持っている米国株を証券会社に貸し出し、そのかわりに貸株金利を受け取る仕組みです。いまSBI証券(カストック)と楽天証券が提供していて、マネックス証券は2027年4月開始の予定で事前申込を受け付けています。株は持ったままで売買もいつでもできますが、貸している株は分別管理と投資者保護基金の対象から外れる(楽天証券・マネックス証券が明記)うえ、配当が「配当金相当額」になると税金の扱いが変わります。金利の決まり方と3社の違い、デメリットを順に書きました。

この用語の要点
  • 貸株金利は銘柄ごとに市場の状況で決まり、毎日〜毎週見直される。保有額に金利をかけた額が月1回入る
  • 配当が配当金相当額になると雑所得として総合課税。外国税額控除・株の売却損との損益通算が使えない
  • 貸している株は無担保。楽天証券・マネックス証券は分別管理と投資者保護基金の対象外と明記。NISA口座の株は3社とも貸せない
米国株の貸株の要点:貸株金利は銘柄ごとに市場の状況で決まり、毎日〜毎週見直される。保有額に金利をかけた額が月1回入る / 配当が配当金相当額になると雑所得として総合課税。外国税額控除・株の売却損との損益通算が使えない / 貸している株は無担保。楽天証券・マネックス証券は分別管理と投資者保護基金の対象外と明記。NISA口座の株は3社とも貸せない

米国株の貸株とは(仕組みと受け取れるもの)

貸株は、手元の株を証券会社に一定期間貸す取引です。証券会社は借りた株を機関投資家などに貸し出し、その収入の一部を貸株金利として払います。SBI証券の説明では、借りた株は「海外のレンディング市場」に貸し出され、そこで受け取った金利がもとになっています。国税庁の見方では、株券の貸借取引の実態は「消費貸借」です。戻ってくるのは貸した株そのものではなく、同じ銘柄・同じ数の株です。

受け取れるものは2つあります。1つ目は貸株金利で、貸している株の時価に金利をかけた額が、月に1回まとめて口座に入ります(SBI証券は日々計算と案内)。2つ目は配当です。権利確定日に株が手元に戻っていれば普通の配当金が入り、貸したままなら証券会社が配当のかわりに「配当金相当額」を払います。

貸している間も売却はできます。楽天証券は返却の指示をしなくても売れると案内していて、売った場合も約定日から数えて2営業日目までは金利の対象です。手数料はかかりません。日本株の貸株と仕組みは同じですが、配当にかかる米国の税金と外国税額控除が絡むので、税金の面では日本株より考えることが増えます。

米国株の貸株ができる証券会社の比較(SBI証券・楽天証券・マネックス証券)

米国株の貸株を公式ページで確かめられたのは次の3社です。SBI証券は2016年9月にサービスを始め、楽天証券は2024年12月28日に始めました。マネックス証券は2026年10月2日に事前申込の受付を始め、サービスの開始は2027年4月の予定です。

項目SBI証券(カストック)楽天証券マネックス証券
提供状況提供中提供中事前申込中(2027年4月開始予定)
NISA口座対象外対象外対象外
金利の見直し日々計算。変更は原則3日前までに告知原則週次原則毎国内営業日
金利の入金翌月第5営業日翌月第2営業日。円か米ドルを選べる翌月第2国内営業日。米ドル
配当の扱い原則は配当金。払えないときは配当金相当額配当優先コースは配当金、金利優先コースは配当金相当額権利確定日に自動で返却して配当金。外せないときは配当金相当額
株式分割など貸したまま権利を取得自動で返却して権利を取得(整数倍の分割は除く)返却せず貸出を続ける。議決権は取得できない
一部だけ貸すできない(銘柄ごとに貸す・貸さないは選べる)できない(銘柄ごとに選べる)できない(銘柄も数量も選べない)
信用取引との関係代用有価証券の残高があると申し込めない公式ページで確かめられず米国株信用取引口座とは併用できない

違いが大きいのは配当の扱いです。楽天証券は配当金を受け取るか、金利を優先して配当金相当額を受け取るかを自分で選びます。SBI証券とマネックス証券は配当金を受け取るのが原則で、配当金相当額になるのは返却が間に合わなかったときなどです。楽天証券の金利優先コースは、貸したまま権利確定日を迎えるたびに金利が最大2段階まで上がる仕組みです。

SBI証券は2026年7月24日夜間から、申込みと銘柄ごとの設定変更、解約の反映を毎国内営業日に変えました。それまでは月に1回だけでした。いまは国内営業日の12:00までに申し込めば、当日20:00頃に登録が終わります。松井証券・三菱UFJ eスマート証券・moomoo証券では、米国株の貸株の公式の案内を見つけられませんでした。手数料や為替コストまで含めた証券会社選びは米国株の証券会社の比較にまとめています。

貸株金利の決まり方と受取額の計算例

貸株金利は銘柄ごとに違います。一般に、借りたい機関投資家の多い銘柄ほど高く、借り手の少ない銘柄は低くなります。SBI証券の金利は、米国のレンディング市場の金利状況を参考にした日々の計算です。金利は固定ではありません。楽天証券は原則週次、マネックス証券は原則毎国内営業日に見直します。

銘柄ごとの金利の一覧は、SBI証券も楽天証券もログイン後か専用の画面でしか見られず、ここでは数字を載せていません。マネックス証券は通常より金利の高い「ボーナス金利銘柄」を用意する予定としていますが、実際の金利は開始後に示すとしています。

受取額は「貸している株の時価×年率×貸した日数÷365」でおおよそ見積もれます。仮に5万ドル分の米国株を1年間貸したとして、年率ごとの受取額を計算しました。

年率(仮定)5万ドルを1年貸したときの貸株金利月あたり
0.1%50ドル4.17ドル
0.5%250ドル20.83ドル
1.0%500ドル41.67ドル

株価が動けば時価も変わるので、実際の額は上下します。税金を引く前の額で、貸株金利は雑所得になります。年0.1%なら5万ドル分を貸しても年50ドルで、配当より小さいことも十分ありえる水準です。私は貸すかどうかを決める前に、持っている銘柄の金利を一度は画面で確かめます。

配当金と配当金相当額の違い(税金と外国税額控除)

貸したまま権利確定日を迎えると、株の名義は証券会社か第三者になっています。株主ではないので配当金は受け取れず、そのかわりに証券会社から「配当金相当額」が払われます。金額は配当とほぼ同じでも、税金の扱いはまったく別物です。

項目配当金配当金相当額
所得の区分配当所得雑所得(または事業所得)
課税のしかた源泉徴収で終わらせるか申告するかを選べる総合課税(ほかの所得と合計)
米国の10%の源泉徴収引かれる楽天証券は引かれずに受け取れると案内
外国税額控除対象(確定申告で)対象外
配当控除対象外(外国法人の配当のため)対象外
株の売却損との損益通算申告分離課税を選べばできるできない

国税庁の質疑応答事例では、株券貸借取引で受け取る配当代わり金は株主として受ける配当ではないので配当所得に当たらず、貸借料と同じく雑所得になるとされています。

手取りの差を、楽天証券が示している計算式で見てみます。配当1,000ドルの例です(円への換算と端数は省いています)。

計算配当金(特定口座)配当金相当額(楽天証券の金利優先)
米国での源泉徴収(10%)−100ドルなし
所得税(15.315%)−137.84ドル(900ドルにかかる)−153.15ドル(所得税相当額)
住民税(5%)−45ドルなし
入金される額717.16ドル846.85ドル
そのあと確定申告すれば外国税額控除で米国の税を取り戻せる場合がある雑所得として総合課税。申告が要る場合がある

入金の時点では配当金相当額のほうが多く見えます。ただし配当金相当額はほかの所得と合計して税率が決まる総合課税で、所得の多い人ほど負担が重くなります。楽天証券は、給与所得者(年収2,000万円以下)で貸株金利などの雑所得の合計が20万円以下なら確定申告は不要という案内です。逆に配当金相当額と貸株金利を合わせて20万円を超えると申告が必要です。配当の課税と外国税額控除のしくみは外国税額控除の記事、申告の手順は米国株の確定申告で詳しく書いています。

米国株の貸株のデメリット(倒産時のリスク・権利・税金)

米国株の貸株の弱点を、何が起きるかと避け方で整理しました。

デメリット何が起きるか避け方
証券会社の倒産楽天証券・マネックス証券は、貸している株を分別管理と投資者保護基金の対象外と明記。無担保なので戻らないおそれがある長く持つだけの大口の株は貸さない、または証券会社を分ける
配当金相当額になる雑所得として総合課税。外国税額控除・損益通算が使えない楽天証券は配当優先コース。SBI証券は配当の前に銘柄を「貸出しない」にする
返却中は金利が付かない配当を受け取るために返却している間は金利が出ない配当優先では避けられない。金利と配当のどちらを取るかで決める
議決権などが使えない名義が証券会社などに移るので株主の権利は貸出先へ移る議決権を使いたい銘柄は貸さない
NISA口座は対象外NISAの株は3社とも貸せない課税口座の株だけで判断する
申告の手間給与所得者は、雑所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要日本株の貸株の金利も合わせて年の合計を見ておく

いちばん重いのは倒産時のリスクです。楽天証券もマネックス証券も、貸している株は分別保管・分別管理と投資者保護基金の対象にならないと明記しています。マネックス証券は「当社に対する信用リスクを負う」と書いています。SBI証券も申込書類の名前が「米国貸株サービス申込書兼無担保確認書」で、無担保の契約です。5万ドル分を年0.1%で貸しても金利は年50ドルで、その金利のために株を無担保で証券会社に預けている状態になることは知っておくべきです。

配当金相当額は、自分で選ばなくても起きることがあります。SBI証券とマネックス証券は返却が間に合わないときに、楽天証券は配当優先コースでも配当データの更新が漏れたときに、配当金相当額になる可能性があると案内しています。配当の権利確定日と権利落ち日の関係は権利落ち日の記事で確かめられます。

税金の面では、配当金相当額と貸株金利は株の売却損と相殺できません。国税庁も雑所得の損失はほかの所得と損益通算できないとしています。米国株の売却損と配当の通算を考えている人は損益通算と繰越控除も合わせて読んでください。

米国株の貸株を始める前に確かめること

申し込む前に、次の順で確かめると判断がぶれません。

  1. 持っている銘柄の金利を見る:証券会社の金利一覧で、保有銘柄の年率を確かめます。大型株ばかりなら受取額は小さめです。
  2. 配当をどう受け取りたいか決める:配当金で受け取り外国税額控除を使いたいなら、楽天証券は配当優先コースにします。SBI証券は配当の前に貸出を外す方法もあります。
  3. 口座の種類を確かめる:NISA口座の株は対象外です。特定口座か一般口座の株だけが貸せます。
  4. 信用取引との関係を確かめる:SBI証券は代用有価証券の残高があると申し込めず、マネックス証券は米国株信用取引口座と併用できません。
  5. 年の雑所得の合計を見込む:日本株の貸株やほかの副収入と合わせて20万円を超えそうなら、確定申告の準備をします。

NISAで持つ株は貸せないので、長く持つ高配当株をどの口座に置くかも関係してきます。口座の使い分けはNISAで米国株を買う方法、配当がいつ入るかは米国株の配当の入金日を参考にしてください。

米国株の貸株に関するよくある質問

米国株の貸株ができる証券会社はどこですか?
公式ページで確かめられたのはSBI証券(カストック)と楽天証券で、どちらも提供中です。マネックス証券は2026年10月2日に事前申込を始め、サービス開始は2027年4月の予定です。
米国株の貸株金利はどうやって決まりますか?
銘柄ごとに市場の状況に応じて決まります。SBI証券は日々計算し、楽天証券は原則週次、マネックス証券は原則毎国内営業日に見直します。受取額は貸している株の時価に年率をかけて日割りした額です。
米国株の貸株のデメリットは何ですか?
楽天証券・マネックス証券は、貸している株が分別管理と投資者保護基金の対象外になると明記していて、無担保なので証券会社が破綻すると戻らないおそれがあります。配当が配当金相当額になると雑所得として総合課税になり、外国税額控除や損益通算が使えません。外国税額控除の記事もあわせてどうぞ。
NISA口座の米国株は貸株できますか?
できません。SBI証券・楽天証券・マネックス証券とも、NISA口座の米国株は貸株の対象外です。特定口座か一般口座の株が対象です。
貸株金利は確定申告が必要ですか?
貸株金利と配当金相当額は雑所得で総合課税です。楽天証券は、年収2,000万円以下の給与所得者で雑所得の合計が20万円以下なら確定申告は不要と案内しています。日本株の貸株の金利も合わせて判断します。手順は米国株の確定申告で順を追って説明しました。

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執筆:(Pacific Stock編集長・専業投資家歴20年)
サービス内容はSBI証券・楽天証券・マネックス証券の公式ページと各社の発表(2026年10月12日に確認)、配当金相当額の所得区分は国税庁の質疑応答事例によります。金利や条件は変わることがあります。この記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄や証券会社の売買・口座開設を勧めるものではありません。当サイトは証券会社の口座開設などでアフィリエイト報酬を得る場合がありますが、比較の順位や数値には影響しません。最終更新2026-10-12。

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