
気になった銘柄の空売り(ショート)残高を調べると、そこに「バークレイズ」の名前がある。別の銘柄を調べても、また同じ名前がある。
この既視感には理由があります。2026年8月26日から2026年9月2日の報告を集計すると、Barclays Capital Securities Ltd の名前が出ていたのは428銘柄。報告が出ている1,043銘柄の41.0%にあたります。
報告している39機関のなかで最も多く、2番目の機関より51銘柄多い数です。調べた銘柄にこの名前が出てくる確率が高いのは、狙われているからではなく、単純に対象が広いためです。
この記事では、428銘柄がどんな顔ぶれで、どれくらいの規模で、その後どうなったのかを数えます。並べ方を変えると結論が反対になる箇所があるので、そこも実際の数字で示します。
この記事でわかること
・報告しているのはロンドンの法人。日本法人は今回の集計に出ていない
・売り建ての合計は約8,715億円。1銘柄あたりは平均1.17%で突出していない
・残高上位10銘柄だけを見ると年初来プラスは4銘柄。428銘柄では252銘柄
・金額で並べ替えると顔ぶれが変わる(西日本旅客鉄道・ゼンショーホールディングス・サンリオ)
・他の機関が名前を出していない132銘柄の中身
・1週間のあいだに増えた231銘柄/減った195銘柄と入れ替わっている
・モルガン・スタンレーMUFG証券と並べたときの違い
※ この記事は制度と公表データの解説であり、特定の銘柄や売買、特定の事業者の評価を目的とするものではありません。集計は2026年8月26日から2026年9月2日に公表された空売り残高の報告にもとづきます。株価はYahoo Financeの日足終値です。
バークレイズとはどんな会社か
バークレイズは英国の金融グループです。1690年にロンドンで創業し、本社はロンドンのカナリーワーフにあります。個人向けの銀行業務から投資銀行業務まで手がけていますが、日本株の空売り残高に名前が出るのは、機関投資家や事業会社を相手にする部門です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| グループの本拠 | 英国・ロンドン |
| 創業 | 1690年11月17日(ロンドン) |
| 本社 | ワン・チャーチル・プレイス(ロンドンのカナリーワーフ) |
| 日本での拠点 | バークレイズ証券株式会社(東京都港区)/バークレイズ銀行東京支店/バークレイズ投信投資顧問 |
| 今回の報告者 | Barclays Capital Securities Ltd(住所はロンドン) |
ここで注目したいのは、最後の行です。日本にはバークレイズ証券株式会社という法人があります。それでも、今回の空売り残高を報告していたのは、住所がロンドンの法人でした。
報告しているのはロンドンの法人
JPXの報告書には、報告者の住所が載っています。実際の記載はこうです。
| 法人 | 報告書の住所 | 銘柄数 |
|---|---|---|
| Barclays Capital Securities Ltd | 1 Churchill Place, London, E14 5HP, United Kingdom | 428銘柄 |
| Barclays Bank PLC | 1 Churchill Place, London, E14 5HP, United Kingdom | 9銘柄 |
| バークレイズ証券株式会社(東京都港区) | — | 今回の集計には出ていない |
1 Churchill Place は、バークレイズの本社ビルの住所です。つまり日本株の空売り残高を報告しているのは、日本の営業拠点ではなく、ロンドンの法人ということになります。
これは日本市場に限った話ではありません。海外の金融機関が各国の株式を売買するとき、取引を1つの法人に集約することがあります。報告義務もその法人が負うため、住所がロンドンのまま日本の報告書に載ります。
同じ住所からは、Barclays Bank PLC の名前も9銘柄で出ています。SHIFT(3697)の0.93%が最大です。名前は似ていますが、報告している法人は別です。
※ ここで確認できるのは「今回の集計期間の報告に出ていなかった」という事実だけです。ほかの時期の報告や、0.5%に届かない売り建てまでは分かりません。
428銘柄は、報告が出ている銘柄の41.0%にあたる
まず、この数がどれくらいのものかを置いておきます。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 名前が出ている銘柄数 | 428銘柄 |
| 報告が出ている銘柄の全体 | 1,043銘柄 |
| 占める割合 | 41.0%(およそ5銘柄に2銘柄) |
| 報告している機関の数 | 39機関 |
| そのなかの順位 | 1番目(2番目のモルガン・スタンレーMUFG証券は377銘柄) |
| 1銘柄あたりの平均残高 | 1.17% |
| 残高割合の中央値 | 0.82% |
1銘柄あたりの残高は、平均1.17%・中央値0.82%です。特別に大きくはありません。この機関の特徴は、1銘柄ごとの重さではなく、名前が出ている銘柄の数にあります。
そのため、自分が調べた銘柄にこの名前が出てくる確率が高くなります。「またバークレイズがいる」という感覚は正確で、実際にどこにでも名前があります。ただしそれは、その銘柄が特別に狙われていることを意味しません。
残高割合が大きい10銘柄
まず、残高割合の大きい順に並べます。この並びだけを見ると、ある印象を受けるはずです。
| 銘柄(コード) | 市場 | 残高割合 | 年初来 |
|---|---|---|---|
| ① AKIBAホールディングス(6840) | スタンダード | 6.04% | +84.5% |
| ② トリケミカル研究所(4369) | プライム | 5.42% | +9.2% |
| ③ KLab(3656) | プライム | 5.35% | −46.0% |
| ④ メディアリンクス(6659) | スタンダード | 4.28% | +6.5% |
| ⑤ ReYuuJapan(9425) | スタンダード | 4.10% | −43.6% |
| ⑥ データセクション(3905) | グロース | 3.98% | −27.5% |
| ⑦ インタートレード(3747) | スタンダード | 3.79% | −41.2% |
| ⑧ レナサイエンス(4889) | グロース | 3.74% | −16.5% |
| ⑨ メドレー(4480) | プライム | 3.65% | +9.1% |
| ⑩ Birdman(7063) | グロース | 3.62% | −32.8% |
年初来がマイナスの銘柄が目につきます。上位10銘柄のうち、プラスは4銘柄でした。「残高が大きい銘柄は下がっている」と読みたくなる並びです。
上位10銘柄だけを見ると読み違える
ところが、対象を広げていくと結論が変わります。同じ428銘柄を、上位10・上位20・上位50・全部という単位で数え直しました。
| 数える範囲 | 年初来プラス | プラスの割合 | 年初来の中央値 |
|---|---|---|---|
| 残高上位10銘柄 | 4銘柄 | 40.0% | −22.0% |
| 残高上位20銘柄 | 9銘柄 | 45.0% | −2.9% |
| 残高上位50銘柄 | 28銘柄 | 56.0% | +7.8% |
| 428銘柄すべて | 252銘柄 | 58.9% | +7.4% |
上位10銘柄ではプラスが4銘柄。428銘柄すべてではプラスが252銘柄・58.9%です。中央値も−22.0%から+7.4%に変わります。
ものさしとして、空売り報告が出ている銘柄すべてを同じ方法で数えると、全1,043銘柄ではプラスが615銘柄(59.0%)、中央値+5.9%でした。この機関の名前が出ている銘柄だけが沈んでいる、という差は見当たりません。
なぜ上位だけ結果が違うのか。残高割合が5%を超えるような銘柄は、そもそも発行済株式数が少ない小型株に偏るためです。値動きが大きく、下げるときも大きく下げます。上位10銘柄は428銘柄の2.3%にすぎません。
市場区分で分けると、この偏りがはっきりします。
| 市場区分 | 銘柄数 | 平均残高 | 年初来の中央値 |
|---|---|---|---|
| プライム | 237銘柄 | 1.07% | +10.8% |
| スタンダード | 91銘柄 | 1.31% | +6.5% |
| グロース | 95銘柄 | 1.27% | −0.6% |
プライムが237銘柄で最も多く、報告が出ている全銘柄の構成比(60.6%)に近い水準です。小型株ばかりを選んでいるわけではありません。ただし残高割合が大きくなりやすいのは、スタンダードのほうです。
金額で並べ替えると顔ぶれが変わる
報告書に載っているのは残高割合と残高数量で、金額は載っていません。そこで残高数量に株価をかけて、売り建ての時価を計算しました。
| 銘柄(コード) | 残高割合 | 売り建ての時価 |
|---|---|---|
| ① 西日本旅客鉄道(9021) | 3.19% | 439.7億円 |
| ② ゼンショーホールディングス(7550) | 1.79% | 345.3億円 |
| ③ サンリオ(8136) | 2.01% | 325.5億円 |
| ④ 資生堂(4911) | 2.17% | 299.8億円 |
| ⑤ キッコーマン(2801) | 1.31% | 227.8億円 |
| ⑥ FOOD&LIFECOMPA(3563) | 1.41% | 197.4億円 |
| ⑦ 日産自動車(7201) | 1.41% | 166.1億円 |
| ⑧ KOKUSAIELECTRI(6525) | 0.83% | 164.2億円 |
| ⑨ オリンパス(7733) | 0.69% | 160.2億円 |
| ⑩ 川崎重工業(7012) | 0.72% | 155.5億円 |
残高割合の表とは、ほとんど別の顔ぶれです。合計すると約8,715億円になります。
金額の上位に並ぶのは、鉄道・外食・キャラクター・化粧品・食品といった内需や消費に近い会社です。時価総額が大きいため、残高割合が1.31%でも金額では227.8億円になります。
逆に、残高割合が最大のAKIBAホールディングス(6840)は6.04%ですが、金額では約4.2億円です。割合では1.9倍、金額では104分の1という関係になります。
残高割合は「発行済株式数に対する重さ」、金額は「その機関にとっての規模」です。一覧の並び順は割合なので、金額の大きさは見えません。
どの業種に名前が出ているか
業種別に数えます。市場区分が確認できた423銘柄が対象です(残りの5銘柄はREITなど)。
| 業種 | 銘柄数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 情報・通信業 | 78銘柄 | 18.4% |
| 電気機器 | 51銘柄 | 12.1% |
| サービス業 | 47銘柄 | 11.1% |
| 機械 | 31銘柄 | 7.3% |
| 医薬品 | 27銘柄 | 6.4% |
| 卸売業 | 23銘柄 | 5.4% |
| 小売業 | 21銘柄 | 5.0% |
| 化学 | 21銘柄 | 5.0% |
| 食料品 | 18銘柄 | 4.3% |
| 建設業 | 10銘柄 | 2.4% |
銘柄数では情報・通信業が78銘柄で最も多くなります。ただし金額で上位20銘柄を取ると、業種の顔ぶれが変わります。
陸運業が2銘柄、小売業が2銘柄、食料品が2銘柄、輸送用機器が2銘柄。銘柄数で数えるか、金額で数えるかで、見える景色が違います。「どの業種が売られているか」を語るときは、どちらで数えたのかを確かめてください。
他の機関が名前を出していない132銘柄
報告が出ている銘柄のうち、この機関の名前しか載っていないものが132銘柄あります。428銘柄の30.8%です。
| 銘柄(コード) | 市場 | 残高割合 | 年初来 |
|---|---|---|---|
| ① タカラトミー(7867) | プライム | 2.48% | +31.7% |
| ② エスクリプトエナジー(5721) | スタンダード | 2.00% | −77.6% |
| ③ ネットプロテクションズホール(7383) | プライム | 1.87% | −24.2% |
| ④ アクセルマーク(3624) | グロース | 1.73% | +13.7% |
| ⑤ フライトソリューションズ(3753) | スタンダード | 1.73% | +36.7% |
| ⑥ ビーエイブル(604A) | スタンダード | 1.70% | −0.6% |
| ⑦ ジーネクスト(4179) | グロース | 1.69% | +8.3% |
| ⑧ 日本駐車場開発(2353) | プライム | 1.68% | +4.7% |
| ⑨ HODL1(2345) | スタンダード | 1.63% | −51.2% |
| ⑩ 窪田製薬ホールディングス(4596) | グロース | 1.59% | +52.4% |
この132銘柄の平均残高は0.79%で、他の機関も名前を出している296銘柄の1.34%より低い水準です。
名前が1つしかない銘柄は、残高も小さい傾向にあります。ただし0.5%に届かない売り建ては報告されないため、「他に誰も売っていない」という意味にはなりません。
逆に、1つの銘柄に何機関の名前が並んでいるかを数えると、次のようになります。
| 同じ銘柄に名前を出している機関の数 | 銘柄数 | 構成比 |
|---|---|---|
| この機関だけ | 132銘柄 | 30.8% |
| 2機関 | 129銘柄 | 30.1% |
| 3機関 | 72銘柄 | 16.8% |
| 4機関 | 55銘柄 | 12.9% |
| 5機関 | 25銘柄 | 5.8% |
| 6機関 | 9銘柄 | 2.1% |
| 7機関 | 4銘柄 | 0.9% |
| 8機関 | 2銘柄 | 0.5% |
1つの法人が428銘柄を売り建てられる理由
428という数は、銘柄を1つずつ選んで空売りしているとは考えにくい規模です。1銘柄あたりの残高が平均1.17%と小さいことも、それを裏づけます。
証券会社の売り建ては、次のような業務から生まれます。
| 業務 | 内容 | 性質 |
|---|---|---|
| 顧客の注文を受ける | 機関投資家の売り注文の反対側を、いったん自分で持つ | 持ち続けるものではない |
| 転換社債を持っている | 株に換えられる債券を持ち、株価変動の影響を打ち消すために株を売る | 買いと売りがセット |
| 指数や先物との差を取る | 指数に連動する商品と現物株の価格差を、両建てで取る | 広く薄く多くの銘柄に及ぶ |
| デリバティブを提供する | 顧客に売ったオプションのリスクを、株の売買で打ち消す | 株価が動くたびに調整するため残高も動く |
| 株を貸す業務 | 貸株の在庫を調整する | 需給の裏方 |
指数や先物との差を取る取引は、性質として多くの銘柄に薄く広がります。428銘柄・平均1.17%という形は、この説明と矛盾しません。
ただし、報告書には理由を書く欄がありません。ここに挙げたのは一般的な業務の説明であって、428銘柄の1つ1つがどれに当たるのかは外から特定できません。分かるのは残高の数字だけ、というのがこのデータの性質です。
モルガン・スタンレーMUFG証券と並べると何が違うか
報告している銘柄数が2番目に多いモルガン・スタンレーMUFG証券と、同じ期間で比べます。
| バークレイズ | モルガン・スタンレーMUFG | |
|---|---|---|
| 銘柄数 | 428銘柄 | 377銘柄 |
| 平均残高 | 1.17% | 1.22% |
| 売り建ての合計 | 約8,715億円 | 約7,926億円 |
| 報告書の住所 | ロンドン | 東京・大手町 |
| 金額の上位に並ぶ会社 | 西日本旅客鉄道/ゼンショーホール/サンリオ | 三菱重工業/キヤノン/レーザーテック |
| この機関だけの銘柄 | 132銘柄 | 112銘柄 |
| 年初来の中央値 | +7.4% | +6.5% |
規模は近いのに、金額の上位に並ぶ会社が違います。バークレイズは鉄道・外食・食品などの内需に近い会社、モルガン・スタンレーMUFG証券は重工業や電機が上位に来ます。
同じ銘柄に両方の名前が出ているものも152銘柄あります。428銘柄の35.5%です。複数の証券会社が同じ銘柄に同時に名前を出すのは、珍しいことではありません。
モルガン・スタンレーMUFG証券のほうはモルガン・スタンレーMUFG証券の空売りで、377銘柄を同じ方法で数えています。
1週間のあいだにも残高は入れ替わっている
前回の報告と比べた増減を数えます。
| 前回報告との比較 | 銘柄数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 前回より増えた | 231銘柄 | 54.2% |
| 前回より減った | 195銘柄 | 45.8% |
| 0.5%を下回った | 51銘柄 | 11.9% |
| うち残高0%の届け出 | 3銘柄 | 0.7% |
増えたのが231銘柄、減ったのが195銘柄です。一方向に積み上がっているわけではありません。
ここで押さえておきたいのが、0.5%は報告が始まる基準であって、一覧に載る下限ではないという点です。1度報告すると、基準を下回ったことを届け出るまで載り続けます。今回も51銘柄が0.5%未満で、うち3銘柄は0%の届け出でした。これは買い戻しが終わったことを示します。
動きの大きかった銘柄を挙げます。
| 銘柄(コード) | 前回 | 今回 | 増減 |
|---|---|---|---|
| データセクション(3905) | 3.19% | 3.98% | +0.79 |
| 江崎グリコ(2206) | 0.49% | 0.98% | +0.49 |
| サンバイオ(4592) | 1.09% | 1.51% | +0.42 |
| イオレ(2334) | 2.29% | 2.71% | +0.42 |
| 人・夢・技術グループ(9248) | 0.21% | 0.62% | +0.41 |
| ミルボン(4919) | 1.21% | 0.00% | −1.21 |
| JFEホールディングス(5411) | 1.50% | 0.41% | −1.09 |
| Abalance(3856) | 1.01% | 0.00% | −1.01 |
| 共英製鋼(5440) | 1.18% | 0.36% | −0.82 |
| オキサイド(6521) | 0.81% | 0.00% | −0.81 |
一覧に名前があるという状態は、その銘柄の固定的な性質ではありません。3日ぶんの報告を見るだけでも、これだけ動いています。1度見た数字を覚えておいても、翌週には変わっています。
428銘柄のなかに自分の銘柄を見つけたら
保有している銘柄がこの428銘柄に入っていたとき、順番に確かめたいことを4つ挙げます。
① 順位ではなく、残高割合そのものを見る
一覧は残高割合の順に並びますが、428銘柄のうち中央値は0.82%です。上位に入っているのか、平均的な水準なのかで意味が変わります。428銘柄のうち0.5〜1%未満が204銘柄(47.7%)、3%以上は20銘柄(4.7%)しかありません。
② 前回からどちらに動いたかを見る
一覧には前回の数字も並んでいます。増えているのか、減っているのか、0.5%を割ったのか。今回の集計でも増えた銘柄と減った銘柄はほぼ半々でした。残高がいくらかより、どちらに動いたかのほうが多くを語ります。
③ 金額に直してみる
残高数量に株価をかければ、売り建ての時価が出ます。同じ1%でも、大型株なら数百億円、小型株なら数億円です。その銘柄の1日の売買代金と比べると、買い戻しにどれくらいの日数がかかるかの見当がつきます。売買代金の見方は売買代金とは?で解説しています。
④ 同じ銘柄に他の機関の名前があるかを見る
この機関だけが名前を出している銘柄は132銘柄で、平均残高は0.79%でした。複数の機関が並んでいる銘柄のほうが、合計の残高は大きくなります。1機関の数字だけでなく、その銘柄に出ている全部の名前を合計して見てください。
公表データでは確かめられないこと
この記事の数字は、JPXの報告だけを材料にしています。裏を返すと、報告に項目がないものは何も分かりません。大きく3つあります。
| 分からないこと | 理由 |
|---|---|
| 建てた理由 | 報告書に理由を書く欄がない。ヘッジなのか、値下がりを見込んだ売りなのかは区別できない |
| 買い持ちの側 | 同じ機関が同時に持っている買いは公表されない。売りの側だけが見えている |
| 0.5%に届かない売り | 1度も基準に達していない売り建ては報告されない。一覧にない=売られていない、ではない |
とくに2つ目は、この機関のように多くの銘柄に名前が出る場合に効いてきます。買いと売りを組み合わせた取引でも、報告されるのは売りの側だけです。一覧に並ぶ名前は、その機関の持ち高の片側だけを写したものです。
データそのものは日本取引所グループの「空売り残高に関する情報」で、登録もなしにダウンロードできます。この記事の数字も、そこから計算しています。
バークレイズの空売りに関するよくある質問
まとめ
Barclays Capital Securities Ltd の空売り残高428銘柄を、公表データだけで数えました。
この記事のポイント
・1銘柄あたりは平均1.17%・中央値0.82%で、突出して大きいわけではない
・報告しているのはロンドンの法人。日本のバークレイズ証券は今回の集計に出ていない
・残高上位10銘柄では年初来プラスが4銘柄、428銘柄では252銘柄(58.9%)
・全1,043銘柄の中央値+5.9%に対し、この428銘柄は+7.4%
・売り建ての合計は約8,715億円。金額の上位は内需・消費に近い会社
・他の機関が名前を出していない銘柄が132(平均0.79%と小さい)
・前回比で増えた231/減った195。51銘柄は0.5%を下回っている
「どの銘柄にも名前がある」のは事実でした。ただしその理由は、対象が428銘柄と広いことにあります。1銘柄あたりの残高は平均1.17%です。
そして、並べ方を変えると結論が変わります。上位10銘柄で見るか、428銘柄で見るか。割合で見るか、金額で見るか。どの範囲を、どの軸で数えたのかを確かめる。それがこのデータを扱うときの基本になります。
他の機関の空売り残高を見る
同じ報告データを、機関ごとに全数で数えたページを用意しています。同じ日のデータでも、機関によって形がまったく違います。
| 機関 | 銘柄数 | その機関の特徴 |
|---|---|---|
| モルガン・スタンレーMUFG証券 | 377銘柄 | 報告銘柄数が最多。名前がよく似た3つのモルガン |
| ゴールドマン・サックス | 319銘柄 | 銘柄数は3番目だが、売り建ての金額は最大 |
| 野村 | 225銘柄 | 東京とロンドンで1銘柄あたり5.6倍違う |
| JPモルガン証券 | 130銘柄 | 割合の上位10と金額の上位10に共通が0件 |
| メリルリンチ | 87銘柄 | 3%超えが1つもない |
| UBS | 70銘柄 | 3分の2が報告ラインのすぐ上に集まっている |
7機関の全体像と、空売り機関がどう見られているかは 空売り機関の手口|「悪の機関」と呼ばれる理由 にまとめています。
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