サーキットブレーカーとは何か?わかりやすく解説

サーキットブレーカーとは

サーキットブレーカー(読み方:さーきっとぶれーかー)

 

サーキットブレーカーとは、先物やオプションの価格が値幅の限度となった場合に取引を強制的に一時中断する制度のことです。(株・FX用語)
『サーキット・ブレーカー』とも表記され、英語では『circuit breaker』となります。

サーキットブレーカー制度は、相場が異常に加熱してその価格が極端に変動した際、投資家の頭を冷やすという目的があります。

1987年、アメリカのブラックマンデー(NYダウ平均が1日で22%も下落した)をきっかけにニューヨーク証券取引所で初めて導入され、日本では1994年に導入されました。

ちなみに、サーキットブレーカーの語源的には電気回路の遮断器(電気回路に異常な電流が流れたときに回路の電線が焼損等しないように強制的に回路を遮断する装置)から来ているとされています。
実際に、サーキットブレーカーは日本語では遮断器(しゃ断器)といいます。

サーキットブレーカーの発動条件や中断時間

日本におけるサーキットブレーカー制度は株式・ETF(上場投資信託)・債券などの現物市場には導入されておらず、先物市場やオプション市場のみ適用されます。

▼発動条件
制限値幅の上・下限値段に買(売)呼値が提示され、1分間に当該値段から制限値幅の10%の範囲外の値段で取引が成立しない場合
▼中断時間
10分間(10分経過後、制限値幅拡大のうえ、板寄せ方式により取引再開)

先物・オプション、それぞれのサーキットブレーカー発動時の制限値幅の上・下限の拡大について、JPX(日本取引所)より参考引用してまとめると以下表の通りです。

指数先物 通常時
制限値幅
第一次拡大時
制限値幅
第二次拡大時
制限値幅
日経225先物
日経225mini
8% 12% 16%
TOPIX先物
ミニTOPIX先物
8% 12% 16%
JPX日経400先物 8% 12% 16%
東証マザーズ先物 8% 12% 16%
TOPIX Core30先物 8% 12% 16%
東証銀行業株価指数先物 8% 12% 16%
東証REIT指数先物 8% 12% 16%
RNプライム指数先物 8% 12% 16%
FTSE中国50先物 10% 15% 20%
日経平均VI先物 10ポイント 拡大回数を限定せず、通常、5ポイント刻みで順次拡大
指数オプション
基準値段
通常時
制限値幅
第一次拡大時
制限値幅
第二次拡大時
制限値幅
日経225オプション
50円未満
4% 通常時制限値幅に3%を加えたもの 第一次拡大時制限値幅に3%を加えたもの
日経225オプション
50~200円未満
6% 通常時制限値幅に3%を加えたもの 第一次拡大時制限値幅に3%を加えたもの
日経225オプション
200~500円未満
8% 通常時制限値幅に3%を加えたもの 第一次拡大時制限値幅に3%を加えたもの
日経225オプション
500円以上
11% 通常時制限値幅に3%を加えたもの 第一次拡大時制限値幅に3%を加えたもの
TOPIXオプション
5ポイント未満
4% 通常時制限値幅に3%を加えたもの 第一次拡大時制限値幅に3%を加えたもの
TOPIXオプション
5~20ポイント未満
6% 通常時制限値幅に3%を加えたもの 第一次拡大時制限値幅に3%を加えたもの
TOPIXオプション
20~50ポイント未満
8% 通常時制限値幅に3%を加えたもの 第一次拡大時制限値幅に3%を加えたもの
TOPIXオプション
50ポイント以上
11% 通常時制限値幅に3%を加えたもの 第一次拡大時制限値幅に3%を加えたもの
JPX日経400オプション
50ポイント未満
4% 通常時制限値幅に3%を加えたもの 第一次拡大時制限値幅に3%を加えたもの
JPX日経400オプション
50~200ポイント未満
6% 通常時制限値幅に3%を加えたもの 第一次拡大時制限値幅に3%を加えたもの
JPX日経400オプション
200~500ポイント未満
8% 通常時制限値幅に3%を加えたもの 第一次拡大時制限値幅に3%を加えたもの
JPX日経400オプション
500ポイント以上
11% 通常時制限値幅に3%を加えたもの 第一次拡大時制限値幅に3%を加えたもの

※値幅制限は原則、四半期(3月・6月・9月・12月)ごとに見直す運用

 

 

参考までに、初めて導入されたアメリカ・お隣の韓国のサーキットブレーカー制度については以下のようになっています。

アメリカ(ニューヨーク証券取引所のサーキットブレーカー例)
Market-Wide Circuit Breakers」と呼ばれ、S&P500(アメリカの代表的な株価指数)の動きを基準にレベル1~3*まで最大3段階で発動。
※2013年に以下の新ルールに改定

▼レベル1
9:30~15:25間で、S&P500が前日終値より7%下落したら発動(15分間取引停止)
▼レベル2
9:30~15:25間で、S&P500が前日終値より13%下落したら発動(15分間取引停止)
▼レベル3
時間帯に関係なく、S&P500が前日終値より20%下落したら発動(終日取引停止)

発動事例

2020年3月9日、新型コロナウイルスによる各種懸念の中で原油価格の急落が売りに拍車をかけ、NYダウ下げ幅が一時2,000ドル超となりルール改正後初のレベル1が発動されました。(以降、同月12日・16日・18日と4度発動)

ちなみにアメリカではMarket-Wide Circuit Breakersに加え、さらに個別株で「limit up」・「limit down」の制限があり、日本でいう「ストップ高」「ストップ安」のことを指します。

 

韓国(韓国証券先物取引所)のサーキットブレーカー例
先物が基準価格から1分間以上にわたって5%以上乖離した場合に売買が一時中断(5分間停止)

発動事例

2020年3月19日、総合株価指数(KOSPI)の下落率が8%超えとなったことによって、サーキットブレーカー制度を発動しました。(同日、フィリピンやインドネシア市場でもサーキットブレーカーが発動)

 

サーキットブレーカーメモ

・サーキットブレーカーとは、先物やオプション市場で極端に価格変動があったときに売買を一時中断させる制度
・同制度は相場の異常加熱に対して投資家が冷静になるようにという目的がある
・日本における同制度は先物、オプション市場にのみ適用され、現物市場は対象外
・発動条件は先物取引市場において、制限値幅の10%の範囲外で1分間以上推移した場合

 

日本のサーキットブレーカー発動事例

過去10年間の日本におけるサーキットブレーカー発動事例を時系列で簡潔にまとめてみました。

2011年

■発動年月日:2011年3月14日
■発動対象:TOPIX先物
■発動回数:1回
■主な原因・背景:東日本大震災

■発動年月日:2011年3月15日
■発動対象:日経平均先物、TOPIX先物
■発動回数:1回
■主な原因・背景:東日本大震災(福島第一原子力発電所事故)

2013年
■発動年月日:2013年5月23日
■発動対象:日経平均先物
■発動回数:2回
■主な原因・背景:アベノミクスへの期待
2016年

■発動年月日:2016年2月9日
■発動対象:日経平均VI先物取引
■発動回数:1回
■主な原因・背景:日銀のマイナス金利(日本国債の長期金利マイナス)

■発動年月日:2016年6月24日
■発動対象:日経平均先物取引
■発動回数:1回
■主な原因・背景:イギリスのEU(欧州連合)離脱

2020年

■発動年月日:2020年3月9日
■発動対象:東証マザーズ指数先物取引、日経平均VI先物取引
■発動回数:3回
【内訳】
1回(東証マザーズ指数先物取引)
2回(日経平均VI先物取引)
■主な原因・背景:新型コロナウイルス

■発動年月日:2020年3月13日
■発動対象:東証マザーズ指数、ダウ・ジョーンズ工業株平均、東証銀行業株価指数、東証REIT指数の先物取引
■発動回数:6回
【内訳】
2回(東証マザーズ指数)
1回(ダウ・ジョーンズ工業株平均)
1回(東証銀行業株価指数)
2回(東証REIT指数)
■主な原因:新型コロナウイルス

■発動年月日:2020年3月18日
■発動対象:日経平均VI先物取引、東証マザーズ指数先物取引
■発動回数:5回
【内訳】
4回(日経平均VI先物取引)
1回(東証マザーズ指数先物取引)
■主な原因:新型コロナウイルス

 

ご覧の通り、サーキットブレーカーは発動条件を満たしていれば1日に複数回発動されるということがわかります。

サーキットブレーカーの効果とその後

日本だけに限らず、直近では世界的に新型コロナウイルスの影響が顕著となっており、シンガポールは2020年4月7日、新型コロナウイルス対策の一環としてサーキットブレーカーを発動しています。

その後のシンガポール
2020年5月19日付で、シンガポール政府は6月2日から封鎖措置の緩和、新型コロナウイルス感染拡大抑止のために発動されたサーキットブレーカーは6月1日に終了となるとを発表されています。

ただ、日本やアメリカなど、各国におけるサーキットブレーカー制度にはその効果を疑問視する声もあるようです。サーキットブレーカーの制限値幅が定期的に見直されたりするのはそういったことも関係しているため、改善ないし改良余地としての働きなのかも知れません。

今後、震災や新型コロナのような大きな有事の際、サーキットブレーカー制度はどのように変化し、市場に影響をもたらすのか注目したいところではないでしょうか。

 

サーキットブレーカーメモ

・サーキットブレーカー制度は各国で疑問視される声もある
・今後、大きな有事の際にサーキットブレーカー制度がどのような形で市場に影響するのかも注目
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