
ベージュブック(Beige Book、地区連銀経済報告)は、米国の12の地区連銀が地元の企業・金融機関・地域団体から聞き取った景気の様子を、FRBが年8回まとめて出す報告書です。表紙がベージュ色だったのが名前の由来です。出るのはFOMC(連邦公開市場委員会)の約2週間前の水曜、米国東部時間の14時。日本時間では木曜の朝3時(冬時間は4時)になります。2026年の8回は、どれもFOMC初日のちょうど13日前でした。以下では中身と読み方・日本時間の日程・最近の報告の流れを順に見ます。
- 年8回、FOMC初日の13日前の水曜14:00(米国東部)に公表。日本時間は翌木曜の3:00(夏時間)/4:00(冬時間)。次回は2026年10月15日(木)3:00、その次は11月26日(木)4:00
- 数字ではなく「言葉」の報告。12地区のうち何地区で景気が拡大したか、雇用や物価がどう動いたかを、slight・modest・moderateといった決まった言い回しで書く
- 2026年は「拡大」の地区数が1月8 → 3月7 → 4月8 → 6月10 → 7月11 → 9月10。物価は「緩やか(moderate)な上昇」が続き、関税の影響を伝える声もまだ残っている
ベージュブックとは:12地区連銀の聞き取り報告
米国の中央銀行制度(連邦準備制度)は、ワシントンのFRB(連邦準備制度理事会)と全米12の地区連銀でできています。各地区連銀は、地元の経営者・銀行・エコノミスト・地域団体などに聞き取りやアンケートをします。その結果を地区ごとにまとめ、全体の要約(National Summary)を付けたのがベージュブックです。正式名は「Summary of Commentary on Current Economic Conditions by Federal Reserve District」です。
| 12の地区連銀 | |
|---|---|
| ボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア | クリーブランド、リッチモンド、アトランタ |
| シカゴ、セントルイス、ミネアポリス | カンザスシティ、ダラス、サンフランシスコ |
全体の要約は地区連銀の持ち回りで書きます。2026年は1月リッチモンド・3月クリーブランド・4月ニューヨーク・6月カンザスシティ・7月シカゴ・9月ミネアポリスでした。報告はFOMCで議論するときの資料の1つです。関税の価格転嫁や人手不足、AIが雇用に与える影響など、統計に出る前の現場の声が早めに載るのが持ち味です。
発表日と日本時間:FOMCの13日前の水曜、翌朝3時
公表は米国東部時間の14:00です。日本時間では、夏時間(3月第2日曜〜11月第1日曜)なら翌日3:00、冬時間なら翌日4:00。日本では木曜の未明にあたります。FOMCの声明と同じ14:00ですが、曜日が違うので取り違えないようにしてください。FOMCの声明は会合2日目の水曜、ベージュブックはその約2週間前の水曜です。
日本から見ると、米国市場の通常取引が終わる2時間前に中身が出ることになります(通常取引の終わりは夏時間5:00、冬時間6:00)。統計と違って市場予想の数字がないので、発表直後の値動きは雇用統計やCPIほど大きくならないことが多いです。それでも景気の減速や物価の再加速を示す言葉が並ぶと、金利先物(利下げ・利上げの織り込み)が動くことがあります。日本時間の取引時間は米国株の取引時間と夏時間にまとめています。
2026〜2027年の公表日とFOMC、日本時間の一覧
FRBが出しているベージュブックとFOMCの日程を並べてみると、2026年の8回はすべてFOMC初日のちょうど13日前の水曜日でした。2027年のベージュブックの日程は、2026年9月29日の時点でまだFRBから出ていません。そこで2027年のFOMC日程に同じ間隔を当てはめた見込みを載せています。
| 公表日(米国) | 日本時間 | 直後のFOMC | 間隔 |
|---|---|---|---|
| 2026/1/14(水) | 1/15(木)4:00 | 1/27〜28 | 13日 |
| 2026/3/4(水) | 3/5(木)4:00 | 3/17〜18 | 13日 |
| 2026/4/15(水) | 4/16(木)3:00 | 4/28〜29 | 13日 |
| 2026/6/3(水) | 6/4(木)3:00 | 6/16〜17 | 13日 |
| 2026/7/15(水) | 7/16(木)3:00 | 7/28〜29 | 13日 |
| 2026/9/2(水) | 9/3(木)3:00 | 9/15〜16 | 13日 |
| 2026/10/14(水) | 10/15(木)3:00 | 10/27〜28 | 13日 |
| 2026/11/25(水) | 11/26(木)4:00 | 12/8〜9 | 13日 |
| 2027/1/13(水)推定 | 1/14(木)4:00 | 1/26〜27 | 13日 |
| 2027/3/3(水)推定 | 3/4(木)4:00 | 3/16〜17 | 13日 |
| 2027/4/14(水)推定 | 4/15(木)3:00 | 4/27〜28 | 13日 |
| 2027/5/26(水)推定 | 5/27(木)3:00 | 6/8〜9 | 13日 |
2026年11月25日は米国の感謝祭(11/26)の前日です。夏時間が終わったあとなので、日本時間は4:00になります。2027年はこのあと7/14・9/1・10/13・11/24(いずれも推定)と続きます。推定の日付は、FRBが正式に出すまで変わるかもしれません。
2026年の日付はFRBのベージュブックのページとFOMCカレンダーで確かめたものです。日本時間は、米国東部の14:00に夏時間なら13時間、冬時間なら14時間を足しました。2027年分は「FOMC初日の13日前の水曜」を当てはめた見込みで、FRBの発表ではありません。
最近の報告の推移:12地区のうち「拡大」はいくつか
全体の要約は、冒頭で「12地区のうち何地区で景気が拡大したか」を書きます。2026年に出た6回の要約を読んで、その数を拾ったのが次の表です。
| 公表日 | 拡大した地区 | 横ばい・縮小 | 物価の書きぶり |
|---|---|---|---|
| 1/14 | 8 | 横ばい3・縮小1 | 大半の地区で緩やかな上昇 |
| 3/4 | 7 | 横ばいか縮小5 | 8地区で緩やか、4地区でわずか〜小幅 |
| 4/15 | 8 | 横ばい2・縮小2 | 大半の地区で緩やか |
| 6/3 | 10 | 横ばい1・縮小1 | 緩やか〜強い。多くの地区で前回より加速 |
| 7/15 | 11 | 横ばい1 | 9地区で緩やか、2地区で強い |
| 9/2 | 10 | 横ばい2 | 8地区で緩やか、1地区で強い |
直近の9月2日の報告は、ミネアポリス連銀のまとめです(情報は8月24日までに集めたもの)。景気は「7月初め以降、小幅に増加」、雇用は「全体でごくわずかに増加」でした。物価では製造業と建設の仕入れ値の上昇が目立ち、小売や製造業からは関税の影響を伝える声が続いています。雇用の項では、人工知能(AI)が人手の需要を増やす面と減らす面の両方があると書かれていました。
表の数字は、各回の要約に書かれた地区数をそのまま写したものです。3月は横ばいと縮小をまとめて書いているので分けていません。なお、FRBのサイトでは3月4日公表分が「February」、6月3日公表分が「May」という題になっていて、公表月と表題の月がずれる回があります。
読み方のコツ:決まった言い回しと、前回との差
強さは決まった言い回しで書かれます。弱い順にslight(わずか)→ modest(小幅)→ moderate(緩やか)→ solid・robust・strong(堅調・強い)です。見るべきは水準より前回との差です。「拡大」の地区が減った、物価の言葉がmoderateからstrongに変わった、といった動きがFOMCの議論を読む手がかりになります。
とはいえ中身は聞き取りの要約です。統計のように数字で比べられるものではなく、FOMCの決定を先に教えてくれるものでもありません。FOMC前は雇用統計やPCEデフレーターの数字と並べて読みます。FOMCのあとはドットチャートや議事要旨を見れば、委員が同じ景気をどう評価したかがわかります。
ベージュブックに関するよくある質問
ベージュブックは日本時間の何時に発表されますか?
ベージュブックはどこで読めますか?
ベージュブックで株価は動きますか?
FOMC議事要旨とベージュブックの違いは何ですか?
関連する用語
- FOMC
FOMCとは、アメリカの金融政策を決める会合のことで、正式名称は連邦公開市場委員会(Federa - FRB
FRB(連邦準備制度理事会)とは、米国の中央銀行にあたる組織の中枢を担う機関です。 - FOMC議事要旨
FOMC議事要旨とは、米国の金融政策を決める会合で交わされた議論の記録です。 - 経済指標
経済指標とは、国や地域の経済の状態を数値で表した公的なデータのことです。 - FFレート(米国の政策金利)
- ドットチャート(FOMCの金利見通し)
- PCEデフレーター
- 米国株の取引時間と夏時間
あわせて使うツール・記事
執筆:佐々木優也(Pacific Stock編集長・専業投資家歴20年)
日程と各回の要約はFRBのサイトで2026年9月29日に確かめたものです。2027年の日程は見込みです。この記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄や証券会社の売買・口座開設を勧めるものではありません。当サイトは証券会社の口座開設などでアフィリエイト報酬を得る場合がありますが、比較の順位や数値には影響しません。最終更新2026-10-02。
