サイバーセキュリティ関連株23銘柄完全リスト【2026年最新】

2026年9月から10月にかけて、個人情報の流出が相次いでいます。画像共有サービスのGyazoでは約2,362万件、焼肉きんぐのアプリでは1,078万件、タイムズカーでは約660万件が流出しました。10月に入ってからも、大和証券・日本経済新聞社・シチズン時計などが被害を公表しています。

その裏で、サイバーセキュリティを本業とする会社の株が大きく買われています。事業の中核がサイバーセキュリティの23社のうち、10社が9月25日から10月6日までに20%以上上がりました。23社の中で最も上げたのはZenmuTechの+62.9%です。流出の中身を整理したうえで、23社が何をしている会社なのかを1社ずつ紹介します。

この23銘柄の見どころ

・9月10日〜10月8日に、主なものだけで26件の流出やサイバー攻撃が公表された
・23社のうち10社が20%以上、14社が10%以上上昇(9月25日→10月6日)
・23社は5つの分野に分かれる(Web・ネットワーク/監視・診断/認証/メール・端末/不正検知)
・急騰した銘柄の中には、直近の決算が赤字の会社もある

特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。株価は2026年10月6日の終値です。

2026年9月〜10月に相次ぐ個人情報の流出

9月10日から10月8日までに公表された主な事案を並べました。被害が数十人規模のものは除いています。それでも26件にのぼります。

2026年9〜10月の主な個人情報流出の規模
公表 会社とサービス 規模と主な情報
9月10日 さくらインターネット 136万563アカウントの契約情報・会員情報
9月11日 デジタル庁
(GSS)
約24万6,000件。職員や事業者の氏名・メールアドレス・電話番号など
9月15日 ムラウチドットコム 771万6,811件。氏名・住所・電話番号・メールアドレス・生年月日など
9月16日 Gyazo
(Helpfeel)
ユーザー情報約2,362万件と画像のメタデータ約4.9億件
9月25日 ファインズ
(予約システム)
153万6,322件。予約した人の氏名・電話番号・メールアドレス・予約内容
9月26日 京王電鉄グループ ランサムウェア攻撃で一部の営業システムに障害(公表時点で情報漏えいは確認されていない)
9月27日 OZmall
(スターツ出版)
最大44万7,610人分のメールアドレス・氏名など
9月27日 東京メトロ
(メトロポイントクラブ)
約5万9,000件のメールアドレス
9月28日 タイムズカー 約660万件。氏名・住所・生年月日・運転免許の情報など。運転免許証などの画像約160万件を含む
9月29日 セイコーマート 約57万アカウントの氏名・住所・電話番号・メールアドレスなど
9月29日 ヤマト運輸
(クロネコ代金後払いサービス)
不正アクセスでサービスを停止。漏えいの範囲は調査中
9月29日 イープラス
(スマチケ)
1,463件。うち751件は払い戻しの振込先口座の情報
9月30日 佐川急便
(お荷物問い合わせサービス)
約100日分の荷物の送り主と届け先の氏名・住所・電話番号
9月30日 VOISING 約17万件の氏名・住所・電話番号・購入履歴など
10月2日 第一ライフグループ・第一生命 従業員と退職者の約12万人分(顧客情報への不正アクセスは確認されていない)
10月2日 大阪公立大学 ランサムウェアとみられる攻撃でシステム障害。少なくとも約13万人分の住所やメールアドレスなどが流出したおそれ(10/8時点)
10月4日 日本経済新聞社 社員のMicrosoft 365アカウントからなりすましメール約9,000件。Google Workspaceの不正ログインで1,646人分の情報漏えいのおそれ
10月5日 GMOリサーチ&AI
(アンケートサイトinfoQ)
最大94万8,498件の会員情報。会員のポイント約287万円分が不正に交換された
10月5日 大起水産
(公式アプリ)
17万4,933人の氏名・電話番号・メールアドレス・住所・生年月日
10月5日 大和証券
(問い合わせ管理の委託先)
約11万人の氏名・メールアドレス・証券口座番号など
10月5日 物語コーポレーション
(焼肉きんぐのアプリ)
1,078万8,963件。会員番号・氏名・メールアドレス・電話番号
10月6日 シチズン時計
(問い合わせフォームの委託先)
約10万人分。氏名・住所・電話番号、入力していれば銀行口座やカード番号も
10月6日 楽天モバイル
(楽天ドライブ)
1万5,382アカウントの保存データ(写真・文書など)。313アカウントは暗号化されたパスワードも
10月7日 損害保険ジャパン
(問い合わせ対応の委託先)
延べ約6万件。氏名・電話番号・住所・メールアドレス・勤務先など。大和証券・シチズン時計と同じ委託先
10月7日 エイチ・アイ・エス
(タイの現地法人)
最大627人分のパスポート情報(氏名・生年月日・パスポート番号など)
10月8日 ローソン
(ローソンID)
215万5,345件。メールアドレス・氏名など(入力していれば性別・電話番号・住所も)。アプリ予約の26件はクレジットカード番号の一部も

鉄道・運輸・生命保険・証券・飲食・小売・報道、さらに国の機関や大学まで、業種はばらばらです。どの会社も「自分は狙われない」とは言えない状況です。

大和証券とシチズン時計は、同じ委託先が攻撃を受けていました。問い合わせの管理を任せていたスカラコミュニケーションズのサーバーに10月2日夜から3日朝にかけて不正アクセスがあり、2社の顧客情報に影響が出ています。自社のシステムを守っていても、仕事を任せた先が破られれば情報は漏れます。日本経済新聞社では社員のメールのアカウントが乗っ取られ、そこからなりすましメールが約9,000件送られました。

流出した情報は、本物そっくりの偽メールや不正ログインの材料になります。証券口座の乗っ取りとの関係はアカウント乗っ取りと証券口座の不正取引で詳しく解説しています。

自分の情報が流出したかもしれないときにやることは、個人情報漏洩が相次ぐ今!自分で守るための具体的対策まとめに漏れた情報の種類ごとにまとめています。

流出のニュースでセキュリティ株はどう動いたか

流出の公表が一段と増えた9月下旬の前、9月25日の終値と10月6日の終値を比べました。9月25日はタイムズカーの公表の前の営業日です。

サイバーセキュリティ関連23社の株価の騰落率(9月25日から10月6日)
銘柄 10月6日の終値 9月25日比
ZenmuTech(338A) 4,985円 +62.9%
ブロードバンドセキュリティ(4398) 1,922円 +45.7%
アズジェント(4288) 623円 +44.9%
セキュアヴェイル(3042) 414円 +36.6%
S&J(5599) 1,455円 +35.2%
サイバーセキュリティクラウド(4493) 2,618円 +33.5%
GRCS(9250) 1,379円 +32.5%
サイバーソリューションズ(436A) 1,703円 +31.5%
カウリス(153A) 2,113円 +28.1%
テリロジーホールディングス(5133) 372円 +21.2%

20%以上上がった10社は、ほとんどがグロース市場やスタンダード市場の小型株です。アズジェントとセキュアヴェイルは、9月26日以降の1日あたりの売買の量が、9月1〜25日の平均の200倍を超えました。一方で、トレンドマイクロ(+5.9%)やHENNGE(+0.8%)のような規模の大きい会社は、ほとんど動いていません。ニュースの話題に乗った短期の資金が、値動きの軽い小型株に集まった形です。

23銘柄の選び方|サイバーセキュリティが事業の中核の会社

東証のプライム・スタンダード・グロース市場の3,685社について、2025年4月以降の決算短信・決算説明資料・適時開示を読み、サイバーセキュリティが事業の中核になっている会社を選びました。セキュリティを「扱う商材の1つ」にしている大手のシステム会社や通信会社は、今回の23社には入れていません。

分野 社数 主な会社
Webサイトとネットワークを守る会社 6社 サイバーセキュリティクラウド、テリロジーホールディングス、網屋など
監視・診断・コンサルティング 5社 グローバルセキュリティエキスパート、ブロードバンドセキュリティ、S&Jなど
認証・電子証明書 4社 ソリトンシステムズ、サイバートラスト、GMOグローバルサイン・ホールディングスなど
メール・パソコン・データを守る会社 5社 サイバーソリューションズ、FFRIセキュリティ、ZenmuTechなど
不正ログインや詐欺を見つける会社 3社 カウリス、トビラシステムズ、かっこ

上場していても資料の対象に入らなかった会社(ラックなど)は含まれていません。セキュリティの事業を持つ会社は、ほかにも数多くあります。

サイバーセキュリティ関連株23銘柄の一覧

銘柄(コード・市場) 分野 10月6日の終値 9月25日比
サイバーセキュリティクラウド
4493・グロース
Webサイトとネットワークを守る会社 2,618円 +33.5%
テリロジーホールディングス
5133・スタンダード
Webサイトとネットワークを守る会社 372円 +21.2%
網屋
4258・グロース
Webサイトとネットワークを守る会社 6,010円 +7.7%
フーバーブレイン
3927・スタンダード
Webサイトとネットワークを守る会社 1,072円 +19.0%
テクマトリックス
3762・プライム
Webサイトとネットワークを守る会社 2,625円 +3.6%
アズジェント
4288・スタンダード
Webサイトとネットワークを守る会社 623円 +44.9%
グローバルセキュリティエキスパート
4417・グロース
監視・診断・コンサルティング 6,420円 +18.9%
ブロードバンドセキュリティ
4398・スタンダード
監視・診断・コンサルティング 1,922円 +45.7%
S&J
5599・グロース
監視・診断・コンサルティング 1,455円 +35.2%
セキュアヴェイル
3042・スタンダード
監視・診断・コンサルティング 414円 +36.6%
GRCS
9250・グロース
監視・診断・コンサルティング 1,379円 +32.5%
ソリトンシステムズ
3040・プライム
認証・電子証明書 2,853円 +4.9%
サイバートラスト
4498・グロース
認証・電子証明書 1,244円 +6.4%
GMOグローバルサイン・ホールディングス
3788・プライム
認証・電子証明書 2,111円 +2.5%
HENNGE
4475・グロース
認証・電子証明書 1,794円 +0.8%
サイバーソリューションズ
436A・グロース
メール・パソコン・データを守る会社 1,703円 +31.5%
FFRIセキュリティ
3692・グロース
メール・パソコン・データを守る会社 8,670円 +10.0%
ZenmuTech
338A・グロース
メール・パソコン・データを守る会社 4,985円 +62.9%
デジタルアーツ
2326・プライム
メール・パソコン・データを守る会社 5,360円 +9.5%
トレンドマイクロ
4704・プライム
メール・パソコン・データを守る会社 6,928円 +5.9%
カウリス
153A・グロース
不正ログインや詐欺を見つける会社 2,113円 +28.1%
トビラシステムズ
4441・スタンダード
不正ログインや詐欺を見つける会社 1,538円 +1.1%
かっこ
4166・グロース
不正ログインや詐欺を見つける会社 715円 +10.0%

ここからは、分野ごとに1社ずつ事業の中身を紹介します。決算の数字は各社の決算短信によるもので、前年の同じ期間と比べた増減を( )に入れています。

Webサイトとネットワークを守る会社

会社のWebサイトや社内ネットワークの「出入口」で攻撃を止める分野です。自社開発のサービスと、海外製品の販売代理に分かれます。

サイバーセキュリティクラウド(4493)|Webサイトへの攻撃を止める「攻撃遮断くん」

主力の「攻撃遮断くん」(後継の「Web/DDoSセキュリティタイプNeo」)は、Webサイトへの攻撃や、大量の通信でサイトを止める攻撃をクラウドで防ぐサービスです。AWSの防御ルールの運用を代行する「WafCharm」、ソフトの弱点情報を管理する「SIDfm」もあります。2026年には、社内での生成AIの使い方を見える化して制限する「AI MONBAN」を始めました。売上の大部分は毎月の継続課金です。

市場:グロース 株価:2,618円(9月25日比 +33.5%)
直近の決算:2026年12月期中間:売上高2,771百万円(+14.6%)、営業利益619百万円(+30.0%)

テリロジーホールディングス(5133)|海外製品の輸入販売と、官公庁向けの脅威情報

中心は海外のセキュリティ製品・ネットワーク製品の輸入販売です。Webサイトなどへの通信を振り分けながら守るRadware社の製品や、工場や社会インフラの制御システムを守るOT/IoTセキュリティを扱います。子会社のコンステラセキュリティジャパンは、攻撃の兆しを探す脅威情報サービスを提供し、官公庁向けの受注が堅調だとしています。

市場:スタンダード 株価:372円(9月25日比 +21.2%)
直近の決算:2027年3月期1Q:売上高2,329百万円(+14.0%)、営業損失98百万円(本社移転などの一時費用約65百万円を含む)

網屋(4258)|ログ管理「ALog」と、丸ごと運用する「Verona」

サーバーなどの記録(ログ)を集めて分析する自社製品「ALog」と、会社のネットワークとセキュリティをクラウドでまとめて運用する「Verona」が2本柱です。ALogは大手製造業や大手IT企業の導入が多く、経済安全保障や内部統制の目的で使われています。2026年には、Veronaのルーターを自社で作るため機器メーカーのアンペールを買収しました。

市場:グロース 株価:6,010円(9月25日比 +7.7%)
直近の決算:2026年12月期中間:売上高3,397百万円(+23.7%)、営業利益638百万円(+31.3%)

フーバーブレイン(3927)|社内ネットワークの出入口とパソコン操作の記録

社内ネットワークの出入口で不正な通信を止める「Eye"247" Safety Zone」シリーズや、パソコンの操作記録から情報の持ち出しを防ぐ「Eye"247" Work Smart Cloud」を提供しています。ネットワークとセキュリティをクラウドでまとめる海外製品「Cato SASE Platform」も販売しています。直近の決算では、セキュリティ製品の売上が44%増えました。

市場:スタンダード 株価:1,072円(9月25日比 +19.0%)
直近の決算:2027年3月期1Q:売上高1,689百万円(+29.6%)、営業利益83百万円(+129.7%)

テクマトリックス(3762)|海外の有力製品を幅広く扱う販売代理の大手

中心事業の「情報基盤事業」で、Palo Alto Networks・Proofpoint(メールの防御)・F5のWAFなど海外の有力製品を幅広く販売しています。24時間の運用監視サービスも自社で持ち、中小企業向けの機器は子会社OCHが扱います。マレーシアのセキュリティ専業会社Firmusも傘下です。医療システムなどセキュリティ以外の事業も含みます。

市場:プライム 株価:2,625円(9月25日比 +3.6%)
直近の決算:2027年3月期1Q(国際会計基準):売上収益18,885百万円(+19.0%)、営業利益1,606百万円(+26.4%)

アズジェント(4288)|「次の一手」になる海外製品をいち早く輸入

海外のセキュリティ製品の輸入販売が主力で、事業はネットワークセキュリティ事業の1つだけです。Check Point社の大規模ネットワーク向け製品のほか、修正パッチが出る前でもシステムの弱点を防ぐ「Vicarius VRX」、IIJのサービスに採用されたブラウザ拡張「SecureLayer」などを扱います。円安で仕入れのコストが上がっていると決算短信で触れています。

市場:スタンダード 株価:623円(9月25日比 +44.9%)
直近の決算:2026年3月期:売上高3,434百万円(+15.5%)、営業利益146百万円(前の期の赤字から黒字化)。2027年3月期1Qは営業損失53百万円

監視・診断・コンサルティングの会社

製品を売るのではなく、24時間の監視や弱点探し(脆弱性診断)、社内体制づくりなど「人の手」で守る分野です。人手不足の企業が外に頼むことが多く、継続課金になりやすい特徴があります。

グローバルセキュリティエキスパート(4417)|中堅・中小企業向けの教育・診断・体制づくり

準大手・中堅・中小企業が主な客です。社員向けの訓練(偽の攻撃メールを送る「トラップメール」)や技術者の資格講座「セキュリスト」、侵入テストなどの診断、社内の事故対応チームづくりの支援を手がけます。CrowdStrikeなど他社製品の販売も行います。ブロードバンドセキュリティ(4398)の筆頭株主で、9月30日にはキーウェアソリューションズとの資本業務提携も発表しました。

市場:グロース 株価:6,420円(9月25日比 +18.9%)
直近の決算:2027年3月期1Q:売上高2,772百万円(+23.9%)、営業利益499百万円(+41.7%)

ブロードバンドセキュリティ(4398)|カード業界の基準対応から監視までを一貫して

クレジットカード業界の安全基準(PCI DSS)や国際送金の基準への対応支援から、脆弱性診断・24時間の監視(SOC)・事故の原因調査(フォレンジック)までを一貫して提供します。設計から監視・対応までをまとめて請け負う「G-MDR」が特徴です。大株主はグローバルセキュリティエキスパートとIDホールディングスです。

市場:スタンダード 株価:1,922円(9月25日比 +45.7%)
直近の決算:2026年6月期:売上高6,779百万円(+11.1%)、営業利益511百万円(+98.4%)。2027年6月期の予想は営業利益750百万円

S&J(5599)|24時間監視(SOC)が売上の柱

サイバーセキュリティ事業だけの会社で、売上の中心は24時間の監視サービス(SOC)です。国産の基盤「CSIRT-Pro」で記録の分析や自動対応を行い、CrowdStrikeやMicrosoft Defenderなど他社製品の監視も請け負います。脆弱性診断や事故対応、経済産業省の評価制度(SCS評価)への対応支援などのコンサルティングも行います。

市場:グロース 株価:1,455円(9月25日比 +35.2%)
直近の決算:2027年3月期1Q:売上高591百万円(+10.0%)、営業利益88百万円(−30.3%)。通期予想は営業利益620百万円

セキュアヴェイル(3042)|有人24時間のネットワーク監視「NetStare」

社内ネットワークを人が24時間365日見張る「NetStare」が主力です。攻撃と通信障害の両方を監視します。ログ管理ソフト「LogStare」は子会社が開発・販売し、中小企業向けには監視を自動化した「AI-SOC」を出しています。セキュリティ技術者の派遣も行い、NRIセキュアテクノロジーズとは資本業務提携の関係です。

市場:スタンダード 株価:414円(9月25日比 +36.6%)
直近の決算:2026年3月期:売上高1,279百万円(+11.4%)、営業利益112百万円(+220.9%)。2027年3月期1Qは営業損失52百万円

GRCS(9250)|リスク管理ツールとカード基準の審査

自社ツールには、会社全体のリスクを管理するクラウド「ERMT」や取引先・委託先のリスクを管理する「Supplier Risk MT」があります。社内の事故対応チームの作業を記録する「CSIRT MT.mss」もそろえ、PCI DSSへの準拠支援・審査や侵入テストも手がけます。金融・通信・グローバル企業が主な客です。証券会社向けシステムの別事業もあります。

市場:グロース 株価:1,379円(9月25日比 +32.5%)
直近の決算:2026年11月期中間:売上高1,743百万円(+8.8%)、営業損失48百万円(前年同期は95百万円の損失)。2026年5月末に債務超過を解消

認証・電子証明書の会社

「本当に本人か」「本物のサイトか」を確かめる分野です。今回の流出のように、盗まれたIDやパスワードを使った不正ログインを防ぐ役割を持ちます。

ソリトンシステムズ(3040)|社内ネットワークの「入口の認証」機器が主力

社内ネットワークに入れる人や端末を電子証明書で確かめる認証機器「NetAttest EPS」が主力で、会社はこの分野で20年以上国内シェア1位だとしています。クラウド型の多要素認証「Soliton OneGate」や、分けたネットワークの間で安全にファイルを渡す「FileZen S」もあります。顧客は医療・金融・製造と、自治体・防衛などの公共です。

市場:プライム 株価:2,853円(9月25日比 +4.9%)
直近の決算:2026年12月期中間:売上高10,022百万円(+15.1%)、営業利益1,777百万円(+124.0%)。NetAttest EPSの旧版のサポート終了による買い替えが追い風

サイバートラスト(4498)|電子証明書と本人確認、Linuxの両輪

Webサイトの運営者が実在することを証明するSSL/TLS証明書、会社が許可した端末だけを社内に入れる「デバイスID」、銀行などの本人確認や電子署名に使う「iTrust」を提供します。もう1つの柱がLinuxのOSとサポートで、機器に組み込むOSや弱点の管理ツールも扱います。継続課金の比率は67.3%です。

市場:グロース 株価:1,244円(9月25日比 +6.4%)
直近の決算:2027年3月期1Q:売上高2,132百万円(+12.0%)、営業利益406百万円(+31.4%)。売上・営業利益は11期連続の増収増益(2026年3月期まで)

GMOグローバルサイン・ホールディングス(3788)|世界で使われる電子認証局「GlobalSign」

自社で電子認証局を運営し、「GlobalSign」ブランドでSSL証明書などを発行しています。会社は国内No.1・世界トップ4の電子認証局だとしています。なりすましメールを見分けるための企業ロゴの証明書(VMC)、1つのIDで複数のクラウドサービスに入れる「GMOトラスト・ログイン」、電子契約「電子印鑑GMOサイン」も同社のサービスです。

市場:プライム 株価:2,111円(9月25日比 +2.5%)
直近の決算:2026年12月期中間:売上高11,091百万円(+11.5%)、営業利益585百万円(−1.5%)

HENNGE(4475)|クラウドのログインとメールをまとめて守る「HENNGE One」

「HENNGE One」1つで、会社が使う多くのクラウドサービスへのログインをまとめて管理し、メールの誤送信や攻撃メールも防ぎます。2026年10月にはパソコンの監視と対応(EDR/MDR)まで含めた最上位プランを新設しました。契約企業は3,427社(2025年9月期)、月の解約率は0.33%です。10月2日にプライム市場への区分変更の承認と、新株の発行・売出しを発表しています。

市場:グロース 株価:1,794円(9月25日比 +0.8%)
直近の決算:2026年9月期3Q累計:売上高9,390百万円(+17.1%)、営業利益1,854百万円(+17.4%)

メール・パソコン・データを守る会社

攻撃の入り口になりやすいメールや、社員が使うパソコン、パソコンの中のデータそのものを守る分野です。

サイバーソリューションズ(436A)|メールのセキュリティを月額で

メールのウイルス・なりすまし・誤送信を防ぐ「MAILGATES Σ」が主力です。Microsoft 365やGoogle Workspace向けの「Cloud Mail SECURITYSUITE」、添付ファイルを安全な形に変えて届ける「CYBERMAIL Σ ST」もあり、1アカウントあたりの月額で提供しています。売上の94%が継続課金で、取引先は2,278社です。自治体の第3期セキュリティクラウドの需要も見込んでいます。

市場:グロース 株価:1,703円(9月25日比 +31.5%)
直近の決算:2027年4月期1Q:売上高913百万円(+4.3%)、営業利益407百万円(+11.8%)

FFRIセキュリティ(3692)|純国産の端末防御「FFRI yarai」と防衛向けの研究

パソコンなどの端末を守る「FFRI yarai」が主力製品です。ウイルスの見本と照合する方式ではなく、プログラムのふるまいを見て未知の攻撃も止めます。防衛省や官公庁、防衛産業向けに安全保障に関わる調査・研究を請け負う「ナショナルセキュリティ・サービス」も大きく伸びています。会社が強みに掲げるのは、純国産であることです。

市場:グロース 株価:8,670円(9月25日比 +10.0%)
直近の決算:2026年3月期:売上高4,348百万円(+43.1%)、営業利益1,364百万円(+67.0%)。2027年3月期1Qは営業利益185百万円(−30.0%)

ZenmuTech(338A)|パソコンを無くしても中身が漏れない「秘密分散」

主力の「ZENMU Virtual Drive」は、パソコンのデータを意味のない断片に分け、パソコンとクラウドに分けて置く仕組みです。断片がそろわないと元に戻らないため、パソコンを無くしても中身は漏れません。売上の78.8%をこの製品が占めます。データを隠したまま計算できる「秘密計算」の技術も持ち、産業技術総合研究所と共同研究しています。

市場:グロース 株価:4,985円(9月25日比 +62.9%)
直近の決算:2025年12月期:売上高851百万円(+31.3%)、営業利益144百万円。2026年12月期中間は営業損失99百万円

デジタルアーツ(2326)|Webフィルタリング「i-FILTER」と学校・官公庁

安全と判断したWebサイトだけにつなぐ「i-FILTER」、攻撃メールや誤送信を防ぐ「m-FILTER」、2025年11月発売の国産ゼロトラスト製品「Z-FILTER」などを持ちます。企業向けのほか、官公庁・自治体・学校向けが大きく、GIGAスクール構想の第2期で受注を伸ばしました。家庭向けの「i-フィルター」でも知られています。

市場:プライム 株価:5,360円(9月25日比 +9.5%)
直近の決算:2027年3月期1Q:売上高2,711百万円(+19.4%)、営業利益1,035百万円(+30.2%)

トレンドマイクロ(4704)|「ウイルスバスター」の世界的なセキュリティ会社

個人向けの「ウイルスバスター」で知られ、日本・米州・欧州・アジア太平洋で事業を展開しています。売上の8割は法人向けで、端末・ネットワーク・クラウドの監視をまとめて分析する「Trend Vision One」が柱です。8月には、クラウドの費用が増えるとして通期の営業利益予想を564億円から444億円に引き下げました。

市場:プライム 株価:6,928円(9月25日比 +5.9%)
直近の決算:2026年12月期中間:売上高148,596百万円(+11.0%)、営業利益21,792百万円(−23.5%)

不正ログインや詐欺を見つける会社

流出した情報が実際に悪用される場面、つまり不正ログインや不正な注文、詐欺の電話やSMSを見つけて止める分野です。

カウリス(153A)|金融機関の不正アクセスを見つける「Fraud Alert」

「Fraud Alert」は、口座開設やログインのときの端末情報や使い方の癖から、不正アクセスの兆しを見つけるサービスです。導入した金融機関どうしでデータを共有する仕組みが特徴です。電力会社の契約情報で本人確認をする「Grid Data KYC」も2025年に始めました。ネット銀行や地方銀行、証券会社など47社と契約しています。

市場:グロース 株価:2,113円(9月25日比 +28.1%)
直近の決算:2026年12月期中間:売上高816百万円(+21.8%)、営業利益283百万円(+27.0%)

トビラシステムズ(4441)|詐欺の電話とSMSを止める「迷惑情報データベース」

迷惑な電話番号・SMS・URLを集めた「迷惑情報データベース」を毎日更新し、スマホや固定電話で詐欺の電話やSMSをブロックするサービスを提供しています。KDDI、ソフトバンク、NTTドコモなどの通信会社を通じて届けているのが特徴です。法人向けには迷惑電話対策つきの電話機やクラウド電話もあります。

市場:スタンダード 株価:1,538円(9月25日比 +1.1%)
直近の決算:2026年10月期3Q累計:売上高2,636百万円(+27.1%)、営業利益755百万円(−0.6%)

かっこ(4166)|ネット通販の不正注文となりすましを止める「O-PLUX」

不正検知サービス「O-PLUX」で、ネット通販の不正な注文や、他人になりすましたログインを止めます。会社は不正検知で国内の導入実績No.1だとしています。カード業界の安全基準の改定で、ネット通販の加盟店に不正ログイン対策が必須になったことが追い風だという説明です。広告の不正クリック対策も2026年に始めました。

市場:グロース 株価:715円(9月25日比 +10.0%)
直近の決算:2026年12月期中間:売上高455百万円、営業損失92百万円(この期から連結のため前年比なし)

国の動きも事業の追い風になっている

流出のニュースだけでなく、国の制度づくりもセキュリティの需要を押し上げています。23社の決算資料には、次のような記述が並んでいます。

国の動き 関係する会社の記述
能動的サイバー防御の制度整備 ZenmuTechは決算短信で制度整備の進展に触れ、テリロジーの子会社は官公庁向けで関連案件の増加を見込んでいる
重要インフラへの対策強化の要請 グローバルセキュリティエキスパートは、電力・ガス・金融・通信・交通などの重要インフラ事業者に政府が対策強化を求めていると書いている
経済産業省のSCS評価制度 GRCSとS&Jが、取引先のセキュリティを評価するこの制度への対応支援を提供
自治体・学校のセキュリティ サイバーソリューションズは自治体の第3期セキュリティクラウド、デジタルアーツはGIGAスクール第2期を需要として挙げている
防衛・安全保障 FFRIセキュリティの防衛省・官公庁向けサービスが大きく伸び、網屋は防衛産業からの新規受注が増えている

流出のニュースは一時的な話題で終わることもありますが、国の制度対応は数年単位の需要になりやすい性質があります。どちらの追い風を受けている会社なのかを分けて見ると、急騰のあとの値動きを考えやすくなります。

急騰したセキュリティ株に投資するときの注意点

注意点 中身
業績が追いついていない会社がある 直近の決算で営業損失を出している会社もある(テリロジーホールディングス・アズジェント・セキュアヴェイル・GRCS・ZenmuTech・かっこ)
小型株は値動きが大きい 売買の量が急に増えた銘柄は、話題が冷めると同じ速さで下がることがある
大手でも業績予想を下げた会社がある トレンドマイクロはクラウドの費用増で通期の営業利益予想を引き下げた
株数が増える発表 HENNGEは10月2日に新株の発行と売出しを発表。1株あたりの価値が薄まる面がある
海外製品の販売代理は円安に弱い 輸入して売る会社は、円安で仕入れのコストが上がる(アズジェントが決算短信で言及)

急騰した銘柄に飛び乗ると、高値でつかむおそれがあります。飛び乗りの勝ち負けを118回分調べたジャンピングキャッチの記事や、損切りの決め方もあわせて読んでおくと、売買のルールを決めやすくなります。新株の発行で株の価値が薄まる仕組みは希薄化とは?で解説しています。

まとめ

論点 整理
きっかけ 9月10日〜10月8日に主なものだけで26件の流出やサイバー攻撃。Gyazo約2,362万件、焼肉きんぐのアプリ1,078万件、タイムズカー約660万件
株価 サイバーセキュリティが中核の23社のうち10社が20%以上上昇。上げたのは小型株が中心
分野 Web・ネットワーク/監視・診断/認証/メール・端末/不正検知の5つ
追い風 流出のニュースに加え、能動的サイバー防御やSCS評価制度など国の制度づくり
注意点 赤字の会社もあり、急騰後は値動きが荒くなりやすい

セキュリティの需要は、流出が起きるたびに意識されます。ただ株価が先に動いたあとは、継続課金の伸びや受注・利益が本当についてくるかを、決算ごとに確かめていくことが大切です。

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