しこり玉とは、高い値段で買ったまま含み損を抱えて動けなくなっている株や、信用取引の買い建玉のことです。

株価が上がろうとすると、なぜか特定の値段で必ず跳ね返される。その正体がしこり玉です。

目に見えないように思えますが、実は数字で位置と量を確かめることができます。

この記事でわかること

・しこり玉の意味と、やれやれ売りとの関係
・なぜ上値が重くなるのかという仕組み
・🔴 しこり玉の3つの種類と、厄介さの違い
・価格帯別出来高で位置を見つける方法
・信用買い残・貸借倍率・回転日数からの読み取り方
・🔴 しこり玉が消える4つのルート
・信用期日で強制的に解消される仕組み
・しこりの上限を上値目処として使う考え方

しこり玉とは

しこり玉(読み方:しこりぎょく)の「玉」は、株式用語で持ち高・ポジションを意味します。

項目 内容
読み方 しこりぎょく
意味 含み損を抱えたまま動けなくなっている買いポジション
語源 体に残る「しこり」。いつまでも消えないもの
別の呼び方 しこり、しこり感、上値のしこり、悪玉
生む売り やれやれ売り(買値に戻った瞬間に出る売り)
影響 その価格帯が抵抗になり、上値が重くなる

しこり玉を持っている人の心理は、ほぼ全員同じです。

「損はしたくない」「せめて買値に戻ったら売りたい」。この考えを持った人が、ある価格帯にまとまって存在している状態がしこり玉です。

なぜ上値が重くなるのか

株価が上がるには、買いたい人が売りたい人より多い必要があります。

株価の位置 しこり玉を持つ人の行動
買値より大きく下 あきらめて放置する(売らない)
買値に近づいてきた 「そろそろ売ろうか」と考え始める
買値に到達 一斉に売り注文が出る(やれやれ売り)
買値を超えた 利益が出るので、さらに売りが出る

つまり、しこり玉のある価格帯には「売りの待ち行列」ができています。

そこを突破するには、その売り注文を全部飲み込むだけの買いが必要です。買いが足りなければ跳ね返され、株価は再び下がります。

これがチャート上で「レジスタンス(抵抗線)」として現れる仕組みです。抵抗線は線が引かれているから跳ね返されるのではなく、そこに売りたい人がいるから跳ね返されます。

しこり玉の3つの種類

ひとくちにしこり玉といっても、性質がまったく違う3つがあります。

① 信用の買い残
6ヶ月の期日がある。いずれ必ず解消される
② 現物の塩漬け
期限がない。何年でも残る。最も重い
③ 機関投資家の在庫
運用方針で保有。まとまった量が一度に出る
種類 期限 量が分かるか 重さ
信用買い残 原則6ヶ月 週1回公表される
現物の塩漬け なし 直接は分からない
機関の保有分 運用方針しだい 大量保有報告書などで一部わかる

最も厄介なのは②の現物の塩漬けです。期限がないため、10年でも20年でも残ります。

しかも公表される数字がないので、直接その量を知ることができません。そこで次の章の方法で、間接的に推定します。

価格帯別出来高で位置を見つける

しこり玉を探す道具として、最も実用的なのがこれです。

項目 内容
何を表すか どの値段でどれだけ売買されたか
表示 チャートの横に、価格帯ごとの横棒グラフ
横棒が長い その値段で大量に売買された=しこりが厚い
横棒が短い 通過しただけ。抵抗が薄い
見るべき範囲 現在の株価より上にある横棒

現在の株価より上に長い横棒があれば、そこがしこり玉の位置です。

逆に横棒が短い価格帯は「誰もその値段で買っていない」ことを意味します。売りたい人がいないので、そこに入ると株価はスムーズに動きます。

使い方の詳細は価格帯別出来高とはで解説しています。多くの証券会社のチャートツールで無料で表示できます。

信用買い残から読み取る

信用取引の買い残は数字で公表されるため、量まで把握できます。

見る数字 読み取れること
信用買い残の水準 多いほど将来の売り圧力が大きい
買い残の増減 株価が下がるなかで増えていたら危険信号
貸借倍率 買い残 ÷ 売り残。高いほど買いに偏っている
回転日数 長いほど動かない玉が滞留している
売買代金との比較 1日の出来高の何日ぶんかで、消化にかかる時間が読める

とくに回転日数は、しこりの「固さ」を示します。

回転日数は信用残高を1日あたりの平均売買高で割った数字です。この日数が長いほど、建てたまま動かしていない人が多いことを意味します。

信用残高は原則として週1回公表されます。1週間の遅れがある点には注意してください。詳しくは信用取引とはで扱っています。

しこり玉が消える4つのルート

しこり玉は永遠に残るわけではありません。どのルートで消えたかによって、その後の値動きが変わります。

① 投げ売り(損切り)
あきらめて売る。株価はいったん急落するが、その後は軽くなる
② やれやれ売り
買値に戻って売る。その価格帯を抜けるまで時間がかかる
③ 期日到来
信用の6ヶ月。値段に関係なく強制的に決済される
④ 含み益に転じる
株価が上がりきる。しこりが「利益の乗った玉」に変わる
ルート 出来高 その後
① 投げ売り 急増する 売り物が消え、上がりやすくなる
② やれやれ売り じわじわ増える その価格帯でもみ合う期間が続く
③ 期日到来 期日前に増える 通過後は身軽になる
④ 含み益に転換 上抜け時に急増 抵抗が支えに変わることがある

最後の項目が重要です。抜けた抵抗線は、今度は下値の支えとして機能することがあります。

そこで買った人が今度は含み益になっているため、下がってきたら買い増したくなるからです。抵抗が支えに変わるという現象には、こうした裏づけがあります。

信用期日で強制的に解消される

信用取引には原則6ヶ月という返済期限があります。これがしこり玉に時限装置を付けます。

時期 起きること
期日の数週間前 意識され始め、じわじわ売りが出る
期日の数日前 売りが集中しやすい
期日当日 反対売買しなければ強制決済される
期日通過後 売り圧力が消え、株価が軽くなることがある

6ヶ月前に急騰した銘柄は、その時期に大量の信用買いが入っています。

そこから下げていれば、6ヶ月後にその玉が一斉に期日を迎えます。チャートで半年前を見て、大きく出来高が増えた日を探すと、期日の目安が分かります。詳しくは信用期日とはで扱っています。

売り枯れとしこり玉の関係

しこり玉が消化されきった状態を売り枯れといいます。

状態 しこり玉 値動き
しこりが厚い 上値に大量に残っている 戻すたびに売られる
消化の途中 徐々に減っている もみ合いが続く
売り枯れ ほぼ消えた 悪材料が出ても下がらなくなる

売り枯れは、しこり玉が消えた後にだけ訪れる状態です。

出来高が極端に細り、悪いニュースが出ても株価が反応しなくなります。売りたい人がもう残っていないからです。詳しくは売り枯れとはで解説しています。

しこり玉のある銘柄を買ってよいか

状況 判断
すぐ上に厚いしこりがある 上値が限られる。避けるか、目標をそこに設定する
しこりを出来高を伴って抜けた 売り物を消化した証拠。上がりやすい
投げ売りで出来高が急増した しこりが解消された可能性。その後の底固めを確認
上にしこりがほぼない 年初来高値・上場来高値の状態。売り物が薄い
薄商いのまま抜けた だましの可能性。消化できていない

見るべきは「抜けたかどうか」ではなく「出来高を伴って抜けたか」です。

薄い出来高で抜けた場合、売り物が消えたのではなく、たまたま売りが出ていなかっただけかもしれません。その場合、あらためて売り物が出てくると簡単に押し戻されます。

上に売り物がまったくない状態については年初来高値とはで扱っています。

しこり玉を上値目処として使う

しこり玉は避けるだけのものではありません。目標株価を立てる材料としても使えます。

実務での使い方

・① 価格帯別出来高を表示し、現在値より上の厚い帯を探す
・② その帯の下限を1回目の利益確定の目安にする
・③ 帯を出来高を伴って抜けたら、次の帯まで狙う
・④ 帯で跳ね返されたら、想定が外れたと判断する
・⑤ 上に帯がまったくない銘柄は、上値目処が立たない代わりに売り物も薄い

この使い方の利点は、目標と撤退の両方を同じ根拠で決められることです。

「なんとなく1割上がったら売る」ではなく、「この価格帯に売り物が溜まっているから、そこまで」という根拠のある目標になります。値幅の取り方は頭と尻尾はくれてやれも参考にしてください。

自分がしこり玉にならないために

やること 理由
買う前に撤退ラインを決める 持ってから決めると、必ず先延ばしになる
逆指値を置く 感情が入る前に自動で執行される
「戻ったら売る」を禁止する これがしこり玉になる合言葉
買い増しの上限を決める ナンピンで玉が膨らむと、身動きが取れなくなる
期限を決める 値段だけでなく日数でも切る

3行目が本質です。「せめて買値に戻ったら売る」という考えが、しこり玉を生みます。

買値は市場にとって何の意味もありません。自分がいくらで買ったかは、その株の価値とまったく無関係です。判断の基準を買値ではなく、今の状況に置き換える必要があります。

具体的な決め方は損切りとは塩漬け株とはで扱っています。

しこり玉に関するよくある質問

しこり玉とは何ですか?
高い値段で買ったまま含み損を抱えて動けなくなっている株や、信用取引の買い建玉のことです。読み方はしこりぎょくで、玉は持ち高やポジションを意味します。体に残るしこりのように、いつまでも消えないことが語源です。持っている人はほぼ全員が、せめて買値に戻ったら売りたいと考えています。この考えを持った人がある価格帯にまとまって存在することで、そこが上値の抵抗になります。
なぜしこり玉があると上がりにくいのですか?
その価格帯に売りの待ち行列ができているからです。株価が買値に近づくとしこり玉を持つ人が売ろうと考え始め、買値に到達すると一斉に売り注文が出ます。これをやれやれ売りといいます。そこを突破するには、その売り注文を全部飲み込むだけの買いが必要です。買いが足りなければ跳ね返されます。チャートの抵抗線は、線が引かれているから跳ね返されるのではなく、そこに売りたい人がいるから跳ね返されます。
しこり玉はどうやって見つけますか?
最も実用的なのは価格帯別出来高です。チャートの横に価格帯ごとの横棒グラフが表示され、横棒が長い価格帯ほどそこで大量に売買されたことを意味します。現在の株価より上に長い横棒があれば、そこがしこり玉の位置です。多くの証券会社のチャートツールで無料で表示できます。信用取引の分については信用買い残が週1回公表されるので、量まで数字で把握できます。あわせて貸借倍率と回転日数も確認してください。
しこり玉に種類はありますか?
3種類あります。信用取引の買い残は原則6ヶ月の期日があるため、いずれ必ず解消されます。量も週1回公表されます。現物の塩漬けは期限がないので何年でも残り、公表される数字もないため最も厄介です。機関投資家の保有分は運用方針しだいですが、まとまった量が一度に出ることがあります。現物の塩漬けは直接量を知ることができないため、価格帯別出来高で間接的に推定することになります。
しこり玉はどうやって消えるのですか?
4つのルートがあります。あきらめて売る投げ売り、買値に戻って売るやれやれ売り、信用の期日到来による強制決済、そして株価が上がりきって含み益に転じる場合です。どのルートで消えたかでその後の値動きが変わります。投げ売りは出来高が急増し、その後は売り物が消えて上がりやすくなります。やれやれ売りはじわじわ出るため、その価格帯でもみ合う期間が続きます。含み益に転じた場合は、抵抗だった水準が今度は支えに変わることがあります。
信用期日でしこり玉は消えますか?
消えます。制度信用取引には原則6ヶ月の返済期限があるため、その日までに反対売買しなければ強制的に決済されます。期日の数週間前から意識され始め、数日前には売りが集中しやすくなります。期日を通過すると売り圧力が消え、株価が軽くなることがあります。6ヶ月前に急騰した銘柄はその時期に大量の信用買いが入っているので、チャートで半年前を見て大きく出来高が増えた日を探すと、期日の目安が分かります。
しこりを抜けたら買ってよいですか?
見るべきは抜けたかどうかではなく、出来高を伴って抜けたかどうかです。大きな出来高を伴って抜けた場合は、そこに溜まっていた売り物を実際に消化した証拠になります。一方、薄い出来高のまま抜けた場合は、売り物が消えたのではなくたまたま売りが出ていなかっただけかもしれません。その場合、あらためて売り物が出てくると簡単に押し戻されます。抜けた後の数日で下値が切り上がっているかも確認してください。
自分がしこり玉を抱えないためにはどうすればよいですか?
買う前に撤退ラインを決め、逆指値を置くことです。持ってから決めると必ず先延ばしになります。最も重要なのは、戻ったら売るという考えを禁止することです。これがしこり玉になる合言葉です。買値は市場にとって何の意味もなく、自分がいくらで買ったかはその株の価値とまったく無関係です。判断の基準を買値ではなく今の状況に置き換えてください。あわせて買い増しの上限と、日数による期限も決めておきます。

まとめ

しこり玉は「戻ったら売りたい人が、どの値段に何人いるか」という需給の地図です。

この記事のまとめ

・しこり玉=含み損のまま動けなくなっている買いポジション
・買値に戻った瞬間に出るやれやれ売りの発生源
・🔴 抵抗線は線があるから跳ね返るのではなく、売りたい人がいるから跳ね返る
・種類は【信用買い残】【現物の塩漬け】【機関の保有分】の3つ
・🔴 最も厄介なのは期限のない現物の塩漬け
・位置を探すなら価格帯別出来高。横棒が長い価格帯が厚いしこり
・量を測るなら信用買い残・貸借倍率・回転日数
・🔴 消えるルートは投げ売り/やれやれ売り/期日/含み益転換の4つ
・信用は原則6ヶ月で強制決済。期日通過後は軽くなることがある
・しこりが消化されきった状態が売り枯れ
・🔵 「出来高を伴って抜けたか」で本物かどうかを判断する
・しこりの帯は「上値目処」としても使える
・🔵 「戻ったら売る」を禁止することが、自分がしこり玉にならない条件

※ 本記事は2026年8月時点の情報にもとづく解説であり、特定の銘柄や投資判断を推奨するものではありません。過去の値動きは将来の株価を保証するものではありません。

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