リバランスとは、値動きで崩れた資産の配分を、決めていた比率に戻す作業です。

ここで最初に押さえるべきことがあります。リバランスは儲けるための作業ではありません。リスクを一定に保つための作業です。

放置すると、値上がりした資産の比率が勝手に大きくなり、自分が想定していたより危険なポートフォリオに変わっていきます。それを元に戻すのがリバランスです。

この記事でわかること

・放置するとリスクが勝手に上がる仕組み
・2つのやり方と、初心者に向くほう
・タイミングの決め方(時間基準と乖離基準)
・最大のコストは手数料ではなく税金
・NISA口座でリバランスするときの注意
・リバランスをしないという選択肢

リバランスとは

リバランス(読み方:りばらんす)は、あらかじめ決めた資産配分(アセットアロケーション)から離れてしまった比率を、元に戻すことです。

当初決めた資産配分の例

たとえば「国内株式50%・外国株式50%」と決めて始めたとします。1年後、外国株式だけが大きく値上がりしたらどうなるでしょうか。

値動きによって資産配分が崩れた状態

比率は勝手に「国内40%・外国60%」のように変わっています。何もしていないのに、外国株式に偏ったポートフォリオになったということです。

放置するとリスクが勝手に上がる

ここがリバランスの存在理由です。

放置したときに起きること
値動きの大きい資産が上がる
 ↓
その資産の比率が大きくなる
 ↓
ポートフォリオ全体の値動きが荒くなる
 ↓
下落局面での損失も大きくなる

問題は「気づかないうちに」変わっている点です。

株式50%のつもりが、いつのまにか株式70%になっている。その状態で暴落が来ると、想定していた以上の損失を受けます。

リバランスは、この「知らないうちにリスクが増える」現象を止める作業だと理解してください。ポートフォリオを組んだ意味を保つためのメンテナンスです。

リバランスの2つのやり方

方法は大きく2つあります。

方法 やること 注意点
① 売って買う
(運用資産の中で調整)
増えた資産を売り、減った資産を買う 売却益に約20%の税金がかかる
② 買い増しで調整
(新たな資金を追加)
減った資産だけを買い足す 税金がかからない。ただし資金が必要

増えた資産を売って減った資産を買う方法

積立をしている人なら、②が圧倒的に有利です。毎月の積立額の配分を変えるだけで、売却せずに比率を戻せます。

新たな資金を追加して比率を戻す方法

この方法は「ノーセル・リバランス」とも呼ばれます。売らないので税金も手数料も発生しません。

リバランスのタイミング

いつやるかの決め方は2通りあります。

方式 ルール 特徴
時間基準 年1回、半年に1回など日付で決める 迷わない。実行しやすい
乖離基準 目標比率から±5%や±10%ずれたら実行 必要なときだけ動ける。ただし監視が要る

初心者には時間基準の「年1回」を勧めます。理由は単純で、迷う余地がないからです。

乖離基準は理屈のうえでは効率的ですが、「もう少し様子を見よう」と判断が入り込みます。その判断こそがリバランスを続けられなくする最大の原因です。

年1回であれば、確定申告や年末の資産確認とあわせて実行できます。

最大のコストは手数料ではなく税金

リバランスを語るときに最も軽視されがちな点です。

100万円の含み益がある資産を売ると
売却益 100万円
 ↓ 約20.315%の税金
約20万円が税金として引かれる
 ↓
再投資できるのは約80万円

課税口座でリバランスをするたびに、複利で回るはずだった資金が2割ずつ削られます。これは信託報酬や売買手数料とは桁の違うコストです。

コスト 水準 回避できるか
売買手数料 投信なら無料のことが多い ほぼ問題にならない
信託財産留保額 0〜0.3%程度 かからない商品を選べばよい
売却益への税金 約20.315% 売らなければ発生しない

だから買い増しによるリバランスが有利になります。比率を戻すという目的は同じでも、税金の有無で長期のリターンが変わります。

NISA口座でリバランスするときの注意

NISA口座なら売却益が非課税なので、リバランスのコストは大幅に下がります。ただし別の制約があります。

項目 NISA口座での扱い
売却益への課税 非課税
売った枠の復活 翌年まで戻らない(簿価分が翌年復活)
買い直すときの枠 その年の残り枠を消費する
年間の投資枠 つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円

売って買い直すと、その年の枠を二重に使ったのと同じ状態になります。

年間の枠を使い切っている人がNISA口座内で売買すると、買い直しができなくなります。この点は課税口座とは違う制約なので、実行前に残り枠を必ず確認してください。

リバランスのメリット・デメリット

メリット デメリット
リスクを一定に保てる 売却益に税金がかかる
高くなった資産を売り、安い資産を買うことになる 上昇中の資産を減らすため、短期では損に見える
感情ではなくルールで判断できる 手間がかかる
資産全体を定期的に確認する機会になる やりすぎるとコストばかりが積み上がる

メリットの2行目は結果論として重要です。リバランスは自動的に「値上がりしたものを売り、値下がりしたものを買う」動きになります。

ただしこれは利益を狙った行動ではなく、比率を戻した副産物です。「リバランスすると儲かる」と説明されることがありますが、そう期待するものではありません。

やりすぎは逆効果になる

頻繁にリバランスすればよいわけではありません。

頻度 起きること
毎月 税金と手数料が積み上がる。トレンドにも乗れない
年1回 コストと効果のバランスがよい
数年に1回 比率のズレが大きくなりすぎることがある

リバランスによって資産配分が元の比率に戻った状態

「ズレを完全にゼロにする」必要もありません。目標比率の±5%以内に収まっていれば、無理に動かさないほうがコストの面で有利です。

リバランスをしないという選択肢

最後に、そもそもリバランスが不要になる方法があります。

方法 内容
バランス型ファンドを使う 運用会社が自動でリバランスしてくれる
全世界株式1本にする 指数の中で自動的に比率が調整される
積立の配分だけ変える 売らずに済むため税金がかからない

1行目は信託報酬がやや高めになる代わりに、手間と税金の問題をまとめて解決します。

リバランスを続けられる自信がないなら、最初からその作業が不要な商品を選ぶほうが合理的です。インデックス投資を長く続けるうえでは、実行できる仕組みかどうかが最も重要になります。

リバランスに関するよくある質問

リバランスをすると利益が増えますか?
増えるとは限りません。リバランスの目的は利益を増やすことではなく、リスクを当初決めた水準に保つことです。結果的に「値上がりしたものを売り、値下がりしたものを買う」動きになりますが、それは比率を戻した副産物であり、狙って行うものではありません。
リバランスをしないとどうなりますか?
値動きの大きい資産の比率が勝手に大きくなり、ポートフォリオ全体の値動きが荒くなります。株式50%のつもりが70%になっている、という状態で暴落が来ると、想定していた以上の損失を受けることになります。
リバランスはどのくらいの頻度で行うべきですか?
年1回が目安です。毎月行うと税金と手数料が積み上がり、逆効果になります。日付で決める時間基準と、目標比率から±5%や±10%ずれたら実行する乖離基準がありますが、初心者には迷う余地のない時間基準の年1回が向いています。
売らずにリバランスする方法はありますか?
あります。新たな資金で比率の下がった資産だけを買い足す方法で、ノーセル・リバランスと呼ばれます。積立をしている人なら、毎月の積立額の配分を変えるだけで実現できます。売却しないため税金も手数料もかかりません。
リバランスで一番大きなコストは何ですか?
売却益にかかる約20.315%の税金です。売買手数料や信託財産留保額とは桁が違います。100万円の含み益がある資産を売ると約20万円が税金となり、再投資できるのは約80万円になります。課税口座で頻繁にリバランスすると、複利で回るはずだった資金が削られ続けます。
NISA口座でリバランスしても大丈夫ですか?
売却益は非課税なので税金の問題はありませんが、別の制約があります。売った枠は翌年まで復活せず、買い直しにはその年の残り枠を使います。年間の投資枠を使い切っている場合、売却しても買い直せなくなるため、実行前に残り枠を必ず確認してください。
ズレはどこまで許容していいですか?
目標比率の±5%以内であれば、無理に動かさないほうがコストの面で有利です。完全にゼロに戻す必要はありません。乖離が10%を超えたあたりから調整を検討する、という運用が現実的です。
リバランスが面倒な場合はどうすればいいですか?
バランス型ファンドを使えば運用会社が自動でリバランスしてくれます。信託報酬はやや高めになりますが、手間と税金の問題をまとめて解決できます。全世界株式のインデックスファンド1本にする方法も、指数の中で比率が自動調整されるため同様の効果があります。

まとめ

リバランスは「儲けるためではなく、リスクを一定に保つための作業」です。ここを取り違えなければ、頻度もやり方も自然に決まります。

この記事のまとめ

・リバランスは崩れた資産配分を元の比率に戻す作業
・放置すると値動きの大きい資産の比率が勝手に上がる
・目的は利益ではなく、リスクを一定に保つこと
・やり方は「売って買う」と「買い増しで調整」の2つ
・積立をしているなら買い増しによる調整が有利(税金がかからない)
・タイミングは年1回の時間基準が実行しやすい
・最大のコストは手数料ではなく売却益への約20.315%の税金
・NISA口座では売った枠が翌年まで復活しない
・面倒ならバランス型ファンドで自動化するのも合理的

※ 本記事は2026年8月時点の情報にもとづく解説であり、特定の商品や投資判断を推奨するものではありません。税制の詳細は国税庁や各金融機関の情報をご確認ください。

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