逆指値付通常注文とは?利確と損切りを同時に出す方法

逆指値付通常注文とは、まず通常の指値注文を出しておき、株価が指定した価格に達したらその注文を逆指値の注文に切り替える注文方法です。

ひとことでいえば、「ここまで上がったら利確、ここまで下がったら損切り」を1回の発注で両方セットできる仕組みです。

この記事では、設定方法から2つの価格をどう決めるかまでを解説します。

この記事でわかること

・1回の発注で利確と損切りを両方置く方法
・条件に達したときに注文がどう変わるか(OCOとの違い)
・2つの価格をどう決めるか(リスクリワード比)
・一部だけ約定したときの扱い
・証券会社によって名称が違うという注意点

逆指値付通常注文とは

逆指値付通常注文(読み方:ぎゃくさしねつきつうじょうちゅうもん)は、指値注文に「ここまで下がったら逆指値の注文に切り替える」という条件を付けておく仕組みです。

1,000円で買った株に対して
通常の指値売り 1,200円以上になったら売る(利確)
逆指値売り   950円以下になったら売る(損切り)
→ 市場に出るのは1,200円の指値売りだけ。950円まで下がったら、その注文が逆指値売りに書き換わる

どちらに動いてもあらかじめ決めた場所で取引が終わるという状態を作れます。

逆指値そのものの仕組みは逆指値注文とはで解説しています。

3つの注文方法の違い

注文 できること できないこと
指値注文 有利な価格で約定させる 損切りができない
逆指値注文 損切りを自動化する 利確が同時にできない
逆指値付通常注文 利確と損切りを同時に設定できる 価格の設定に判断が必要

単独の注文では「利確を置くと損切りが置けない」「損切りを置くと利確が置けない」という問題が起きます。それを解決するのがこの注文です。

どういう場面で役に立つか

場面 なぜ有効か
日中に相場を見られない 仕事中でも自動的に処理される
決算発表をまたぐ 上下どちらに動いても対応できる
スイングトレード 数日から数週間の保有で、その間ずっと監視できない
感情に流されやすい 買った時点でルールを固定できる

4番目が本質です。値動きを見ていると、決めていたはずの損切りができなくなります。買った瞬間に両方を置いてしまえば、その問題が起きません。

設定する4つの項目

① 通常注文の価格 いくらで利確するか(指値)
② 逆指値のトリガー価格 いくらまで下がったら損切りするか
③ トリガー後の執行方法 成行か指値か。損切り目的なら成行が基本
④ 有効期限 当日限りか、週末までか、期間指定か

③を指値にすると、急落時に約定しないまま損失が拡大することがあります。確実に手じまうことが目的なら成行を選んでください。

条件に達したら注文はどう変わるか

この注文の核心部分です。市場に出ているのは最初の指値注文だけで、逆指値の条件に達した時点で、その注文が逆指値の注文に書き換わります。

上がった場合

株価が1,200円に到達
→ 出していた指値売りが約定(利確)
→ 注文はここで終わり。950円の条件は使われない

下がった場合

株価が950円に到達
→ 1,200円の指値売りが、逆指値で決めた売り注文に訂正される(損切り)
→ 1,200円の指値はこの時点でなくなる

楽天証券は逆指値付通常注文を「まず、通常注文が市場に発注されるが、出来前に逆指値で指定された条件にヒットすると、通常注文は逆指値として指定された注文に訂正される」と説明しています。三菱UFJ eスマート証券の「W指値」も、条件の価格に達した時点で出していた指値を訂正する同じ型の注文です。

OCO注文との違い

よく似た注文にOCO注文(One Cancels the Other)があります。目的は同じですが、市場に出る注文の数が違います。

逆指値付通常注文・W指値 OCO注文
市場に出る注文 指値注文の1つだけ 2つを同時に出す
条件に達したとき 出していた指値が逆指値の注文に訂正される 片方が約定すると、もう片方が取り消される
主な名前 逆指値付通常注文(楽天証券)
W指値(三菱UFJ eスマート証券)
OCO(SBI証券など)

どちらも「利確と損切りを1回の発注で置く」ことはできます。ただ逆指値付通常注文は、損切りの条件に達した時点で利確の指値が消えます。そのあと株価が戻っても、最初の指値には戻りません。楽天証券では、米国株では逆指値付通常注文を出せない点にも注意が必要です。

2つの価格をどう決めるか

ここがこの注文で1番大切な部分です。感覚で決めてはいけません。

リスクリワード比という考え方
リスク 買値 − 損切り価格 = 失う可能性のある金額
リワード 利確価格 − 買値 = 得られる可能性のある金額
リスクリワード比 = リワード ÷ リスク
比率 設定例(買値1,000円) 必要な勝率
1対1 損切り950円/利確1,050円 50%超
1対2 損切り950円/利確1,100円 約34%超
1対3 損切り950円/利確1,150円 約25%超

※ 手数料や税金を考慮していない単純計算です。実際にはこれらを含めて損益分岐点を考える必要があります。

読み取れることは重要です。リスクリワード比が1対3なら、勝率が3割程度でも収支はプラスになりえます。

逆に1対1の設定では、勝率が5割を超え続けなければ勝てません。これは簡単なことではありません。

逆指値付通常注文のメリット

メリット 中身
1回の発注で完結する 後から注文を出し直す手間がない
取消し忘れが起きない 片方が約定すればもう片方は自動で消える
感情が入らない 買った時点でルールが固定される
損益の幅が決まる 最大でいくら得て、いくら失うかが事前にわかる
相場を見なくていい 仕事中でも自動的に処理される

デメリット・注意点

① 想定どおりの価格で約定しない場合がある

逆指値はトリガーであって約定価格ではありません。窓を開けて下に飛べば、設定価格より不利な値で約定します。

② 一部約定したときの扱いに注意

1,000株のうち300株だけ約定した場合、残り700株の扱いは証券会社によって異なります。事前に確認が必要です。

③ 利確が早すぎると伸びない

上限を決めてしまうため、大きな上昇局面でも設定価格で売れてしまいます。

④ 有効期限が切れると無防備になる

期限が切れれば注文は消えます。保有を続けるなら出し直しが必要です。

④は実務でよくある事故です。「損切りを置いてあるから安心」と思っていたら、期限切れで注文が消えていたというケースがあります。

一部約定したときの考え方

見落とされやすいのがここです。板が薄い銘柄では、注文の一部だけが成立することがあります。

1,000株の注文で300株だけ約定した場合
・残り700株の指値注文は生きているか
・逆指値注文は700株分に自動で調整されるか
・それとも全部取り消されるか
→ 証券会社ごとに扱いが違うため、必ず事前に確認してください

出来高の少ない銘柄を扱うなら、この点を把握していないと想定外のポジションが残ります。

有効期限の設定

期限 向いている使い方
当日限り その日のうちに決着をつけたい短期売買
今週中 数日単位のスイングトレード
期間指定 決算をまたぐなど、明確な期限がある場合

※ 設定できる期限の種類は証券会社によって異なります。

期限が切れる日をカレンダーに入れておくのが確実です。保有を続けるつもりなら、切れる前に出し直してください。

証券会社によって名称が違う

似た注文でも仕組みは2つに分かれます

・1つの注文を条件で書き換える型:逆指値付通常注文(楽天証券)、W指値(三菱UFJ eスマート証券)
・2つの注文を同時に出す型:OCO注文(SBI証券など)
→ どちらも利確と損切りを1回の発注で置けますが、条件に達したときの動きが違います。使う前に自分の証券会社の説明を確かめてください

証券会社を乗り換えたときは、同じ機能が別の名前で提供されていないか探してみてください。「その機能がない」と思い込んで使わずにいるケースがあります。

使う前の設計手順

① 損切り価格を先に決める
「どこまで下がったら自分の判断が間違いだったといえるか」で決める
② そこから許容できる損失額を計算する
1回の取引で失っていい金額を先に決め、株数を逆算する
③ 利確価格をリスクの2〜3倍に置く
リスクリワード比を1対2以上にする
④ 1回の発注で両方を置く
買った後で考えるのではなく、買う前に決めておく

順番が重要です。利確価格から決めるのではなく、損切り価格から決めてください。守るべきものを先に決めるのが資金管理の基本です。

※ 本記事は取引制度の解説であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

まとめ

逆指値付通常注文は「買う前に出口を2つとも決めておく」ための道具です。使う価値があるかどうかは、価格の決め方で決まります。

この記事のまとめ

・まず指値を出し、条件に達したら逆指値の注文に切り替わる
・2つの注文を同時に出すOCOとは仕組みが違う
・利確と損切りを1回の発注で両方設定できる
・トリガー後の執行は、損切り目的なら成行を選ぶ
・リスクリワード比は1対2以上を目安にする
・損切り価格から先に決め、株数で損失額を調整する
・一部約定したときの扱いは証券会社ごとに違う
・有効期限が切れると損切りも消える

あわせて読みたい:逆指値注文とは / 損切りとは / 利確とは / スイングトレードとは / 成行注文とは

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