
逆指値付通常注文とは、通常の指値注文と逆指値注文を同時に出し、どちらか一方が約定したらもう一方が自動的に取り消される注文方法です。
ひとことでいえば、「ここまで上がったら利確、ここまで下がったら損切り」を1回の発注で両方セットできる仕組みです。
この記事では、設定方法から2つの価格をどう決めるかまでを解説します。
この記事でわかること
・一方が約定したときにもう一方はどうなるか
・2つの価格をどう決めるか(リスクリワード比)
・一部だけ約定したときの扱い
・証券会社によって名称が違うという注意点
逆指値付通常注文とは
逆指値付通常注文(読み方:ぎゃくさしねつきつうじょうちゅうもん)は、性質の違う2つの注文をセットで発注する仕組みです。
どちらに動いてもあらかじめ決めた場所で取引が終わるという状態を作れます。
逆指値そのものの仕組みは逆指値注文とはで解説しています。
3つの注文方法の違い
| 注文 | できること | できないこと |
|---|---|---|
| 指値注文 | 有利な価格で約定させる | 損切りができない |
| 逆指値注文 | 損切りを自動化する | 利確が同時にできない |
| 逆指値付通常注文 | 利確と損切りを同時に設定できる | 価格の設定に判断が必要 |
単独の注文では「利確を置くと損切りが置けない」「損切りを置くと利確が置けない」という問題が起きます。それを解決するのがこの注文です。
どういう場面で役に立つか
| 場面 | なぜ有効か |
|---|---|
| 日中に相場を見られない | 仕事中でも自動的に処理される |
| 決算発表をまたぐ | 上下どちらに動いても対応できる |
| スイングトレード | 数日から数週間の保有で、その間ずっと監視できない |
| 感情に流されやすい | 買った時点でルールを固定できる |
4番目が本質です。値動きを見ていると、決めていたはずの損切りができなくなります。買った瞬間に両方を置いてしまえば、その問題が起きません。
設定する4つの項目
③を指値にすると、急落時に約定しないまま損失が拡大することがあります。確実に手じまうことが目的なら成行を選んでください。
一方が約定したらどうなるか
この注文の核心部分です。片方が成立した瞬間に、もう片方は自動的に取り消されます。
株価が1,200円に到達
→ 指値売りが約定(利確)
→ 950円の逆指値は自動で取消
株価が950円に到達
→ 逆指値売りが発動(損切り)
→ 1,200円の指値は自動で取消
この仕組みがなければ、利確が約定した後も損切り注文が残り、持っていない株を売る注文が生きたままになってしまいます。
英語では One Cancels the Other の頭文字をとってOCO注文と呼ばれます。「一方が他方を取り消す」という意味です。
2つの価格をどう決めるか
ここがこの注文で1番大切な部分です。感覚で決めてはいけません。
リスク 買値 − 損切り価格 = 失う可能性のある金額
リワード 利確価格 − 買値 = 得られる可能性のある金額
リスクリワード比 = リワード ÷ リスク
| 比率 | 設定例(買値1,000円) | 必要な勝率 |
|---|---|---|
| 1対1 | 損切り950円/利確1,050円 | 50%超 |
| 1対2 | 損切り950円/利確1,100円 | 約34%超 |
| 1対3 | 損切り950円/利確1,150円 | 約25%超 |
※ 手数料や税金を考慮していない単純計算です。実際にはこれらを含めて損益分岐点を考える必要があります。
読み取れることは重要です。リスクリワード比が1対3なら、勝率が3割程度でも収支はプラスになりえます。
逆に1対1の設定では、勝率が5割を超え続けなければ勝てません。これは簡単なことではありません。
逆指値付通常注文のメリット
| メリット | 中身 |
|---|---|
| 1回の発注で完結する | 後から注文を出し直す手間がない |
| 取消し忘れが起きない | 片方が約定すればもう片方は自動で消える |
| 感情が入らない | 買った時点でルールが固定される |
| 損益の幅が決まる | 最大でいくら得て、いくら失うかが事前にわかる |
| 相場を見なくていい | 仕事中でも自動的に処理される |
デメリット・注意点
逆指値はトリガーであって約定価格ではありません。窓を開けて下に飛べば、設定価格より不利な値で約定します。
1,000株のうち300株だけ約定した場合、残り700株の扱いは証券会社によって異なります。事前に確認が必要です。
上限を決めてしまうため、大きな上昇局面でも設定価格で売れてしまいます。
期限が切れれば注文は消えます。保有を続けるなら出し直しが必要です。
④は実務でよくある事故です。「損切りを置いてあるから安心」と思っていたら、期限切れで注文が消えていたというケースがあります。
一部約定したときの考え方
見落とされやすいのがここです。板が薄い銘柄では、注文の一部だけが成立することがあります。
・残り700株の指値注文は生きているか
・逆指値注文は700株分に自動で調整されるか
・それとも全部取り消されるか
→ 証券会社ごとに扱いが違うため、必ず事前に確認してください
出来高の少ない銘柄を扱うなら、この点を把握していないと想定外のポジションが残ります。
有効期限の設定
| 期限 | 向いている使い方 |
|---|---|
| 当日限り | その日のうちに決着をつけたい短期売買 |
| 今週中 | 数日単位のスイングトレード |
| 期間指定 | 決算をまたぐなど、明確な期限がある場合 |
※ 設定できる期限の種類は証券会社によって異なります。
期限が切れる日をカレンダーに入れておくのが確実です。保有を続けるつもりなら、切れる前に出し直してください。
証券会社によって名称が違う
・逆指値付通常注文
・OCO注文
・ツイン指値
・W指値
・セット注文
→ 名前が違っても「2つの注文を出して、片方が約定したら片方が消える」という中身は同じです
証券会社を乗り換えたときは、同じ機能が別の名前で提供されていないか探してみてください。「その機能がない」と思い込んで使わずにいるケースがあります。
使う前の設計手順
「どこまで下がったら自分の判断が間違いだったといえるか」で決める
1回の取引で失っていい金額を先に決め、株数を逆算する
リスクリワード比を1対2以上にする
買った後で考えるのではなく、買う前に決めておく
順番が重要です。利確価格から決めるのではなく、損切り価格から決めてください。守るべきものを先に決めるのが資金管理の基本です。
※ 本記事は取引制度の解説であり、特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
逆指値付通常注文に関するよくある質問
まとめ
逆指値付通常注文は「買う前に出口を2つとも決めておく」ための道具です。使う価値があるかどうかは、価格の決め方で決まります。
この記事のまとめ
・片方が約定すればもう片方は自動的に取り消される
・利確と損切りを1回の発注で両方設定できる
・トリガー後の執行は、損切り目的なら成行を選ぶ
・リスクリワード比は1対2以上を目安にする
・損切り価格から先に決め、株数で損失額を調整する
・一部約定したときの扱いは証券会社ごとに違う
・有効期限が切れると損切りも消える
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