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信用取引規制とは
信用取引規制(読み方:しんようとりひききせい)
信用取引規制とは、言葉のとおり信用取引に関する規制のことです。
信用取引で過度な売買があると、相場が投機的になりやすくなるため、それを防止するために証券取引所や証券金融会社が信用取引の制限を設けることがあります。
このときに信用取引規制の対象になった銘柄を「信用取引規制銘柄」や「規制銘柄」といいます。
ひと言で信用取引規制といっても色々とあります。
ここでは以下の規制について説明していきたいと思います。
■証券金融会社による規制
┗貸株注意喚起
┗貸借取引の申込制限・申込停止措置(売り禁)
■証券取引所による規制
┗日々公表銘柄(注意銘柄)
┗増担保規制
■空売り価格規制(空売り規制)
■証券会社による規制
それぞれの規制等について説明していきます。
証券金融会社による規制
証券金融会社は貸借取引を主な業務とする金融会社です。
信用取引には「一般信用取引」と「制度信用取引」の2つありますが、そのうち制度信用取引では、必要に応じて証券金融会社が証券会社に株式や資金を貸し付けます。この取引を「貸借取引」といいます。
しかし、信用取引の過度な売買があると、空売りが増加して貸借取引に必要な株式の調達が困難になるおそれもあります。
そういう状況になったときに行われるので次の措置です。
・貸株注意喚起
・貸借取引の申込制限・申込停止措置(売り禁)
貸株注意喚起
貸株注意喚起とは、貸借取引に必要な株式の調達が困難になるおそれがあるときに、証券金融会社が証券会社や投資家に対して通知・公表を行って注意を促すものです。貸株注意喚起の対象になった銘柄を「貸株注意喚起銘柄」といいます。
貸株注意喚起は注意を促すものであって、規制ではないので取引に直接影響を与えることはありません。
ですが、注意喚起が出ても状況が改善しないと次の措置が取られます。
貸借取引の申込制限・申込停止措置(売り禁)
貸借取引の申込制限・申込停止措置は、貸借取引の一部または全部の申込を停止する措置です。
申込停止措置を「売り禁」ともいいますが、新規の信用売り(空売り)や信用買いの現引きが停止(禁止)されるので、取引に影響を与えることになります。
貸借取引の申込制限・申込停止措置の対象になる取引は、以下の通りです。
・制度信用取引の新規売り
・制度信用取引買い方の現引き
・制度信用取引買い方の転売
一部が対象の場合もありますが、全部が対象になることもあります。
証券金融会社による規制は株不足によるものですが、結果として相場の過熱感を冷ます役割もあります。
信用取引規制メモ
・注意喚起で状況が改善しない場合は貸借取引の申込制限・申込停止措置(売り禁)が実施される
証券取引所による規制
証券取引所は、信用取引の過度な売買を防ぐために信用取引規制を実施することがあります。
代表的な措置として次の2つがあります。
・日々公表(日々公表銘柄)
・増担保規制
日々公表(日々公表銘柄)
日々公表とは、信用取引の残高を日々公表することです。
そして日々公表の対象になった銘柄を「日々公表銘柄」や「注意銘柄」といいます。
通常、信用取引の残高は週1回公表されます。
ですが、信用取引の残高の増加などによって一定の基準に達した場合は、過度な売買を防ぐために日々公表を行って投資家に注意を促します。
日々公表は注意を促すものであって、この時点で取引に制限などはありません。
増担保規制
増担保規制とは、「委託保証金率」の引き上げや「代用有価証券」の制限など行われて、通常よりも信用取引の委託保証金が多く必要になる措置です。
信用取引の利用が過度になった場合に、それを抑制する目的で実施されます。
増担保規制の対象になるのは、日々公表銘柄のうち、取引所が定める基準に抵触した銘柄となります。
ですから日々公表銘柄に指定された場合、増担保規制の対象になる可能性も考慮して取引するようにしましょう。
信用取引規制メモ
・一定の基準に達した場合に日々公表を行い、改善されない場合は増担保規制が実施される
空売り規制(空売りの価格規制)
空売りに関する規制のひとつで、空売りの価格規制というものがあります。
これは新規の空売りに対する規制のことで、直近取引価格以下で51単元以上の新規売りは禁止されます。
具体的には、前日終値等から算出される当日基準値段から10%以上の下落があった場合に価格規制が適用されます。
そして価格規制適用後、直近取引価格以下で51単元以上の新規売りができなくなります。
但し、空売りが完全に禁止されるものではなく、直近取引価格を超える値段で指値注文による空売りは可能です。
また、50単元以下の注文は規制の対象にはなりません。
ですが、50単元以下の注文を連続して行うと、規制逃れのために分割した注文を行っていると判断されて罰則の対象になる可能性もあります。この点は空売りの価格規制の注意点となります。
空売りの価格規制については「売り禁とは何か?わかりやすく解説の売り禁と空売り規制の違い」で詳しく説明しています。
信用取引規制メモ
・当日基準値段から10%以上の下落があった場合に価格規制が適用される
・価格規制適用後、直近取引価格以下で51単元以上の新規売りは禁止される
証券会社による規制
ほかには証券会社による独自の規制が実施されることもあります。
・信用取引の新規建てに関する規制
・信用取引の建玉株数に関する規制
・代用有価証券の代用掛目に関する規制
・二階建て取引に関する規制など
証券金融会社による規制でも「貸借取引の申込制限・申込停止措置(売り禁)」により、新規の空売りや信用買いの現引きが禁止されることはあります。ですが、そのほかにも証券会社の独自の判断により、信用取引の新規建て(信用買い・信用売りともに)を禁止したり、建玉株数の上限設定を設けられたりすることがあります。
ほかには、個別銘柄ごとに代用有価証券の掛目の変更が行われたり、証券会社によっては二階建て取引に関する規制もあります。
二階建て取引とは、代用有価証券(担保として差し入れた現物株式)と同じ銘柄を信用取引で買い建てすることです。
レバレッジ効果は高まりますが、その分はリスクも大きく想定以上の損失が発生する可能性もあります。そのため、証券会社によっては二階建て取引に関する規制を行っている場合もあります(この場合、二階建てに該当する発注はできないこともあります)。
これらの規制は証券会社が独自に行うので、各証券会社ごとに対応は異なります。
信用取引規制メモ
・自主規制の内容は新規建ての禁止、建玉株数の上限設定、代用掛目の変更など色々とある