
S&P500に入れるかどうかは、指数を運営するS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(S&P DJI)が決めています。条件は時価総額・利益・流動性・上場期間・国籍の5つが柱で、2026年9月時点の時価総額の線は227億ドル以上(2025年7月1日改定)です。ただ、条件を満たした会社がそのまま入るわけではありません。500社の枠の中で、指数委員会が入れ替えを決めます。採用が決まればS&P500連動のファンドが一斉に買うので、発表の翌営業日に株価が動くこともあります。条件の中身と入れ替えの日程に加えて、決算日を追っている100銘柄のうちS&P500に入っていない11社が、なぜ入っていないのかもSECのデータで確かめました。
- 条件の柱は5つです。時価総額227億ドル以上、直近4四半期のGAAP利益の合計と直近四半期がともに黒字、十分な売買と浮動株、上場から12か月以上、そして米国企業であること。
- 定期の入れ替えは3・6・9・12月の第3金曜の引け後に反映されます。2026年9月は9/4に発表され、9/21(月)の寄り付き前に反映されました。
- 一度入った会社は、赤字になってもすぐには外れません。100銘柄のうち採用済みの7社は、いま新規に審査すれば黒字の条件を満たしていません。
採用基準の一覧(2026年9月時点)
| 基準 | 中身 |
|---|---|
| 時価総額 | 会社全体の時価総額が227億ドル以上(2025年7月1日改定。それまでは205億ドル)。米国株全体の分布に合わせて随時見直される |
| 浮動株 | 浮動株調整後の時価総額が基準額の50%以上。浮動株比率(IWF)が0.10以上 |
| 流動性 | 年間の売買代金 ÷ 浮動株時価総額が0.75以上。あわせて直近6か月の各月に25万株以上の売買 |
| 財務の健全性 | 直近4四半期のGAAP利益の合計がプラスで、直近四半期もプラス |
| 上場期間 | 新規上場(IPO)から12か月以上 |
| 国籍 | 米国企業(SECへの10-K提出、本社・資産・売上の所在、主な上場先が米国の取引所かどうかなどで判定) |
| 対象外の証券 | ADR・ETF・MLP・クローズドエンド型ファンドなど。REITは対象 |
条件の原文はS&P DJIの「S&P U.S. Indices Methodology」に載っています。時価総額の線は見直しのたびに上がってきました。ネット上には「130億ドル以上」といった古い基準のままの解説も残っているので、読むときは日付を確かめたほうが安全です。
見落としやすいのは、黒字かどうかをGAAPの利益(非継続事業を除く純利益)で判定する点です。調整後の利益では黒字でも、GAAPで赤字なら入れません。両者の違いはGAAPと非GAAP、浮動株の考え方は浮動株の記事にまとめています。
条件を満たしても自動では入らない(指数委員会の判断)
S&P500は「米国の大型株500社」を代表する指数です。1社を入れるには、1社を外さなければなりません。どこを入れるかはS&P DJIの指数委員会が決めます。条件を満たした会社の中から、業種の偏りや時価総額の順位、売買の状況を見て選ぶ仕組みです。時価総額の順位だけで機械的に決まるわけではないので、「条件は満たしているのに入らない」会社はいつの時期にもあります。
2026年9月の定期入れ替えは、S&P DJIが9月4日に発表し、9月21日(月)の寄り付き前に反映されました。
| 区分 | 銘柄 |
|---|---|
| S&P500に採用 | ブルーム・エナジー(BE)、イルミナ(ILMN)、エバーピュア(P) |
| S&P500から除外 | モルソン・クアーズ(TAP)、トレード・デスク(TTD)、ビルダーズ・ファーストソース(BLDR)。3社とも小型株指数S&P SmallCap 600へ移動 |
| 同時にS&P100に採用 | デル、パロアルトネットワークス、アリスタネットワークス、サンディスク |
| 同時にS&P100から除外 | ナイキ、コルゲート・パルモリーブ、サイモン・プロパティ、ハネウェル・エアロスペース |
外された会社が倒産したわけではありません。時価総額が相対的に小さくなり、「大型株の代表」ではなくなったという判断です。指数そのものについてはS&P500、大型・小型の分け方はメガキャップ・スモールキャップの記事に書いています。
四半期リバランスと臨時の入れ替え(日程の流れ)
| 段階 | 定期入れ替え(2026年9月の例) | 日本時間の目安 |
|---|---|---|
| 発表 | リバランスの月の第1金曜ごろ、米国の取引終了後(9/4) | 土曜の早朝 |
| 準備期間 | 約2週間。指数連動ファンドは組み入れの準備に入り、短期の投資家は先回りで売買する | — |
| 基準日 | 第3金曜の大引け(9/18、16:00 ET)。ファンドの売買がここに集まる | 9/19(土)5:00(冬時間は6:00) |
| 反映 | 翌週の月曜の寄り付き前(9/21) | 9/21(月)22:30の取引開始から新しい構成 |
定期の入れ替えとは別に、買収・合併・分社で構成銘柄が抜けると臨時の入れ替えがあります。この場合は発表から反映まで数営業日しかないこともあります。第3金曜は株価指数の先物・オプションの清算日とも重なるので、この日の引けは売買代金が大きく膨らみがちです。指数に連動するETFの仕組みは米国ETF(VOO・VTI・QQQ)、取引時間は米国株の取引時間と夏時間の記事を見てください。
主要100銘柄のうちS&P500に入っていない11社と、その理由
決算日を追っている米国株100銘柄を、S&P500連動ETF(SPY)の保有銘柄と突き合わせました。89社が採用済みで、11社が入っていません。その11社について、黒字の条件(直近4四半期のGAAP純利益の合計と直近四半期がプラス)を満たすかどうかを、SECに出された決算データで確かめています。
| 銘柄 | 黒字の条件 | ほかに考えられる理由 |
|---|---|---|
| ソーファイ(SOFI) | 満たす(4四半期6.4億ドル) | 委員会の選定待ち(時価総額・業種の配分) |
| ショッピファイ(SHOP) | 満たす | カナダ企業(設立地がカナダ)で国籍の条件から外れる |
| メルカドリブレ(MELI) | 満たす | 事業・本社が中南米。国籍の判定理由は非公表 |
| スペースX(SPCX) | 判定できない(決算1回分) | 2026年上場。上場12か月の条件 |
| ストラテジー(MSTR) | 満たさない(4四半期−304億ドル) | 保有ビットコインの評価損でGAAPが赤字 |
| スノーフレイク(SNOW) | 満たさない(−10.9億ドル) | 非GAAPは黒字、GAAPは赤字 |
| リビアン・ルーシッド・アイオンキュー・ロケットラボ・ASTスペースモバイル | 満たさない(5社とも赤字) | 成長投資の段階 |
反対に、採用済みの89社にもいま新規に審査すれば黒字の条件を満たさない会社が7社あります(インテル・コインベース・ギリアド・サイエンシズ・ボーイング・メルク・ファイザー・パロアルトネットワークス)。前の3社は4四半期の合計が赤字、後の4社は直近四半期が赤字です。S&P DJIは、条件を割り込んだだけでは採用済みの銘柄を外しません。条件から大きく外れた状態が続いてはじめて除外を検討するので、一時的な赤字で指数から落ちることはありません。
S&P500の構成の代わりに、State Streetが毎日公表しているSPYの保有銘柄(2026年9月25日時点で503銘柄=500社。アルファベットのように種類株が2つ入る会社がある)を使いました。純利益はSECのXBRLから取り、第4四半期は通期から9か月累計を引いて出しています。直近四半期の期末は2026年6〜7月です。S&P DJIが使う「非継続事業を除く利益」とずれる場合があるほか、時価総額は株価が要るので判定していません。非採用の理由も条件から推し量ったもので、委員会は判断の理由を公表していません。
2026年の議論:巨大IPOを早く入れるか
2026年4月30日、S&P DJIは時価総額がとても大きい新規上場企業(メガキャップ)の扱いについて意見を募りました。示された案は3つです。上場12か月の条件を6か月に縮める、メガキャップは浮動株比率の下限を免除する、メガキャップは黒字の条件の例外にする。6月4日に出た結論は、S&P500・MidCap 400・SmallCap 600の基準は変えないというものでした(全米株式の総合指数S&P Total Market Indexなどは浮動株の条件を緩め、6月8日から適用)。
このため、2026年に上場した巨大企業も、S&P500に入るのは上場から12か月が過ぎ、GAAPの黒字の条件を満たしてからです。一方、ナスダック100は独自の基準で運営されているので、S&P500より先に組み入れられることがあります。指数ごとの違いはナスダック100の記事を参照してください。S&P500入りが話題になる銘柄の決算日は、米国株の決算カレンダー(日本時間)で確かめられます。
S&P500の採用基準に関するよくある質問
S&P500に採用されると株価は上がりますか?
S&P500の銘柄入れ替えはいつ発表されますか?
赤字の会社はS&P500に入れないのですか?
日本企業や外国企業はS&P500に入れますか?
関連する用語
- 株価指数
株価指数とは、複数の銘柄の株価をひとつの数字にまとめたものです。 - 時価総額
時価総額とは、その会社を株式市場がいくらと評価しているかを示す金額です。 - 浮動株
浮動株とは、市場で実際に売買される可能性が高い株式のことです。 - リバランス
リバランスとは、値動きで崩れた資産の配分を、決めていた比率に戻す作業です。 - S&P500
- ナスダック100
- メガキャップ・スモールキャップ(時価総額の区分)
- GAAPと非GAAP
あわせて使うツール・記事
執筆:佐々木優也(Pacific Stock編集長・専業投資家歴20年)
採用基準と入れ替えはS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの公表資料によるもので、数字は2026年9月時点です。この記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄や証券会社の売買・口座開設を勧めるものではありません。当サイトは証券会社の口座開設などでアフィリエイト報酬を得る場合がありますが、比較の順位や数値には影響しません。最終更新2026-10-02。
