VIX(恐怖指数)とは?米国株の値動きの読み方、水準の目安(15・20・30)、過去の急騰局面、日本時間での見方【2026年版】

VIXは、S&P500のオプション価格から逆算した「市場がこの先30日に見込むS&P500の変動率(年率)」です。計算しているのはシカゴ・オプション取引所(Cboe)です。株価が急落するとオプションの値段が跳ね上がり、VIXも急に上がります。それで「恐怖指数」と呼ばれています。VIX 20なら、1か月で上下約5.8%の値動きを見込んでいるということです。数字の読み方、水準の目安、過去の急騰で何が起きたか、日本時間での確かめ方、VIXに連動する商品の注意点を順に書いていきます。

この用語の要点
  • VIXを√12で割ると、1か月の予想変動率になります。VIX 20なら月±5.8%、30なら月±8.7%、80なら月±23%。年率の数字なので、月に直して読むと実感がわきます。
  • 15未満は平穏、20前後は平均的、30を超えるとストレス、40を超えると危機、というのがおおよその目安です。終値の最高は2020年3月16日の82.69で、日本株が急落した2024年8月5日も一時65まで上がりました。
  • VIXが高い時期に買うと報われやすい傾向があります(VIX 30超から1年後のS&P500はプラスが多い)。ただ、VIX連動ETNは長く持つほど目減りするので、投資先にはしないほうがいいです。

数字の読み方(年率を月に直す)

VIXは年率の変動率(%)です。S&P500がこの先1年でどれだけ動くと市場が見ているかを表しています。1か月の予想変動率に直すには、√12(約3.46)で割ります。

VIX1か月の予想変動幅市場の状態
12±3.5%非常に平穏(2017年、2024年前半)
15±4.3%平穏
20±5.8%長期平均に近い
30±8.7%ストレス(調整局面)
40±11.5%危機(2008年9月、2020年3月、2024年8月の一時)
80±23%2008年11月、2020年3月のピーク

「予想変動幅」は統計でいう1標準偏差なので、実際の値動きがこの範囲に収まる確率は約68%です。VIX 20なら、1か月で5.8%以上動く確率がおよそ3分の1ある、と読めます。VIXはS&P500のオプション(満期23〜37日)の価格から出しているので、投資家が保険(プットオプション)を急いで買うほど上がります。株価の下げそのものではなく、「下げへの備えの値段」を測っているわけです。ここが、ただの値動きの指標と違うところです。

S&P500との関係(逆の動きと、その後の戻り)

VIXとS&P500は逆に動きます。株価が下がればVIXは上がり、株価が落ち着けばVIXは下がります。毎日の値動きの相関は−0.7〜−0.8ほどです。株の急落局面では、VIXが数日で2倍以上になることも珍しくありません。

局面VIXの高値S&P500の下落1年後のS&P500
2008年金融危機80.86(11月20日終値)約−57%(2007年高値から2009年3月)2009年3月の安値から+68%
2018年2月VIXショック37.32約−10%+4%
2020年3月コロナ82.69(3月16日終値、過去最高)約−34%3月安値から+75%
2022年利上げ局面36台約−25%2022年10月安値から+22%
2024年8月5日一時65(終値38.57)約−8%(日経平均は−12%の日)+20%超

どの局面にも共通するのは、VIXが30〜40を超えたところから1年後、S&P500はほとんどプラスだったことです。VIXの急騰は「みんなが保険を買い終えた」状態でもあり、売りが出尽くしに近いことを示しています。とはいえ2008年には、VIXが40を超えてから株価がさらに30%下がりました。VIXの高さだけで底は決められません。VIXが高い時期に少しずつ買う、くらいの使い方が現実的です。

日本時間での確かめ方と、米国株での使い方

VIXが動くのは米国の取引時間(日本時間22:30〜翌5:00、冬時間は23:30〜6:00)です。Cboeのサイト、Yahoo Finance(ティッカー ^VIX)、TradingView(VIX)などで無料で見られます。日本の証券会社の画面にも指数として出ていることが多いので、朝に「昨夜のVIX」を見る習慣をつけると続けやすいです。

米国株での使い道は3つあります。1つめは買い増しの目安です。VIXが30を超えた時期は、これまでの例では買いが報われやすく、積立の上乗せや指値の引き下げを考える材料になります。2つめは決算前の織り込みの確認です。VIX全体だけでなく個別株のインプライド・ボラティリティ(IV)を見ると、決算で市場がどのくらいの値動きを見込んでいるかがわかります。IVが高い決算は、中身が良くても期待に届かなければ大きく下げます(アーニングスサプライズ)。3つめは、VIXが低いときこそ気をつけることです。VIX 12前後の穏やかな時期が長く続いたあとに急騰する、ということが2018年2月・2024年8月と繰り返されています。低いVIXは安心の理由になりません。

米国の経済指標(PCEや雇用統計)やFOMC(ドットチャート)の前にはVIXが上がりやすく、通過すると下がりがちです。イベントの日程は米国株コーナーの「今日の株式」に載せています。

VIX連動のETF・ETNを買ってはいけない理由

VIXそのものは売買できません。取引されているのは、VIX先物に連動するETF・ETN(米国のVXX・UVXY、日本の1552など)です。これらは長く持つと、ほぼ確実に目減りします。VIX先物はふだん「期先ほど高い」状態(コンタンゴ)にあり、ETNは安い期近を売って高い期先を買い続けます。そのため平時には毎月数%ずつ価値が減っていきます。VXXは上場してから株式併合を繰り返しつつ、99%以上下がりました。

しかもVIXが2倍になっても、ETNは2倍になりません。ETNが追っているのは先物で、先物は現物のVIXほど動かないからです。2018年2月には、VIXの急騰で「VIX売り」のETN(XIV)が1日で90%以上下げ、償還されています。

VIXは「市場の温度計」として読むもので、投資先ではありません。急落に備えたいなら、現金を多めに持つ、米国債ETFを組み合わせるといったやり方のほうが、コストがはっきり読めます。レバレッジ型・インバース型のETFが長く持つと目減りする仕組みは、レバレッジETFの減価に書いています。

VIXに関するよくある質問

VIXが20というのはどういう意味ですか?
市場が、この先1年でS&P500が上下20%動くと見込んでいる、という年率の数字です。1か月に直すと約5.8%(20 ÷ √12)で、長期平均に近いふつうの状態です。
VIXが高いときは買いですか、売りですか?
これまでの例では、VIXが30を超えたところから1年後のS&P500は、ほとんどプラスでした。ただ2008年のようにさらに下げたこともあるので、一度に買わず少しずつ買うのが現実的です。
日本株にもVIXはありますか?
日経平均には「日経平均VI(ボラティリティ・インデックス)」があります。仕組みはVIXと同じで、日経平均のオプション価格から出しています。2024年8月5日には70を超えました。
VIXに連動するETFは暴落対策になりますか?
ごく短い期間の保険としては働きます。ただ、長く持つと先物のコンタンゴで目減りし続けるので、備えには向きません。暴落に備えるなら、現金を多めに持つか米国債ETFを使うほうがコストを読めます。

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執筆:(Pacific Stock編集長・専業投資家歴20年)
VIXの値はCboeの公表データ(終値、2026年9月時点)で、1年後のリターンは各局面の安値かVIXのピークの日からの概算です。この記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄や証券会社の売買・口座開設を勧めるものではありません。当サイトは証券会社の口座開設などでアフィリエイト報酬を得る場合がありますが、比較の順位や数値には影響しません。最終更新2026-10-06。

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