新TOPIX採用銘柄はどれ?2つの基準を満たす注目株を徹底調査【2026年10月スタート】

新TOPIXは、2026年10月30日(金)に構成銘柄が入れ替わります。採用の可否を決める主要な流動性基準は「年間売買代金回転率」と「浮動株時価総額の累積比率」の2つです。対象となる市場もプライム市場だけでなく、スタンダード市場・グロース市場まで広がります。

この記事では、まずJPX総研が公表している算出要領にもとづいて採用ルールを正確に整理します。そのうえで、公開データを使った当サイトの簡易スクリーニングで、どのあたりに線が引かれそうかを見ていきます。

🔴 この記事の試算は、公式の判定を再現したものではありません。使っているデータの時点・期間・母集団が公式の方法と異なります(違いは本文の表に明記しています)。正式な構成銘柄は2026年10月7日にJPXから公表されます。

この記事で分かること

・新TOPIXの採用を決める2つの流動性基準の正確な中身(一次資料ベース)
浮動株時価総額の面で候補に挙がる34銘柄の実名と、そのうち1銘柄が抱える弱点
・除外の目安となる水準(当サイトの簡易試算では浮動株時価総額408億円前後
・自分の持ち株を確認する手順
・除外された銘柄に何が起きるか(8段階のウエイト低減)
・2027年10月の再評価で「移行係数が0.500のまま固定される」意味

新TOPIXとは?2026年10月30日から何が変わるのか

新TOPIX(次期TOPIX)とは、2026年10月の定期入替から適用される、新しいルールで選ばれたTOPIXのことです。JPX総研が2024年9月に公表した「第2段階の見直し」にもとづくもので、指数の名前そのものは変わりません。変わるのは中身です。

ここで誤解されやすいのが、2022年4月の市場区分再編との関係です。このとき、TOPIXは従来の構成銘柄をそのまま引き継ぎました。JPXの資料にも「新市場区分再編時の構成銘柄で、スタンダード市場やグロース市場を選択した銘柄は現行TOPIXに含まれる」と明記されています。

つまりスタンダード市場を選んだからTOPIXを外れた、という関係ではありません。実際、いまもスタンダード市場やグロース市場に上場したままTOPIXの構成銘柄である会社が100社以上あります。市場再編後に行われたのは、流通株式時価総額などにもとづく段階的なウエイトの見直し(第1段階)でした。

項目 現行TOPIX 次期TOPIX(2026年10月〜)
対象市場 市場再編時の構成銘柄を引き継ぎ プライム・スタンダード・グロースの全市場
定期入替 なし 初回2026年10月
2回目2028年10月

以後は年1回・10月最終営業日
(2027年10月は再評価)
選定基準 市場再編時の構成銘柄がもと 流動性の2基準
回転率と累積比率
銘柄数 約1,700銘柄 約1,000銘柄(2028年7月の完了時)
ウエイト上限 10% 10%(変更なし)

出典:JPX総研「東証指数算出要領(TOPIX編)2026年10月1日版」、日本取引所グループ「TOPIXの見直し」

押さえておきたいのは、プライム市場にいることが採用を保証しなくなったという点です。逆に、スタンダード市場やグロース市場にいても、基準さえ満たせばTOPIXに採用されます。市場区分と指数が切り離されたことが、今回の見直しの本質です。

採用を決める「2つの基準」を正確に押さえる

算出要領には、次の2つの基準が明記されています。すでにTOPIXに入っている銘柄には「継続基準」、入っていない銘柄には「追加基準」が適用されます。

指標 追加基準
(新しく入る銘柄)
継続基準
(すでに入っている銘柄)
年間売買代金回転率 0.2以上 0.14以上
浮動株時価総額の
累積比率
上位96%以内 上位97%以内

出典:JPX総研「東証指数算出要領(TOPIX編)2026年10月1日版」<表 流動性に係る基準>

新しく入るほうが厳しく、すでに入っている銘柄は少し緩い。この差はバッファ・ルールと呼ばれ、JPX総研は「指数の安定性や投資効率の観点から」導入したと説明しています。境界線ぎりぎりの銘柄が毎年出たり入ったりすると、そのたびに売買が発生してコストがかかるためです。

そしてもう1つ、見落とされやすい前提があります。母集団に入るには、基準日に整理銘柄・特別注意銘柄でないことが必要です。実際、ニデック(6594)は不適切会計の疑いで2025年に特別注意銘柄へ指定され、TOPIXの構成銘柄から除外されました。JPXが公表している構成銘柄別ウエイト一覧(2026年7月31日時点)にも、同社の名前はありません。浮動株時価総額が1兆円を超える大型株でも、この条件を外れると母集団にすら入りません。

基準①年間売買代金回転率|「平均」ではなく「中央値」で測る

年間売買代金回転率は、「その銘柄の浮動株が1年間に何回入れ替わったか」を表す数字です。算出要領の定義は次のとおりです。

年間売買代金回転率の計算方法

年間売買代金回転率= 直近12か月間の「月次の売買代金回転率」の合計

月次の売買代金回転率=(日次の東証の売買立会での売買代金の中央値 × 営業日数)
             ÷ 月末最終営業日の浮動株時価総額

ここで決定的に重要なのが、平均ではなく「中央値」を使うという点です。

平均であれば、1日だけ材料が出て売買代金が跳ね上がれば、その月の数字を押し上げられます。しかし中央値は「真ん中の日」の売買代金です。月に1日や2日だけ売買が膨らんでも、中央値はほとんど動きません。普段から毎日コンスタントに売買されている銘柄でなければ、この基準は通せない設計になっています。

なお、基準日の時点で上場から1年未満の銘柄は、上場後の月次回転率の合計を月数で割り、12を掛けて年換算します。2026年に上場したばかりの銘柄も、この方法で判定されます。

基準②浮動株時価総額の累積比率|96%と97%のわずかな差

浮動株時価総額とは、時価総額のうち市場で実際に売買されうる部分だけを取り出した金額です。大株主や持ち合い、自己株式など、市場に出てこない株式は除かれます。

浮動株時価総額と累積比率

浮動株時価総額= 時価総額 × 浮動株比率

累積比率= 浮動株時価総額が大きい銘柄から順に足していった金額
      ÷ その銘柄群の浮動株時価総額の合計

ここに順番があります。まず年間売買代金回転率の条件を満たす銘柄だけを集め、その集団の中で累積比率を計算します。回転率で落ちた銘柄は、分母にも分子にも入りません。

つまり2つの基準は独立した関門ではなく、「回転率 → 累積比率」という順序で効きます。いくら浮動株時価総額が大きくても、売買が薄ければ最初の関門で消えます。

なお累積比率の計算に使う浮動株時価総額は、基準日1日だけの数字ではなく「基準日が属する月の日次平均」です。2026年の初回であれば、8月中の平均で判定されます。

【簡易試算】浮動株時価総額の面で候補に挙がる34銘柄

ここからは公開データを使って、どのあたりに線が引かれそうかを見ていきます。使ったのは次の4つです。

データ 出どころ 時点
浮動株比率 JPX「浮動株比率一覧」 2026年3月31日
現在のTOPIX構成銘柄 JPX「TOPIX構成銘柄別ウエイト一覧」 2026年7月31日
時価総額・発行済株式数 Yahoo!ファイナンス 2026年9月18日終値
売買高 株探(日足・直近20営業日) 2026年9月18日まで

🔴 はじめに、この試算が公式の判定方法とどう違うかを明示しておきます。ここを読み飛ばすと、数字の意味を取り違えます。

項目 公式の判定方法 この記事の簡易試算
浮動株時価総額 2026年8月の日次平均 2026年9月18日の終値
回転率 対象12か月の月次回転率の合計 直近20営業日から年換算
売買代金 東証の売買立会での実際の売買代金の中央値 終値×売買高による概算の中央値
母集団 回転率の条件を満たした銘柄群 東証の3,653銘柄すべて

とくに母集団の違いは、境界となる金額そのものを動かします。公式では回転率で落ちた銘柄が分母から外れるため、分母は当記事の試算より小さくなります。その結果、実際の境界は当記事の金額より高くなる方向にずれると考えられます。以下の金額は、あくまで規模感をつかむための参考水準です。

そのうえで、東証に上場する3,653銘柄について「時価総額×浮動株比率」で浮動株時価総額を求め、大きい順に並べて累積比率を計算しました。合計は787.4兆円です。

その結果、2026年9月18日終値ベースで、累積96%にあたる水準は浮動株時価総額586億円でした。この水準を超えていて、まだTOPIXに入っていないスタンダード市場・グロース市場の銘柄が34銘柄(スタンダード25・グロース9)あります。

銘柄(コード・市場) 浮動株時価総額 回転率の概算
日本マクドナルドホールディングス
2702・スタンダード
6,793億円 1.32
フェローテック
6890・スタンダード
4,443億円 4.73
セリア
2782・スタンダード
1,975億円 1.79
ジーエヌアイグループ
2160・グロース
1,925億円 3.44
オンコリスバイオファーマ
4588・グロース
1,696億円 15.07
ナカニシ
7716・スタンダード
1,668億円 1.11
沖縄セルラー電話
9436・スタンダード
1,643億円 0.780
フクダ電子
6960・スタンダード
1,595億円 0.854
東映アニメーション
4816・スタンダード
1,572億円 1.81
パワーエックス
485A・グロース
1,535億円 17.98
上村工業
4966・スタンダード
1,410億円 1.72
メタプラネット
3350・スタンダード
1,372億円 16.69
精工技研
6834・スタンダード
1,365億円 9.19
トライアルホールディングス
141A・グロース
1,343億円 4.13
三谷商事
8066・スタンダード
1,310億円 0.197
基準すれすれ
日本精機
7287・スタンダード
1,151億円 1.02
千代田化工建設
6366・スタンダード
1,093億円 2.55
ワークマン
7564・スタンダード
1,093億円 5.79
ヨネックス
7906・スタンダード
1,091億円 2.14
ヱスビー食品
2805・スタンダード
1,080億円 1.30
フリー
4478・グロース
1,040億円 5.50
日本電技
1723・スタンダード
1,038億円 1.12
santec Holdings
6777・スタンダード
1,007億円 4.45
Synspective
290A・グロース
908億円 4.61
アストロスケールホールディングス
186A・グロース
901億円 10.36
QDレーザ
6613・グロース
832億円 14.05
MTG
7806・グロース
807億円 3.84
中央自動車工業
8117・スタンダード
788億円 2.24
テクノ菱和
1965・スタンダード
757億円 1.45
サン電子
6736・スタンダード
698億円 1.07
西川ゴム工業
5161・スタンダード
656億円 1.53
AIメカテック
6227・スタンダード
640億円 20.75
エスケー化研
4628・スタンダード
627億円 0.535
伊勢化学工業
4107・スタンダード
598億円 3.93

浮動株時価総額=2026年9月18日終値の時価総額×JPX公表の浮動株比率(2026年3月31日時点)。回転率は直近20営業日の「終値×売買高」の中央値から概算し、12倍して年換算したもの。いずれも当サイトの推定であり、JPXの公式な判定結果ではありません。

この34銘柄は、浮動株時価総額の面から抽出した候補です。もう1つの基準である回転率まで含めると、次のように分かれます。

区分 内容
浮動株時価総額の面で候補
34銘柄
累積96%にあたる水準を上回る
概算の回転率も基準以上
33銘柄
年換算の概算が0.2以上
回転率の精査が必要
1銘柄
年換算の概算が0.2を下回る(三谷商事)

「回転率の精査が必要」は、その銘柄が実際に不採用になることを意味しません。当サイトの概算値が基準の近くにあり、簡易な方法では判断できないという意味です。

顔ぶれを見ると、日本マクドナルドホールディングス、ワークマン、セリア、東映アニメーション、沖縄セルラー電話など、名前の知られた企業が並びます。いずれも市場再編の時点で現行TOPIXの構成銘柄ではなく、これまで採用の対象外でした。新TOPIXでは全市場が母集団になるため、初めて対象に入ることになります。

他機関の試算と規模感を比べる

当サイトの簡易試算がどのくらいの位置にあるのかを見るため、公表されている他の試算と並べました。

項目 当サイトの簡易試算
(9月18日終値)
他機関の試算
新規採用(スタンダード・グロース) 34銘柄 ニッセイ基礎研究所 34銘柄
新規採用の水準 586億円 ニッセイ基礎研究所 約590億円
除外の水準 408億円 ニッセイ基礎研究所 約400億円
日本経済新聞 約410億円前後
次期TOPIXの銘柄数 994銘柄 ニッセイ基礎研究所 958銘柄
日本経済新聞 約1,000銘柄
上位10銘柄の比率 23.0% ニッセイ基礎研究所 22.8%

出典:ニッセイ基礎研究所 森下千鶴氏へのインタビュー(楽天証券「トウシル」2026年掲載・記事はこちら/試算は2026年6月末時点)、日本経済新聞「10月から『新TOPIX』がスタート 2つの基準満たす銘柄が採用」2026年9月10日(記事はこちら/2026年7月末のデータにもとづく)。

数字の水準は近いところに収まりました。ただしこれは「当サイトの計算方法が正しい」ことの証明にはなりません。時点も方法も母集団も異なりますし、候補の数が同じでも、選ばれている銘柄まで同じとは限らないからです。

読み取れるのは「おおよその規模感は大きく外れていないらしい」という程度のことです。正確な線引きは、10月7日のJPXの公表を待つ必要があります。

浮動株時価総額は十分でも、回転率で落ちる銘柄がある

34銘柄の回転率を概算したところ、33銘柄は基準0.2を大きく上回っていました。売買の活発さという点では問題がなさそうです。

ただし1銘柄だけ、事情が違いました。

銘柄 浮動株時価総額 日次売買代金の中央値 回転率の概算
三谷商事
(8066)
1,310億円 1.08億円 0.197

三谷商事(8066)は浮動株時価総額が1,310億円あり、累積比率の基準では余裕をもって通ります。しかし1日あたりの売買代金の中央値は1.08億円しかありません。この水準が1年続いた場合の回転率は0.197で、追加基準の0.2をわずかに下回ります。

これが「2つの基準」という表現の意味するところです。規模が大きいことと、よく売買されていることは別の話です。規模だけを見て候補を挙げると、ここで取りこぼします。

この回転率は直近20営業日からの概算です。実際の判定は2025年9月〜2026年8月の12か月間の月次回転率を合計して行われるため、結果は変わる可能性があります。

【簡易試算】除外の目安となる水準は浮動株時価総額408億円前後

次は、いま入っている銘柄が残れるかどうかです。継続基準は「累積比率 上位97%以内」。同じ方法で計算すると、2026年9月18日終値ベースで97%にあたる水準は浮動株時価総額408億円でした。

現在のTOPIX構成銘柄1,625銘柄のうち、この水準を下回るのは665銘柄。全体の約4割にあたります。

区分 内容
水準の内側
960銘柄
継続採用される可能性がある
水準の外側
665銘柄
移行措置銘柄となる可能性がある

この区分は浮動株時価総額だけで分けたものです。回転率の条件は反映していません。

この665銘柄はすべて、TOPIXニューインデックス区分でいうSmall 1(96銘柄)とSmall 2(569銘柄)に属します。今回の試算では、Core30・Large70・Mid400から除外候補は出ませんでした。

ただしこれは「大型株には何も起きない」という意味ではありません。構成銘柄が絞られれば、残る銘柄の構成比率は相対的に上がります。指数全体の需給も変わるため、残留する大型株の位置づけも動きます。

業種で見ると、特定の業種に偏っています。

業種 該当数
サービス業 108銘柄
情報・通信業 105銘柄
小売業 62銘柄
卸売業 54銘柄
機械 41銘柄
化学 40銘柄
電気機器 38銘柄
食料品 33銘柄

サービス業と情報・通信業が突出しています。この2つは上場社数そのものが多い業種なので、数が多いこと自体は自然です。ただし中小型のIT企業やサービス企業が数多く含まれることは、投資判断のうえで知っておく価値があります。

この水準のすぐ内側には、次のような銘柄が並んでいます。わずかな株価の差で順位が入れ替わる領域です。

銘柄(コード・市場) 浮動株時価総額 区分
正栄食品工業
8079・プライム
420億円 TOPIX Small 1
堺化学工業
4078・プライム
420億円 TOPIX Small 1
沖縄電力
9511・プライム
418億円 TOPIX Small 1
フィックスターズ
3687・プライム
416億円 TOPIX Small 2
いちよし証券
8624・プライム
416億円 TOPIX Small 2
三洋貿易
3176・プライム
413億円 TOPIX Small 2
カワチ薬品
2664・プライム
412億円 TOPIX Small 1
クオールホールディングス
3034・プライム
411億円 TOPIX Small 1
ライフネット生命保険
7157・プライム
408億円 TOPIX Small 1
クミアイ化学工業
4996・プライム
408億円 TOPIX Small 1

2026年9月18日終値ベースの推定。実際の判定は8月中の日次平均で行われるため、この順位のとおりになるとは限りません。

自分の持ち株を確認する手順

銘柄リストを眺めるより、自分の持ち株を自分で確かめるほうが確実です。公式の情報から順に見ていきます。

手順 やること
① 公式の発表を確認する 2026年10月7日にJPXが構成銘柄を公表する。確定した答えはここにしかない。発表後はまずこれを見る
② 母集団の条件を確認する 整理銘柄・特別注意銘柄に指定されていないか。指定されていると、流動性の基準以前に母集団から外れる
③ 売買の厚みを確認する 1日の売買代金が、浮動株時価総額に対してどのくらいあるか。ここが薄いと回転率の基準で先に落ちる
④ 浮動株時価総額を出す 時価総額 × 浮動株比率。浮動株比率はJPXの「浮動株比率一覧」(TOPIXの見直しページ)で銘柄コードから探せる

③の目安を先に書きます。継続基準0.14を12か月・1か月20営業日に割り戻すと、1日の売買代金が浮動株時価総額の0.06%(1万分の6)程度が分かれ目のあたりになります。これを下回る日が続いているなら、回転率の面で楽ではありません。

0.14 ÷ 12か月 ÷ 20営業日 ≒ 0.00058 という計算から出した概算です。正式な判定はJPXが売買代金の中央値をもとに行います。

④で出した金額は、次のように受け止めてください。

浮動株時価総額 見方(当サイトの簡易試算上の参考水準)
586億円以上 規模の面では新規採用の水準にも届く。ただし回転率と母集団の条件は別途必要
408〜586億円 規模の面では継続の水準にあるが、余裕は大きくない
408億円未満 規模の面では移行措置銘柄になりうる範囲

🔴 この金額はJPXが定めた固定の基準ではありません。当サイトが9月18日終値・全東証銘柄を母集団として計算した参考水準です。この金額だけで採用・継続は判定できません。公式の累積比率は、回転率の条件を満たした銘柄群の中で、8月の日次平均を使って計算されます。

除外されると株価はどうなるか|8段階のウエイト低減

継続採用されなかった銘柄は「移行措置銘柄」と呼ばれ、いきなり指数から消えるのではなく、四半期ごとに8回に分けてウエイトが下がります。

実施回 指数修正日 移行係数
1回目 2026年10月最終営業日 ×0.875
2回目 2027年1月最終営業日 ×0.750
3回目 2027年4月最終営業日 ×0.625
4回目 2027年7月最終営業日 ×0.500
再評価 2027年8月最終営業日が基準日 継続基準を満たせば低減を停止
5回目 2027年10月最終営業日 ×0.375
6回目 2028年1月最終営業日 ×0.250
7回目 2028年4月最終営業日 ×0.125
8回目 2028年7月最終営業日 ×0
(構成銘柄から除外)

出典:JPX総研「東証指数算出要領(TOPIX編)2026年10月1日版」<表 スケジュール及び移行係数>

この仕組みには2つの意味があります。1つは売りが一度に集中しないこと。もう1つは売り圧力が2年近く続くことです。

規模感をつかむために、仮定を置いて計算してみます。TOPIXに連動する運用資産は約110兆円(2024年3月末時点・JPX)です。

売り圧力の試算の手順と仮定

① 分母:現在のTOPIX構成銘柄1,625銘柄の浮動株時価総額の合計(移行措置銘柄になりうる銘柄も含む)
② 分子:そのうち除外候補665銘柄の浮動株時価総額の合計
③ 比率:② ÷ ① = 約1.7%
④ 金額:110兆円 × ③ = 約18,595億円

置いている仮定
・株価・浮動株比率・運用資産額は2026年9月18日時点で固定したものとする
・移行係数はまだ掛けていない(現在のウエイトで計算している)
・2027年10月の再評価で低減が止まる銘柄はないものとしている。救済される銘柄があれば金額は減る
・浮動株時価総額は当サイトの簡易試算値(9月18日終値×3月31日時点の浮動株比率)

この前提での金額が最終的に約18,595億円、初回(2026年10月)に減るのは移行係数0.875によって1段階ぶん、つまり8分の1にあたる約2,324億円です。

🔴 あくまで仮定を固定した推計です。実際の売却額は、ファンドの運用方針、売買のタイミング、株価の変動、再評価の結果によって変わります。

ニッセイ基礎研究所は、除外候補の銘柄がすでに平均的にTOPIXを下回る値動きになっていると指摘しています。発表を待たずに先回りした売りが出ているという見方です。

2027年10月の再評価|救済されても移行係数は0.500で止まる

移行措置銘柄には、1度だけやり直しの機会があります。2027年8月最終営業日を基準日として再評価が行われ、継続基準(回転率0.14以上・累積比率97%以内)を満たせばウエイトの低減が止まります。

ここで注意したいのが、止まる位置です。算出要領にはこう書かれています。

算出要領の記載

移行係数の低減を停止(4回目の移行係数である「0.500」を継続適用)する(調整係数の解除は行わない。)

救済されても、移行係数は0.500が掛かったまま継続適用されます。「継続基準を満たしたのだから低減前の扱いに戻る」わけではありません。この点は見落とされやすいところです。

指数内での実際の構成比率は、この係数だけで決まるわけではありません。自社と他社の株価・株式数・採用状況によっても動きます。

しかも再評価までに求められるのは、1年で流動性を回復させることです。企業側にできるのは、株式分割で買いやすくする、政策保有株の解消を進めて浮動株比率を上げる、増配や自社株買いで株主を増やす、といった取り組みになります。実際に2026年に入ってから、こうした施策を打ち出す中小型企業が増えています。

新規採用銘柄には調整係数0.75が掛かる

新しく採用される銘柄にも、実はブレーキがかかっています。算出要領には「初回の定期入替においてTOPIXに追加される銘柄については、2026年10月最終営業日に浮動株比率に調整係数を乗じる」とあり、調整係数は0.75と定められています。

つまり新規採用銘柄は、浮動株比率に0.75を乗じた形で組み入れられます。いきなり満額で組み入れると、その銘柄に一度に買いが集中して株価が跳ね上がってしまうためです。

先ほどと同じように、仮定を置いて買い需要の規模を計算してみます。

買い需要の試算の手順と仮定

① 分母:継続候補960銘柄の浮動株時価総額の合計 + 新規採用候補34銘柄の浮動株時価総額×0.75
② 分子:新規採用候補34銘柄の浮動株時価総額×0.75
③ 比率:② ÷ ① = 約0.48%
④ 金額:110兆円 × ③ = 約5,261億円

置いている仮定
調整係数0.75は反映ずみ(分子・分母の両方に掛けている)
・分母には移行措置銘柄を含めていない(初回の入替が完了した後の姿を想定)
・回転率の精査が必要な1銘柄(三谷商事)も採用される前提で含めている
・株価・浮動株比率・運用資産額は2026年9月18日時点で固定

対象 当サイトの試算による規模 時期
新規採用候補 34銘柄 買い 約5,261億円 2026年10月30日
除外候補 665銘柄 売り 約2,324億円 2026年10月30日(初回分)
除外候補 665銘柄 売り 約18,595億円 2028年7月までの累計

TOPIX連動資産110兆円(2024年3月末時点・JPX)を前提とした、仮定を固定した推計です。売り側は移行係数を掛ける前の金額、再評価による救済は織り込んでいません。

買い需要を1銘柄あたりに直せば平均150億円程度です。大型株にとっては小さな金額ですが、浮動株時価総額が数百億円の銘柄にとっては決して小さくありません。

なお、すでにTOPIXに入っていて調整係数0.75が適用されている銘柄(2022年10月以降にプライム市場へ新規上場した銘柄など)が継続基準を満たした場合は、入替日に調整係数が解除されます。この銘柄群にはむしろ買い需要が発生します。

除外銘柄の受け皿「TOPIX Next-tier」も同時に始まる

2026年10月の定期入替に合わせて、「TOPIX Next-tier」という新しい指数の算出が始まります。TOPIXに選ばれなかった銘柄(移行措置銘柄を含む)のうち、一定の流動性が認められる銘柄で構成される指数です。

同時に、TOPIX構成銘柄が東証グロース市場250指数と重複して採用できるようになる見直しも行われます。これまでは重複が認められていませんでした。

TOPIXから外れることは、その銘柄がどの指数にも属さなくなることを意味しません。ただし新しい指数に連動する運用資産が、TOPIXの110兆円に近い規模になるまでには時間がかかります。受け皿があること自体は前向きな材料ですが、抜ける資金をすぐに埋めるほどの規模は期待しにくいのが実情です。

また2026年11月以降の新規上場銘柄については、プライム市場に限らず浮動株時価総額が累積比率95%以内の最低水準を上回れば、上場の翌月最終営業日にTOPIXへ追加されます。大型IPOであれば、市場区分を問わず年1回の定期入替を待たずに組み入れられます。

新TOPIXを投資判断に使うときの注意点

ここまでの内容を投資に生かすうえで、気をつけたい点を整理します。

注意点 内容
基準期間は終了している 基準日は2026年8月31日。9月以降の株価は通常の選定計算には入らない。ただし銘柄指定による取扱いの変更はありうる
期待はすでに株価に入っている 有力候補は証券会社のレポートなどで繰り返し取り上げられている。発表前から買われている可能性がある
外れたときの反動 10月7日の発表で候補から漏れれば、先回りしていた資金が逆流する
買い需要は満額ではない 新規採用は調整係数0.75が掛かる。想定より小さい
売り圧力は2年続く 除外銘柄は2028年7月まで四半期ごとに売られる。短期で底打ちするとは限らない
指数の採用は業績ではない 流動性の基準であり、企業の収益力や成長性を保証するものではない

この6つのなかで、最後の点がとくに大切です。TOPIXに採用されることは「よく売買されている」という証明であって、「良い会社である」という証明ではありません。

実際、新規採用候補のなかには株価の変動が非常に大きい銘柄も含まれています。指数への採用だけを理由に買うのではなく、市場区分や業績、財務の状態を確認したうえで判断してください。

また、ETF投資信託でTOPIXに連動する商品を持っている場合、今回の見直しで特別な手続きは必要ありません。ファンド側が自動で入れ替えを行います。構成銘柄が絞られることで、指数全体としては売買しやすい銘柄の比重が高まります。

新TOPIXに関するよくある質問

新TOPIXの構成銘柄は、いつ発表されますか。
2026年10月7日(水)です。JPX総研の算出要領には「構成銘柄の選定結果は、JPXウェブサイトにおいて10月第5営業日に公表する」と定められています。2026年10月は1日(木)が第1営業日なので、第5営業日は7日(水)にあたります。実際に指数が入れ替わるのは10月最終営業日である10月30日(金)です。
採用・除外の判定は、いつ時点の数字で決まりますか。
2026年8月最終営業日(8月31日)が定期入替基準日です。浮動株時価総額は「基準日が属する月の日次平均」、年間売買代金回転率は「基準日が属する月以前12か月間」で計算されます。通常の定期選定に使う基準期間はすでに終了しており、9月以降の株価の動きはこの計算には入りません。ただし算出要領では、整理銘柄・特別注意銘柄への指定などについて「基準日から定期入替日までの間の状況も勘案することがある」とされています。その後の銘柄指定による取扱いの変更はありえます。
TOPIXから外れると、株はどうなりますか。
上場廃止になるわけではありません。これまでどおり売買できますし、配当も株主優待も変わりません。変わるのは「TOPIXに連動する投資信託やETFが、その銘柄を持つ必要がなくなる」ことです。ただし外れ方は一度にではなく、2026年10月から2028年7月まで四半期ごとに8段階で薄まります。
自分の持っている株が残るか、どうやって調べればよいですか。
確定した答えは2026年10月7日のJPXの公表にしかありません。それまでの目安としては、まず整理銘柄・特別注意銘柄でないことを確認し、次に1日の売買代金の厚みを見て、そのうえで「時価総額×浮動株比率」を計算します。当サイトの簡易試算上の参考水準は408億円前後ですが、これはJPXの固定基準ではなく、この金額だけで判定はできません。浮動株比率はJPXが浮動株比率一覧で公表しています。
新しく採用される銘柄は、買っておけば上がりますか。
そう単純ではありません。採用が有力とされる銘柄はすでに話題になっており、期待が株価に織り込まれている場合があります。また新規採用は浮動株比率に調整係数0.75を掛けた形で組み入れられるため、買い需要は満額ではありません。10月7日の発表で候補から漏れた場合、先回りしていた資金が一気に逆流する可能性もあります。
2027年10月の「再評価」で救済されれば、元どおりになりますか。
低減前の扱いには戻りません。算出要領では、再評価で継続基準を満たした銘柄は「4回目の移行係数である0.500を継続適用」すると定められています。低減が止まるだけで、移行係数0.500は掛かったままです。調整係数の解除も行われません。
そもそも、なぜTOPIXは銘柄を減らすのですか。
投資対象としての使いやすさを高めるためです。TOPIXには約110兆円(2024年3月末時点)の運用資産が連動しています。売買の薄い銘柄が多数含まれていると、ファンドが指数どおりに売買しようとしても値が飛んでしまいます。流動性の基準を入れることで、この問題を減らす狙いがあります。
除外される銘柄の受け皿はありますか。
「TOPIX Next-tier」という指数が2026年10月から新たに算出されます。TOPIXに選ばれなかった銘柄(移行措置銘柄を含む)のうち、一定の流動性が認められる銘柄で構成されます。またTOPIX構成銘柄と東証グロース市場250指数の重複も可能になります。

まとめ|10月7日の発表までに確認しておきたいこと

この記事のポイント

・新TOPIXの構成銘柄は2026年10月7日(水)に発表、入替は10月30日(金)
・判定の基準日は2026年8月31日。通常の選定に使う基準期間は終了している
 (ただし整理銘柄・特別注意銘柄への指定などは、入替日までの状況も勘案される)
・主要な流動性基準は年間売買代金回転率(追加0.2/継続0.14)と浮動株時価総額の累積比率(追加96%/継続97%)
・回転率は中央値で測るため、一時的な大商いでは通らない
・当サイトの簡易試算では、浮動株時価総額の面で新規採用候補が34銘柄(うち回転率の精査が必要なもの1銘柄)、除外候補が665銘柄
・除外銘柄は2028年7月まで8段階でウエイトが下がる。救済されても移行係数0.500が継続適用
・新規採用は浮動株比率に調整係数0.75を乗じて組み入れられる

🔴 当サイトの試算値(994銘柄など)は、継続候補960銘柄に新規採用候補34銘柄を足したものです。回転率の精査が必要な1銘柄も採用される前提で含めています。資金流出入の試算も同じ前提です。

持ち株がある人がいますぐできるのは、整理銘柄・特別注意銘柄に指定されていないかを確認すること1日の売買代金が細っていないかを確認すること、そして「時価総額×浮動株比率」で規模を把握することの3つです。

10月7日にJPXから正式な構成銘柄が公表されれば、推測の段階は終わります。それまでは、どの銘柄が入るかを当てにいくよりも、自分の持ち株がどのあたりにいるのかを把握しておくことのほうが役に立ちます。

当サイト(Pacific Stock)で提供する情報は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。この記事の試算は公開データを用いた当サイトの簡易スクリーニングであり、公式の判定を再現したものではありません。使用したデータの時点・期間・母集団は公式の方法と異なります。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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